特集 2016年2月24日

鐘をついてFacebook上の煩悩を晴らそう

ソーシャル・ネットワーク・煩悩よ、消え去れ!
ソーシャル・ネットワーク・煩悩よ、消え去れ!
Facebookを見ていると、自慢だったり自分をよく見せたい投稿を見かける。
「肉うまい!」とか「シェアさせていただきます」みたいな投稿がそうだ。
これっていわばソーシャルネットワーク時代に現れた、現代の煩悩なのではないだろうか。
このままでは傲慢な人ばかりになってしまう。なんとかしなくては。
1987年兵庫生まれ。会社員のかたわら、むだなものを作る活動をしています。難しい名字のせいで、家族が偽名で飲食店の予約をするのが悩みです。(動画インタビュー

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現代の煩悩に立ち向かえ

「Facebook疲れ」という単語が生まれるくらい、Facebookは欲望にまみれた投稿にあふれている。
煩悩にまみれている。
煩悩にまみれている。
上司の自慢やサードウェーブ男子のカフェ投稿、女子の自撮り写真とSNS上の煩悩はバリエーション豊かだ。
これはもう「SNS煩悩問題」という社会問題と言っていい、深刻な問題である(勝手に問題をでっち上げた)。
肉にビールにと欲にまみれている。
肉にビールにと欲にまみれている。
既に写真を挙げているが、とはいえ僕もついついそのような投稿をしてしまっている。
周りでそういう投稿が多いと、無意識に自分も倣ってしまうのだ。
つまりSNS煩悩問題を解決するためには「そういう投稿をするな!」と叫ぶだけではダメなのだ。
投稿したあとに「ああ、うっかりこんな投稿をしてしまった…」と省みる時間が必要なのである。

それにはどうすればいいか。
餅は餅屋だ。煩悩には鐘である。

鐘を作りました

そこでFacebookの煩悩を打ち払う鐘を作った。名前を「108(ワン・オー・エイト)」という。
24時間で開発するというイベントで作りました。展示会場に鐘がどーん。
24時間で開発するというイベントで作りました。展示会場に鐘がどーん。
頑張って作ったので紹介動画も作った。
BGMにYouTubeが提供している素材を使ったら、えらくかっこよくなってしまった。YouTubeすごい。
BGMがかっこいいのでそれを聞くだけでもいいと思います
まず指定のURLにアクセスして、自分のFacebookと鐘を連携させる。
軽く書いたが「Facebookと鐘の連携」である。就職活動で行ったシャープの説明会で、電卓とそろばんを組み合わせた製品の話をされて「これが目の付け所がシャープでしょ」ってことか!とひざを打ったが、それと並ぶくらいの組み合わせになっているように思う。

連携すると自動で投稿を読み込んで、どれくらい煩悩にあふれているか計算する。
計算結果に応じてランク付けがされるのである。
ちなみに僕は最高レベルの「畜生級」で、相当煩悩にまみれていた。
煩悩まみれである。
煩悩まみれである。
ちなみに一番いいのが仏級だ。
ちなみに一番いいのが仏級だ。
さて、煩悩には鐘である。
棒で鐘をつく。すると、もやが晴れて煩悩も昇華されていくのである。
ゴーンといい音が鳴る。
ゴーンといい音が鳴る。
ちなみに鐘をついたあとにFacebookを見ると、一番煩悩度が高かった投稿が再投稿されている。
友人に自分の煩悩がシェアされてしまうのだ。
友人に自分の煩悩がシェアされてしまうのだ。
これを見て自らを省みるのである。
自宅で簡単に除夜の鐘を鳴らせる日が来たのだ。

ここからは出来上がるまでについて書いていきます。
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意外と鳴るぞ、鐘

メインは「鐘をつく」という行為なので、やはりリアルさにはこだわりたい。
が、よく考えたら今まで鐘をついたことがなかった。一体どんな感じなんだ。

というわけで東戸塚にあるお寺にやってきた。
こちらのお寺は参拝客なら鐘をついて良いそうだ。
落ち着いた雰囲気のいいお寺だ。
落ち着いた雰囲気のいいお寺だ。
  あった!
あった!
鐘があった。すごい存在感。
しかし予想以上に住宅街の中にあり、申し訳なさが漂う。
試しについてみる。そーっとそーっと
試しについてみる。そーっとそーっと
「ゴーーーーーーン」うお!!!!!
「ゴーーーーーーン」うお!!!!!

ついた瞬間、閑静な住宅街に鐘の音が鳴り響いた。
めちゃくちゃビクってなった。恐縮度がストップ高である。
せっかくなので鐘の音も録音して使わせていただく。

数日後、制作会場。あの重厚な鐘の感触をできるだけ再現すべく、鐘突き堂を組んでいく(ただし塩ビパイプで)
  塩ビパイプは初めて扱ったが、意外とやわらかかった。パイプカッターですいすい切れて面白い。
塩ビパイプは初めて扱ったが、意外とやわらかかった。パイプカッターですいすい切れて面白い。
塩ビパイプのフレームに鐘を吊るして、こんな全体像に。
塩ビパイプのフレームに鐘を吊るして、こんな全体像に。

網戸のスクリーンに浮かび上がる煩悩

先ほどの写真で鐘を覆うようにスクリーンをかぶせていたのだが、実はこれは網戸で出来ているのである。
一部の業界(初音ミクを空中に投影したい、というようなニーズに応える業界のことです)では有名で、空中に像が浮いたような映像を安く作ることが出来るのだ。

まずは試しに家でやってみた。
  空中に現れる煩悩
空中に現れる煩悩
後ろからプロジェクターで投影すると、急に像が現れて面白い。
暗いともっと良くわかる。大変に満足しています。
暗いともっと良くわかる。大変に満足しています。

煩悩を空中にぼや~っと出したかったので、なかなかいい出来になった。

人はなぜ煩悩を持ってしまうのだろうか

煩悩っぽさの計算をするために、それっぽい単語をたくさんリストアップした。
この中に含まれる単語を使って投稿してしまうと何ポイント、という具合に加点していくのである。
200個以上リストアップした。
200個以上リストアップした。
ちなみに写真に料理が写っていると、さらに加点されるようになっている。
前ページのお昼ご飯の写真は試しに投稿してみたものだが、うまい具合に検出出来た。

ただ、たまに真面目に投稿した内容が出てくることがあって、ものすごく恥ずかしくなる。
自分たちで作った装置に心を丸裸にされている気持ちになるのだ。
ああ、やめて!ちょっと本を買っただけですぐ投稿してしまってすみません!いっそころして!
ああ、やめて!ちょっと本を買っただけですぐ投稿してしまってすみません!いっそころして!

何回も試してみるうちに、人はなぜこういう投稿をしてしまうんだろうな…と考えるようになってしまった。
哲学について考えさせるマシーンの誕生である。

鐘をつくのが楽しい

卓上に置けるサイズの鐘になったが、音がリアルだからか「鐘をついてます」というのをばしばし感じて何回もついてしまった。
これなら大晦日に1人で108回ついてもいいし、毎日時間を知らせるためについてもいいくらいだ。
いずれはみんながマイ鐘を持つ日がやってくるだろう。輝かしい未来の先取りだ。
一人暮らしの家には塩ビパイプはものすごく邪魔になるので注意が必要
一人暮らしの家には塩ビパイプはものすごく邪魔になるので注意が必要
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