とくべつ企画「味が濃い」 2016年6月9日

コーラをぐっと濃厚にする

僕にとっての味の素
僕にとっての味の素
コーラが好きだ。

コーラの魅力は何と言っても甘さと爽やかさ、つまり砂糖とスパイスの絶妙な配合だろう。

そのままで十分おいしいけれど、日常的に飲んでいるコーラ好きとしては、その黄金比を破壊した、もっと暴力的に濃いコーラも飲んでみたい。昔カフェイン2倍のジョルトコーラというのがあったけど、カフェインだけでなく糖分やスパイスも2倍3倍の濃厚コーラを作るのだ。

作って飲んでみたら身体に変調をきたし、低いテンションでいま原稿を書いています。

(この記事はとくべつ企画「味が濃い」シリーズのうちの1本です)
1974年東京生まれ。最近、史上初と思う「ダムライター」を名乗りはじめましたが特になにも変化はありません。著書に写真集「ダム」「車両基地」など。
(動画インタビュー)

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煮詰めチキンレース

やりたいことはつまり、コーラを煮詰めて「コーラの原液」のようなものを作り、それをコーラで割って飲むのだ。さっそく鍋を取り出し、煮詰めるとどのくらいの量になるのか分からないので、とりあえず1.5リットルのペットボトルの半分、750ミリリットルのコーラを注いで火にかける。煮詰まったときに足りなさそうだったらもう半分も使うことにした。
我が家では箱買いで常備されている
我が家では箱買いで常備されている
ちょっと惜しいが3倍おいしくなることを祈って注ぐ
ちょっと惜しいが3倍おいしくなることを祈って注ぐ
まずは弱火にかけて、煮詰まりすぎないように気をつけながら様子を見る。焦げつかせたら鍋が終わる、ということを恐れて、つきっきりでおよそ1時間、鍋をかき混ぜ続けた。

よくコーラを煮詰めてドロドロにして「こんなに砂糖が入っていて身体に毒!」みたいな不安を煽るバイラルメディアの記事があるけど、目指すはああなる寸前のぎりぎり液体の状態。一瞬の判断力が要求される戦いである。
炭酸の泡なのか沸騰なのかよく分からない
炭酸の泡なのか沸騰なのかよく分からない

8倍濃いコーラ原液ができた

甘くスパイシーな香りを嗅ぎ続けること1時間、鍋をかき混ぜる手応えが急に変わってきた。なんだか少し重くなった気がするのだ。量を見ると、最初に比べてだいぶ減っている!ここで煮詰め作業は終了し、これを今回の実験で使う「原液」とすることにした。
前の写真と比べると明らかに水位が下がっている
前の写真と比べると明らかに水位が下がっている
魚を煮たら美味そうな液体になった
魚を煮たら美味そうな液体になった
量を測ってみるとおよそ90ミリリットルだった。つまりおよそ8倍濃縮されたと言っていいだろう。予想より濃い原液ができた!
「原液」というより「煮汁」と言った方がしっくりくるビジュアル
「原液」というより「煮汁」と言った方がしっくりくるビジュアル
とりあえずここで味見
とりあえずここで味見
ひとまず味見をしてみる。ややどろりとした液体が舌を包み込む。ひゃー甘い。酸味も少しあるけどほぼ黒みつと言える味。飲む信玄餅、という感じで、舌の上から喉の奥まで甘くて重たい液体がしばらく残り続けた。
黒いカルピスと名付けた
黒いカルピスと名付けた

コーラで割って飲んでみる

ではこの原液をコーラで割って、念願の「濃厚なコーラ」を飲んでみよう。どのくらい混ぜれば良いか分からないので、とりあえず原液の半分をコップに入れ、その上から開けたてのコーラを注いだ。

コップは約200ミリリットル入るので、750ミリリットルが90ミリリットルに濃縮された約8倍濃い原液の半分45ミリリットルを、150ミリリットルのコーラで割るのだ。結果何倍濃いコーラができたのか、えーと、考えたのだけど計算式が分からない。バカだどうしよう(分かる方教えてください)。

糖分を一気に摂っていま頭がぼーっとしているのだ。という言いわけ。
コーラばかり飲んでるから計算できないみたいな展開で恥ずかしい
コーラばかり飲んでるから計算できないみたいな展開で恥ずかしい
コップの底にドロリとたまる原液
コップの底にドロリとたまる原液
コーラを注ぎ、軽くかき混ぜて完成、だけど泡で層が見える
コーラを注ぎ、軽くかき混ぜて完成、だけど泡で層が見える
...とにかく、かなり濃いコーラができた。というわけでさっそく飲んでみる。
...こ、これは!!
...こ、これは!!
最初ちびりと飲んで、あれ、普通のとあまり変わらないかも、と思って大きくごくりと飲んだら、底に溜まっていた黒みつのような原液が口の中に流れ込んできた。比重がだいぶ違うようでうまく混ざっていないらしい。

仕方ないので飲みながら口の中で混ぜてみる。一瞬、甘くておいしい、と思ったけど、すぐさま身体が拒否するくらいの甘さになって飲み辛い。そこでチェイサーを用意した。
コーラの最強タッグと思っているのりしお
コーラの最強タッグと思っているのりしお
塩気の強いのりしおを食べてみたら、塩味が引き立って今まででいちばんうまい!そして超甘いコーラがのりしおの塩っぱさを消し去る!

すばらしいマリアージュ、と思ったけど、これコーラが濃すぎるからポテチが進みすぎるという悪魔のループだ。明らかにふつうの比率ではない。このまま続けたら身体が壊れてしまいそうだ。
天国に一直線コンビ
天国に一直線コンビ
しかし、ここまでではないにしても、コーラがもう少し濃かったらこの100年間のじゃがいも消費量の桁が違っていたかも知れない。そしてそれがいろいろな影響を及ぼして、もしかしたら世界の秩序が変わっていたのではないか。クレオパトラの鼻並みの影響力である。

炭酸でも割ってみた

原液、コーラで割ったものは(比率にもよるけれど)とてもそのまま飲めた代物ではなかった。そこで炭酸水でも割ってみた。
いろいろな意味で水素水の対極の存在
いろいろな意味で水素水の対極の存在
いわゆる濃縮還元のようになるか
いわゆる濃縮還元のようになるか
濃度をいろいろ調整してみたけれど、もとのコーラと同じ味にはならなかった。でも、濃くても薄くても炭酸水独特のキリッとした後味があって、さっぱりした大人のコーラ、のようなものができた。

とは言え、手間暇かけた割にはオリジナルがいちばん、という結論だけど。

そして、この大人コーラを飲み干した直後、体調が急変した。たったコップ2杯とは言え、考えてみれば1.5リットルの半分のコーラを超短時間で飲んだことになるのだ。気持ち悪い、とかではないけれど、なんだか具合が悪くなって頭がぼーっとした。急に糖分を摂りすぎてインスリンが大量に分泌されて...みたいな状態になったのだろうか。

なので良い子のみなさんは真似しない方がいいです。

黙ってついていきます

やっぱりコーラのレシピは完璧なのだということが身をもって分かった。もう余計なことをせずそのまま愛飲したいと思います。
濃いレッドブルも作ろうと思ったんだけど命の危機を感じたのでやめました
濃いレッドブルも作ろうと思ったんだけど命の危機を感じたのでやめました
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