特集 2016年7月6日

この店でいちばん甘くないものをください

この中で、いちばん甘くないものを探します!
この中で、いちばん甘くないものを探します!
人が集まるところに手土産を持っていく機会があった。私は甘いものが好きだ。甘いものを持って行って「私は甘いものは苦手だからいいや」と言われるとほんのちょっと悲しい。

それぞれ好きなものを食べればいいと言えばその通りだが、そんな人にも「これなら甘いものが苦手でも大丈夫だから、一緒に食べようよ!」とお勧めできるものはないだろうか。

甘いもののお店をまわって聞いてみた。
千葉県在住。歳を重ねるごとに甘いものが好きになっていく。夏が好きなのに暑さに弱いのが悩み。

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不二家

最初に向かったのは不二家だ。数あるケーキ屋さんの中でも、特に子ども向けの商品が多いイメージで、あまり「甘さ控えめ」は意識していない気がする。
お店の外も店内も商品が並び、頭の中の情報処理に時間がかかる。
お店の外も店内も商品が並び、頭の中の情報処理に時間がかかる。
何度も来たことがあったけれど、改めて店内を見回し商品の多さに驚いた。
生ケーキはもちろんアイスクリームに缶入りのお菓子、ミルキーのソフトクリーム、お店で焼いた作りたてカントリーマアムの「窯出しカントリーマアム」という商品まであった。

さて、いちばん甘くないものは何だろうか。
店内は甘い香りでいっぱい。
店内は甘い香りでいっぱい。
優しい笑顔で迎えてくれた店員さんに聞いてみた。
「あの、いちばん甘くないものってどれでしょうか」

実は、聞いてみるまでこの質問はわりとよくある質問なのではと思っていた。

しかし。

「え…、甘くない…ものですか…?」

予想以上に店員さんを困らせてしまった。
「基本的にどれも甘くて…。ちょっとお待ちください」と言われたので、慌てて言葉を付け加えた。
「あ、すみません、あの、家族に甘いものが苦手な者がいて、一緒に食べるのにいいものはないかなと探していまして!」

店員さんがショーケースの外側に出てきてくれた。
真剣にショーケースを眺めてくれている…。
あぁ変なこと聞いてすみません。そうですよね、甘いもののお店ですよね。
全部魅力的で、普通に買いに来たらどれを選ぼうか迷ってしまう。
全部魅力的で、普通に買いに来たらどれを選ぼうか迷ってしまう。
たしかに、甘くないのなんてないですよね。
たしかに、甘くないのなんてないですよね。
店員さん「あ!チーズタルトはどうでしょう!これは常温の商品なんですが、シンプルでチーズの味が生かされて甘さも控えめです!」
焼きチーズタルト。店頭近くに大きくコーナーをとって並べられていて、気になっていた。
焼きチーズタルト。店頭近くに大きくコーナーをとって並べられていて、気になっていた。
なるほど! 確かにチーズケーキは酸味があるから激甘ではないかもしれない。
丁寧に対応してくれた店員さんにお礼を言って購入してきた。
大きさは直径5~6センチくらいで小さめ。
大きさは直径5~6センチくらいで小さめ。
割ってみると中には軟らかいチーズが!
割ってみると中には軟らかいチーズが!
食べてみると…おぉ!おいしい!
そして甘い!
決して激甘というのではないけれど、しっかり甘い。
中の軟らかいチーズ部分はそこまで甘くはないのだが、タルト部分が甘めで、コントラストが感じられつつも全体的には甘い。私は大満足だ。

と喜びつつも、甘いもの好きの私を満足させてどうする、という思いが駆け巡る。
甘くないものをくださいと言ったのに、こんなおいしいチーズタルトを出してくるとは、やるな不二家。

チーズの酸味はあるけれど、むしろそれが甘味を引き立てて、甘いものが苦手な人には厳しい気がする。
甘いもののお店で無茶な質問をしてすみませんでしたと反省しつつおいしくいただいた。
甘さ度 ★★★★☆
甘いものが苦手な人が食べられそう度 ★★☆☆☆
私の満足度 ★★★★☆

コージーコーナー

次はコージーコーナーで聞いてみた。
輝くショーケース。前を通るだけで癒される。
輝くショーケース。前を通るだけで癒される。
コージーコーナーとは、「居心地のいい場所」という意味らしい。まさにそうだ。私にとっていちばん身近なケーキ屋さんとも言えるのだが、日々のおやつに、そして疲れたときの癒しにと、たびたびお世話になっている。

お店がいろんな場所にあって買いやすい、そして価格もリーズナブル。
加えて、全体的にどれもサイズが大きいのだ。
高級店の小さめのケーキだと1つ食べても物足りないことがあるけれど、コージーコーナーのケーキなら1つ食べれば大満足だ。

さて、いちばん甘くないケーキはどれだろうか。順番が来るまでショーケースを眺めてみた。
抹茶のケーキは苦味があるから甘さは控えめなのでは。
抹茶のケーキは苦味があるから甘さは控えめなのでは。
それともゼリーだろうか。レモンを使ったゼリーは酸味がきいて甘くないかもしれない。
それともゼリーだろうか。レモンを使ったゼリーは酸味がきいて甘くないかもしれない。
「あの、甘いのが苦手な人でも食べやすい、いちばん甘くなく食べられるのってどれでしょうか」
不二家のように店員さんに戸惑われてしまうかもしれないので、ちょっと聞き方を変えてみた。

するとあっさりと、「それならチーズケーキがおすすめです!」との答えが返ってきた。

今回はすんなり答えが出た!そしてここでもチーズケーキ!
どれも安定の大サイズ!
どれも安定の大サイズ!
チーズケーキと言っても何種類もあったので、さらに店員さんに聞いてみると、キリのクリームチーズを使ったシンプルな「チーズケーキ」が甘くないとのことだったので、購入して帰宅した。
念のため、2種類のチーズケーキを購入。
念のため、2種類のチーズケーキを購入。
店員さんがおすすめしてくれたのはシンプルな「チーズケーキ」だったのだが、同じチーズケーキの中でも甘さが違うのかと気になって、「5種のチーズを使ったこだわりベイクドチーズ」という商品も購入してみた。

まずは「チーズケーキ」から食べた。
なるほど!本当にあまり甘くない。クリームチーズの塩味も少し感じる。
ふわふわで口に入れるとしゅっとなくなるので、あっという間に食べられる。

次に、参考のため買った「5種のチーズを使ったこだわりベイクドチーズ」を食べると、確かに全然違う。
こちらもチーズの塩味を感じるのだが、とにかく濃厚なのだ。
食感もどっしりしている上に、味が濃い。甘さも濃い。

比較するとよくわかった。「チーズケーキ」のほうは食感もふわふわだし、味が優しい。これなら甘いのが苦手な人でも食べやすいと思う。
一方で、甘いもの食べたいなーというときには物足りない。コージーコーナーのケーキは1つ食べれば満足と言ったが、2つ買ってよかった。
甘さ度 ★★☆☆☆
甘いものが苦手な人が食べられそう度 ★★★★★
私の満足度 ★★★★★(2つ食べたので)

NATURAL CREPE

今度はクレープ屋さんに行ってみた。
 今度はクレープ屋さんに行ってみた。
今度はクレープ屋さんに行ってみた。
メニューを見てから気づいたが、そういえばクレープ屋さんって多くのお店にいわゆる「お食事系メニュー」がある。
ハムやチーズなどを使ったしょっぱいメニューだ。
こちらのお店も「VEGETABLE CREPE」のカテゴリーでハムやチーズ、ツナや野菜のメニューがあったのだが、今回は除外してもらった。
こちらのお店も「VEGETABLE CREPE」のカテゴリーでハムやチーズ、ツナや野菜のメニューがあったのだが、今回は除外してもらった。
甘いものが苦手な人はもうこれでいいじゃないかとも思えるのだが、私のやりたかった趣旨と違うので、恐縮しつつも店員さんに聞いてみた。

「あの、ベジタブルクレープ以外で、甘いクレープの中でもいちばん甘さ控えめでさっぱり食べられるのって、なんですかね…?」

「ヨーグルトクレープはいかがでしょう」
これか!店頭でもおすすめされていた。
これか!店頭でもおすすめされていた。
早速オーダーしてみた。
グレープフルーツ入りにした。ゴロゴロ入っている。
グレープフルーツ入りにした。ゴロゴロ入っている。
ヨーグルトムースというのがどんなものなのかと思ったのだが、濃厚なヨーグルトをさらに食べやすくまろやかにして甘味を加えた感じだ。
きちんと甘いのだが控えめで、クレープ生地とも相性がいい。
グレープフルーツも適度な酸味を加えてくれているので、甘いものが苦手な人にも受け入れてもらえるのではないかと思う。
一言で言うなら「爽やか」だ。
こいつ、確実にモテるな。
甘さ度 ★★☆☆☆
甘いものが苦手な人が食べられそう度 ★★★★★
私の満足度 ★★★☆☆
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ミスタードーナツ

ドーナツ店でも聞いてみた。
いちばん身近なドーナツ屋さん、ミスタードーナツに来た。
いちばん身近なドーナツ屋さん、ミスタードーナツに来た。
ケースをざっと眺めると、チョコレートや粉砂糖でコーティングされたものが多い。
チョコレートやグレーズがかかっているものは除外されるのでは。
チョコレートやグレーズがかかっているものは除外されるのでは。
そしてミスドにはこれがある。
しょっパイ。
しょっパイ。
今回も、こういうしょっぱいパイ(しれっと言おう、しょっパイ)と飲茶(ちなみに具なしの「汁そば」が好きだ。ミスドでこれを食べると、ストイックな自分に酔いしれることができる)は除いて、いちばん甘くないものはどれか聞いてみた。
ハニーディップとかシュガーレイズドといったイースト発酵の、生地自体に甘味がないものはどうかと思って聞いてみると、表面に甘いコーティングがされているものはダイレクトに甘いのではとのこと。確かに、コーティングがなしのものはない。
ハニーディップとかシュガーレイズドといったイースト発酵の、生地自体に甘味がないものはどうかと思って聞いてみると、表面に甘いコーティングがされているものはダイレクトに甘いのではとのこと。確かに、コーティングがなしのものはない。
すると、比較的甘さ控えめな新商品として紹介してくれたのがこれだった。
フィナンシェドーナツ!
フィナンシェドーナツ!
春に出た商品らしく食べたことがなかったので、プレーンを購入した。
素朴!といった外見で好感がもてる。
素朴!といった外見で好感がもてる。
見た目はオールドファッションに似ているけれど、どのへんがフィナンシェなのかと思ったら、オールドファッションのような硬さがなく、サクサクほろほろとしている。
この優しさと軟らかさはなるほどフィナンシェっぽい。
そして確かに甘みは強くない。
サクほろで飲み物必須系なので、コーヒーとの相性が抜群だ。ぐいぐいいける。2、3個あれば食事代わりにしてもいい。

しかし、甘いことに間違いなく、甘いものが苦手だと厳しそうだ。
これが甘さの底だとすると、やはりミスドでは甘いものが苦手な人にはしょっパイや飲茶を食べてもらった方が無難だろう。
甘さ度 ★★★☆☆
甘いものが苦手な人が食べられそう度 ★★☆☆☆
私の満足度 ★★★☆☆(2つ食べたい)

菓匠 清閑院

最後は和菓子屋さんに行ってみた。
デパ地下の和菓子屋さんに行った。
デパ地下の和菓子屋さんに行った。
目に美しい色鮮やかなゼリー。
目に美しい色鮮やかなゼリー。
自分で餡を挟むタイプの最中。
自分で餡を挟むタイプの最中。
和菓子は洋菓子よりも甘さ控えめのイメージがあるけれど、こうやって店頭を眺めると、洋菓子よりも甘さの隙がない気がする。
フルーツの酸味やチーズのしょっぱさといった逃げ道がなく、勤勉に甘味を追及している。

ここでも店員さんに、いちばん甘くないのはどれか聞いてみた。

すると、この2つをおすすめしてくれた。
「抹茶せんべい茶悠」。
「抹茶せんべい茶悠」。
抹茶の苦みがあるので甘さを感じにくいということで紹介してくれたのが抹茶せんべいだ。抹茶風味の生地で抹茶クリームを挟んであるらしい。
こちらは「涼清水」。羊羹でできた鮎が入っている。
こちらは「涼清水」。羊羹でできた鮎が入っている。
もうひとつは、寒天の中に、かのこ豆と鮎の形の小さな羊羹を閉じ込めた涼しげなお菓子。これはすだちの酸味が効いているので、甘いものが苦手な方でも大丈夫なのではということだった。
両方買ってきた。
両方買ってきた。
抹茶せんべいのほかに、金胡麻せんべいというのも買ってみた。
抹茶せんべいのほかに、金胡麻せんべいというのも買ってみた。
クリームもたっぷり入っている。
クリームもたっぷり入っている。
食べてみると、抹茶も胡麻も香りがすごくいい。
抹茶が効いているのだが、とはいえやはり苦味より甘味が強い。
かためのせんべいは噛むと気持ちよくくだけるし、挟まっているクリームも甘くておいしい。
大きめなのでボリュームもあり、私は大満足だ。
しかしこの私の満足感、甘いのが苦手な人はダメだろう。
甘さ度 ★★★★☆
甘いものが苦手な人が食べられそう度 ★★☆☆☆
私の満足度 ★★★★☆
続いて、涼清水を食べる。
清流を泳ぐ鮎が表現されている!
清流を泳ぐ鮎が表現されている!
おぉ~、確かに爽やかなすだちがガツンとくる。
寒天部分はすだちが効いていて、酸味とかすかな苦味のインパクトが強い。

しかし、しっかり甘い。
なによりかのこ豆の甘味がすごい。
おいしいのだが、これは私ですらお抹茶とか緑茶と合わせたいと思った。
この企画の中でいちばんの甘さだ。
やはり和菓子はなめてかかると大けがをする。
甘さ度 ★★★★★★★(振り切った)
甘いものが苦手な人が食べられそう度 ☆☆☆☆☆
私の満足度 ★★★★★

5つのお店を回ったが、お店によって「甘さ控えめ」の度合いはかなり違うようだ。

今回、甘さ控えめのものばかり食べてもフラストレーションがたまるばかりかなと思ったが、予想以上にどれも甘かったので大満足だ。

結論として、甘いものが苦手な人に強く甘いものをおすすめする何かを探すのはなかなか難しそうだ。

人が集まるところに手土産を持っていくときは、自分の食べたい甘いものを持って行って、甘いものが苦手な人に「私はいいからその分2個どうぞ」と言ってもらうのを狙う方向で行こうと思う。
クレープ屋さんでもらったストラップ。「共食いキャラ」ではないものの、なんだかモヤモヤする。
クレープ屋さんでもらったストラップ。「共食いキャラ」ではないものの、なんだかモヤモヤする。

ここまで書いた数日後、ミスドの新メニューが発表された。
この夏の期間限定の「塩ドーナツ」。
この夏の期間限定の「塩ドーナツ」。
おまけとして紹介します。
右から、「プレーン」「めんたいマヨ」「北海道あずき」の3種類。「プレーン」と「めんたいマヨ」は全く甘くないらしい。
右から、「プレーン」「めんたいマヨ」「北海道あずき」の3種類。「プレーン」と「めんたいマヨ」は全く甘くないらしい。
断面図。かなり特徴的な形だ。握りたくなる。
断面図。かなり特徴的な形だ。握りたくなる。
ドーナツなのに全く甘くないというのにも驚いたが、形も不思議だ。
原始反射で思わず握ってしまいそうになる。

紙が巻いてあるので、プレーンを素直に握って食べてみた。
確かに甘さは皆無。
揚げパンにも似ているのだが、表面がカリっとサクッとしているところはドーナツの要素もある。
そしてガッツリ塩がきいている。

レンジで温めると、塗ってあるマーガリンがじゅわっと溶けておいしくて、もうなんだかよく考えられなくなった。

カテゴライズしたいのだが、どうしたらいいのかわからない。
おやつではない気がする。
でも1つずつのインパクトが強いので、一度に何個も食べるという感じではないから食事とも違う。

しかし「たらこマヨ」を食べてわかった。
これはおつまみなのではないか。
塩味も強いので、お酒がすすみそうだ。
甘いものが苦手な人がミスドに行ったときは、この夏は塩ドーナツを食べるといいと思います!
甘さ度 ☆☆☆☆☆
甘いものが苦手な人が食べられそう度 ★★★★★
私の満足度 ★★★★☆(いい経験をした)
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