回転するイカを纏う
もしかしたら知らない方がいるかもしれない。
イカを回転させて干物にするマシーンというのはこういうものだ。
長崎にMoMAがあったら収蔵されそうな逸品である。
回転させることで早く乾く(たぶん)、虫が付かない、その動きでハウステンボスのようなテーマパークの客寄せにもなる。
機能美だけでなくエンタメ要素も兼ね備えたものすごい装置だ。
僕はこれまでに巣鴨や鳥取でこのマシーンが回転しているのを見た。
場所に限らず色々な人を魅了している証である。
この魅力をなんとか自分も手に入れたい。
身に付けることが出来ればそれが叶うのかもしれない。
というわけで身に纏ってみる。
そういう想いが結実したものが上の「ウェアラブル回転イカ干物マシーン」である。
この記事で言いたいことの90%は終わってしまったが、もしかしたら作ってみたい人がいるかもしれないので、作り方を紹介していきます。
とにかく回したい、イカを。
まずはおもちゃ屋でフラフープを買ってくる。
フラフープ、人生で初めて買ったぞ。
袋に入らず、手持ちで持って帰った。
塩ビパイプは大物を作るときの最高の材料だ。
木やプラスチックのパーツで作るとパーツ同士をつなぐところが大変になるのだが、塩ビパイプなら様々な継ぎ手が売っている。
欲しい長さに切ったら継ぎ手でつなげば良いのである。
塩ビカッターを使えば簡単に切れるのもいいところ。
東急ハンズのようなちょっとおしゃれ感のあるところではなく、プロが通うホームセンターへ行くと大量に売っている。
やるぞ!水道工事!という気分になる。
これを四角く組み立てたら、角のところにモーターをセットする。
タミヤのユニバーサルギヤボックスを使うと、ミニ四駆のタイヤを付けられる2mm径のシャフトを出力軸として使える。
先ほどのGIFでわかるが、モーターの先に付けたタイヤでフラフープを滑らせる計画である。
ベルトコンベアを駆動させるのと大体同じ方法だ。
凹型のゴムが売っていたので、フラフープに貼る。
これが今回の重要アイテム。
このゴムがミニ四駆のタイヤ径にぴったりなのだ。
タイヤをモーターで回転させて、その上にただフラフープを置いただけでは、バランスを崩してすぐに外れてしまう。
凹みがガイドの役目を果たしてくれて、外れにくくなっているのだ。
工作をすると、ひとつくらいは奇跡と言ってもいいんじゃないかと思いたくなるようなぴったりくる部品がある。
今回はまさにこのゴムがその奇跡だった。
タイヤの上にフラフープを載せるとジャストフィットである。
イカを回したい、外で。
in お台場である。
三脚にフラフープを載せたら何かの儀式に使う道具のようになった。
回転するフラフープと、それを回転させるモーターを分離したところがこだわりポイントである。
これで大掛かりになりすぎずにウェアラブル性を高めることに成功した。しばらくするとフラフープが脱落するのはご愛嬌だ。
本家と比べてみた。
イカがぐるぐる回っているし、大体おんなじである。スイカとキュウリも分類上は仲間だし、これも仲間と言っていいだろう。
本当は生のイカが干物になるまで回したかったが、恐らく太ももの辺りがべちゃべちゃになるのであきらめた。
代わりに干物をぶら下げることには成功したので、良しとしよう。
ただし周囲にイカの香りが広がる。
最後に実際に動作する様子をご覧いただきたい。あなたもマシーンの周りでスキップしたくなるだろう。
キャーキャー
足りないスピードはGIFで補える
冒頭のGIFと最後の動画では回転スピードが全然違う。GIFのズルだ。
「
頭の悪いメカ発表会」の新作としてお披露目したのだが、1週間かけて作ったものを土壇場でイチから作り直すというちょっとしたトラブルがあったので多めに見ていただきたい。
制作中は3分に1回のペースで「もうダメだ…」という心の声が聞こえてきた。本当に動いて良かった。手早く作れる塩ビパイプは本当にオススメです。