広告企画♪ 2016年9月26日

「おふくろの味」のバックアップをとる

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自由でありたい一方で心のそこではしばってほしいと願う。

カレー作りとはそういうものなのではないか。

個性的な隠し味、水を一滴も使わなかったり玉ねぎはあめ色になるまで炒めるといった自由なポリシーがはばをきかせる一方、「箱の裏書どおりに作る」のが一番うまいという心地よい縛りもまた一定層に支持されている。

自由に疲れた私はいまやすっかり箱裏原理主義として生きているがこのままで人生を終えていいのか、もっと意識を高く持ったカレーを作らなくていいのかと常々思うのもまた事実である。
いつまでも言うなりでいいのか
いつまでも言うなりでいいのか
そんな折、「お母さんのカレーの味のバックアップを取りませんか」という今回の企画への参加の打診が同僚 安藤からあったというわけだ。

母のカレーといえば恐ろしくノールールだった覚えがある。前日の残りのおでんが入っていたことがあるくらいだ。

母にはぜひ保守派のわたしの奥歯をガタガタいわせてもらいたい。

カレーは冷蔵庫の掃除

いつも通りにカレー作って見学させてという依頼を母はこころよく受け入れてくれた。
約束していた時間に行ったらスパゲティ食べてたけどやる気はあるらしい
約束していた時間に行ったらスパゲティ食べてたけどやる気はあるらしい
まずは材料を見せてもらおう。
ゴールデンカレー使用というのだけは厳守とのこと
ゴールデンカレー使用というのだけは厳守とのこと
「材料は、ルーがゴールデンカレー(S&Bのカレールー)っていうのだけ決まっててあとは冷蔵庫にあるものだね。カレーは冷蔵庫の掃除だから」
出た! 前日の残り物!
出た! 前日の残り物!
豆腐…? じゃないや中途半端に残ったカイワレだ
豆腐…? じゃないや中途半端に残ったカイワレだ
いわゆるカレー野菜である玉ねぎとにんじんはあるものの、じゃがいもはない(肉じゃがの残りだけ)。トマトや長ネギ、大根にカイワレが、冷蔵庫で余ってたからという理由で入る模様だ。

「あとニンニクと生姜は必ず入れるかな、おいしいから」

「肉は基本は豚のモモ肉の塊をさいころ状にして入れるんだけど、今日はこれ(豚の肩ロース)が安かったから。脂が多いからきっといつもよりおいしいよ」

それぞれどれくらい入れるかときくと「適当」だそうだ。ルーも水も「適当」だという。
決め手のゴールデンカレーすら量は適当
決め手のゴールデンカレーすら量は適当
「食べきっちゃいたい野菜があれば全部入れて、肉はまあ全体にあわせて入れるかな。ルーは今日はどうだろうね、四分の三くらい? 水は材料がひたひたになるくらいかねえ」

この日は母は仕事が休み。時間も14時と夕食どきに迫った時間ではなかったこともあり急いで作る必要がないことが大きいとは思うが、なんだろうこの悠然とした印象は。

人はこんなにもたゆたうようにカレーを作る生き物だっただろうか。
流れに身を任せるようなカレー作りへの態度
流れに身を任せるようなカレー作りへの態度
私もこころを落ち着けあらためて材料である。

古賀家の母のカレー

・ゴールデンカレー 適量
・水 適量
・肉(豚の肩ロース) 適量
※塊っぽい豚肉であれば部位は売り場で適当に見て決める
・にんじん 1.5本
・玉ねぎ 3個
・生姜 ひとかけ
・ニンニク 大粒を一粒

・冷蔵庫にあった残り野菜 あるだけ
・昨日の残り物 あるだけ

なんかテクニックっぽいこともやる

「適量」がならぶ分量をみるとただただ「適当」なようにも見えるが、ここからが母のカレーである。料理らしいこともやるのでレシピのようにまとめてみよう。

・玉ねぎは2個を薄くスライスし、1個は1cm幅の串切りにする
・にんじんは下の部分はすりおろし、上の部分は乱切りにする
素直に「へー」と思いました
素直に「へー」と思いました
・そのほかの野菜は一口大に切る
・生姜とニンニクはみじん切りにする
・肉はブロック状になるように切る
・鍋にサラダ油(分量外)を少なめに熱し生姜とニンニクを炒める
・スライスした玉ねぎを加えしんなりするまで炒め肉を入れてさらに炒める
実際は順番を間違えたそうで玉ねぎの前にいきなり肉を入れちゃっていた
実際は順番を間違えたそうで玉ねぎの前にいきなり肉を入れちゃっていた
・すりおろした人参を軽くいため合わせる
母は鍋をまぜるときすごく脇が空く
母は鍋をまぜるときすごく脇が空く
・残り物(肉じゃが)、残り野菜を入れてひたひたになるまで水を入れる
・圧力鍋の低圧で加圧後10分煮る
煮ている間にピクルス作り。ぐいぐい押してた
煮ている間にピクルス作り。ぐいぐい押してた
えっと思った。加圧すんのか。残り物や残り野菜はここで完全にスープとして溶かしてしまうらしい。
玉ネギやすりおろしにんじんは分かるが、残り野菜、特にカイワレやそれに肉じゃがも圧力で溶かし込んじゃうとは。なんのために入れるの? と聞くと「え、あるから…」とのこと。

そこに山があるから登るタイプの調理法である。必然が先行し味は成り行き任せなのだ。

・減圧したら残りの玉ねぎとにんじんを入れて柔らかくなるまで煮る
・ルーを様子をみながら足していき味を調節する
実際は最初に箱の4分の3量のルーをいきなり入れたため味が濃くなって水で調節していた
実際は最初に箱の4分の3量のルーをいきなり入れたため味が濃くなって水で調節していた
・少し煮て、味を見て場合によっては醤油やヨーグルト、牛乳で味を調える
この日は小鍋に分けて作っていた子ども用の甘口カレーに牛乳と醤油を入れて調整していた
この日は小鍋に分けて作っていた子ども用の甘口カレーに牛乳と醤油を入れて調整していた
・できれば少し置いてなじませてから食べる
すぐには食べないで置いたほうがいいらしい。おみやげに持たせてくれた
すぐには食べないで置いたほうがいいらしい。おみやげに持たせてくれた
母の髪の毛がエスパー魔美っぽくなってるのはあとで写真を見て気づきました。

必然のカレー

母のカレー作り、箱に書いてあるとおりにとにかくスピード優先で作る私のカレー作りとは材料から調理法から態度からなにからなにまでまるで違った。

カレー作りは自由と束縛のあいだで揺れるものと書いたが母のカレーは自由でもなければ拘束もなかった。あるものを使って必要な量を作る、必然のカレーだ。

ひどい自由さを見せ付けてもらって奥歯をガタガタいわされる予定だったのだが、そういうことじゃなかったです。単純に母の料理は慣れて自然だった。そりゃ何十年もやってるんだもんなあ。
言われたとおり夜まで待って食べた。めちゃめちゃにうまい
言われたとおり夜まで待って食べた。私のにくらべたこのめちゃめちゃなうまさよ…


このあと何十年も消えないように、バックアップ。

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