とくべつ企画「洋食」 2016年11月29日

洋食しばりで学食ランチを食べ比べる in 神保町

学食の洋食対決!
学食の洋食対決!
食事をする場所に迷ったら、大学の学食を選んでみるのも面白い選択である。
若くてキャピキャピしている(死語?)学生たちの中に入っていく勇気さえあれば、安くて栄養バランスのとれた食事ができるのだ。

そこで今回は、大学が集まる神保町近辺で学食の食べ比べをしてみることにした。しかも洋食しばり。洋食に統一することで見えてくるものがあるだろう。
東京葛飾生まれ。江戸っ子ぽいとよく言われますが、新潟と茨城のハーフです。
好きなものは犬と酸っぱいもの全般。そこらへんの人にすぐに話しかけてしまう癖がある。上野・浅草が庭。(動画インタビュー)

前の記事:オセロ発祥の地・水戸でオセロ世界大会を見てきた

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神保町のシンボル、明治大学

まず初めに向かったのは明治大学。神保町の古書店街に一番近い大学である。
エントリーNo1、明治大学。お茶の水駅からも近い。
エントリーNo1、明治大学。お茶の水駅からも近い。
ちなみに、今回なぜ神保町が舞台になったのかといえば、大学が集まっていることと私の職場があるからである。

自分のランチタイムにふつうに使える学食を探す、という裏目的があるので、料理が出てくる早さや食堂への入りやすさなども合わせてチェックしていきたい。
豊富なメニュー。19時までってけっこうやってるんだな。
豊富なメニュー。19時までってけっこうやってるんだな。
エントランスの奥にあるエレベーターで17階にのぼると「スカイラウンジ暁」がある。

そこには洋食から和食、中華までたくさんのサンプルが並んでいた。特筆すべきはバカみたいに量が多いメニューがあることだろう。

3倍の量のメニューがある!

中年には拷問に見えるトリプルカレー540円。トリプルタンメンというのもあった。
中年には拷問に見えるトリプルカレー540円。トリプルタンメンというのもあった。
これぞ学食だ。あふれんばかりのエネルギーを支える料理たち。そうめん2束でお腹いっぱいになる時がある私には拷問にしか見えないが、このお値段でこの量が食べられるのは若い学生たちにはたまらないのだろう。
選んだメニューのチップを持って並ぶ。メニューが豊富なためか、けっこう時間がかかる印象。
選んだメニューのチップを持って並ぶ。メニューが豊富なためか、けっこう時間がかかる印象。
お昼時はやはり並んでしまうようだ。しかも久々の学食が嬉しくてどれにしようか悩んでいたことと、ルールが分からずアワアワしてしまいさらに時間がかかった。

安すぎて色々つけちゃう

洋食は帆立グラタンや豆腐ハンバーグなど。どちらも普通のお店で食べたら高くつきそうだが、ここ学食であれば500円以下である。もうワクワクが止まらない。どれにするか真剣に悩んだ。
結局オムタコライス(410円)にした。安いので、それぞれ5種類から選べるサラダ(120円)とデザート(270円)もつけちゃった!
結局オムタコライス(410円)にした。安いので、それぞれ5種類から選べるサラダ(120円)とデザート(270円)もつけちゃった!
この卵のとろみ加減がたまらない。器がファンシーでなければ学食とは思えない。
この卵のとろみ加減がたまらない。器がファンシーでなければ学食とは思えない。
順番が来るまで時間はかかったが、調理はあっという間。

コックさんが目の前で卵をフワトロに仕上げてくれる様子は、ホテルの朝食のような少し贅沢な気分だ。まさか学食でそんな気分が味わえるとは。

いただいてみると、トマトソースとホワイトソースが卵に絡まり、とてもマイルドな味になっていた。また、卵の下にこっそり隠れているひき肉の食感が嬉しい。
それにしてもご飯が多い! 明治大学の学食は、基本的に量が多いようだ
それにしてもご飯が多い! 明治大学の学食は、基本的に量が多いようだ
ご飯がカレーに合わせて炊かれているのか、固めだったのがちょっと惜しかった。

眺めがいいのもポイント高い

晴れてたらもっと気持ちいいだろうな
晴れてたらもっと気持ちいいだろうな
さすが17階とあって席からの景色が良い。ちなみに席はたくさんあるので、混んでても座れないということはなさそうだ。

感想をまとめると以下のような感じになった。
<明治大学の学食まとめ>
・メニューが豊富で選ぶのが楽しい
・The 学食という感じで大食いの人も満足できる量
・洋食頼んだらホテルのような贅沢が感じられた
・食堂は広く、窓側に座ると眺めがいい
・ただしランチタイムは並ぶので時間が無い人には不向き
個人的には最後の点が非常に残念。メニューに迷わなければいけるかな?

次ページでは専修大学へ向かう。
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オフィスに囲まれた専修大学

次にやってきたのは専修大学。下調べによると地下2階に学食があるようだ。
エントリーNo.2.専修大学。九段下駅からも近い。
エントリーNo.2.専修大学。九段下駅からも近い。
明治大学と比べると建物が「学校」な感じが強い。また、明治大学は校舎が大きいということもあり学生から職員らしき人まで出入りが多かったが、専修大学は若い学生ばかり。

明らかに歳いってる私が校舎の中を歩くには大変な緊張が走った。
地下2階にあった学食メニュー。割と一般的な品揃えかな。でも雰囲気が…
地下2階にあった学食メニュー。割と一般的な品揃えかな。でも雰囲気が…

クローズドな雰囲気&コケて居づらい

一人だけ年齢が高いことに恥ずかしさを感じながらコソコソと目立たないように地下2階に向かった。

確かに学食はあったが、ほぼ学生たちで埋め尽くされており(当たり前なんだけども。)、非常に入りづらい雰囲気。若者オーラ全開という感じなのだ。

しかも何もない所で派手にすっころんでしまい、注目を浴びてしまうという失態をおかしてしまった。余計に老いを感じながら、たまらず守衛さんのいる入り口に戻る。すると、もう一か所、近隣の会社の人たちもよく使う学食があると言うじゃないか。
建物横から地下へ続く通路があり、非常にオープンな学食があった。
建物横から地下へ続く通路があり、非常にオープンな学食があった。
近い年齢の人もいて、めっちゃ入りやすい! やったぜ
近い年齢の人もいて、めっちゃ入りやすい! やったぜ

OLが好きそうなオシャレカフェ

年齢が高めの人もいるし、これなら堂々と入ることができる。しかもランチはメインディッシュ+サラダorサイドメニュー+ドリンクでたった500円。これはいいぞ!
セット500円に、100円ケーキをつけてみた。分厚めのバタートーストがうれしい。
セット500円に、100円ケーキをつけてみた。分厚めのバタートーストがうれしい。
これがまた美味しい!
これがまた美味しい!

カラフルなトレイがあることでどうしても学食らしさが出てしまうが、他はどう見てもオシャレな喫茶店のメニューだ。ふんだんに入った豆や、ポークと太めのウインナーがしっかり煮込まれたトマトスープはいかにも栄養満点。

それを厚めに切られたバタートーストに乗せて食べる幸せ。今回は量もほどよく、満足度の高いランチタイムだった。
焼きたてのトーストと一緒に。これで500円は嬉しい。
焼きたてのトーストと一緒に。これで500円は嬉しい。
最初の緊張感から解き放たれたのもあってか、大変おいしくいただくことができた。それに、明治大学のようにエレベーターの乗り降りが無い分、時間に余裕がある。こりゃ使えるぞ!
<専修大学の学食まとめ>
・地下2階は怖いが地下1階は入りやすい。
・並んではいたがメニューが少な目なためか実際に並ぶ時間は短かめ。
・学生さん以外の大人が半分くらいいて過ごしやすい。
・洋食はオシャレで健康志向でOLさん向け
・ほどよい量。たくさん食べたい人には不向きかも?
次のページでは日本大学理工学部へ。
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オフィスビルのような日本大学理工学部 1号館

次にやってきたのは、最初の明治大学からもほど近い日本大学理工学部。

色づいた木々が両脇に並ぶ素敵な通りに建っている。
エントリーNO.3、日本大学理工学部。紅葉がきれいな通りにあった。
エントリーNO.3、日本大学理工学部。紅葉がきれいな通りにあった。
全面ガラス張りのこの建物は、知らない人が見たらまるで都会的なオフィスだ。中に入ってみるとシルバーで統一されていて、洗練された雰囲気がしてかっこいい。

まさに理工学部、という感じなのだ。
食堂の一部。かっこよすぎない?
食堂の一部。かっこよすぎない?
建物の中に入るとすぐに受付があり学食を食べたいと言うと案内してくれた。

明治大学や専修大学のようにガヤガヤ感やキャピキャピ感はまるで無い。大学によってこんなにも違うんだなあ。
メニューは図らずも洋食がメイン。だいたい4~500円。やっぱ安い! (カレーなどの定番もあり)
メニューは図らずも洋食がメイン。だいたい4~500円。やっぱ安い! (カレーなどの定番もあり)
デザートもけっこう本格的。フランス語で案内しちゃってるもんなあ
デザートもけっこう本格的。フランス語で案内しちゃってるもんなあ
ディスプレーがシンプルで、どれもこれもとにかく美味しそう。しかも今までの所とは違い、食器がすべて白で統一されていることで高級感が増していた。

価格・量・味・並ぶ時間・雰囲気までパーフェクト

タンドリーチキンセット500円に、デザート150円をつけてみた。
タンドリーチキンセット500円に、デザート150円をつけてみた。
ああ・・・私はなんて素晴らしい学食をみつけてしまったのだろう。

まず、ランチタイムだというのにあまり並ばずに済んだのが嬉しい。おそらく校舎がいくつかに別れているため、他の大学より学生が少ないのだろう。食堂が2階なのでたどり着くまで時間もかからない。
スパイシーなチキンが柔らかくて美味しい。かりっと揚がったポテトもたまらない。これで500円て!
スパイシーなチキンが柔らかくて美味しい。かりっと揚がったポテトもたまらない。これで500円て!
そして、職員の人か近隣の会社の人なのか、年配の人も何人かおり、居づらいということがない。仮に学生だけだったとしてもどことなく大人びているため落ち着いて食べられる気がする。校舎というよりもオフィスビルのようなつくりがそうさせているのかもしれない。

最後に、普通の店なら900円台払っても妥当と思える美味しいタンドリーチキンのセットだ。
見た目でちょっと重いかな、と思ったけど、嫌な脂っこさはぜんぜんなし。ペロリであった。
見た目でちょっと重いかな、と思ったけど、嫌な脂っこさはぜんぜんなし。ペロリであった。
これは学食の期待値をとうに超えている。

学食は育ち盛りの学生のためのメニューであり、はっきり言ってしまえば質より量だと思っていた。明治大学のトリプルカレーが学食らしさの極みだろう、と。

なのに、ここまで本格化しちゃうとは。食べながらニヤニヤが止まらない。
追い打ちをかけるようなモチモチプルプルの杏仁豆腐。参りました。
追い打ちをかけるようなモチモチプルプルの杏仁豆腐。参りました。
<日本大学理工学部の学食まとめ>
・学校というよりオフィスビルに近く、入りやすい
・学生が落ち着いてて居心地は悪くない
・メニューの数を抑えているためか、出てくるのが早い
・食堂がオシャレで開放的
・食器が白に統一されて高級感がある
・メインからデザートまで、値段に対してワンランク上
これはぜひまた来て、ほかのメニューも試さねばならない。

次ページは最後、共立女子大学へ。
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最後は共立女子大、のはずがNG

小学館の隣にある共立女子大学。舌のこえた女子大生たちの食べる学食に興味津々・・・だったのだけど、残念ながら学生と職員以外は入れないそうだ。
女子大は入れませんでした。残念…
女子大は入れませんでした。残念…
本館以外にもいくつか共立女子大の建物が近くにあるけど、どこも入ることはできないそう。さすがに女子大はNGだったか。

そこで急きょ、番外編として千代田区役所の食堂に向かうことにした。共立女子大学の校舎を奥にたどっていくとあるのだ。
かわりに近くの千代田区役所へ。何度か来てはいるが食堂ははじめて。10階にある。
かわりに近くの千代田区役所へ。何度か来てはいるが食堂ははじめて。10階にある。
千代田区役所には図書館が入っているため何度か来ている。そして、大学よりも多くの人が出入りする場所なので他よりも入りやすかった。

ただ、食堂にいるのは主に職員の人たちだろうと思うと、ヨソのテリトリーに入る緊張感はやはりあって、それがとても楽しい。「突撃!隣の晩ごはん」のように人の家庭の食事を見ちゃうような、そんな楽しみ方だろうか。
カーテンをつかった、手作り感あふれるディスプレー。日大理工とは真逆の落ち着きがある。
カーテンをつかった、手作り感あふれるディスプレー。日大理工とは真逆の落ち着きがある。
小鉢も落ち着く品揃え。そういえば納豆って学食には無かったかも。逆にケーキなぞという若者むけのデザートは無い。
小鉢も落ち着く品揃え。そういえば納豆って学食には無かったかも。逆にケーキなぞという若者むけのデザートは無い。
食堂は広く、たくさんの大人たちが静かに食べていた。学食のあの華やかさはなく、かわりに「日常的な落ち着き」がそこにはあった。

大学の副菜はたいていコロッケやから揚げ、もしくは生野菜がほとんどだが、この食堂ではさっぱりとした煮物が大半。カロリーを取りすぎない、お腹に優しい献立になっている。

限りなく和に近い洋食

洋定食500円。たくさん入ったラッキョウ(50円)をプラス。なんかビール飲みたくなるな。
洋定食500円。たくさん入ったラッキョウ(50円)をプラス。なんかビール飲みたくなるな。
私は「洋定食」を選んだ。「洋」とついているからには洋食なのだろう。が、ここにきて洋食ってなんだっけ? と分からなくなってきた。味噌汁がついてきて、お箸で食べるのは洋食と言っていいんだっけ? しかもラッキョウつけちゃった。

いや、どんな小鉢を選ぼうが、どうしたってここでは和食に近くなってしまう。
アジ、海老、白身のフライ。洋食界の古株トリオ。
アジ、海老、白身のフライ。洋食界の古株トリオ。
ずっと見た目がオシャレな洋食が続いていたので、古株トリオの登場が逆に新鮮な気もする。

また、家では揚げ物をまったくしないので、このサクッとした食感がうれしい。胃に負担のない、ちょうどいい量なのもありがたい。
定食には小鉢を一品選べるのだけど、私はゼリーにした。家庭でつくるような固い、武骨なやつ。これはこれで、ね。
定食には小鉢を一品選べるのだけど、私はゼリーにした。家庭でつくるような固い、武骨なやつ。これはこれで、ね。
ここからの景色もなかなか。皇居や丸の内近辺のビル群が見える。
ここからの景色もなかなか。皇居や丸の内近辺のビル群が見える。
<番外編:千代田区役所の食堂まとめ>
・並ばずにスムーズに食べられる
・年齢層が高めなので入りやすい
・洋食が限りなく和食
・景色がいい
・皇居に近いので散歩がてらによるのも良いかも。

今回食べた神保町学食No.1は…日大理工学部!

いろいろな洋食を食べた結果、今回私が推すのは日本大学理工学部の学食だ。

味もそうなのだけど居心地や待ち時間・量など自分に都合のいい条件を加味した結果だ。だが、それぞれの食堂の良さはしっかりとあったとおもう。今度はカレーの食べ比べでもしてみようかな。

緊張が美味しさのスパイスに

学食における洋食のバラエティの豊富さに驚かされた企画だった。逆に共通していたのは、少々入りにくさを感じ、緊張を乗り越えることが美味しさに拍車をかけていたような気がする、ということ。

たまにはこんな刺激があると、午後も頑張れそうな気がする。
「ヨソの食堂」にハマってしまい翌日は気象庁へ(ヘルシー弁当600円)。なお、入る前に名前や社名などを書いて提出する必要あり
「ヨソの食堂」にハマってしまい翌日は気象庁へ(ヘルシー弁当600円)。なお、入る前に名前や社名などを書いて提出する必要あり
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