広告企画♪ 2017年1月5日

ネイティブ広告とかめんどいからアドバルーン飛ばす

憧れのアドバルーンをついに飛ばした
憧れのアドバルーンをついに飛ばした
やらねば死ねぬことの一つとして「アドバルーンを飛ばす」というのがある。全人類の共感項だろう。

アドバルーンというと「サザエさん」的なノスタルジックなフィクションの世界でよく見る。デパートの屋上から「バーゲン開催中!」的な垂れ幕とともに浮かんでいるイメージだ。

実際飛んでいるのを見たことがあるだろうか、思い返してもなかなか心当たりがない。

21世紀を向かえ久しい世でリアルに飛ばすことはできるんだろうか。できました。最高のアドバルーンのプロが飛ばしてくれたんです!
東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

前の記事:成田空港第1~3ターミナルと寿司と

> 個人サイト まばたきをする体 Twitter @eatmorecakes

アドバルーン、飛んだ!

まずはとにかく喜びとともに今回私たちが飛ばしたアドバルーンを見て欲しい!
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直径2.5メートルのバルーンが、ビニールシートの文字を貼った投網のような幕を持ち上げ上空に上がる。

アドバルーンだ。アドバルーンだ!!

ネイティブ広告とかめんどいからアドバルーン飛ばす

とにかくこの現代でもアドバルーンは飛ばせるのだということはまず伝わったかと思う。

で、そこから先だ。どうやって飛ばしたのか、どうやったら飛ばせるのかをこの記事ではぜひ共有したい。条件が合えば個人的に飛ばすことも可能なのだ。
アドバルーンの専門広告会社さんにお願いしました
アドバルーンの専門広告会社さんにお願いしました
しかしそのまえにですね、今回あげたアドバルーンの垂れ幕の文字について説明させてもらいたい。
電話アプリ「シャモ」エリア拡大、とは
電話アプリ「シャモ」エリア拡大、とは
急になに言ってんだと思われる向きもあるのではないか。「シャモ」ってなんだよ。

ご存知の方も3人くらいいるかもしれないですが、当デイリーポータルZを運営するニフティという会社がいま鋭意とりくんでいる「ShaMo!」という法人向け電話アプリがあるのだ。

契約&スマホにアプリを入れることで、スマホでありながら市外局番の電話番号(東京03とか大阪06とか)からの発信、着信ができるというもの。
これまで取り扱いが東京03番号のみだったのが、このたびエリア拡大し全部で12都道府県(主要都市を含む一部エリア)の市外局番が使えるようになったのである。

それをデイリーポータルZでもどうか宣伝してくれんかのうと担当部署から相談がありかなったのがこの企画なのだ。
エリア、拡大!!!
エリア、拡大!!!
「宣伝」といえばアドバルーンだろう。広告文言バーンと大空に飛ばすんである。かっこいい。しびれる。

ネイティブアド的なものを頼んだら、よーしまかせとけーっつってアドバルーン飛ばしちゃう。そんな大人に憧れるんだあたしはよ。

場所はないけどアドバルーンを揚げてください

そうして私はGoogleの検索窓に「アドバルーン」と入れたのだった。

出てきたアドバルーンを扱う会社にいろいろと当たったなかで今回我々のアドバルーンを飛ばしてくれたのがアミー・アドバルーン社さん。
事前に電話でやりとりをしてくれたのは代表の木村さん(左はバルーンが飛ばせるとあってニッコニコの筆者です)
事前に電話でやりとりをしてくれたのは代表の木村さん(左はバルーンが飛ばせるとあってニッコニコの筆者です)
「アドバルーン飛ばしたいのに場所がないの?」

そう、アドバルーンというのは基本的に「場所」を広告するツールなのだった。今日この店でバーゲンをやってますよ、今日オープンしましたよというのを宣伝するのに向いた広告商品なのである。

しかしわれわれが宣伝したいのはスマホのアプリだ。場所がない。

木村さんはそんな我々のためになんと飛ばせる場所から手配してくださった。さらに飛んでるところだけではなく手順から見て記事にしたいという希望にも快諾。
やはり屋上から飛ばすケースが多いそう
やはり屋上から飛ばすケースが多いそう
手順に企業秘密みたいのがあったりするようでしたらそこは撮りませんのでという申し出には「ないよー笑!」とのことである。男らしい。

「風が強いと上がらないからね、明日10時ごろ電話します。飛ばせそうだったら14時に現場にきてください」

考えれば分かることだがアドバルーンは風が強ければ流されてしまって文字が読みづらいうえに危険なのだ。風速6m以上あると飛ばせない。風さえなければ雨でも上げられるそうだ。
私の髪の毛が物語るとおりこの日は実はかなり風が強かった。タイミングをみはからい短時間で降ろすという約束で上げてもらいました。
そのほか事前に入手したアドバルーンの知識は以下の通りである。

アドバルーン基本情報

・高圧電線や線路などにちかい場所では上げられない(とくに高圧電線は危険)
・上げる場所は広い屋上がやりやすい、地上であれば20m×20mくらいの障害物のない広場
・基本的に30mくらいまで上げることが多い。場所によるが最高45mくらいまで上げることはできる(でもそれくらい上げちゃうと高すぎて文字が読みづらくなる)。
・今回お願いした業者さんは通常のアドバルーンだと1本60,000円から応相談(掲揚場所や時間、文字数などで料金は変わるそう)

この日は風がつよいこともあり20mまで上げてもらった。
文字はおおむね10文字から多くて15文字くらいまで(応相談)、実質の作業時間としては3時間くらいではれちゃうのだそうだ「プロだからね」とのこと。かっこいい!
文字はおおむね10文字から多くて15文字くらいまで(応相談)、実質の作業時間としては3時間くらいではれちゃうのだそうだ。ただし木村さんだからできる職人技。
次ページであらためて手順などを見させてもらおう。

改めて、「ShaMo!」のサービス内容はアドバルーンとは一切関係ありません。

いったん広告です

木村さんと大島さん

指定の日。事前のおしらせどおり朝10時に木村さんから電話があった「今日あげられそうです、14時にきてください」。

現場は千葉県にあるとある施設の屋上駐車場だ。ShaMo!チームからも担当者が3人も来た。多い。が、気持ちはめちゃ分かる。だっておらがサービス名乗せてアドバルーンが飛ぶんだ。

到着すると電話の木村さんともう一人、大島さんという方が。
特に打ち合わせることなく自然に作業がはじまった
特にお二人で打ち合わせることなく自然に作業がはじまった
木村さんは28歳のときからこの仕事をしているそうだ。この道……何年だろう、とにかくプロ中のプロである。
幕は風を通すように網になっている。漫画表現では布のイメージだが、そうか、布じゃ風でバタバタしちゃって大変だろうな
幕は風を通すように網になっている。漫画表現では布のイメージだが、そうか、布じゃ風でバタバタしちゃって大変だよな、実際見てみてわかること、である
ぐるぐると巻いてあった網に園芸で使うような支柱を刺して固定していく
ぐるぐると巻いてあった網に園芸で使うような支柱を刺して固定していく
一方の大島さんは隅っこにロープで枠のようなものをこさえていく
一方の大島さんは隅っこにロープで枠のようなものをこさえていく。「寝床」と呼ばれ数日通してアドバルーンを飛ばすときなど夜ここに係留しておくのだそうだ。
網や縄をたくみに使い、風を読む。様相が漁師のようだなと見ていて思ったが、バルーンを夜間係留するとはいよいよこれは港の風景である。

そんな作業の横からアドバルーンの豆知識についてもいろいろとうかがうことができた。
ヘリウムもいよいよ入ってまいりました
ヘリウムもいよいよ入ってまいりました
アドバルーン豆知識

・一番景気がよかったのはやはりバブル景気のころ、毎週社員フル回転で飛ばしまくった
・北海道から沖縄までアドバルーンを上げにいった。バルーンだけ持って、ボンベは現地で調達すればいくらでもあげられる
・繁忙期は秋から冬。空がきれいだから
・最近はパチンコ店の開店やリニューアルや住宅展示場などで上げることが多い。
軽トラのボンベからホースで入れていた
ヘリウムは軽トラのボンベからホースで入れていた
・広告ではなく騒音調査のために計測器をつけて掲揚することもある
・結婚式場などで個人で上げる人もいる。
・基本的には9時から17時。夜光るタイプもあってそういう場合は夜間も掲揚する。

掲揚中はスタッフが常駐して何かあったときすぐに対応できるようにするのだそうだ。当たり前だが、アドバルーンも人が手であげていた。そうだったのか!
木村さん「バルーンが好きな社長さんがいるだよ、そういうところからは今でも依頼がくるね」 大島さん「でも、絶滅危惧種だよ笑」
「バルーンが好きな社長さんがいるだよ、そういうところからは今でも依頼がくるね」
 大島さん「でも、絶滅危惧種だよ笑」
「でも、絶滅危惧種だよ笑」
絶滅…しないでほしい!
絶滅…しないでほしい!

目の前にある圧倒的な揚力

子供のころ、手に持った小さな風船をはなして飛ばしてしまったことがある。あのスルリという感覚が恐ろしくたしかかなり泣いた。

そんな風船が今日はめちゃめちゃにでかい。
ヘリウムでバルーンが満杯になった
ヘリウムでバルーンが満杯になった
あのドキドキが何十倍もの大きさで目の前にある。

高いところにいるようだと思った。手をはなすと落ちていってしまうのと、手をはなすと飛んでいってしまうのは似ている。

おちる! に近い意味での飛んでっちゃう! がこわい。胃がういてわたしは腰が抜けたように地面にへたりこんだ。

強い揚力が目の前1メートルにあるということがこんなにも恐ろしいとは。

しかしここには頼もしき2人が
しかしここには頼もしき2人が
しかしここにはプロがいるのだ。木村さんと大島さんはいってみればプロの風船おじさんである。

まさか風船おじさんにプロがいるとは思わなかったが働くお二人の姿は本当にひょうひょうとしながらもきびきびとしてこれぞプロという身のこなしであった。

すべてを頼るしかない。
お、お願いします!!!
お、お願いします!!!

縁起がいい…

おそろしさでへたり込んだままだった私がよぼよぼ立ち上がるど同時に直径2.5mのバルーンは危なげなく上がっていく。
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ShaMo!担当の黒田が上がりきったアドバルーンを見て「縁起が…いい…」とつぶやいた。

風船に宣伝の文言をのせて空に飛ばす。宣伝したい言葉が遠くからよく目立つ。シンプルな広告である。

しかし晴れた空にぐんぐん上がる黄色い丸いバルーンはどうにもありがたかった。なにか良いことがあると、幸せな気持ちになって胸がすく。

「青い空に」「高く高く」「飛ばす」Jポップもびっくりするほどの濃い味のロマンワードを体験する、これがアドバルーンか!
ただ見守る黒田(左)と私
ただ見守る黒田(左)と私

撤収の様子も簡単にご紹介しましょう

アドバルーンが揚がるまでの様子は以上である。通常のアドバルーンの場合はこのまま夕方まで上げて17時ごろ降ろす。

その撤収の様子も見させてもらった。
単純に、引っ張って降ろす
単純に、引っ張って降ろす
ぐいぐいと
ぐいぐいと
幕は折りたたむようにたたむ
幕は折りたたむようにたたむ
くるくる巻きつけてケバブのようになったこの幕、なんと記念にいただいた!
くるくる巻きつけてケバブのようになったこの幕、なんと記念にいただいた!垂れ幕として普通に使うぞ!
バルーンはまた「寝床」に戻し…
バルーンはまた「寝床」に戻し…
ヘリウムを抜いていく
ヘリウムを抜いていく
ぬくときにヘリウムの影が揺れるのだと大島さんが教えてくれた
ぬくときにヘリウムの影が揺れるのだと大島さんが教えてくれた
また小さくたたんで撤収完了
また小さくたたんで撤収完了
掲揚にはどれくらい時間がかかるものなんでしょう、と事前にうかがった際「そうだねえ、40分くらいかな」と聞いていた。

現場では私たちが写真を撮ったりお話をきいたりとチョロチョロしているなか実際本当に40分ぴったりで上がって感激したのだが、撤収はもっと早かった。20分くらいだろうか。
そうしてお2人は帰っていった
そうしてお2人は帰っていった

明日はパチンコ店で飛ばす

「生きてる間に一度はやってみたいことのひとつである」などと雰囲気任せに思っていたが、本気で上げてよかった。みんなも上げたほうがいい。

本物のアドバルーンを見たことがなかった。上がっている状態はもちろんあがってゆく様子にも肉体的精神的に興奮した。

木村さんと大島さんは終わるとさくっと片付けて軽トラで帰っていった。明日もパチンコ店のリニューアルオープンでアドバルーンを2本飛ばすんだそうだ。

協力:アミー・アドバルーン社

ちなみに当サイトはなんだかんだいってネイティブ広告も得意としております。お問い合わせはこちらへお気軽にどうぞ
屋上部隊とは別に地上での撮影班が抑えた1枚のお月様っぽさよ
屋上部隊とは別に地上での撮影班が抑えた1枚のお月様っぽさよ
からの、このジャーン! という登場がまたかっこいい
からの、このジャーン! という登場がまたかっこいい

次はロゴを入れた飛行船を飛ばしたい。

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