特集 2017年1月5日

カエデの種を飛ばしたい

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カエデドローンというものを手に入れた。

カエデの種のように、全体が回りながら飛ぶドローンだ。飛ばしているうちに、むしろ本物のカエデの種の飛び方を知りたくなった。そしてドローンの飛び方と比べてみようと思った。
1976年茨城県生まれ。地図好き。好きな川跡は藍染川です。(動画インタビュー)

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カエデドローンをもらった

学研から「カエデドローン」というものをもらった。
カエデドローン
カエデドローン
雑誌「大人の科学」の付録だそうだ。こう書くと広告記事みたいだが、そうではない。よかったら遊んでみてください、ということらしい(が、結果的にこうやって記事にしているので、うまく乗せられている)。

というわけで、遊んでみた。
地面の上において、リモコンのスイッチを入れると
地面の上において、リモコンのスイッチを入れると
回り出して、浮いた!
回り出して、浮いた!
頭の上まで飛んだ
頭の上まで飛んだ
スローモーションでどうぞ
スローモーションでどうぞ
たいていのドローンは4枚くらいの羽根がついたマルチコプターだけど、これは機体そのものが羽根で、全体を回転させながら飛ぶのだ。むちゃくちゃ変わってる。

「カエデドローン」という名前のとおり、カエデの種が回転しながら遠くへ飛ぶ原理からヒントを得たものらしい。

本物のカエデの種はどうやって飛ぶのか?

ドローンも面白いのだが、こうなると本物のカエデの種を飛び方を見てみたくなる。

恥ずかしながら、カエデの種が飛んでいるところなど見たことがない。ぜひ本物の飛び方を確かめて、ドローンと比べてみたいと思ったのだ。

しかし、カエデの種なんてどこにあるんだろう。 とりあえず近所の公園に行ってみた。
どれがカエデの木?
どれがカエデの木?
種あるかなあ
種あるかなあ
なんかそれっぽいの見つけた!けどカエデじゃない。
なんかそれっぽいの見つけた!けどカエデじゃない。
こういうとき、植物に詳しかったらなあと思う。カエデがどれかなんてことも見れば分かるだろうし、いつ頃どこに種が落ちてるかなんてことも分かるだろう。教養がないことがくやしい。

そうやってしばらく悶々としていたのだが、思いがけないところからカエデの種を手に入れることができた。小学二年生の息子が校庭で見つけたというのだ。
ありがとう、息子!
ありがとう、息子!
これがカエデの種か
これがカエデの種か
広い校庭の中でこんな小さなものをよく見つけたと思う。本当にありがたい。

見てみると、羽根のはしっこに種がついている。ここを中心にくるくると回るのだろう。

たった一枚しかないカエデの種。慎重に手に持って、静かに落としてみた。
スローモーションでも一瞬すぎる
スローモーションでも一瞬すぎる
回転しているっぽいけど、すぐ落ちちゃうのでよく分からない。

調べてみると、YouTubeに科学技術振興機構の作成した飛ぶ種についての動画があった。それに出てくる「種くるくる実験装置」というのがとても良さそうだ。
(3分ごろから「種くるくる実験装置」が出てきます)
下から風をあてて、種を浮かせる装置。

ドライヤーの風でピンポン球を浮かせる、みたいな遊びをしたことはありませんか。何かが安定して浮くというのはとても不思議で楽しいことだ。「種くるくる実験装置」を作って、カエデの種でもなんでもくるくる空中に浮かせてみようと思った。
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種くるくる実験装置をつくる

種くるくる実験装置とは、サーキュレーター(扇風機)を使って、種を安定的に飛ばして浮かせるものだ。そんなものが作れるならいろいろ飛ばしてみたい。
材料はこちらです
材料はこちらです
前ページで紹介した動画によると、材料はゴミ箱、ふるい、そして大量のストローとのこと。
ゴミ箱にふるいを入れて、大量のストローを詰める
ゴミ箱にふるいを入れて、大量のストローを詰める
ストローを詰めることによって、空気の流れをまっすぐにすることが大切なのだそうだ。

ただし、積んでいるうちにストローどうしが静電気で反発してしまうので、一本ずつ丁寧に並べないとまっすぐにならない。これが非常にやっかいだった。
こんな感じになりました
こんな感じになりました
サーキュレーターに乗せる
サーキュレーターに乗せる
先っぽを筒みたいに囲んで完成だ。

さっそくカエデの種を飛ばしてみよう。
カエデの種を乗せる
カエデの種を乗せる
サーキュレーターのスイッチを入れる。
回った!どっかに飛んでった!
回った!どっかに飛んでった!
残念ながら、科学技術振興機構の動画のようには安定して飛んでくれない。このサーキュレーターでは風の強さが選べるのだけど、「弱」では弱すぎて飛ばず、「中」だと強すぎて飛んで行ってしまうのだ。その間があればいいのに!

そこで、台所で使う水切りネットを何枚かゴミ箱に入れて、風の強さを調整することにした。ストローも長さを変えて詰め直した(また静電気と格闘した)。

今度こそどうだ。
きれいに飛んでる!
きれいに飛んでる!
うれしい!およそ10秒ほどにわたってきれいに飛び続けた。では当初の目的どおり、ドローンの飛び方と比べてみよう。
カエデドローン
カエデドローン
れは分かりやすい!基本的に同じだ。もちろん回転の速さは種のほうが早いけど、種の部分を中心にして回るようすは本当にそっくりだ。
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カエデの種以外も飛ばしたい

カエデの種みたいに、羽根がついて遠くへ飛ぶものを翼果(よくか)というらしい。

東京の昭和記念公園というところで、それらの種の展示をやっていたので見に行った。
飛ぶたね。いろいろある。
飛ぶたね。いろいろある。
葉っぱも飛ぶらしい。
葉っぱも飛ぶらしい。
松ぼっくりの中の種も、一枚ずつ落ちてはひらひらと飛ぶのだそうだ。他にもユリノキ、ツクバネ、カラハナソウ、などなどたくさんの翼果があるようだ。ぜひ飛ばしてみたい。

近所の公園で、なんでもいいから飛びそうなものを探して拾ってきた。
なんだか分からないけど落ちてたもの。葉っぱとか種とか。
なんだか分からないけど落ちてたもの。葉っぱとか種とか。
ひとつずつ「種くるくる装置」に入れてみよう。飛ぶだろうか。
モミジの葉っぱ。飛ぶというより、なんか浮いた。
モミジの葉っぱ。飛ぶというより、なんか浮いた。
たぶんユリノキの種。とりあえず回った。
たぶんユリノキの種。とりあえず回った。
何かの葉っぱ。舞った。
何かの葉っぱ。舞った。
もはや飛ばないものはないんじゃないかという勢いで飛ぶ。カエデの種だろうがなんだろうが、結局ものが安定して飛ぶのが面白いんだよなと思う。

でもそれだったらドローンでいいじゃん、ということに一周して気がついた。
ドローン面白いわー
ドローン面白いわー

飛んだよ!

種くるくる実験装置、動画だと簡単に作れて誰でも飛ばせます!っていう感じだったんだけど、実際はストローの長さとか風の強さとかの調整がとても大変だった。

でも飛んだときの喜びはひとしおだった!ほんとによかった。
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