特集 2017年1月10日

はかた号プレミアムシートなら14時間乗っても快適

長年の夢がついに叶った記事です。
長年の夢がついに叶った記事です。
深夜バス好きとして、ぜひとも乗りたいバスがある。14時間という日本一の乗車時間をほこり、東京~福岡間を走る「はかた号」だ。しかもそのバスには「プレミアムシート」という個室の席があるという。今回、必死の思いでチケットを取れたので乗ってきた。
1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。(動画インタビュー)

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チケット争奪戦から始まる

チケットは2カ月前から購入可能である。以前、出発日の1カ月前にチケットを取ろうとしたときには乗車チケットは完売で乗る事が叶わなかった。
今回、アイドルライブのチケット争奪戦のごとく、パソコンの前ではりつき、往復でプレミアムシートを勝ち取ることができた。その後の2度寝はとても快適だった。昼過ぎまで寝たもの。


そして、当日。少し時間があったので、前の新宿バスターミナルに行ってみた。
以前、新宿バスターミナルがあった場所。ヨドバシカメラが使用している。
以前、新宿バスターミナルがあった場所。ヨドバシカメラが使用している。
その面影はほとんどなく、待合室にも入れない。これから旅に出る人たちがなんとなくバスを待つ場所が好きだった。売店にはワンカップなどのアルコールも売っていて、ちょっと物悲しくなるようなそんな雰囲気のあるあの場所が好きだった。
そして、バスタ新宿。
そして、バスタ新宿。
そして、バスタ新宿にやってきた。これはこれで好きだ。おしゃれだから。
幹から別れた枝はここの場所から全ての場所に行けるという意味を表している。という嘘を今考えた。
幹から別れた枝はここの場所から全ての場所に行けるという意味を表している。という嘘を今考えた。
はかた号は満席である。
はかた号は満席である。
この日は12月23日。3連休の最初の日である。バスタ新宿の待合室は、イスに座れないほど混雑している。そして、バスの座席情報を見たら、はかた号は満席だった。人気だ。

人気のバスに乗ることができる楽しみはもちろんある。長年の夢だったので。しかし、やはり14時間の乗車時間に不安を感じないと言ったら嘘になる。14時間である。半日寝てもまだ2時間も寝られる。寝過ぎだろう。

先日、広島にバスで行ったときは10時間だった。前代未聞の時間である。ただ、秘策があった。
動きに切れのある交通整理のおじさんがカッコよかったので撮らせてもらった。
動きに切れのある交通整理のおじさんがカッコよかったので撮らせてもらった。
ぶらぶらしていたら集合時間になった。

さよなら、完全装備

このバスかな。九州男児のようなしっかりとしたバスだと思うのでこれじゃないだろうな。
このバスかな。九州男児のようなしっかりとしたバスだと思うのでこれじゃないだろうな。
いや、このバス!?
いや、このバス!?
はかた号だ!はかた号がやってきた!やったー!
はかた号だ!はかた号がやってきた!やったー!
遠くからやってきた近づいてくるバス。やってきたぞ!はかた号が新宿にやってきた!もう、めでたいから赤飯を炊こう。
「Hakata with Tokyo」博多と東京を結ぶバスという意味だがミュージシャンみたいだなと思って撮影したけど、そんなことなかった。多分、興奮していて我を失っていたのだと思う。
「Hakata with Tokyo」博多と東京を結ぶバスという意味だがミュージシャンみたいだなと思って撮影したけど、そんなことなかった。多分、興奮していて我を失っていたのだと思う。
列に並び、乗車を待つ。多く人が荷物を預けている。
普通のバスと預け口が違うんだな。
普通のバスと預け口が違うんだな。
ちなみに普通のバスはこんな感じ。
ちなみに普通のバスはこんな感じ。
自分が乗車する順番になった。乗務員さんに「お荷物預けますか?」と言われた。今回、長旅をするにあたり、本を数冊、ゲーム機など暇をつぶせる道具に、耳栓、アイマスクなど快眠のお助け道具をリュックに入れてきた。完全装備である。

これをバスの網棚において、やることがなくなったらここから道具を出して過ごそうと思っていた。
さよなら、完全装備。博多で会おう。
さよなら、完全装備。博多で会おう。
「預けますか?」の質問に「このリュックを網棚に置けますか?」と聞いたところ、「いやー厚さがあるので無理ですね」と言われてしまった。それならば答えは1つだ。いさぎよく「じゃあ、預けます!」と答えることしか自分にはできなかった。人は無力である。

カメラ、財布、ミニタオルだけを急いで回収し、バス乗る。最低限の装備で過ごす14時間。ドラクエの主人公が最初に最低限の装備で旅に出ろと言われる気持ちが分かった気がする。しかし、気持ちを切り替えていこう。さぁ、乗車だ!
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ついにはかた号に乗る

今回はプレミアムシート乗る。個室で全4席しかないまさにプレミアムの名にふさわしい。
高級車のようなイスに、
高級車のようなイスに、
水がついてるし、
水がついてるし、
電源コンセントとUSBポートがついている。個室なので周りを気にせずに仕事ができる。
電源コンセントとUSBポートがついている。個室なので周りを気にせずに仕事ができる。
個室だと集中できて仕事しやすい人もいるだろう。そんな人にもおすすめだ。14時間もあれば仕事もきっと終わると思う。自分は「14時間もあれば余裕だぜ!」と思いながらダラダラと仕事をして30分だけ寝ようとして、朝まで寝てしまい絶望するタイプだ。また、接続時間に制限があるが、wi-fiもあるのでメールを送ったり、YouTubeを見たりもできる。仕事のダラダラもはかどるぜ!
ここで備品のスリッパ越しのクリスマスイルミネーションをお楽しみください。
ここで備品のスリッパ越しのクリスマスイルミネーションをお楽しみください。

プレミアムシートのここがプレミアム

他のバスにはないプレミアムさがこのバスにはあるので紹介しよう。1つ目はマッサージチェアになっていること。
長時間でも腰が安心。
長時間でも腰が安心。
ずっと同じ体勢でいると、腰が痛くなってくる。そんなときにこの機能を使えば、腰の痛みは取れて、リラックスしてとても眠れる。あと、お金持ちにもなれるし、モテモテにもなる(個人の感想です)。

2つ目はiPadが完備されていることだ。
備品でiPadなんて渋谷の企業とかにありそう。
備品でiPadなんて渋谷の企業とかにありそう。
wi-fiと組み合わせて使用すれば、福岡の観光名所を調べたりすることもできる。すごい。
体のことを気をつかってくれて体操を教えてくれる。
体のことを気をつかってくれて体操を教えてくれる。
地味かもしれないが、こういうことを教えてくれると疲れたときに本当に助かる。こういう細かい気つかいができる人になりたい。

また、トイレもついているのでいつでもものよしても大丈夫だ。トイレがあるのとないのでは気持ちの面で余裕が出るので安心して寝れる。
乗車記念に撮ってもらった。バスでの撮影の難しさを物語る一枚。(ゆれてぶれやすい。)
乗車記念に撮ってもらった。バスでの撮影の難しさを物語る一枚。(ゆれてぶれやすい。)

基本的にはやることがない

一番前の席には前方方向を見ることができる窓があってラッキー。
一番前の席には前方方向を見ることができる窓があってラッキー。
バスは博多を目指して出発をしている。夜の新宿をぬけて、高速道路に向かう。
お、トンネルだ。
お、トンネルだ。
ここいら辺はなにも見えないな。
ここいら辺はなにも見えないな。
3連休の最初だけど、渋滞していない。スムーズだ。
3連休の最初だけど、渋滞していない。スムーズだ。
おー町の夜景だ。きれい。
おー町の夜景だ。きれい。
星もきれいだ。(これの3倍くらいは見えていた。)
星もきれいだ。(これの3倍くらいは見えていた。)
また、夜景だ。栄えているのかな。煙もたってる。
また、夜景だ。栄えているのかな。煙もたってる。
どうだろうか。乗っている感じを味わえてただろうか。やることがないので外を見ているだけになるのだが、何も見えない状態が続いて、きれいな夜景が見えたときに感動する。今、メモを見たら「静岡県の区間、長すぎ晋作」と書いてあった。そんなことを書いてしまうぐらい長い。
そんなことを思っていたら、23:13頃に、
そんなことを思っていたら、23:13頃に、
静岡サービスエリアに着いた。
静岡サービスエリアに着いた。
はかた号の乗客が降りれる休憩は静岡サービスエリアと、早朝の山口県の佐波川サービスエリアの2つにしかないらしい。14時間で2回。8時間で4回ぐらい止まるバスがあるのに、止まらなさすぎて聞いたときには笑った。
静岡サービスエリアには見たことない水と見たことないお茶が売っていた。
静岡サービスエリアには見たことない水と見たことないお茶が売っていた。
15分の休憩が終わり、車内に戻ると消灯のお知らせが。寝る時間だ。
23:42消灯。
23:42消灯。
前窓のカーテンも閉められた。
前窓のカーテンも閉められた。
眠ろうとしたけど、すぐには眠れなかったので照明を幻想的に撮って遊んでいた。
眠ろうとしたけど、すぐには眠れなかったので照明を幻想的に撮って遊んでいた。
この時点でまだ、残り乗車時間は11時間である。7時後にパーキングエリアに着くのでそこまで寝なければならない。窓を閉めるように言われたので外を見ることもできず、寝れないので天井を見ていた。バスの振動を感じながら、目を閉じる。

腰が痛くなりそうになったときには、寝返りを打ったり、腰を浮かしながらなんとなく寝ていたら、もう朝だった。キツイこともなく7時間きちんと寝た。さすがプレミアムシート。
7時半に起床。
7時半に起床。
佐波川サービスエリアに到着。
佐波川サービスエリアに到着。
さっきまで静岡県だったのに山口県まで来たのか。
さっきまで静岡県だったのに山口県まで来たのか。
建物内にある地図を見ると、福岡県までもうすぐだ。それながら関門海峡も見れる。これは見逃せない。
佐波川サービスエリアの朝焼けを10分ほど見てから車内に戻った。
佐波川サービスエリアの朝焼けを10分ほど見てから車内に戻った。
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ついに到着

サービスエリアを出て数十分、楽しみにしていた関門海峡にさしかかった。
これが関門橋か。
これが関門橋か。
船、めちゃくちゃ出てるな。
船、めちゃくちゃ出てるな。
ゆっくり走ることもなく、普通のスピードで通り抜けた関門海峡。広大な海にも感動したが、船の多さに驚いた。これがあひるボートだったら楽しい。
博多市内に入り、屋台を見ると(福岡県に来たんだな)と感じる。駐車場に置いてあるんだ。
博多市内に入り、屋台を見ると(福岡県に来たんだな)と感じる。駐車場に置いてあるんだ。
着いた。14時間の旅だった。お疲れ様でした。
着いた。14時間の旅だった。お疲れ様でした。
14時間ということで、きついかと思われたが、眠ることができるしかなり良かった。また、福岡に行く機会があれば、また使おう。

東京へ帰ってきても旅は終わらない

博多ではなにもせず、ホテルで寝ていたら1泊2日が終わっていた。家の過ごし方と同じだ。お土産を買って、新宿へ帰ってきた。
帰りもバスだったのだが15時間乗ったからとても血色がいい。
帰りもバスだったのだが15時間乗ったからとても血色がいい。
家へ帰るとき、途中駅で降りてラーメンを食べた。そして、再び、電車に乗ったときに気付いた。お土産を網棚に置き忘れたまま降りたことに。
そうだ。お土産を網棚に置いたままだった。
そうだ。お土産を網棚に置いたままだった。
快速急行小田原行だったので、きっと明太子は小田原に行った。どうせなら小田原の人たちで食べてもらってもいいかと一度は考えたが取りに行こう。炊き立てご飯と一緒に食べたいので。確認したところ、やはり小田原にあるらしい。
小田原に行った記念。
小田原に行った記念。
よかった。明太子は盗まれていなかった。
よかった。明太子は盗まれていなかった。
以上、余談でした。

バスに乗ると寝てしまう

14時間起きていようと思ったが、暗くなったとたんに眠くなってしまって寝てしまった。それぐらい快適だったということで。
都道府県ごとにご当地コーヒー牛乳ってあるなーと思った。
都道府県ごとにご当地コーヒー牛乳ってあるなーと思った。
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