特集 2017年2月20日

世界はテトリス棒を待っている

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ある日、近所を散歩をしていて気が付いた。街には「テトリス棒待ち」している場所がたくさんあると。
1980年生まれ埼玉育ち。東京の「やじろべえ」という会社で編集者、ライターをしています。ニューヨーク出身という冗談みたいな経歴の持ち主ですが、英語は全く話せません。

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> 個人サイト Twitter (@noriyukienami)

それはこことか
それはこことか
こことか
こことか
建物と建物のすき間、壁の溝、タテに細長くえぐれた部分が、まるで「テトリスの棒」待ちでスタンバっているように見えるのだ。忙しすぎて疲れていたのかもしれない。

なお、上の写真は僕が働く会社があるビルの壁だ。ここにテトリスの棒こと四連ブロックを落として、建物ごと消去してやろうか。
これは完全にそうである
これは完全にそうである
念のため説明すると、テトリスはソ連生まれのコンピューターゲーム。頭上から落下してくる様々な形のブロックをすき間なく積み上げ、1段をブロックで埋め尽くすとその段が消滅する。棒を落として4つの段がドルゥンと消える、「テトリス」の快感にハマった人も多いことだろう。同時に、棒がなかなか来ないイライラにゲーム機を叩きつけるのもお約束である。
これはキレイに積み上げすぎて逆にこないパターン
これはキレイに積み上げすぎて逆にこないパターン
ユニクロの陳列棚も、じつはテトリス棒待ちしている
ユニクロの陳列棚も、じつはテトリス棒待ちしている
足元でも、割れたブロックが棒待ちしていた
足元でも、割れたブロックが棒待ちしていた
至急、四連ブロックをください
至急、四連ブロックをください
4段消しにこだわるあまり棒を待ちすぎてゲームオーバーになるパターン
4段消しにこだわるあまり棒を待ちすぎてゲームオーバーになるパターン
ちなみに、うちの会社のビルには半年以上も空室になっている部屋がひとつだけあって、なかなかコンプリート(満室)しない。ビルのオーナーにしたら、それこそテトリス棒を待つような気持ちに違いない。
でも、最後の棒(テナント)がきたら全部の会社がまとめて消えてしまうかもしれない。
でも、最後の棒(テナント)がきたら全部の会社がまとめて消えてしまうかもしれない。

待ってるのは棒だけじゃない

中には棒じゃないテトリスのブロックを待っているケースもある。たとえば、こういうのだ。
この中にテトリスのブロックをねじ込みたいすき間があるのがお分かりだろうか?
この中にテトリスのブロックをねじ込みたいすき間があるのがお分かりだろうか?
こうである
こうである
ブロックが着地しきる前に、スっとヨコにスライドさせる技術を要する
ブロックが着地しきる前に、スっとヨコにスライドさせる技術を要する
ちなみに、テトリスには以下の7つのブロックがある。
テトリミノというらしい。下のブロック2つはちょっと使い勝手がわるい
テトリミノというらしい。下のブロック2つはちょっと使い勝手がわるい
街中には棒だけでなく、これらの各種ブロックをねじ込んでみたい衝動に駆られる風景に溢れている。

特に、飲食店の裏側とか、「ごちゃごちゃしている壁際」は非常にテトリスしがいがある。
あそこにあれを落として、とか考えるのが楽しい
あそこにあれを落として、とか考えるのが楽しい
また、高いビルが建ち並ぶ都心では、見上げたそばからテトリス待ちしている。
これなんて、もはや確信犯である
これなんて、もはや確信犯である
こうだ!
こうだ!
街がテトリスに見えるようになってから、気にくわない会社のビルを消して神になる遊びをたまにやっている。実際に消してしまうとシャバには戻ってこれないので注意しよう。
嫌な取引先はテトリスしてやりましょう
嫌な取引先はテトリスしてやりましょう
この凹みに正方形のブロックをおさめたいことに異論はあるまい
この凹みに正方形のブロックをおさめたいことに異論はあるまい
風でめくれてテトリスブロックみたいになってるのれん
風でめくれてテトリスブロックみたいになってるのれん
しかし一方で、稀にテトリス待ちしていそうでしていない物件もあるので、(脳内で)ブロックを落とす前の見極めが肝要である。
ブロック待ちしてそうでしていないフェイク物件
ブロック待ちしてそうでしていないフェイク物件
雰囲気はある
雰囲気はある

ドラッグストアが意外といい

さて、外だけではなく屋内、特にお店の中にもそれは見受けられる。とりわけ、商品が陳列されている棚には多くのテトリス待ちが潜んでいる。

中でも、最高のテトリススポットとして僕がオススメしたいのが、ドラッグストアである。
大きさの異なるパッケージの並びがテトリス待ちを生む
大きさの異なるパッケージの並びがテトリス待ちを生む
ここにはテトリス棒をヨコに入れたい
ここにはテトリス棒をヨコに入れたい
ドラッグストアの陳列棚は小さな薬の箱がたくさん積みあがっているため、多様なテトリス待ちが生まれやすいのだ。
言ってるそばから、なんとも魅力的なすき間である
言ってるそばから、なんとも魅力的なすき間である
こうして、こうだ!
こうして、こうだ!
ちょっと足りなかった。惜しい!
ちょっと足りなかった。惜しい!
棒をください、と言わんばかりのすき間
棒をください、と言わんばかりのすき間
補充に見せかけテトリス
補充に見せかけテトリス
あとは本棚もいい。判型や背幅の異なる本が並ぶ本棚はわれらテトリストの格好の餌食である。
これを並べた人はテトリス好きに違いない
これを並べた人はテトリス好きに違いない
しかも、夢のダブルテトリスである
しかも、夢のダブルテトリスである
改めて、僕がこれまで生きてきた世界はこんなにもテトリスしてたのかと驚かされる。これまでは人間がテトリスを作ったとばかり思っていたが、もしかしたらテトリスがこの世界と人間を作ったのかもしれない。…おれは何を言っているんだろう。
高速道路の壁の切れ目がテトリス棒待ちしてた
高速道路の壁の切れ目がテトリス棒待ちしてた
あっ、テトリス!
あっ、テトリス!
キュウリのすき間でテトリスし出したらもう末期なので家に帰りましょう
キュウリのすき間でテトリスし出したらもう末期なので家に帰りましょう

テトリス棒と同じくらい魅力的な棒
テトリス棒と同じくらい魅力的な棒
小学生の頃、ゲームボーイでやったテトリスの中毒性はすごかった。気づけば廃人になるまでやってしまうので今は封印しているが、街中でテトリスする術を身に着けたことで、もっとヤバいステージに到達してしまった感もある。

なお、お店の中でテトリスをやらせてもらった場合は、プレイ代として何か買っていくのがマナーと心得たい。
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