特集 2017年5月2日

自分の顔だけ「盛れる」デバイス

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女子に絶大な人気を誇る『SNOW』という写真アプリがある。
なぜ、女子がこぞってSNOWで自撮りをするかというと、理由は一つ。
「ありえないほど可愛くなるから」。これに限る。
2013年から、YouTubeチャンネル『無駄づくり』を開始し、無駄なものを作り続ける。
ガールズバーの面接に行ったら「帰れ」と言われた(動画インタビュー

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> 個人サイト 無駄づくり

盛れるアプリ

これが、SNOWで撮影した自分の顔だ。
SNOWを使わないで撮影した写真とSNOWの写真を比較してみる。
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現実の自分とのギャップが激しすぎて動揺する。目が大きくなり、肌もツヤツヤに見える。その上、うさぎや猫などの可愛いエフェクトも追加されるのだ。

SNOWに映る自分こそが、本当の自分だと思いたい。……でも、そうはいかない。
例えば、飲み会などで急に「せっかくだから、みんなで集合写真撮ろう!」と誰かが余計なことを言い出した時。
「あの、SNOWで撮影してください」などと言えない。言っても「雪....?」となることだ。そして、普通のカメラアプリで撮影された集合写真をSNSにアップされるのだ。
年頃の女としては、『SNSにアップする写真はSNOWで撮影する』と法律で定めてほしいくらいに思っている。

なので、『ここぞという時に自分の顔をSNOWにするウェアラブルデバイス』を作ろうと思い立った。

マシーンを作る

買ってきたのは、「液晶モニター」「iPhoneからHDMI出力ができるケーブル」「カーテンレール」「板」。
これらを組み合わせて制作していこうと思う。
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イメージはこんな感じだ。iPhoneの画面を液晶モニターに映し出し、何らかの力でそれが顔の位置に降りてくるというのを想像している。『何らか』の部分は、ちょっと今は考えないようにしている。

まずは、iPhoneの画面をモニターに映し出すというところから作っていく。iPhoneからHDMI出力ができるケーブルを液晶モニターに繋げて、SNOWを起動してみた。
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すると、画面がどうしても縦になってしまう。普通のカメラアプリは全面に表示されるのだが、SNOWは縦に表示されてしまう問題が起きた。ここで分かったのだが、SNOWは、iPhone上で横画面にできない縦専用アプリだったのだ。

これでは、とても顔が小さい人に見えてしまう。最悪の場合は、とても肩幅が広い人に見えてしまう。何とかしなければならない。
頑張ってインターネットで検索をしたら一つ光が見えてきた。
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パソコンに外部モニターとして液晶パネルを繋げ、モニターの設定を『縦』にする。そして、iPhoneをパソコンに繋ぎ、QuicktimePlayerでiPhoneの画面をリンクさせるという技だ。とても複雑だが、それしか解決策がなさそうだった。
『ウェアラブルデバイス』と銘打ったが、パソコンが追加されたので、総重量が3kgになってしまった。
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無事、SNOWの画面が全体表示された。顔も笑っている。

中身の方は出来た。後は、外側を作るだけだ。
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モニターがレールを滑る仕組みにしたいので、カーテンを引っ掛けるパーツを板の四角に付ける。
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カーテンレールをちょうど良い長さにカットし、体で固定できるように、ダンボールを無理矢理くっつけた。

そして、考えないようにしていた「液晶モニターが落ちてくる」という仕組みだが、サーボモーターという物を使うことにした。
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モーターの先に付いているマウントが、ストッパーの役目になっている。
スイッチを押すと、モーターが動きストッパーが外れ、モニターが自分の顔の位置まで落ちてくるという仕組みの完成だ。
Arduinoという基板にサーボモーターを90度回転させるプログラミングを入力する。私はプログラミングの知識がゼロなので、インターネットに掲載されているものをコピペした。
「電子工作を始めたいけれど難しそうで敬遠している」という方に言いたい。「大体のプログラミングはインターネットに載っているから、必要な技術は右クリックだけだ」と。

完成

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これが、『いざという時に、自分の顔がSNOWになるウェアラブルマシーン』だ!

早速、装着してみる。
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着るのにとても時間がかかる。セッティングなど含めて5分ほどかかった。しかし、宇宙服は着るのに2人がかりで30分以上かかるらしい。それと比べたらマシだ。
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無事にセッティングが済んだので、スイッチを押し、ストッパーを外す。
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中々スムーズにいかなかったが、モニターを自分の顔の前に降ろすことに成功した。熊の可愛いエフェクトもしっかりかかっている。
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口を開けると、熊がクッキーを食べるというとても可愛い動作が追加される。知人にカメラを向けられ、キメ顔をしたものの「ムービーでした」と言われたときでさえ、可愛く映れるのではないだろうか。

可愛いとは何なのか

いざという時、SNOWの顔になれるという願望は叶えることができた。しかし、可愛くはない。無骨すぎる。これを装着している女が集合写真に写っていたら、たぶん引かれるであろう。怖くて「いいね!」も付けられない。Facebookに「やばい女がいるね!」というボタンがあったら、それを押されると思う。
努力というのは方向を間違ってしまったら、無情にも台無しになるということが分かった。
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