特集 2017年5月18日

かつてのヤングマンがヤングマンになれる昭和歌謡バーに行く

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カラオケが好きでよく行く。
デイリーライターの高瀬さんと同行することも多々あるが、彼女の選曲がいつも昭和歌謡。
そんなのよく思い出すなーという曲ばかりだ。

だったらあの店に行くとよろこぶのではないか?
と思い出したのが「歌謡ヒット曲BAR ヤングマン」。

店名どおり、70年~90年代の曲を映像付きで流し続けるバーなのだ。
イカとタコが大好きで、食べたり被ったり本まで出版しました。
でもサイコーに好きなのはアワビだったりします。世間に対する謙虚です。

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ヤングマンにピンときますか?

昭和歌謡が好きそうな友人をほかに2人誘った。目指す店は新宿三丁目。
ドーンと店名が書いてあるのでひじょうにわかりやすい。

「ヤングマン」は、70年代に一世を風靡した西城秀樹のカバーソング。西城自ら考案した振り付けで、幼稚園児からサラリーマンまで全国民が熱狂した昭和歌謡の代表である。
アラフォー・アラフィフ世代と書いてあるが、20代のお客さんだって多いぞ
アラフォー・アラフィフ世代と書いてあるが、20代のお客さんだって多いぞ

平成から昭和にもどるタイムマシーンこと階段

2階に上るまでの階段で、かつてのアイドルたちのシングルジャケットや雑誌のスクラップを見ることができる。
当時は奇をてらったものは少なく、ほぼ顔面バーン! アイドルたちに見つめられての入店だ。
当時は奇をてらったものは少なく、ほぼ顔面バーン! アイドルたちに見つめられての入店だ。
今や7人の母や、先日線路立ち入りで書類送検された2人もいた。あたりまえだが若いな!
今や7人の母や、先日線路立ち入りで書類送検された2人もいた。あたりまえだが若いな!

巨大モニターで蔵出し映像を満喫

二次会三次会での利用が多いせいか、開店時の19時はまだ閑散としている。そのため自由に撮影することができた。

店の「売り」である映像は、巨大モニターで延々と映し出される。もちろんYouTubeなどネット上にあがっているものは皆無。オーナー所有のお宝(TV)映像だ。
なぜ私が得意な顔をしているのかわからないが、とりあえず「杉山清貴&オメガトライブ」
なぜ私が得意な顔をしているのかわからないが、とりあえず「杉山清貴&オメガトライブ」
なぜ私が顔マネをするのかわからないが、とりあえず「西城秀樹」。しかも似てない。そしてトイレに行きたいわけではない。
なぜ私が顔マネをするのかわからないが、とりあえず「西城秀樹」。しかも似てない。そしてトイレに行きたいわけではない。

リクエスト映像は10,000本以上!

時間制(男性2,000円 女性1,500円/1h)の飲み放題。大酒飲みがいる場合はとてもありがたいうえに、持ち込みOKなので大食漢がいても安心だ。我々は両方いる。
テーブルに乗り切らないほど持ち寄ってしまうのがアラフォー・アラフィフの証……。
テーブルに乗り切らないほど持ち寄ってしまうのがアラフォー・アラフィフの証……。
リクエストメニューがあり、そこから目当ての映像をリクエストすることが可能だ。

山口百恵(俳優・三浦友和の妻となり21才で引退。長男次男も芸能界入り)の曲をリクエストすると、
「これはさよならコンサートの時の映像になりますがいいですか?」
と、店員さん。わかっていらっしゃる。その映像なら、カラオケでも流れたりするからだ。
リクエストメニューには「中学時代、創刊間もないセブンティーンにモデルで活動」や「祖母は奥村チヨ」などと豆知識も載っている
リクエストメニューには「中学時代、創刊間もないセブンティーンにモデルで活動」や「祖母は奥村チヨ」などと豆知識も載っている

店員さんの豆情報によりお宝度アップ

映像で盛り上がっていると、店員さんがたまに話しかけてくれる。

・キャンディーズが、ほぼスッピンラフな服装で後楽園球場で歌っている映像は、お別れコンサートのリハーサル。外にファンが殺到したため3人が中に招いた。
・沢田研二の曲「サムライ」の衣装は、ハーケンクロイツの腕章をつけたナチス風のものだが、問題視され、テレビで流れたのはこれが最後。以降はバツ印になった。

……などなど。その情報はお宝価値が一気にあがるものばかり。私たちは! 今! 貴重なものを観させていただいている!

昭和歌謡大ファンの高瀬さんに異変

冒頭で書いたように、もちろんお好きだろうとお誘いした高瀬さん。着席したと同時くらいに彼女に異変が起きた。
「リクエストもできるよ」私の声がまったく聞こえないらしい
「リクエストもできるよ」私の声がまったく聞こえないらしい
高瀬さん……? となりに座ったうなパイちゃんが、「昭和の世界にいっちゃってるよ……」。
高瀬さん……? となりに座ったうなパイちゃんが、「昭和の世界にいっちゃってるよ……」。
向かいの席のいぬんこさんも「好きな曲リクエストしたら? 本見る?」と話しかけるも……。た、高瀬さん?
向かいの席のいぬんこさんも「好きな曲リクエストしたら? 本見る?」と話しかけるも……。た、高瀬さん?
おおーーーい! 高瀬ーーーーっ! 完全にあちらの世界に……。
おおーーーい! 高瀬ーーーーっ! 完全にあちらの世界に……。
こんなにハマるとは……。そういえば「行く?」と言ったとき、「這ってでも行く」と力強く断言していただけのことはある。

今や大御所の初々しい姿が!

私の楽しみ方は、初々しい、あるいは全盛期の歌手を観ながら、彼らスター(だった人)たちの『今』に思いをはせたり語ることだ。

結婚した2人やその子供たちの活躍、絶世の美男子が今や見る影もない人、その後大事件を起こした人、亡くなった人もいる。引退した人もいればその後俳優として復帰したスターも。
大御所の初々しい姿というのもまた見物なのだ。
豪華メンバーの歌とダンスと肌の露出!岩崎宏美のリードボーカルで桜田淳子、松田聖子、榊原郁恵、河合奈保子、石川ひとみ、西城秀樹、野口五郎、郷ひろみ、田原俊彦、近藤真彦。
豪華メンバーの歌とダンスと肌の露出!
岩崎宏美のリードボーカルで桜田淳子、松田聖子、榊原郁恵、河合奈保子、石川ひとみ、西城秀樹、野口五郎、郷ひろみ、田原俊彦、近藤真彦。
この時の私たちの血液逆流っぷりはハンパなかった。次々にでてくるスターたちに、絶叫をあげたと思う。それも許されるお店なのだ。なので画像がまともに撮れてないこともご容赦ねがいたい。
有名人御用達? たしかに当日も、去年紅白に出場していた歌手が来店していた
有名人御用達? たしかに当日も、去年紅白に出場していた歌手が来店していた

勝手に歌う、踊る、フリーダムな空間

現代はネットで様々な曲が聴ける。おのずと耳に入ってくるのではなく、自ら曲や歌手を選ぶ時代だ。

だが私の小さい頃は、その週の邦楽ランキングをカウントダウン形式で発表する「ザ・ベストテン」や、「夜のヒットスタジオ」という歌謡番組の全盛期。

スキキライは別として、老若男女、万人が歌えるいきおいがあったのが昭和のヒットソングだった。
オモチャのマイク。私たちが店を出るころにはなくなっていた
オモチャのマイク。私たちが店を出るころにはなくなっていた
だからみんな、歌える、踊れる。もちろん耳を傾けているだけの人だっている。ゆるい!
22時には満席の昭和パレード
22時には満席の昭和パレード
てんでバラバラなのに、ぼんやりとした一体感。それぞれがヤングマン時代にもどったお客さんたちにより、店内が時空を超えていったーーーーー!
なんなんだーーーーーーーーー!

……と、ホットな状態をキープしつつ、私たちは本番カラオケへと移動して、思う存分かつてのヒットソングを熱唱したのでした。
またそれか。

大人も子供も楽しめる絵本、同行のいぬんこさん著書の「おかめ列車」。
とんでもないのになぜか現実的。シュールなのになつかしいタッチで非日常を体感できる冒険絵本。

それってまさに……そーなんです! ヤングマンの世界と似てるんですよ!
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