特集 2017年6月7日

名古屋の朝風呂、入浴料500円でモーニングがついてきた

ワンコインで風呂欲と食欲を満たせる奇跡
ワンコインで風呂欲と食欲を満たせる奇跡
先日、名古屋でお風呂に入りたいと思った。その時、見つけたのが朝風呂にモーニングがついているという事態だ。

平日なら入浴料が500円(サウナ付き)。そこに無料でモーニングだ。名古屋のモーニング文化って風呂にまで浸透していたのか。それ、ちょっとてんこもりすぎるんじゃないだろうか。

行ってみました。
1981年群馬県生まれ。ライター兼イラストレーター。飲食物全般がだいたい好きだという、ざっくりとした見解で生きています。とくに好きなのはカレー。(動画インタビュー)

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外風呂が好き

銭湯、スーパー銭湯、健康ランド。大浴場が好きだ。
これは近所の銭湯のスッポンモドキ
これは近所の銭湯のスッポンモドキ
好きになった大きなきっかけは大学時代のアルバイトだ。銭湯の上の宴会場で働いていた。お風呂上がりのおじいちゃんやおばあちゃんが壮快に演歌を歌いあげる姿に拍手をするのが、主な業務だった。
あと、カラオケの機械にカラオケの予約を入れるなど
あと、カラオケの機械にカラオケの予約を入れるなど
風呂と歌とお酒の交差点で人は無敵になれるというのが、その時得た知見だ。
気持ちよく歌ったあと、トイレの床に幸せそうに寝そべっていたおじいちゃんが忘れられない
気持ちよく歌ったあと、トイレの床に幸せそうに寝そべっていたおじいちゃんが忘れられない
もちろん風呂やサウナに浸っている時間自体も最高だ。だが、浴場施設全体に流れているゆるやかな空気が良いなぁと思う。

あそこには、風呂というひとつの明確な目的のためだけに老若男女が密集している。目的のためなら、普段身につけている衣服という衣服を、なんのためらいもなく脱ぎきってしまう。それって、よく考えると異常事態なんじゃないだろうか。誰しもが皆、健やかにへべれけになりたいなと願っている。その気持ちに、まったく迷いがないのだ。
スーパー銭湯や健康ランドだと、おそろいのゆるい館内着があると思うのだが、あれに身を包んでのーんとしている姿も良い
スーパー銭湯や健康ランドだと、おそろいのゆるい館内着があると思うのだが、あれに身を包んでのーんとしている姿も良い
あの空気は、あらゆる貴重品をロッカーの中につっこんだ後だからこそ出せる余裕でもあると思う。財布・携帯・自宅の鍵のうち2点以上を所持している時には、なかなか余裕をこけないのが大半の現代社会だ。

あの空気の中にいると、自分もどんどん体の力という力を抜きたくなる。というか、居るうちに勝手にゆるんでしまう。
過去の思い出より抜粋。人が気を抜いている姿を見ながら気を抜く時間は至福
過去の思い出より抜粋。人が気を抜いている姿を見ながら気を抜く時間は至福
遠くにでかけたら、とりあえず現地のお風呂に入りたい。そう思って検索をしていたとき、それは目に留まった。

スーパー銭湯の朝風呂にモーニングがついていたのだ。
場所は、モーニングの聖地名古屋。

名古屋のモーニング文化はお風呂にもおよんでいたのか

名古屋は2回目だ。毎回滞在時間が短くて、まだまだ詳しくない。電車に乗る時にちょっとおろおろする。スマホで見られる乗り換え案内が丁寧すぎてありがたい。

あと、カラーテープが先導してくれていたりするのが丁寧でありがたい
あと、カラーテープが先導してくれていたりするのが丁寧でありがたい
目に留まったスーパー銭湯にむかってみたところ、そこはどうやら繁華街とは反対方向らしいとわかった。
ここも名古屋なんだ
ここも名古屋なんだ
住所は名古屋市だ。だけど、脳内に勝手に構築していた名古屋っぽさはじゃっかん弱まった。というかそもそも、イメージを先行しすぎていた気がする。
とはいえ、地方産まれにとってはこっちのほうが馴染みのある景色だ
とはいえ、地方産まれにとってはこっちのほうが馴染みのある景色だ
このかんじ、実家(群馬)の近所に既視感ある
このかんじ、実家(群馬)の近所に既視感ある
ついた!桃山の湯
ついた!桃山の湯
平日は無料、土日は150円
平日は無料、土日は150円
受付でもらった
受付でもらった
炎天下の中10分近く歩いたのですこし汗ばんでいる。これは一刻もはやく風呂に入りたいぞーと思ったところで、受付の方から「モーニングの終了時間がせまってるから、先に食べた方がいいですよ」と、アドバイスをもらった。
そうか先か
そうか先か
汗にまみれていてごめんなさい!と思いつつ、モーニングを取りに向かう。モーニングは、セルフサービスで各自取っていく形式になっていた。
トースターが大量に羅列されてる
トースターが大量に羅列されてる
この状態、はじめて見た。壮観!と言っていいのだろうか
この状態、はじめて見た。壮観!と言っていいのだろうか
このタイプ、どのくらい待てばいいのかよくわかってない
このタイプ、どのくらい待てばいいのかよくわかってない
パンがぺしっぺしと、左から右から顔を出すのを、都度みんな受け止めていくという光景を見て、目が覚める。

ここで、今まで風呂でよく見かけてきた「ゆるやかな空気」というのとこれは、ちょっと勝手がちがうなと感じた。当たり前っちゃ当たり前だが朝と夜はちがう。
だが、朝は朝で良い。野菜が写真見本とちょっとちがっているけど、人参ときゅうりで彩りに変化をつけようとした心遣いは垣間見える
だが、朝は朝で良い。野菜が写真見本とちょっとちがっているけど、人参ときゅうりで彩りに変化をつけようとした心遣いは垣間見える
洋風仕立てにしておきながら、食器が割り箸一択という洗練具合にしびれてしまう
洋風仕立てにしておきながら、食器が割り箸一択という洗練具合にしびれてしまう
たしかに箸のほうが食べやすいし、スーパー銭湯っぽさがある。いや、ちょっと待って。スーパー銭湯っぽさとは、割り箸なのだろうか。

ここで気づいたのだが、ここにいる人らは皆、食べるものがおそろいだ。風呂という明快な目的のために集合した人達が、自らよそったおそろいの食べものを口にしていくという事態。な、なんなんだろう。
だからといって別に一体感とかはまるでうまれてない
だからといって別に一体感とかはまるでうまれてない
それぞれ、思い思いにのんびりしている。同じ釜の飯を食べたくらいじゃ、グルーブは産まれないらしい。なんというかそれは、とても健全なことだと思った。

お風呂に入ってみて、びっくりしたのが露天風呂に大型テレビが備え付けられていたこと。

これ、日常の風景なのか
これ、日常の風景なのか
少なくとも、わたしははじめて見た。サウナや脱衣場にテレビがあるというのは、何度か見ていたのだけど、風呂に浸りながらワイドショーを見れちゃうって最高なこの世の極楽浄土なんじゃないだろうか。
朝の日差しはまぶしくて、体がどんどん目覚めた。低血圧には非常にありがたいなこりゃ
朝の日差しはまぶしくて、体がどんどん目覚めた。低血圧には非常にありがたいなこりゃ
周囲には高齢者が多かった。自分がどんな老人になるのかは、全くまだ予想がつかないけど、選べるならできればこの日ここで出会ったおじいちゃんやおばあちゃんみたいな余生がいい。

いや老後とか言わずに、今の時点ですでに、なるべくこういう平日をすごしたい。
近くにあった排水塔がつるっとしていて良かった
近くにあった排水塔がつるっとしていて良かった

名古屋は朝風呂が多いの?

今回行けたのは一店舗だったが、名古屋には朝風呂にモーニングがついているスーパー銭湯は他にもあった。あと中心街付近には、モーニングこそつかなくても、朝早い時間から入れるお風呂がちらほらある。日曜日だけ朝風呂をやっている銭湯もあった。

い、いいなぁ。低血圧にやさしい世界だ。わたしの自宅の近所でも展開してほしさがたまらない。そうしたら、もっと早起きしちゃうのになーと思う。
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