特集 2017年6月21日

邪鬼を足踏みマッサージ器にしてみた

退治されながら癒していくスタイル
退治されながら癒していくスタイル
最近、妙に疲れがたまる。昼に出かけたりなんかすると、夕方にはぐったりである。

そんな疲れを少しでもやわらげられないか。そうだ、邪鬼を健康足踏み器にしてみよう。
1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。(動画インタビュー)

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堂々完結

上の、ぶん投げたような文章は、以前書いた「靴のかかとを邪鬼にする」でのリード文に倣って書いてみた。またも邪鬼である。

もっと言うなら、家具転倒防止器具も邪鬼にしているので、邪鬼がここデイリーポータルZに登場するのは3回目だ。そんなに好きだったのか。

しかしもう邪鬼ネタはおしまい。邪鬼三部作も完結編を迎えることになるのだ。また数年後に、今度はさかのぼってエピソード1から始まったりしたらその時はすいません。

で、邪鬼とは。仏像で四天王が足下に踏みしだいている小鬼のことである。下の写真のとおり、要するに、鬼だ、よこしまな。我々の心にも巣食っている鬼、それを踏んで退治しつつ、身体も健康になっていったら素晴らしいじゃないか。
足ツボ云々以前に、バランスクッション的にも使えるかもしれない踏みようである。
足ツボ云々以前に、バランスクッション的にも使えるかもしれない踏みようである。
ずっと温めていた企画なので、すでにラフらしきものはある。これをなんとなく参考にしていこう。
ずっと温めていた企画なので、すでにラフらしきものはある。これをなんとなく参考にしていこう。
市販の足踏み器を土台に乗っけて、その土台は踏んでも大丈夫なように、木材で。しっかりと接着し、あとはスタイロフォームと粘土で形を作っていこう。

実はこの企画、数年前に友人と邪鬼工作について居酒屋でしゃべっていたときに、その友人がふと口にしたものなのだ。「ハイヒールかぁ、じゃ次は踏むつながりで、足裏マッサージ機能があるといいね」だと。なるほどー。

なので、発案者の栄冠はその友人に捧げられるのである。ちなみに浜焼きの美味しい居酒屋で生まれた案だ。

Rちゃん、作ったよ!もう忘れてるかもしれないけど。
四方からスタイロフォームをくっつけるのに、取れにくいようダボをうつ。丁寧なような適当なような仕事ぶり。
四方からスタイロフォームをくっつけるのに、取れにくいようダボをうつ。丁寧なような適当なような仕事ぶり。
ものすごく荒いポリゴンの邪鬼がまずできた。
ものすごく荒いポリゴンの邪鬼がまずできた。
ここからサクサクと削って、手足と頭の形を出していく。手探り・・・
ここからサクサクと削って、手足と頭の形を出していく。手探り・・・
継ぎ目を石粉粘土で埋めていく。基本は木材なので、強度はまあこれでも大丈夫だろうという予測。
継ぎ目を石粉粘土で埋めていく。基本は木材なので、強度はまあこれでも大丈夫だろうという予測。
なんだかたいへんないきものがうまれようとしている。
なんだかたいへんないきものがうまれようとしている。
写真ではわかりにくいが、これけっこうデカイのだ。部屋にこんなのができつつあって焦る。怖いので早く色塗りたい。

しかし削ったり盛ったりして形を出していくのは非常に苦手で、やり慣れてないのでものすごくおっかなびっくり、なかなか進まない。削っても削っても中の人、じゃなくて鬼が現れてこないのだった。

そう焦りつつも、足していく部品作りも欠かせない。
これはもじゃもじゃ頭用のパーツ。
これはもじゃもじゃ頭用のパーツ。
顔も容赦なくパーツ分割で。
顔も容赦なくパーツ分割で。
ところで、足踏み器と邪鬼の形とを融合させ、かつ器具として収まりが良いようにし、かつ私の技術力の無さもあるので、邪鬼のポーズは簡単なものにした。手元の書籍では、邪鬼は体をよじったり手足で虚空をかきむしったりして元気溌剌、イキイキと苦しんでいるが、私にはとても表現できない。

でもこうやって小鬼を作るのも3回目(正確には他でもぬいぐるみを作ったので4回目)、ともなるとだいたいこんな感じだろう、というイメージはできているものだ。
偉そうに書いたがまあ、この程度のイメージングである。それにしてもお尻がアヒルみたいでかわいいぞ。
偉そうに書いたがまあ、この程度のイメージングである。それにしてもお尻がアヒルみたいでかわいいぞ。
パーツを接着したら粘土で隙間埋め、そして全体の表面も粘土で適当に覆うと、テクスチャ要素が1個儲かる。ヤスリがけ必要ないな。
パーツを接着したら粘土で隙間埋め、そして全体の表面も粘土で適当に覆うと、テクスチャ要素が1個儲かる。ヤスリがけ必要ないな。
腰紐は実際の紐くっつければいいやな。
腰紐は実際の紐くっつければいいやな。
ベターン。
ベターン。
あの8ビット状態からしたら、よほど人間だ。いや鬼だ。しかし手のひらと足の大きさがちぐはぐだな。まあいいか。

次は待ちに待った彩色である。プラスチック部分は足を乗せるところでもあるので、ちょうどうちにあった「染めQ」のブラウンで最初は塗っていたのだけど、色味がちょっと違った。

急遽、これまたうちにあったプラモ用のカラーで塗ってみたらいい感じだったので、もうこれでやってしまう。そもそも色がなければ買いに行けばいいのだが、撮影が翌日なんすよ。形作るのにえらく時間がかかってしまったのです。
イボイボは、とりあえずはこれで。体はアクリル絵の具で。
イボイボは、とりあえずはこれで。体はアクリル絵の具で。
バレンタイン前日か。
バレンタイン前日か。
ここからが楽しい。ドライブラシで、「っぽい」感じを出す。緑青も吹かせてみた。
ここからが楽しい。ドライブラシで、「っぽい」感じを出す。緑青も吹かせてみた。
これも最初、木彫を意識して塗り始めてみたら何かやたら難しかったので、急遽ブロンズ色を足して金物にしてしまった。とてつもなく重そうな足踏み器になってしまってちょっと当初のイメージと違ってしまった。まあいいか。

さて翌日、しかるべき場所に行って、足裏を刺激して元気になって帰ってこよう。
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初夏の寺 邪鬼で押せ押せ 足ツボを

都内某所の某寺にて。

ネット検索で山門に四天王がいるとの情報を得て、やってきた。おお、ものすごく立派な像が立っていらっしゃる。
これ、すごく大きいのだ。よって邪鬼も、うわっ!と声が出るくらい大きい。
これ、すごく大きいのだ。よって邪鬼も、うわっ!と声が出るくらい大きい。
うわっでかい邪鬼。そして豪快に踏まれておる。すごい踏まれようだ。
うわっでかい邪鬼。そして豪快に踏まれておる。すごい踏まれようだ。
アクティブすぎ。それに小鬼、じゃないよもうこれ。
アクティブすぎ。それに小鬼、じゃないよもうこれ。
そして、うちの邪鬼の登場である。
期せずして漫☆画太郎テイストになった。
期せずして漫☆画太郎テイストになった。
もう抵抗する気力も失せた。
もう抵抗する気力も失せた。
ちなみに裏側はこう。ハリボテのバイオリンといった趣。
ちなみに裏側はこう。ハリボテのバイオリンといった趣。
さすが、仏像美術における本物の邪鬼は躍動感があり、手足に力がみなぎって、踏まれてもなお「やられてばかりでたまるか・・・!」という覇気を感じる。

それが私のはどうだ、手足そして顔にもまるで力が入らず、脱力しきっており、お前運命受け入れるの早過ぎだろ。

しかし一方でうちの子にもアドバンテージはある。衆生を健康にさせる能力があるのだ。
とりあえず書籍と実地観察で、乗るときのポーズを決めよう。
とりあえず書籍と実地観察で、乗るときのポーズを決めよう。
宝塔のかわりにカメラをささげ、いざ乗らん。
宝塔のかわりにカメラをささげ、いざ乗らん。
あいた!たたたたた。
あいた!たたたたた。
ちょほほほ。
ちょほほほ。
目・肩・腰に喝!邪鬼を退治しているのにヤラレっぱなしなのは是れ如何に。
違う四天王の前で。この顔にするまで何度も迷走した。
違う四天王の前で。この顔にするまで何度も迷走した。
っひょー。
っひょー。
ついでに撮影係の編集石川氏もノッテケテケテケ状態!
ついでに撮影係の編集石川氏もノッテケテケテケ状態!
ひぃー。一気に、20年前に亡くなったお爺ちゃんみたいな顔に。降りてきたのかな?
ひぃー。一気に、20年前に亡くなったお爺ちゃんみたいな顔に。降りてきたのかな?
肝臓に喝!たまには肝を休ませろと天から声が聞こえた気がする。
「なんなんだ、こやつは」後ろの四天王の方々も困惑気味といった表情。
「なんなんだ、こやつは」後ろの四天王の方々も困惑気味といった表情。
というわけで、もちろんツボ押し機能は立派に備えているので、このまま乗っていれば健康になることは間違いないのである。

ただ、高さがあるので、乗るのが多少怖い。刺激されて痛いのと、落っこちそうになって怖いのとで、健康と反比例して何かが消費されていくような気がした。

まとめ

邪鬼を懲らしめてくださる四天王になりきって、邪鬼に乗ってみた。
その見返りで健康になれるのだから、邪鬼にも感謝せねばならないのではないか。反面教師ってやつか。違うな。

ぜひ立ちっ放しの四天王にも、このタイプの邪鬼に乗っていただけるといいですね。

邪鬼単体をこんな風に置くと、まるで地上に産み落とされたみたいになって困惑する。
邪鬼単体をこんな風に置くと、まるで地上に産み落とされたみたいになって困惑する。
邪鬼単体をこんな風に置くと、まるで地上に産み落とされたみたいになって困惑する。

【告知】

先月に引き続き、こちらの告知です。カードゲームを発売しました。47都道府県の民芸たちがバトルを繰り広げる「民芸スタジアム」。
初回生産分は売り切れまして、また7月1日より販売開始します。詳しくは直販サイトまで。よろしくお願いいたします。
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