そもそもドクターフィッシュとは
ドクターフィッシュ、日本では温泉施設や水族館などで体験できるらしい。ガラ・ルファという鯉の仲間を絶食させた状態で手足を差し出すと、餌に窮して人の古い角質を舐め取るようにして食べ、結果として美肌効果があるのだとか。ウワッ!絶食って、エグいことをする。それで医者に祭り上げるなんて、我々人間は罪深いのう。
なんてことはまるで思わずに(何しろ書いてる今知ったから)、意気揚々と出掛けました。
Ca Caphe、直訳すると魚カフェ。
入る前に足を洗ってサンダルに履き替えろとの指示。
お店の前に立つと、中から10歳前後の少年が出てきて、入る前に足を洗えという。オーナーの子どもがお店を手伝うことは珍しくないが、最初から出張ってくるとは珍しい。でもあとから理由を聞いて納得することになる。
言われるままに足を洗って、店内へ。
うわ!
いるいる~~~。
全ての席の足元に水槽が置かれ、中ではドクターフィッシュが飼われていた。ちょっと掘りごたつ風。それにしてもこれ、「魚カフェ」と謳っているけど、もはやカフェじゃなくてドクターフィッシュ屋さんじゃないのか。
しかもドリンクはそこに置くんですね、危なくねぇか。
ベトナムは本当にカフェだらけで、ベトナム人が何か商売をはじめるときには「とりあえずカフェでも」という感じに敷居が低い。当然店舗数も多いので、爬虫類と触れ合えたり、床に砂を敷き詰めてみたり、マイナス20度にしてみたりと、ユニークな差別化が見られる。なのでドクターフィッシュそのものに今更驚きもしないんだけど、やっぱりもうそれドクターフィッシュ屋でよくね?とりあえずカフェだからって言っておけばなんでも出来るんじゃないかこの国は。
ドクターフィッシュはバンジージャンプだ
じゃ、早速入ってみますか!
…
おぉ
きたきたきたきた!!
あああああああああああああああああああああ!?
なにこれ!?すごい!これなに!?キモい!キモいキモい!!あっ、あかん!あっかーん!!ごめんごめん!!
それから慣れるために5分…。
足を引き上げるとサッと消えます(隣の水槽に移る)。
なんでしょう、この感覚。プッ!と肌が突かれてこそばいな…と思っていたら、プップップププ!!と無数の「こそばい」が両足を隙間なく包み込み、「気持ち悪っ!」に変わる。「このままで大丈夫なの!?」と不安を抱く勢いだ。
少し分かりづらいですが、再び足を突っ込むとサーッとまた戻ってくる。ジョーズっぽい怖さ。
この不安、7年前に岡山で体験したバンジージャンプをふと思い出した。感覚そのものはまるで違うのだけど、信用と刺激のバランスが似ている。バンジーはいくら安全と言われても、その信用がひっくり返るだけの刺激がある。その点では、ドクターフィッシュも同じで、そもそも信用していない魚の割にはこいつら刺激が強すぎる。
魚に対する信用はゼロなので十分怖い刺激。 アナログ感満載の図でごめん。
ヘンな話、私が魚と会話できて信頼関係が構築できていれば全く以って平然としているだろう。そういう意味では、さかなクンなら何にも不安を感じないのかもしれない。というか、彼なら十中八九体験済みっぽいけども。
友人が足を入れた途端に「ギャア!」と叫んでいた。 ダメな人には徹底的にダメな刺激です。
なお、写真に写り込んでいる少女は夏休みで遊びに来ている親戚とのこと。「私、お金持ちになったらドクターフィッシュでプールをつくるんだ!」と夢を語ってくれたが、君の未来を思えば叶わぬ夢として留めておいた方が良い気もする。
オーナーがいないなと思ってたら入院してた
それにしても気になる点が、さっきからお店の関係者が少年と少女しかいない。聞いてみると、いつもは両親で経営しているが、母親が油料理で怪我をして、父親が病院へ連れて行ったところ入院することになったという。
私「いやいや、入院って一大事じゃない?店閉めーや」
少年「店番やっとけって。働くのは魚だからって」
これだけメニューはあるけど、今はコーヒーとミルクティーだけしか頼めない。ということは、やっぱりここはカフェというよりドクターフィッシュ屋だなぁ。
「私、お金持ちになったらドクターフィッシュでプールをつくるんだ!」と夢を語ってくれました。君の未来を思えば叶わぬ夢として留めておいた方が良い気もする。
二人のお客さんがご来店、姉弟らしい。
私「たまに来るんですか?」
姉「いや、たまたま通って気になって入ってみたの」
…
あはー!
うはー!
なお、美肌効果は確実にありました。
後半は両手足も突っ込んで楽しめるくらいにはなった。 バンジージャンプだったら五回目飛んでるレベル。
肝心の美肌効果のほどはというと、実際に驚くほど肌がスベスベ!キュッキュッ!になったと思います。体験談として、これは事実だなと思った。古い角質を食べているんだから、物理的にそりゃ当たり前なんだろうか。
足ツボ効果がありそうな内装はともかくとして。
今更だけど、ドクターフィッシュは人→魚→人という経路で感染症の危険があるとも言われているそうで、ガンガンやってみてよ!とオススメこそはしませんが、新感覚アクティビティとしてはいいんじゃない?場所が少ないからハードルは高そうですが。
いつかドクターフィッシュ風呂に入ってみたい
店先に世界のドクターフィッシュの写真が貼ってあったけど、どれも手足までしか入れられないらしい。あの隙間なく食べられるレベルの水槽に、全身を入れたら一体どんな事態になるんだろう。これまでバラエティー番組などの罰ゲームで見かけたことがないのが意外だ。
世界には彼らが生息する天然の池などがありますが、その広さから密度は少なそうです。魚アーマーとか、やってみたいなぁ。
これは這い上がられて食い殺される系統の敵キャラだ。