特集 2017年7月13日

ミンティアを食べるハードルを上げると美味くなる気がする

指定回数だけボタンを押さないとミンティアが食べられない装置
指定回数だけボタンを押さないとミンティアが食べられない装置
ミンティアが好きでよく食べている。しかし、「ついつい食べ過ぎてしまう」という点が気になっていた。それを解決するため、自作装置によってミンティアを食べるハードルを高くしてみた。
1983年徳島県生まれ。大阪在住。エアコン配管観察家、特殊コレクタ。日常的すぎて誰も気にしないようなコトについて考えたり、誰も目を向けないようなモノを集めたりします。

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ミンティアが好きだ

ミンティアは、ミントタブレットと呼ばれる錠剤型の固形菓子である。これが大好物でいつも食べているので、しばしば「ミンティアの人」と呼ばれている。
「最高の食べ物」と私の中で名高いミンティア(ワイルド&クール)
「最高の食べ物」と私の中で名高いミンティア(ワイルド&クール)
なぜミンティアが好きなのか? と聞かれると、「美味しいから」としか答えようがない。もちろんフリスク(同じくミントタブレット)も好きでよく食べていたのだが、フリスクが1ケース約200円なのに対して、ミンティアは半額の100円なのである。最初は安いから……という消極的な理由で食べ始めたところ、気が付いたときにはすっかりミンティアの虜になっていた。適度な歯ごたえもあり、無意識に口に運んでしまう魅力がある。
特に腐るものでもないので、100ケースくらいをまとめ買いしている
特に腐るものでもないので、100ケースくらいをまとめ買いしている
ただ、あまりに食べやすいので、ついつい食べ過ぎてしまう。いつ見てもミンティアを食べているので、まわりの人にも心配されるようになってきた。これは別にミンティアが悪いというわけではなく、なんでも過剰に食べるのは良くないという話である。

「薬物自己投与実験」に学ぶ

ミンティアを食べ過ぎてしまう、という話を家でしたところ、「薬物自己投与実験」を知っているか? という話になった。いきなり薬物の話を持ってくるロックな妻である。

どんな実験かというと、

・コカインやモルヒネといった薬物の入ったビンを、猿の静脈に接続する
・猿がレバーを押すと、その薬物が一定量投与される
・そのたびに、次の薬物が投与されるのに必要なレバー操作回数を増やしていく

つまり、回を増すごとに猿がレバーを押さなければならない回数はどんどん増えていき、薬物を得るのが大変になってくる。果たして猿は、いつまでレバーを押し続けるのだろうか? それを観察することで、薬物にどれくらい依存性があるのかを探ったりするらしい。

この実験と同じことをやれば、結果的にミンティアを食べる量を適切に減らせるのではないかと、そういうことである。最初はなんて発想だ! と思ったけど、意外と効きそうな気がしたので試してみることにした。

題して、ミンティア自己投与マシン

そうして出来上がったのがこちら
そうして出来上がったのがこちら
マシンの動作は「薬物自己投与実験」を模している(つもり)。まず右側のボタンを押すごとに、正面に表示されている数字が減っていき……
次のミンティアまでのカウントダウンが行われる
次のミンティアまでのカウントダウンが行われる
そしてカウントが0になった瞬間、念願のミンティアが一粒だけ出てくる
そしてカウントが0になった瞬間、念願のミンティアが一粒だけ出てくる
一度ミンティアが出てくると、次のミンティアが出るまでに必要なカウント数がどんどん増えていく。つまり、最初は5回押せばミンティアが出てくるのだが、次は10回、その次は15回……という風に、だんだんミンティアを手に入れるのが大変になってくる。
最初は5回のボタン操作で出てくるミンティアだが、回を重ねるごとになかなか出てこなくなる。つまり、どんどん食べるためのハードルが上がる
最初は5回のボタン操作で出てくるミンティアだが、回を重ねるごとになかなか出てこなくなる。つまり、どんどん食べるためのハードルが上がる
これにより、例えば1ケース50粒を全て食べようと思うと、計6375回もボタンを押さなければならない。2ケースになると計25250回、3ケースだと計56625回にも跳ね上がる。

そこまでしてミンティアが食べたいだろうか。きっと途中で面倒になって、結果として食べる量が抑制されるはずである。これが「ミンティア自己投与マシン」の全貌だ。

ところで、ミンティアを一粒ずつ出すのは意外と大変だった

マシン制作にあたり、まずはミンティアを一粒ずつ取り出す機構が必要になった。しかしミンティアを食べたことのある方は分かると思うが、あれは普通に手で取り出すのも大変だったりする。
ケースを開けてみると、出口の当たりでミンティアが渋滞して詰まっている様子がよく分かる。これは「ミンティアあるある」と言っていいほど定番の現象
ケースを開けてみると、出口の当たりでミンティアが渋滞して詰まっている様子がよく分かる。これは「ミンティアあるある」と言っていいほど定番の現象
なので、単にケースを傾けただけでは、ミンティアはスムーズに出てこないのである。このあたりを作り込み始めると泥沼にハマりそうなので、次のような簡単な仕組みに落とし込んでみた。
まずはケースを3個つなげて、おおまかにカーブを引く
まずはケースを3個つなげて、おおまかにカーブを引く
それに沿って、プラ板をホットボンドで接着。これがミンティアの通るレールになる
それに沿って、プラ板をホットボンドで接着。これがミンティアの通るレールになる
つまりは、こういうことである。一斉にミンティアたちが出口に群がると詰まるので、最初から一粒ずつ整列させておけばスムーズに流れ出るという寸法
つまりは、こういうことである。一斉にミンティアたちが出口に群がると詰まるので、最初から一粒ずつ整列させておけばスムーズに流れ出るという寸法
このユニットを、本体向かって左側に貼り付けている。ミンティアは重力によって自然に出てこようとするので、それを「弁」で塞ぐ。その弁をサーボモーターで開閉させることにより、ポロン、ポロンと一粒ずつミンティアが出てくる動作が実現した
このユニットを、本体向かって左側に貼り付けている。ミンティアは重力によって自然に出てこようとするので、それを「弁」で塞ぐ。その弁をサーボモーターで開閉させることにより、ポロン、ポロンと一粒ずつミンティアが出てくる動作が実現した
電気的な部分はArduinoを使って適当に作り、箱状の筐体に詰め込んでいく
電気的な部分はArduinoを使って適当に作り、箱状の筐体に詰め込んでいく
スイッチは、こんな風にくり抜いたミンティアケースを5枚重ねて作成。ケースがやわらかいので工作しやすくて助かる
スイッチは、こんな風にくり抜いたミンティアケースを5枚重ねて作成。ケースがやわらかいので工作しやすくて助かる
電子工作の界隈では、フリスクやミンティアのケースを外装に使うというムーブメントがある。今回はそれに倣ってミンティアケースだけで全てを作りたかったのだが……加工しやすい反面、どうにも強度が足りずに断念。仕方なくプラ板で作った箱に、ミンティアケースをペタペタと貼り付ける今の形になった。
やたらとミンティアケースが主張しているのはそのせいである
やたらとミンティアケースが主張しているのはそのせいである

で、実際に効果はあるのか

このマシンを使うと、本当にミンティアを食べる量が抑制できるのだろうか。実はこの原稿を書き始めるときに、「ミンティア自己投与マシン」を稼働させていた。
机のかたわらに置いて執筆していた。現在、「次のミンティアまであと175回」
机のかたわらに置いて執筆していた。現在、「次のミンティアまであと175回」
ミンティアを一粒食べるたびに、「あと5回」、「あと10回」、「あと15回」……と増えていき、現在は「あと175回」を指している。ということは、これまで34粒のミンティアを食べており、次は35粒目に差し掛かろうとしている、という状態である。

合間で写真を撮ったりしていたので、ここまで書くのに4時間くらいかかっている。4時間で35粒。これは多いのか少ないのかと問われれば、「かなり少ない」と答えるだろう。というのも、自分はミンティアを食べ始めると15秒に1個くらい食べてしまうので、それだと35粒なんて10分以内で食べ終わってしまう計算になる。

よって、マシンの効果により圧倒的な減量に成功しているといえる(それにしても食べ過ぎだろうという意見があるのは認める)。
食べたくても食べられない状況が生まれている。ぐぬぬ……
食べたくても食べられない状況が生まれている。ぐぬぬ……
「あと175回」という数字を目の当たりにして思うのは、「ボタン押すのが想像以上に面倒くさい」ということだ。175回もボタンを押さなければ、次のミンティアが食べられないのである。

ここで「175回ボタンを押す」というのがどんな感じか、実際に押して確かめてみた。
気分はすっかり高橋名人。ミンティアを1粒食べるための試練としては、かなり辛い部類に入るだろう。食べたいという気持ちが強くないと途中で挫けてしまう
さらに、たとえそれが達成できたとしても、次は「180回」というさらに面倒な試練が待っている。食べれば食べるほどハードルが上がっていくため、回を増すごとに手が出し辛くなっていく。この絶妙な板挟み感は、綿密にデザインされたゲームのような美しさがある。
ミンティアが食べたい。しかし、いま食べてしまうと次はより入手困難な状況になる。ここは少し我慢しておいて、ここぞという時に食べよう! そんな駆け引きが自然と生まれていた
ミンティアが食べたい。しかし、いま食べてしまうと次はより入手困難な状況になる。ここは少し我慢しておいて、ここぞという時に食べよう! そんな駆け引きが自然と生まれていた
この装置を使うことで、ミンティア一粒のありがたみが相当強くなった。「Quality Of Life」(QOL)ならぬ、「Quality Of Mintia」(QOM)の上昇を感じることができた。
あと心なしか、苦労したあとで食べるミンティアは普段よりも美味しい……気がする。「お前はもっと一粒一粒を味わってミンティアを食べよ」、というミンティア神からのお告げなのかもしれない。

しかし課題も残る

わりと上手く行った実験であったが、ひとつだけ課題が残っている。
お察しかと思うが、ミンティアはひとつずつ手でマシンに装填しないといけない
お察しかと思うが、ミンティアはひとつずつ手でマシンに装填しないといけない
ということは、どういうことかというと、
誘惑に負けてつい食べてしまう
誘惑に負けてつい食べてしまう

その辺も考慮されたマシンを誰か作って下さい、お願いします。

工作に使おうと思って、ミンティアケースを捨てずに何日かストックしていた。今回はそれらを贅沢に使ってみたが、それでもまだ大量に余っている。何かに使えないだろうか。裏に数字を書いてトランプにしてみるとか(適当)。
ミンティアケースの残骸
ミンティアケースの残骸

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