特集 2017年7月20日

街中で勝手にテープカットをすると楽しい

「開園のテープカットです」
「開園のテープカットです」
テープカットに憧れている。開通式で、うん十年記念式典で……偉い人がこぞってチョキンと紐を切るあれだ。

どうしても一度やってみたいが、偉くなる予定が今のところまったくない。自分で勝手にやるしかない。
1990年沖縄生まれ。営業日のお昼休みに(ほぼ)毎日更新する「今日の休憩」というブログを運営しています。

前の記事:写真の赤色だけ残してモノクロにすると全部かっこよくなる(はず)

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リボンの花がついた直立の棒を2本作る

いきなりですができました
いきなりですができました
突っ張り棒2本に、騒音軽減マットをグルーガンで固定し、紅白のリボン花をつけた。これにリボンを渡せばテープカットセットの完成である。

本当は過程をじっくりお見せしようと思ったが、よく考えると2行でおさまると気づき急に恥ずかしくなってやめた。
 600円ぐらいでした
600円ぐらいでした

セットを持って街へ

何かめでたい事がある時に行うのがテープカットだ。しかし今日は通常の土日。特に誕生日などでもない。
とりあえず公園に繰り出してみた。風に弱すぎる
とりあえず公園に繰り出してみた。風に弱すぎる
とりあえずこの公園に到達した事を祝い、カットしてみることにした。
式典といえばレッドカーペットだ。赤フェルトを絨毯がわりにする
式典といえばレッドカーペットだ。赤フェルトを絨毯がわりにする
テープカットには欠かせない白い手袋も用意した
テープカットには欠かせない白い手袋も用意した
幕スケッチブックに祝いの内容を書いた。では設置しますね
幕スケッチブックに祝いの内容を書いた。では設置しますね
あれれ~
あれれ~
この時は気がつかなかったが、テープの緩みがすごい。また、足場が悪く風が強かったので重しがないと自立しないものになってしまった。
それでも到達記念式典はやる。人はテープを目の前にするとお辞儀をしてしまうものらしい
それでも到達記念式典はやる。人はテープを目の前にするとお辞儀をしてしまうものらしい
テープを持った切ります
テープを持った切ります
!
これでも到達した喜び、という気持ちを作ってテープを切ったつもりだ。でもなんだろう。切ったな。切ったよ。という事実しかない。
昔からテープカットをやりたいと言い続け、猛暑の中ジャケットまで着てきた後輩にもやってもらう
昔からテープカットをやりたいと言い続け、猛暑の中ジャケットまで着てきた後輩にもやってもらう
「……本当に何も思わない」「切ったら何か思うのかと思ったけど」やっぱりそうだ
「……本当に何も思わない」「切ったら何か思うのかと思ったけど」やっぱりそうだ

もっとそれっぽい場所でやるべきだ

我々テープカット素人に、背景に何もなく、日常を祝う芸当は難しかった。もっと祝えそうでかっこいい背景をさがす。
あった。C-11という機関車らしい
あった。C-11という機関車らしい
すぐにテープカットセットを目の前に設置する。
突然式典感が増した。機関車に踏切、赤い絨毯、テープカット、そして白手袋で敬礼をする車掌を演じる後輩。すごいぞ
突然式典感が増した。機関車に踏切、赤い絨毯、テープカット、そして白手袋で敬礼をする車掌を演じる後輩。すごいぞ
強力な背景を手に入れたので、2名でやってみることにした。式典名は「祝・C-11出発式」だ。
この時点で「本日テープカットに登壇されますのは、ライターの與座ひかるさん……」みたいな紹介アナウンスが聞こえてきそう
この時点で「本日テープカットに登壇されますのは、ライターの與座ひかるさん……」みたいな紹介アナウンスが聞こえてきそう
絨毯にあがり、テープを持つ
絨毯にあがり、テープを持つ
さん
さん
はい
はい
すぐに撮影してくれたおじさんが「すごくそれっぽい」「なんだろうこれ、それっぽい」としきりに首をかしげていた。成功だ。

切ってる方も、今回は式典を決めてやったという気持ちになった。貫禄だけが圧倒的に足りないが、その他はやりたかったことそのものだった。

背景と建前さえ揃って入れば、そこは式典になるのだ。
コツを掴んだあとに目をつけたのが銅像だ。設置してすぐ、ほら、ほらね。という気分になる。
コツを掴んだあとに目をつけたのが銅像だ。設置してすぐ、ほら、ほらね。という気分になる。
ここでは「祝・紅葉山公園 開園式」の気持ちでテープカットをする
ここでは「祝・紅葉山公園 開園式」の気持ちでテープカットをする
長かった工事。公園建設企画から苦節7年…ようやくここに、子供達の遊べる公園が……。と切る方の気持ちもだんだんできてきた。幻聴でファンファーレが聞こえる。
カット後はもう余裕の表情である。
カット後はもう余裕の表情である。
ただ設置は常に風との戦いだった。
ただ設置は常に風との戦いだった。

常にテープカットを持ち歩いたらどうなるか

コツは掴んだ。しかし毎回オブジェ的な何かを探すわけにはいかない。日常の嬉しいシーンでもテープカットできないか。
「祝・ハンバーグ式典」だ もうダメな気がしている
「祝・ハンバーグ式典」だ もうダメな気がしている
テープカットです
テープカットです
むなしい
むなしい
テープカットを設置する間にハンバーグは冷め、帰りにコーヒーショップでもやってみたが氷が溶けはじめてしまった。もう絶対やらない。真剣にもう絶対やらないぞと思った。普通の日常で取り入れるにはハードルが高いようだ。

念のため、何も知らない人にも感想を聞いておきたい。この日ちょうどライターのネルソン水嶋さんが近くにいるという情報を聞きつけ、やってみてもらうことにした。
飲み終わりのネルソンさん右と、その取材を受けていた美容室Amangirlの村山恭吾さん左待ち伏せし、商店街でテープカットをしてもらう。夜ですけどすいません。どうぞ
飲み終わりのネルソンさん右と、その取材を受けていた美容室Amangirlの村山恭吾さん左待ち伏せし、商店街でテープカットをしてもらう。夜ですけどすいません。どうぞ
笑ってくれてるぞ
笑ってくれてるぞ
「どうでしたか」

「よく見てたけど、やってみたら割と門出にたった気持ちになった。ただテープがたゆむとかっこわるいですね」

テープも大事だけど絨毯が超大事

体験した全員が言ったのは「赤絨毯ないとダメだねこれ」だった。確かに、テープも背景も大事だが、なんとなく持ってきた赤絨毯が一番式典ぽさを醸してくれた。テープがなくても、絨毯とマイクスタンドさえあれば式典なのだろう。
絨毯なしの機関車。絨毯はだいじ
絨毯なしの機関車。絨毯はだいじ
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