特集 2017年8月10日

街のレアキャラ「右目室外機」を探せ!

「右目室外機」は、出現確率わずか1.4%のレア室外機
「右目室外機」は、出現確率わずか1.4%のレア室外機
室外機には、大きく分けて二つのタイプある。向かって左にファンのある「左目室外機」と、右にファンのある「右目室外機」だ。
1983年徳島県生まれ。大阪在住。エアコン配管観察家、特殊コレクタ。日常的すぎて誰も気にしないようなコトについて考えたり、誰も目を向けないようなモノを集めたりします。

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レア度を知れば、街歩きが楽しくなる

街には無数の室外機がある。こんなにもたくさんの室外機であふれているのに、ほとんどの人は何も思わずに、ただその前を通り過ぎるだけである。熱風が当たるので、逆に意識して避けて通っているかもしれない。

でもほんの少しだけ室外機についての知識があれば、街を歩くのがもっと楽しくなるのだ。ポイントは、室外機の「レア度」である。
この中に、比較的レア度の高い室外機がある。注目すべきは「目」の位置
この中に、比較的レア度の高い室外機がある。注目すべきは「目」の位置
レア度が分かると、「ポケモンGO」でレアポケモンを探すのと同じように、街を歩きながらレアな室外機を探す楽しみが生まれる。なんてことはない移動時間にも、ただその辺にある室外機に目をやるだけで、「室外機GO」みたいな遊びができるのである。なんて素晴らしいことでしょう。

レア度にはいろんな尺度があるけれど、一番分かりやすいのは「目」の位置である。

室外機の「目」とは

自動車では、正面から見たときのヘッドライト周辺部分を「顔」と呼んだりする。それと似たような感じで、室外機には「目」がある。
ファンのあるグリル(網)部分を「目」と呼ぶ。一般的な呼称かは知らないけど、私の観測範囲ではそう呼ばれている。これはどう見ても目だろう
ファンのあるグリル(網)部分を「目」と呼ぶ。一般的な呼称かは知らないけど、私の観測範囲ではそう呼ばれている。これはどう見ても目だろう
さてこの「目」についての面白い実験がある。室外機にあんまり興味がない人に「室外機を描いてみて」って言うと、だいたいの人はこういう絵を描くのだ。
典型的な室外機の絵(妻による)。目が左側にある
典型的な室外機の絵(妻による)。目が左側にある
室外機のボディに対して、向かって左側に目が描かれる。これを「左目室外機」と呼ぶ(室外機からすれば「右目」の位置だけど、分かりにくいので「向かって左に目のある室外機」、略して「左目」とする。普通に「左ファン」と呼ぶこともある)。

この実験は何を隠そう自分で考えたのだが、割と興味深い結果だと思っていて、ほとんどの人は無意識に室外機をこう描いてしまうのである。素人の落書きに限らず、イラストやアニメに描かれている室外機も必ずと言っていいほど「左目」になっているので、注意して見てみると面白い。

これは「四本足の動物を描いて」って言われたときに、頭を左側に描いてしまう現象と根元は同じなんだろうと思う(左利きの人は逆になるのかも)。
何も言わず妻に動物と自転車も描いてもらったら、やっぱり全部左を向いていた。それにしてもこの動物はなんだ(どうやら象らしい)
何も言わず妻に動物と自転車も描いてもらったら、やっぱり全部左を向いていた。それにしてもこの動物はなんだ(どうやら象らしい)
で、さらに面白いのは、現在販売されている家庭用エアコンの室外機は、実際に「左目」ばかりなのである。手癖で描いてしまう室外機も「左目」、現実の室外機も「左目」……そんなわけで、結果として「室外機=左目」が、現代日本におけるデファクトスタンダードになってしまっている。
家にある室外機を確認して欲しい。たぶん左目
家にある室外機を確認して欲しい。たぶん左目

レアキャラ「右目室外機」

とはいえ、長い歴史のある室外機において、その全てが「左目」だなんて、そんなわけはないのである。「左目」があれば、対となる「右目」があって然るべきである。

一般的な「左目」に比べると、ただ単に数が少ないというだけなのだ。つまり「右目」は、レア度の高い「レア室外機」なのである。
これがそのレアキャラ、「右目室外機」の御姿。なんと神々しい……
これがそのレアキャラ、「右目室外機」の御姿。なんと神々しい……
「右目」が素晴らしいのは、探しても全然見つからないわけでもなく、かといって簡単に見つかるわけでもない。つまり出現確率がちょうどいい具合なのだ。
「コアラのマーチ」でレアな絵柄のコアラを探してしまうみたいに、つい室外機を目で追ってしまうのである。

そしてたまたま発見できたなら、その日は一日ハッピーな気分で過ごすことができる。まさにラッキー室外機。室外機愛好家の間で人気が高いのもうなずける。
代表的な「右目」の、日立(左)とゼネラル(右)。私の感覚では、ダントツで日立が多い
代表的な「右目」の、日立(左)とゼネラル(右)。私の感覚では、ダントツで日立が多い
詳しい製造時期は分からないが、「右目」は比較的古い室外機ばかりである。
家電製品である以上、時が経てば新品に置き換えられていく運命なので、今後はどんどん出現確率が低くなっていくはずだ。ちょうどいい具合に「右目」が見られるのは、実は今のタイミングがベストなのである。

「右目いないかなぁ」って何となく室外機に目をやるだけでも、ただの移動時間がゲームに変わる。見つけたらラッキー。捕獲(=撮影)して、ポケモン図鑑ならぬ「室外機図鑑」に登録して眺めるのもいいだろう。例えばこんな感じに。
「室外機GO」の、右目室外機図鑑(ただの妄想である)
「室外機GO」の、右目室外機図鑑(ただの妄想である)

データで分かる「右目室外機」のレア度

ところで、いくら自分が「これはレアだよ」と語っても、「なんとなくレアな気がする」という感覚の話であって、定量的ではないよなぁとずっと思っていた。やっぱりちゃんとデータを取って、統計的に示すべきだろう。

ここでついに、私のHDDに秘めたる「室外機フォルダ」を開けるときが来たようだ。
いままでに撮影した室外機写真が数千台分ほどある。この中から、無作為に1000体の室外機を抽出する
いままでに撮影した室外機写真が数千台分ほどある。この中から、無作為に1000体の室外機を抽出する
ところで、単に「家庭用エアコンの室外機」と言ってもいろいろある。この「ちいサイズ」ことナショナル・エオリア(写真・左)に代表される「一つ目」は、右目でも左目でもないため今回の集計からは除外した
ところで、単に「家庭用エアコンの室外機」と言ってもいろいろある。この「ちいサイズ」ことナショナル・エオリア(写真・左)に代表される「一つ目」は、右目でも左目でもないため今回の集計からは除外した
分かりにくいけど、これはホシザキ製なので、エアコン室外機ではなくて冷蔵か冷凍機用の室外機だと思われる。街にはこんなのも紛れているが、今回は除外
分かりにくいけど、これはホシザキ製なので、エアコン室外機ではなくて冷蔵か冷凍機用の室外機だと思われる。街にはこんなのも紛れているが、今回は除外
あとウィンドウ型と呼ばれる、窓に直接取り付けるタイプも除外
あとウィンドウ型と呼ばれる、窓に直接取り付けるタイプも除外
それ以外にも、ファンが上向きに付いているタイプや、古すぎて現代の室外機と形状の異なるものも除外した。つまるところ、左目:右目の割合を純粋に比較した
それ以外にも、ファンが上向きに付いているタイプや、古すぎて現代の室外機と形状の異なるものも除外した。つまるところ、左目:右目の割合を純粋に比較した
あとは夜な夜な室外機を見ながら、1000台分の集計を実施。その結果判明したのが、この「右目室外機」の出現確率(レア度)なのである
あとは夜な夜な室外機を見ながら、1000台分の集計を実施。その結果判明したのが、この「右目室外機」の出現確率(レア度)なのである
その数、約1.4%! 1000台中、14台が「右目」であった。
がんばって70台くらいの室外機を探せば、そのうち1台は「右目」という計算になる。とはいえ、新興住宅地で探しても見つからないだろうし、地域的な偏りはあるだろう。

数が少ないとは確かに感じていたが、それがどれくらいの確率なのか、今回の調査で一応の数字を出すことができた。これからは胸を張って言える、「右目はレアだ」と!

探そう!「右目」

街にはいろんな時代の、いろんな形の室外機がある。たまたま外に置く必要があったおかげで、私たちはこうして室外機の多様性を観察することができている。こんな家庭用電化製品って、他にはあんまりない。その点でも、やはり室外機は魅力的なのである。

しかし繰り返すが、古い家電はどんどん消えていく運命にある。今後は「右目」の出現確率も下がる一方であろう。70台に1台見つかる今の時期に、どんどん探して、見つけて、そして愛でていきたい。

「レア度の高いメーカー」という尺度も

今回集計した室外機の中には残念ながらなかったのだけど、最近Twitterで知ったエアコンメーカーに「日本熱学工業」がある。Wikipediaによると1975年に倒産した会社のようで、現存している室外機も必然的に40年以上前のものになる。

これは相当レア度が高いので、探し甲斐があるというもの。いつかどこかで巡り会いたい。
古い室外機を見ていると、「エヤコン」という、今となっては違和感のある表記を発見。これもレア度高そう
古い室外機を見ていると、「エヤコン」という、今となっては違和感のある表記を発見。これもレア度高そう

お知らせ

以前、制作の様子を紹介した「室外機フィギュア(陶器製)」の新色ができました!
作陶は引き続き、「ミリタリー陶芸」でおなじみの息吹フレイルさんです。通販もやっていますので、興味がありましたらぜひ覗いてみて下さい。
通販ページ
これも例によって「左目」です
これも例によって「左目」です

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