特集 2017年8月17日

納豆を一万回混ぜる(デジタルリマスター版)

納豆に対していま、本気を出す
納豆に対していま、本気を出す
みんな正直のところどれくらい納豆を混ぜてるんだろうか。

私はほとんど練らずにサラサラで食べる方が好きなのだが、祖母など習慣的に毎回200回と決めて混ぜている。聞くとところによると一般的にも年輩の方ほどよく混ぜる傾向があるそうだ。どうやら科学的にはよく混ぜた方が美味しいことが分かっているらしい。

よく混ぜるってどの程度混ぜるといいんだろう。せっかくだし、やるならトコトンやってみよう。そんなわけで、1万回混ぜました。手加減ナシです。

納豆のネクストステージを見てきました。海の幸の味がしました。

※2005年3月に掲載された記事の写真画像を大きくして再掲載したものです。
東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

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> 個人サイト まばたきをする体 Twitter @eatmorecakes

魯山人納豆というやつがあるだろう

納豆をよく混ぜる文化としては、芸術家であり食通アイコンでもある、北大路魯山人の納豆作法「魯山人納豆」がやはり有名だ。

深い器で納豆を400回以上混ぜるというやり方。1万回チャレンジの前に、まずは、ネットで検索したこの魯山人納豆の作り方をまねて、本当によく混ぜた方が美味しいのか確かめる。
納豆、薬味、そして深めの器を用意
納豆、薬味、そして深めの器を用意
手順はこうだ。
1・まず、そのまま305回混ぜる
2・醤油投入
3・さらに119回混ぜる
4・薬味と辛子を入れる

合計424回かき混ぜる方法である。ちなみに今まで私は、混ぜる前に醤油と辛子を入れていたが、これは混ぜてから入れた方が美味しいそう。納豆、週に3回は食べてるのに全く知らなかった。そうゆう大切なことは早く言ってよ!

練り始めると、素の納豆の粘りにまず驚いた。すごい抵抗で混ぜるのにかなり力がいる。せいいっぱい、424回混ぜました。
424回、こんなかんじ
424回、こんなかんじ
食通の納豆ご飯、できました
食通の納豆ご飯、できました
ははあ。確かに粘りけがまろやかになった気がする。豆の一粒一粒がふわっとして一体になってる感じ。

調べによると、グルタミン酸だのアミノ酸だのといった科学的な意味でも納豆は混ぜると美味しくなることが分かっているらしい。400回はだいたい5分ぐらいで混ぜることができた。ちょっと腕は張ったが、これくらいなら楽勝だ。

よしゃ、それじゃあ400回と言わず、がっちり混ぜてみましょうよ!

1万回にチャレンジ

それにしても1万回だ。お金の単位などで「万」はよく口にするものの、作業として何かを一万回するのは生まれて初めてかもしれない。可能なような、不可能なような、目測が付けられない回数、1万回。

チャレンジにあたり、厳正を期すためにかき混ぜる右手にアームバンドで万歩計を取り付けた。この液晶に「10000」の表示が出るまで私は納豆を混ぜ続ける……!
何かの訓練みたいになってます
納豆を混ぜることと少年ジャンプっぽさが融合した
それでは、参りましょう、納豆を混ぜる1万回チャレンジ、全体的に茶色い画面を、どうぞ!
100回
100回
200回
200回
300回
300回
400回
400回
500回
500回
600回
600回
700回
700回
800回
800回
900回
900回
1000回
1000回
腕の痛さの峠は300回だった。それ以降は勢いでなんとかなってしまった。静かに蓄積される腕の疲労が逆に怖い。多分明後日あたりにガツンときそう。

粘りの強さは終始変わらないものの、だんだん白い糸が増えて、おや? と思っている間に豆が挽き割られてなくなっていっている事に気がついた。そうか、混ぜも範疇を越えると豆が崩れるのか…。

まだあと9000回も練るのだが、1000回にしてこうだとこの先一体どうなってしまうんだろう。ちょっとへこむ。
1500回
1500回
2000回
2000回
2500回
2500回
3000回
3000回
3333回
3333回
4000回
4000回
5000回、メレンゲだったら十分のツノ立ちぶり
5000回、メレンゲだったら十分のツノ立ちぶり
1300回、箸が折れる。
1500回、万歩計を取り付けるためにはめたアームバンドがサポーターの役割を果たしていることに気付く。おかげで箸が手のひらに食い込まず助かった。
2500回、無心になりたいのだが、納豆の香りで現世に戻される
3000回、味噌?
3500回、とろろ?
4000回、ピーナツバター?
6000回
6000回
7500回
7500回
9000回
9000回
6000回、開始後1時間経過
6500回、息が切れ始める。スピードダウン。
7000回、余りにもようやくだが、コツがつかめる。泡立て器の要領で。スピードアップ。
7500回、疲れを通り越し、飽き始める
8000回、今までのデイリーポータルのネタで一番つらいかもしれないと思い、逆に俄然やる気になる(※2017年版追記 そんなことはありません、むしろ楽なネタです)
9000回、j-wave聴きながら続ける
そして、10000回!!
そして、10000回!!
1000回の時点で、ペースト化という納豆のネクストステージへの扉が開くと残りの9000回はよりきめの細かいペーストにするための作業というだけで、地味なものだった。

しかし、味の方はどうなんだろう。アミノ酸出まくって、グルタミン酸は分解され、むちゃくちゃ味しいことになっているはずなのだが! 醤油と辛子を投入、いざ、試食です。
味噌? 塩辛? いえ、納豆です!
味噌? 塩辛? いえ、納豆です!

畑の肉は、畑の甲殻類になった

カナッペにのせてパーティーに出してもいいんじゃないかというペーストぶり。だが匂いは間違いなく納豆だ。

食べてみる。ええと、味は確かに納豆ではあるんだけど、この味、納豆以外にどこかで食べたような……あ! そうだ、カニ味噌だ! みなさん、大変です。納豆は1万回練るとカニ味噌みたいな味になります!

粘りは健在なので、粘るカニ味噌といった感じ。納豆の原料である大豆はよく「畑の肉」といわれるが、1万回かき混ぜた結果「畑のカニ」にもなることが判明した。

なかなか食べる機会のないカニ味噌、食べたくなったらぜひ納豆でおためし下さい。調理時間1時間40分で食べられます。
納豆をすりつぶすことで、手には豆ができた
納豆をすりつぶすことで、手には豆ができた
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