暑さで頭クラクラだったのだ
ダジャレから何か作ることが多くて自分でもほとほとあきれるが、今後も精力的に活動していきたいと思う。
さて発端は、100円ショップでコレを見つけたからだ。もうあそこには、思いつくものは何でも売っているね。
「クーラーボックス!」という、ドラマや漫画のタイトルみたいに「!」が入った商品名。
これを見て3秒で「あ、蔵ボックス作ろう、あーこりゃこりゃ」となったわけであるが、まあ、今回けっこう大変だった。
ボックスの形からして、これは蔵に容易に似せられるのではないだろうか、ウホウホ、と当初は考え、ワクワクしながら作業に取り掛かったのだけど…。
今回、長く続いた暑さのせいか、素材や工程で奇妙な選択をたくさんしていた気がする。まあ焦らず見ていきましょう。
まずは、とにかくフタ=屋根である。ゆくゆくは瓦も載せるので、その土台作りだ。
加工しやすさから、段ボールを屋根に選んだ。今思えばちゃんとベニヤ板とかでやったほうがいいよな。
屋根の角度は、フタのこの角度にピッタリ合わせればいいや!ラッキー!(これは本当に助かった)
屋根裏の空きをスタイロフォーム切り出して埋める。
とりあえず屋根設置できたが、てっぺんの隙間のことはまだ考えていない。
蔵の写真をプリントアウトして、参考にしつつやっていく。屋根の多層的なところはこれでいいとして、てっぺんの隙間は本来「冠瓦(かんむりがわら)」という半円状のあのおなじみの瓦が載るので、家にあった木の丸棒を渡すことにする。
蔵をそれらしく見えるものにするためのディテールを適度に盛り込むわけだが、能力と材料と時間の相関を考慮しつつ、取捨選択をしていく。簡単に言えば「蔵っぽくしたいけど、まあ私のできる範囲でちゃちゃっとやるかね」ってことだ。
なまこ壁はぜひ再現したい。と思って下書きなどしてみるが…
さてどうやってあの格子を簡単に作りこめるかさんざん悩んで、なぜかフェルト布を切って貼ることに。本当にいいんか?
…というわけで、さっきの下書きがさっそく意味なくなったわ。下地の黒を塗る。
はい、ここが今回一番、自分でもわけのわからない工程を経た箇所だ。今見てもわからない。
確かにあの格子状のなまこ壁を粘土や木の棒などで作るのはとても骨が折れそうだが、そこで布かい、と。一見良さそうでもあるが、白く塗ってもいまいちなまこっぽく無いように見える。
しかも下書きの黒いペン跡がアクリル絵の具に引っ張られて表面に何度も染み出てくるんだよ。
ええい、いったんここは休ませて、他の施工に移ろう。気分だけはいっぱしの大工である。たとえ依頼が「蔵ボックス」だったとしても。
屋根は結局こうして隙間を埋めることになったので、粘土の水分でエッジがガタガタになったんだよ。
全体には本物の壁パテをざっくり塗って、「味」に逃げさせてもらう!
そして結局なまこ壁は石粉粘土を盛ってかまぼこ型に。おお、ザ・いきあたりばったり。
なまこ壁でえらく時間を取ってしまったが、これから何と私は瓦を一枚一枚ふこうと思うのである。いいからもう寝ろ。
しかしこれは「厚紙」で簡単に作ることにした。たぶん、大丈夫だと思う。
適当に形を作って増殖させて厚紙にプリントした瓦を、一枚一枚切り離す。来年こそレーザーカッターとかその類の便利なものを揃えよう…。
ご丁寧に、ちょっと折り目をつけながら一枚一枚貼っていく!でもこれけっこう楽しいんですよ。
つや消しニスを塗れば、東山魁夷チック!
鬼瓦もスタイロフォームで済ませちまった!
どこまで作れば蔵っぽくなるか、というのをギリギリまで悩んで、やれることは全部やったのがこちら。
本当は蔵に特徴的なあの窓も付けたかったが、まあクーラーボックスとして使うわけなので、許して頂戴ませ。
鬼瓦がサザエさんみたいになった。屋号は「冷」。あそこん家は冷やすことにかけちゃ右に出るものはいねぇ…みたいに村でウワサされているのだろう。
あのL字フック(じゃなくて折釘っていう)は急遽付けたけど、愛されポイントになっているはず。
そしてもちろん、クーラーボックスの機能もあり。
さてこの蔵ボックス、これが似合う街でさっそく使ってみたいのが人情というもの。ちょっクラ行ってきます。
たクラみを胸に、街を歩く
一番家から近いところにある「蔵の街」、川越にやって来た。観光気分を手軽に味わえて、見どころもたくさんあり、とても愉快な街である。
メインの道幅が狭く、ミキサー車も観光客もお互いたくましく共存している。そんな小江戸。
蔵がどんどん目の前に現れる。だいたい黒っぽいな…。
近くのコンビニで氷と必要な食材を買って、蔵ボックスに詰める。あとは蔵の街を散策し、途中でこれでお昼を食べる算段だ。
自分でしょったときは違和感しかなかったが、写真で見ると案外なじんでるな…。
この日は晴れてなかなか汗ばむ陽気だった。蔵ボックス、稼動できているだろうか…アレやアレは冷えているだろうか。
蔵と見れば一緒に写真を撮るミッション。
「あっL字フック!」のときの顔
情報誌風に。しかしこの街の蔵にはなまこ壁はなかったな。
…?
自分としては、かなり異形のものをしょって違和感バリバリで歩いている感覚だったが、けっこうなじんでいるのか、他の観光客などにあまり注目されない。一応、そのあたりの反応も確かめたかったのだが。
道幅が狭くお店もにぎわっているので、皆さん他のお客に注意を払う暇がないのかもしれない。と前向きに捉える。最悪なのは「蔵に見えない・見えたとして別にそれほどでも」か、「あの人、見ちゃダメ」であろう。
私、蔵しょってるんだけど。
「パパあの人、蔵の街を意識したのか蔵しょってるよ!」「しっ見ちゃダメ!」なのだろうか。
テレビのロケに出くわすも「あれ?それひょっとして蔵ですかー?お話いいですかぁ?」とはならず。
撮影してくれた担当石川氏の談では「コレは蔵ボックスじゃなくてお店の何かに振り返った」っぽい。
気付いたら鬼瓦が一個どっか行った!川越のあの通りのどこかに、今も私の鬼瓦が横たわっているはずです。
もう、お昼にしようか。
ランドマークである「時の鐘」の裏に小さな神社があり、ちょっと座れるスペースがあったのでここを借りてランチにしよう。疲れてクラクラだ、とここで言わせてもらう。
このときは誰もいなかったのに、後から観光客だらけに。蔵ボックス効果?!
蔵ボックスから取り出しましたるは、こちら!
「蔵」元味噌、「クラ」ムチャウダー、アーモンド「クラ」ッシュポッキー、トリス「クラ」シック、ただの寿司だけど蔵から出したら「くら寿司」だ、そして抑えでサクラ(かなり苦しい)。
私はビール党なので、事前に「蔵」と名前の付くビールをネットで探しておいたのだけど、なんとこの日に到着が間に合わず、ウイスキーでいなり寿司を食べるハメになった。
ではいただきます。
蔵から出したクラシックでくら寿司を!
クラシックで…。
ウイスキー回るの早くてクラクラするわ。 ~終~
蔵ボックスで蔵尽くし、という目的は果たした。ふとした思いつき(ダジャレ)からこのようなことになったが、この工作がお蔵入りにならずに済んで本当によかった。次にやるときは、工作能力のクラスチェンジを期待してクラさい。
まとめ
ビールが後から届いたら追記しようと思っていましたが、原稿終わる段階でもまだ届きません。
蔵めぐりの思い出とともに、味わいたいと思います。あークラクラ。
2)10/26-29には
杉並海の家にて展示をします。
たのしいモーミン~妄想民芸~
平日は15-20時、土日は12-19時のオープンです。私もずっとおります。
詳しくは随時、ツイッター等で!