特集 2017年12月6日

闇串カツパーティーを開こう

さぁ、闇の宴の始まりだ
さぁ、闇の宴の始まりだ
串カツを食べるたびにいつも思う。
「あれ、コレとコレなんだっけ?」
気を抜くとこの衣に包まれたものが豚なのか牛なのかはたまた野菜なのかわからなくなる。そもそも自分は何を注文したっけ…?
今回はそんな串カツの特性を活かしてパーティを開きます。
埼玉生まれ、神奈川育ち、東京在住。会社員。好きなキリンはアミメキリンです。右足ばかり靴のかかとがすり減ります。(インタビュー動画)

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串カツ何これ問題について考える

串カツ屋でいつも起こる現象、それが「これ何の串?」問題だ。
店員さんが丁寧に「これは何、これは何で…」と説明してくれるのだけど、我々には既にアルコールが入っているし、誰かがちゃんと把握できているだろうという慢心も相まって結局誰も把握できていない、ということが多々ある。
店員さんには申し訳ない(刺身盛り合わせで魚の種類を説明されている時も同じ現象が起こる)
店員さんには申し訳ない(刺身盛り合わせで魚の種類を説明されている時も同じ現象が起こる)
だって見た目がすべて同じなんだもの。ぜんぶ衣だ。
ならばそれを逆手にとって明るい部屋でも闇鍋的なことができるのではないか、それが今回の趣旨、闇串カツパーティーである。さぁここに集え、タコパならぬ闇パの開催だ!
参加者は北向ハナウタ、ネッシーさん、江ノ島さん、さくらいさん、megayaさんの5名
参加者は北向ハナウタ、ネッシーさん、江ノ島さん、さくらいさん、megayaさんの5名
今回はそれぞれこれを揚げたらうまいのではないか、楽しいのではないか、と食材を持ち寄ってもらった。さっそく闇串カツにおいてオススメできないものから順に紹介していこう。

ケース1:とろける甘いもの

衣から緑色が透けて見える
衣から緑色が透けて見える
スタートからなんだこの小さいのは、と思うだろう。江ノ島さんが持ってきた食材だ。確か「ぶち壊してやりますよ」的なことを言っていた。
目に狂気を宿している
目に狂気を宿している
最初に答えを言ってしまうと、ハイチュウだ。青りんご味である。
もちろんハイチュウはおいしい。ただ、油で揚げるものではない。あの強い甘味が衣に包まれ、口に入れた瞬間ビッグバンが起きる。これは小宇宙だ。
ハイチュウの調理風景です。うそじゃないです
ハイチュウの調理風景です。うそじゃないです
ちなみにこの黄色い液体は小麦粉、卵、料理酒を合わせた”バッター液”。
小麦粉、卵と順につけてもいいのだけど、食材によっては粉がつきにくいのでこちらを推したい。水ではなく酒にすることでカラッと仕上がる、高温で水分が抜けるのだ。
手つきはそれっぽい。「こんなもんかな」と言いながら揚げていた。どんなもんなんだ
手つきはそれっぽい。「こんなもんかな」と言いながら揚げていた。どんなもんなんだ
さて、そんなこんなでハイチュウが揚がったようだ。megayaさんの「あまり食いたくない」という力のない声が聞こえてくる。

「人工っぽい匂い」
「ガム…?」
 固まるさくらいさん
固まるさくらいさん
固まるさくらいさんを後ろで見ている江ノ島さん
固まるさくらいさんを後ろで見ている江ノ島さん
恐る恐る口にするも食材を当てられない参加者たち。
「ガム…?」
「食べてもなんだかわからない意外性がある」

闇感は高いので、そう言った意味では良いかもしれない。気心知れた仲間でやるならアリ、取引先の専務とやるならナシだ。
「とろけるチーズを参考に、糸を引く感じを出したかった」らしい。ちゃんと糸を引いてる。頑張る方向性以外はあっていた
「とろけるチーズを参考に、糸を引く感じを出したかった」らしい。ちゃんと糸を引いてる。頑張る方向性以外はあっていた
次からはちゃんとみんな食材を選んでます。この記事は食べ物で遊んでいるわけではありません。

ケース2:すっぱくて四角いもの

続けてネッシーさんが持ってきたこちら。
今まで見てきた串揚げの中で一番四角い。The most 四角
今まで見てきた串揚げの中で一番四角い。The most 四角
「何これ、四角…?」
「黒い部分なに、しいたけ…?」

よくわからなさに現場は混乱している。
   12 みんなで食べる四角
12 みんなで食べる四角
「あ、魚だ。フライっぽくなってる」
「酸っぱい!」
「酸っぱい!」

そう、魚を使った酸っぱいもの…
さば寿司だ!
さば寿司だ!
ネッシー「さばを揚げたらどう寿司から味が変化するかと思って」
もしかしたらしっかり揚げると美味しいかもしれない。今回は酸味が勝ってしまった。

また、オススメ度の低さとしてはその調理のしづらさもある。
そのままではシャリが崩れ崩壊。漫画だったら大汗が出るくらいドタバタしていた
そのままではシャリが崩れ崩壊。漫画だったら大汗が出るくらいドタバタしていた
正方形にカットし貫通させたら落ち着いた。異様にフォトジェニックではある
正方形にカットし貫通させたら落ち着いた。異様にフォトジェニックではある

ケース3:円柱でくさいもの

続けての食材はなんだ!
続けての食材はなんだ!
江ノ島「海苔巻きでしょ」
megaya「明らかに巻いてあるじゃないですか」

バレバレだ。しかし、なんの海苔巻きかはわからない。図らずも闇海苔巻きという新境地を開拓してしまった。
奥で腕を組んでいる方が闇海苔巻きの開発者です
奥で腕を組んでいる方が闇海苔巻きの開発者です
先ほどもお伝えしたように酸味と油の相性はあまりよろしくない。
表情が物語る。「納豆巻きだこれ!」
表情が物語る。「納豆巻きだこれ!」
レスキューソース
レスキューソース
レスキューソース

ソースをつけると素材の味がぼやけるので、"これどうしても食えんわ"という際の救済措置として用意したが、ついに出番が回ってきてしまった。

さくらい「醤油つけたい」
ソースしかない、我慢してください。

それと、やっぱり深いバットがあるだけで串カツの雰囲気が高まる。買ってよかった。

個人的には納豆が苦手だったので本当に辛かった。4年に1度くらい納豆にチャレンジしているのだけど、また4年間先延ばしになった。2021年に再び会おう。
口直しに「エンゲル係数」っぽい響きの調理器具を見てください
口直しに「エンゲル係数」っぽい響きの調理器具を見てください

ケース4:たまに料理で見かける果物

さぁ茶番はここまでだ。ここからはちゃんとおいしいものを紹介する。
あ、かわいいぞ
あ、かわいいぞ
筆者、北向ハナウタの用意した食材だ。薄揚げだったので色とフォルムでわかるだろうか。
これだ。カットパイン
これだ。カットパイン
何より準備が楽だ。カットされているから刺すだけ、抜け落ちない安定性。調理のしやすさは大きな評価ポイントである。
おいしいおいしい、と声が上がった中で一人の男が待ったをかける。
「僕はダメですねこれ」
「僕はダメですねこれ」
”果物、料理に入ってるのムリ派”の江ノ島さんだ。酢豚のパイン、カレーピラフのレーズン…少数民族ではあるが4、5人集まればひとりは紛れている宗派である。その点を鑑みると多少リスクのある具材といえよう。

みんなが楽しくてうれしいものを探す。料理研究は一筋縄ではいかないのだ。

ケース5:肉をどうにか加工したもの

あとふたつだけ、おいしいやつを紹介させて欲しい。
これは綺麗に揚がった
これは綺麗に揚がった
具バレないように食材の入場時は目隠しをします
具バレないように食材の入場時は目隠しをします
確実に美味しいやつを、とmegayaさんがチョイスしてきたのが、
こちら、コンビーフ
こちら、コンビーフ
やー、それはうまいでしょう。確実にうまいでしょう。「検索したら以外と無くて」との言葉通り、ささっと検索した程度ではありそうでなかなか見かけない優秀な食材だ。(スパムならあった)
安心のおいしさ
安心のおいしさ
うまいなー!これはあれだな、冷たいビールがほしい。きっと取引先の専務も大喜びだ。
とはいえ施設はアルコール禁止のため、揚げ物群を熱いお茶で流し込む。悔しいほどに健全だ。

これに負けじと美味しかったのが最後に紹介するこちら。

ケース6:丸いけど三角のもの

たぶん一番人気があった
たぶん一番人気があった
「見た目、それっぽい!」
「三角…?」
「形がバラバラ…一番長いやつ、イカゲソ?」
会場がざわつく。形がバラバラなのはおれの技量のせいです
会場がざわつく。形がバラバラなのはおれの技量のせいです
「あ、これうまい!」と一様に好評だったのが、
じゃーん、ピザパン!
じゃーん、ピザパン!
美味しくなるような予感はしてたけどやっぱりこれは当たりだ。企画者としての面目が保てたので良かった。
三角に切って串を刺していく。パンは厚みがあるので刺しやすい
三角に切って串を刺していく。パンは厚みがあるので刺しやすい
見た目も味も作りやすさも合格点。ただひとつだけマイナスをつけるとしたら…
さくらいさんとかぶった
さくらいさんとかぶった
かぶりが発生するということだ。そうかーみんな考えるかー!
正確にはピザとピザパンなので違うと言い張りたいけど、この二つの間にはユニクロとGUの差くらいしかない。いや、多分もっとない。

こういった具合でいずれの食材も見所があって良かった。
油物は処理も面倒なので今までちょっと敬遠していたのだけど、揚げ物の純粋なエンターテイメント性に改めて気付かされた。単純に楽しい。

結論。闇串カツ、ありです

そういったわけで、闇串カツ、ありです。もし「たまには家で飲もうよ」となったときにはぜひ一度食材を持ち寄って試していただきたい。

おれは次回はビールが飲める環境でやりたい。会いに行くよ、ステンレス製の深いバットを持って。

いろいろ試したい

候補として考えていたのは大福、餃子、ビッグカツ(駄菓子)、アボカド、きゅうりのぬか漬け、羊羹、マシュマロ…まだまだ可能性を秘めた食材がたくさんあると思う。勢い余ってパン粉買いすぎたんだ。近いうちにまたやろう。
ネッシーさんが持ってきてくれたシュークリームはパイシューみたいになって良かったらしい。江ノ島さんが食べている写真しか残っていなかった
ネッシーさんが持ってきてくれたシュークリームはパイシューみたいになって良かったらしい。江ノ島さんが食べている写真しか残っていなかった
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