特集 2018年2月12日

人工知能(AI)に面白記事を考えさせたら怒られた

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人工知能(AI)界隈が沸いている。その言葉を聞かない日は無いほどに。

自分の乏しい発想力と拙い言語能力を嘆きつつ、いつも日一日と迫る締め切りに四苦八苦している僕が「人工知能に記事を書かせて自分はゲームとかしていたい」と思うのも無理からぬことであったと思う。

しかし今現在、僕は原稿を書いている。先に言ってしまえばその企みは失敗であった。しかし完全に失敗でもなかった。むしろ完全に失敗したほうがネタにしやすかったのかもしれない。
1984年生まれ岡山のど田舎在住。技術的な事を探求するのが趣味。お皿を作って売っていたりもする。思い付いた事はやってみないと気がすまない性格。(動画インタビュー)

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> 個人サイト オカモトラボ

人工知能に記事を書かせる

いつも記事を書く前は、デイリーポータルZ編集部とチャットで打ち合わせをする。
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僕は「人工知能に記事を書かせる」でどうかと言ってみた。もっともらしい理由も付けているが、なぜそんな事を言ったのかと白状すると、出来上がった文章が多少下手だったとしても「人工知能が書いた」と銘打っていれば許されそうな気がしたからだ。あと僕は少しプログラミングもかじっている。

テキトーな文章を、何にはばかることもなく衆目に曝す事ができる、その魔法ワードが「ジンコウチノウ」だった。その時、僕は我ながら良いアイデアだと心底思っていた。

編集部から快諾をもらい、早速人工知能に取り掛かろうとした時に、僕は人工知能についてほとんど何も知らない事に気づいた。

人工知能ってなに?

よく分からない人工知能というものを作らなければならない。ヒントとなるものを探していた所、CMで役所広司さんが「人工知能は愛(=AI)」だと踊りながら歌っていた。むしろ分からなくなったのでネットで調べ直した所、「人工知能とは人間の知能の働きをコンピュータに再現させる事」だそうだ。なるほど。

しかし、そもそも「人間の知能」の定義は出来ていないので、人工知能に確たる定義は存在しないらしい。

そこで「大量のデータからパターンを見つけて新たに作り出す」という事にした。

人工知能を作るにあたり、最初にぶつかる壁は「大量のデータ」を集めることだ。世間では「アルファGO」や「ポナンザ」という人工知能が囲碁や将棋で人間を打ち負かしているが(とはいえ僕の技術力ではそこまで高度な事は出来ないけれど)、それらの人工知能が強くなりえたのは「棋譜」と呼ばれる大量のデータが揃っていたからと言っても過言ではない。
そこでデイリーポータルZの過去記事をパク…お借りした。
そこでデイリーポータルZの過去記事をパク…お借りした。
その上で「マルコフ連鎖」という手法だと比較的簡単に文章を作り出せると分かった。

まだ記事全体を作り出すのは難しいので、タイトルだけを作り、そのタイトル通りに行動する事にしよう。そうすれば「人工知能が考えた記事」という事になる。


完成したのがこちらである。

記事タイトル生成AI
だいぶん端折ったが、これを作るのもかなり苦労した。良く考えずに発言すると後が大変なんだなと思った。

このプログラムは過去のデイリーポータルZの記事からランダムに言葉を繋いでタイトルを生成している。これが果たして人工知能か?と言われれば、ちょっと怪しいかもしれないが「大量のデータからパターンを見つけて新たに作り出す」という意味においては広義の人工知能と言えなくもない。人工知能に定義が無い以上「言ったもん勝ち」である。要するに大目に見て欲しい。

しかしこの通り、マルコフ連鎖は言葉の意味は考慮していない。生成される文章は運に左右されるので僕はこれを「人工知能ガチャ」と呼ぶ事にした。

人工知能ガチャのいうとおりに記事を作る

人工知能ガチャで出てきたタイトルに従って行動してそれを記事にする。

たまに元の記事のタイトルがそのまま出たりもするが、その場合を除いて難しくても無理やりこじつけてでもやり抜く決意だ。
という事で、色々な事態に対応出来る様に公園に来た。
という事で、色々な事態に対応出来る様に公園に来た。
移動しないといけない場合に備えて車も回してきた。パスポート…は持ってこなかったけど、元の記事には海外の記事も多いので、海外の地名が出る可能性も十分に考えられる。そうなるとほとんど詰むが、その場合は似た地名等でごまかすしかない。「ハワイ→羽合」みたいな感じだ。
スマートフォンでさきほどのプログラムが表示出来る様にしている。
スマートフォンでさきほどのプログラムが表示出来る様にしている。
さきほどのプログラムを触ってもらうと分かるのだが、かなり無茶な内容も多い。そういう意味では「人工知能は愛」という役所広司さんの歌には異論を唱えたい。

しかしだからと言って何度も人工知能ガチャを引き直すなんて興醒めなので、リテイクなしの一発勝負とする。
手にも力が入る。
手にも力が入る。
運命の瞬間だ。

・・・ポチっと。
結果を見て思わず笑う。
結果を見て思わず笑う。
「コンクリについてきました」
「コンクリについてきました」
・・・短い。それにすごく簡単な気がする。(元ネタは多分この記事など)

かなり大変なお題も覚悟していたので正直言ってホッとした。
コンクリを探す。
コンクリを探す。
この石同士をくっつけているのがコンクリ(ート)だ。・・・コンクリについてきました!
この石同士をくっつけているのがコンクリ(ート)だ。・・・コンクリについてきました!
さっきの場所から5メートルも離れていないし、1分でクリアしてしまった。

めちゃくちゃ難しいお題をなんとかクリアして「トホホ~、もう人工知能はこりごりだよ~(チャンチャン)」で記事を締めようと密かに目論んでいたが、こんなにも簡単にクリアしまうとは…。

敵の向こうに立っているネギとは

しかし、これではさすがに拍子抜けだし話が全く広がらない。無かった事にしよう。もう一度、人工知能ガチャを引く。

気を取り直して・・・ポチッと。
「地面に書かれた敵の向こう側に立っているネギの写真を撮ると人はまっすぐ歩くことがある」
「地面に書かれた敵の向こう側に立っているネギの写真を撮ると人はまっすぐ歩くことがある」
長い。日本語として合っている様でなんか変だ。(元ネタはこの記事この記事この記事この記事などかと…)

そして「敵」って誰だ?とりあえずネギが必要そうだ。
という事で急遽ネギを買いに行ってきた。
という事で急遽ネギを買いに行ってきた。
そして「地面に書かれた敵」は「敵」という字をそのまま地面に書いた。
そして「地面に書かれた敵」は「敵」という字をそのまま地面に書いた。
敵というお題に対して「敵」という字そのまま書くというのはライターとして終わっているのだが何も思い付かなかったし、そもそも「敵」という漢字さえも思い出せなくてスマホで調べた。パソコンとかスマホばかり使っていると漢字がすぐ出てこなくなる。
「地面に書かれた敵の向こう側に立っているネギの…
「地面に書かれた敵の向こう側に立っているネギの…
写真を撮ると…
写真を撮ると…
人はまっすぐ歩くことがある」
人はまっすぐ歩くことがある」





…………なんだこれ、面白いのか?
人工知能の出すお題をクリアする事しか頭に無かった僕は、クリアした途端に冷静さを取り戻した。

自分で始めた事だけどこの企画、着地点が見えないぞ。

人は追い詰められるとモノボケに走る

ネキを見つめたまま途方に暮れる。
ネキを見つめたまま途方に暮れる。
どうしよう?どうすれば面白くなるんだ…。記事にならないんじゃないか?これ。
追い詰められてネギで種田選手のモノマネを始める僕。
追い詰められてネギで種田選手のモノマネを始める僕。
さらに、ぐるぐるバットならぬ「ぐるぐるネギ」をする。
さらに、ぐるぐるバットならぬ「ぐるぐるネギ」をする。
この様に、地面に書かれた敵の向こう側に立っているネギの写真を撮ると人は追い詰められてモノボケに走るのだ。


今にして思えば「まっすぐ歩く」というお題だったはずが完全に「迷走している」と言えよう。

ついに怒られました

結局、打開策が見つからないので、もう一度人工知能ガチャを引くことにした。

なんでも良いので面白いお題を出してくれえ!!

・・・ポチッと。
「ちゃんと考えて下さい・その3」
「ちゃんと考えて下さい・その3」
怒られた。
予想外の結果にめちゃくちゃウケる。
予想外の結果にめちゃくちゃウケる。
人工知能でラクをしようとせず、ちゃんと自分で考えたほうが良い。というイソップ寓話みたいな話になった。(元ネタはこの記事この記事かと)

出来過ぎているので仕込みだと疑われそうだがガチだ。

最後はちゃんとオチをつけてくれて本当に助かった。やっぱり人工知能って愛だね!

今回、僕が作った人工知能(っぽいもの)は、この様に微妙な結果だったけれど、いつか人工知能のほうが面白い記事を書くことが出来る様になるかもしれない。

今後も研究していきたいと思う。
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