特集 2018年3月20日

食用花はワンカップすらファンシーにする

ファンシーワンカップ。
ファンシーワンカップ。
いいお料理に添えられているあの食べられる花、エディブルフラワーと言うらしい。

色々な食べ物に添えてみたが、あのワンカップまで素敵でファンシーなビジュアルになったのだ。
1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。動画インタビュー

前の記事:旅行先が決められないので、好きな野菜の産地に行く


食べられるお花があるのだ

「この飾りのお花も食べられますよ」
友人の結婚式などでウエイターさんに言われる。

調べたら「エディブルフラワー」と言うそうだ。食べられる花。
このカレーに乗っているお花だ。なんと食べられる。
このカレーに乗っているお花だ。なんと食べられる。
観賞用の花には体に害のある農薬が使われていたり、花そのものに毒があったりするので食べられない。そこで、食べられるように栽培されたのがエディブルフラワーである。そもそも花を食べようという発想が今までなかった。ゴリラや、人里に降りてきてしまった鹿がむしゃむしゃ食べているイメージがある。花。
ゴリラ。(写真:写真AC)
ゴリラ。(写真:写真AC

エディブルフラワーはデパートに売っている

更に調べると、一般の人間もエディブルフラワーを買うことができるらしい。花をむしゃむしゃ食べる道が一般人にも開かれているのだ。
デパートの生鮮食品売り場にあるとインターネットで情報を得る。
デパートの生鮮食品売り場にあるとインターネットで情報を得る。
野菜のコーナーにしれっと売っていた。エディブルフラワーである。
これだ。みちっと詰められている。観賞用の花とはどこか扱いが違う。
これだ。みちっと詰められている。観賞用の花とはどこか扱いが違う。
しっかり「食用花」と書かれている。
しっかり「食用花」と書かれている。
1パック350円ほどだった。思っていたより安い。いや、これは食べる草花、つまり野菜なのだ。「白菜が1/4カットで198円!」と驚いていた身からすると、このボリュームで350円は高い。やはり高級食材なのだと思う。だからデパートで売っているのだ。
きれいだ。すまないが「おいしそう!」とは思えない。
きれいだ。すまないが「おいしそう!」とは思えない。

食卓がファンシーになる

こんな食品があるのだ。驚いたその足で飲食持込OKの漫画喫茶に行って、エディブルフラワーを盛り付けた。
頼んでみたのはカレー。絶対おいしいが、どちらかとといえば寂しいビジュアル。
頼んでみたのはカレー。絶対おいしいが、どちらかとといえば寂しいビジュアル。
ありにするとこう。素敵だ。森の妖精が作ってくれたカレー、という感じがする。
ありにするとこう。素敵だ。森の妖精が作ってくれたカレー、という感じがする。
ナポリタンも…
ナポリタンも…
こうだ。ちょっと盛り付けすぎた。
こうだ。ちょっと盛り付けすぎた。
森の妖精が盛り付けすぎたナポリタン。
森の妖精が盛り付けすぎたナポリタン。
思っていた通りとてもいい。エディブルフラワーがあるとファンシーで特別なお料理なように見えてくるのだ。これ、どんな食べ物にも通用するのだろうか。やってみた。
エディブルフラワーも各種用意。と思ったら真ん中にあるでかい花(蘭)は食用じゃなかった。
エディブルフラワーも各種用意。と思ったら真ん中にあるでかい花(蘭)は食用じゃなかった。

文句なくファンシー

なるべく男っぽい、野暮ったい食べ物を探して、エディブルフラワーを盛り付け続けた。まずは文句なくファンシーになっちゃったものである。
タラのムニエル。文句なくファンシーだ。森からフルートの音色が聞こえる。
タラのムニエル。文句なくファンシーだ。森からフルートの音色が聞こえる。
マクドナルドのセットもファンシー。妖精の森でピクニックをしているのだ。
マクドナルドのセットもファンシー。妖精の森でピクニックをしているのだ。
ラーメンもファンシー。湯切りをする妖精が眼に浮かぶ。
ラーメンもファンシー。湯切りをする妖精が眼に浮かぶ。
世界に春を告げるファンシー牛丼。
世界に春を告げるファンシー牛丼。
素敵だ。みんな素敵になってしまった。料理が華やかになるので、食べてもおいしく感じる。エディブルフラワー、想像以上である。

ちなみにエディブルフラワーは、ベビーリーフのような柔らかい葉物の野菜と食感や味が似ていた。とてもおいしい。ただ見た目が完全に花なので、一口ごとに少し決意がいる。
花を浮かべたメロンソーダがすごくよかった。特別な休日に飲む特別なメロンソーダ。
花を浮かべたメロンソーダがすごくよかった。特別な休日に飲む特別なメロンソーダ。

ぎりぎりファンシー

エディブルフラワーはどこまでファンシーにできるのか。もっとぎりぎりを攻めてみよう。
ちくわ。
ちくわ。
「のペーん」という擬音が聞こえてくるようだ。まだファンシーさのかけらもない。
「おっ…!」と思った。ぎりぎりファンシーに足がかかっている。
「おっ…!」と思った。ぎりぎりファンシーに足がかかっている。
これでもいい。気まぐれな妖精が花を咲かせていったのだ。
これでもいい。気まぐれな妖精が花を咲かせていったのだ。
6Pチーズもセーフ。「森でリッツパーティがあるのかな?」と思うだろう。
6Pチーズもセーフ。「森でリッツパーティがあるのかな?」と思うだろう。
氷結も、
氷結も、
梅干しも、
梅干しも、
豆腐も、
豆腐も、
食パンも、ファンシーだ。
食パンも、ファンシーだ。
どれも「ピクニックに来たのかな」と思わせるビジュアルになっている。ファンシーの崖に手をかけてぶら下がっているのだ。
おにぎりだってファンシー。聖なる神殿で祝福を受けたおにぎり。
おにぎりだってファンシー。聖なる神殿で祝福を受けたおにぎり。
咲いた! 春ですね。
咲いた! 春ですね。
そしてワンカップである。
そしてワンカップである。
あら!
あら!
なぜだかだらしのない男っぽさを漂わせてしまうワンカップだが、エディブルフラワーを浮かべるとHPが回復しそうな飲み物になった。「妖精のしずく」みたいな名前でゲームに登場しそうだ。
菊を浮べても素敵。
菊を浮べても素敵。
飲んだら何もかもうまくいきそうである。
飲んだら何もかもうまくいきそうである。

ファンシーにならなかったものたち

なんとワンカップまでもがファンシーになった。しかし頑としてファンシーを拒んだものたちもいた。
こんにゃくである。
こんにゃくである。
なんだかよく分からないことに。
なんだかよく分からないことに。
グレーの塊に花が寄り添っている。単純に「なんでだろう」と思ってしまう。あまりにも素材っぽすぎたのだろうか。こんにゃくをそのまま皿に出して食べる人はいないだろう。独特の香りだけが部屋に立ち込めていた。
花は美しいがどうしたらいいのだろうか。
花は美しいがどうしたらいいのだろうか。
たくさん咲かせたらいいのか
たくさん咲かせたらいいのか
花を挿す緑のスポンジ(オアシスというらしい)みたいなことになった。何にしろファンシーではない。
花を挿す緑のスポンジ(オアシスというらしい)みたいなことになった。何にしろファンシーではない。
のりもダメだった。何かが失敗してこうなってしまった、という雰囲気がどうしてもぬぐえない。
のりもダメだった。何かが失敗してこうなってしまった、という雰囲気がどうしてもぬぐえない。
花がそれぞれ、落ち込んでいるように見えるから不思議だ。
ガムもダメだ。どうして花が集まってきたのだ、と怒りすら感じてしまう。
ガムもダメだ。どうして花が集まってきたのだ、と怒りすら感じてしまう。
淡色でのっぺりした塊はあまりに素材っぽすぎてダメなのかもしれない。エディブルフラワーを盛り付けてファンシーにしようと思ったら、完成した料理を用意した方がいい。
あとパックのご飯も「何で?」と問い詰めたくなる。料理だ。料理に盛り付けたほうがいい。
あとパックのご飯も「何で?」と問い詰めたくなる。料理だ。料理に盛り付けたほうがいい。

もうひとつのファンシーでないエディブルフラワー

最後に、違う角度からファンシーでなくなったエディブルフラワーを紹介したい。
エディブルフラワー丼だ。
エディブルフラワー丼だ。
ご飯の中央にツナ缶を開け、まわりをエディブルフラワーで埋め尽くし、最後にマヨネーズと、食用でない、飾りの蘭を添えた。
きれい。
きれい。
色の圧力がすごい。ここまでぐいぐい花を出してしまうとファンシーではない。生命力の爆発である。
味はうまい。エディブルフラワーとツナが合う。
味はうまい。エディブルフラワーとツナが合う。
ただ、やっぱり花をむしゃむしゃ食べているな、と思う。
ただ、やっぱり花をむしゃむしゃ食べているな、と思う。
ゴリラか。
ゴリラか。

エディブルフラワーはまだまだあるので、これから我が家の食卓に添えられることになった。春がきて大喜びしている家庭みたいでいいと思う。
納豆ご飯はファンシーにならなかった。
納豆ご飯はファンシーにならなかった。
あと、ワンカップのラベルの裏には「ワンカップができるまで」という読み物が付いているのだ。知らなかった。
あと、ワンカップのラベルの裏には「ワンカップができるまで」という読み物が付いているのだ。知らなかった。
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