特集 2018年4月24日

名古屋の松屋にはきしめんがあるし、ローソンにはハブ酒がある

右往左往した記事です。
右往左往した記事です。
4月も後半、学生や新社会人、転職して新しい職場で働いている方々もいると思う。環境が違うと大変なことも多いと思うが、失敗してもめげないでほしい。世の中には自分の不注意で失敗する人もいるのだから。これはそんな男が挽回しようと努力した物語である。
1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。(動画インタビュー)

前の記事:自分で書いたラブレターを他人に清書してもらう


本当は「名古屋でうそ中を食べる」という記事だった

独特のグルメが多く存在する町、名古屋。味噌カツ、台湾ラーメン、ひつまぶしなどを生み出してきた町でまたもや知らないグルメを発見した。それを出しているのが長命うどんである。
外観は普通の老舗うどん屋に見える。
外観は普通の老舗うどん屋に見える。
昼時に行ったのだが、店内はお客さんでいっぱいだった。少し待って中に入る。着席してメニュー表を見るとうどんの他にも多くのメニューがあるようだ。
世の中にある全ての麺類がここには存在する。
世の中にある全ての麺類がここには存在する。
そばとうどんの両方提供するお店もあるが、ここでは、和風中華(ラーメン)、冷麦、そうめんなど各種多様な麺類がそろっており、名古屋ならではのきしめんもある。

そして、驚くのはこれだけではない。食べ方の項目だ。
6種類の食べ方があるのだ。
6種類の食べ方があるのだ。
かけや冷やしなどはわかるが、ゆつき、ぬるというのは聞いたことがない。店員さんに聞いたところ、ゆつきは「湯に入ったまま麺が出てくる」、ぬるは「つゆがぬるい」、ころは「冷たいつゆがかかっている」とのことだ。しかし、すごいのは品数とゆで方だけではない。ここからだ。

どれにしようか、今日は暑いから冷やしがいいかな、と悩んでいると隣の人が「うちゅう」と頼んでいた。ディスカバリーチャンネルの話かなと思ったが違う。個人的にはカートゥーンネットワークが好きだがその話ではない。

ここでは複数の麺を同時に食べることができるのだ。うちゅうとは、うどんと和風中華である。

今回頼もうとしているのは、うそ中である。うどん、そば、和風中華の3種類が入ってくるのだ。お昼のコンビニで「そばとうどん、カップラーメンどれにしよう」と考えることがあるが、そういう迷いはここでは考えなくていい。全部頼もう。
「とくでいいですか?」と聞かれて、わからず「はい」と答えたが、多分特盛りが来る。
「とくでいいですか?」と聞かれて、わからず「はい」と答えたが、多分特盛りが来る。
たまに「大盛り無料」につられて大盛りにしてしまい、思いのほかの量が来てしまうことがあるが、特盛りなんて想像がつかない。今、食べ物に怖さを感じている。

そして、それはすぐにやってきた。
うそ中がやってきた、こうやって書くと他校に乗り込んできた不良っぽい。
うそ中がやってきた、こうやって書くと他校に乗り込んできた不良っぽい。
人生で麺の色を意識したことがなかったが、こうやって見るとそれぞれの色の違いが見て取れる。ラーメンの麺って黄色い。うどんはこんなにも白いのか、そばはいぶし銀を感じる色をしている。

あと、思っていたほどの量が来なくて良かった。各1玉ずつなのでそこまでの量ではなくペロリと食べきれる。

また、初めて普通の中華麺をそばつゆで食べたがこれはおいしい。だしの効いたつゆでさっぱりスルスルと食べられる。コシもあって本格的だった。おいしいお店を見つけて興奮していた。あの事実を知るまでは。

現地で企画がボツになる

基礎がわかったところで2件目に行こうとスマホで検索しようとしたところで問題が発生した。
おいしかったなー(あまりのショックで撮影し忘れたので翌日、家の前で撮影した再現写真です。)
おいしかったなー(あまりのショックで撮影し忘れたので翌日、家の前で撮影した再現写真です。)
よし、2件目はうそき中にして、全部食べてみよう。みそ味のもあるのか~。
よし、2件目はうそき中にして、全部食べてみよう。みそ味のもあるのか~。
バス停の近くで次の目的地を確認する。名古屋に来たのだからみそ味を食べたいと思いつつ、ふと「長命うどん 変わった」で調べたときだった。
デイリーポータルZの記事が出てきた。
デイリーポータルZの記事が出てきた。
これは・・・!
これは・・・!
長命うどんの記事だった。
長命うどんの記事だった。
2015年にライターの尾張さんが書いた「名古屋の麺事情が柔軟過ぎて、うちゅう」が検索に出てきた。出て来てしまった。現地で。

いや、いいわけさせてもらうと、事前にグーグルで「長命うどん」で検索したのだ。そこで出てこなかったので「よし、記事にしよう!」と思い名古屋にウキウキ気分でやってきた。時間もないし、これで次の記事は決まったと。

事前に調べて「いやーもうあったか」となることは今まで何度もあったが、現地に来て見つけてしまったときの「全てが終わった」と思うこの絶望感、わかりますか? 私は今体験しました。
何もできず空を見つめた。
何もできず空を見つめた。
名古屋のビルはおしゃれだ。空も青い。
名古屋のビルはおしゃれだ。空も青い。
呆然としていられない。この日が4/22、更新予定が4/25である。この日で撮影が終わらないと原稿を落とすことになり、それはそれは怖いことになるだろう。どうにかして記事にしなければならない。
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名古屋のコンビニは休憩スペースが多い

そんな状況の中でコンビニを回ってみたところ、休憩スペースが多いことに気づいた。名古屋駅周辺のコンビニを10件ほど回ったが、6件ぐらいあった。
外を見ながら軽く食事ができるスペース。
外を見ながら軽く食事ができるスペース。
シックな雰囲気で落ち着いて食事ができますね。
シックな雰囲気で落ち着いて食事ができますね。
こちらはUSBと電源コンセントがついているのでスマホの充電もできる。
こちらはUSBと電源コンセントがついているのでスマホの充電もできる。
とりあえず、グミとお茶を飲んで落ち着いた。
とりあえず、グミとお茶を飲んで落ち着いた。
コンビニを回って気がついた。「これ、ずっと回っても記事にならないかもしれない」と。この記事を書くのなら20店舗ぐらい回りたいがそんな時間がない。あと、先日、足にできた魚の目で足が痛い。

何かないのだろうか。このまま帰って「俺がシャンシャンだ!」(パンダの生活を1日してみる)になってしまうのか。(これはこれでやるかもしれない。)

俺たちの松屋がピンチ救ってくれた

いつだって助けてくれるのは身近な存在である。困っている状況で松屋を見つけた。
どこに行ってもこの黄色い看板を見ると安心しますよね。
どこに行ってもこの黄色い看板を見ると安心しますよね。
「お、松屋だ」と思って近づくと、ごろごろチキンのてりたま丼のお知らせポスターの近くに見慣れないメニューを見つけた。
きしめんである。
きしめんである。
さすが名古屋、松屋にもきしめんがある。聞いたところ、店舗限定で名古屋にしかないらしい。

ちなみに牛とじ丼も元々は店舗限定だったのが、今では置いてある店舗も増えてきた。個人的に調べていた結果がようやく言えた。置いてあるきしめんは2種類。
かつおだしのきいたつゆとお揚げが乗ったきつねきしめん。
かつおだしのきいたつゆとお揚げが乗ったきつねきしめん。
ピリッと辛いカレーきしめんもある。カレーがおいしい松屋ならカレーきしめんは是非食べたい。
ピリッと辛いカレーきしめんもある。カレーがおいしい松屋ならカレーきしめんは是非食べたい。
ミニもできるので、他のメニューとセットにもできる。
ミニもできるので、他のメニューとセットにもできる。
松屋好きとしては、食べなければならないだろう。さっそく頼もうと、券売機で頼もうとしたら試練が来た。
どこにもきしめんがない。
どこにもきしめんがない。
画面上どこにも「きしめん」の文字がない。裏メニューなのか。適当にメニューを押してみると、
ハンバーグ定食を押したら、
ハンバーグ定食を押したら、
右上にきしめんの文字が出てきた。
右上にきしめんの文字が出てきた。
きしめんだ!
きしめんだ!
裏技的な操作で隠れメニューを発見した気持ちになりながら、食券を出して数分、テーブルにきしめんがやってきた。
これが松屋のきしめん。
これが松屋のきしめん。
一般的な松屋では見かけない和風のどんぶりにたっぷりと注がれたおつゆ、麺がほとんど見えないほど大きなお揚げ、そしてきしめん。松屋でこれが食べられるのか。関東にも出してほしい。寒い日に食べたい。あと、企画開発の方に相談なのですが、キムチチゲにきしめんを入れて出してほしいです。
牛めしセットもあるので昨日の夜から何も食べていない空腹な人にもおすすめ。
牛めしセットもあるので昨日の夜から何も食べていない空腹な人にもおすすめ。
セットにはちゃんとみそ汁がついてくる。汁物が2つなった。
セットにはちゃんとみそ汁がついてくる。汁物が2つなった。
これだけも十分おいしいのだが、ここで裏技を発見してしまった。牛皿を頼んで乗せれば肉きしめんになる。
牛皿を乗せたきしめん。
牛皿を乗せたきしめん。
先ほどまで「パンダは1日のうち14時間を食事に費やし、睡眠時間は約10時間である」という情報を見たとき、動きがなさすぎる記事になるなと悩んでいたのを忘れてしまう豪華な姿。
最高だった。
最高だった。
たっぷりと乗った肉ときしめんを食べると、先ほどまで「シャンシャンってやっぱり笹を食べるのか、人間が食べてもいいのか?」と不安になっていたことを忘れてしまう。段々と「俺がシャンシャンだ!」の記事内容が固まってきた。
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名古屋にはコンビニに沖縄がある

松屋でとてもいいものを見つけたのでこれで記事は大丈夫だろうと、近くのコンビニに寄って帰ろうとしたら、また良いものを見つけた。
コンビニにシーサーがいる。
コンビニにシーサーがいる。
沖縄のアンテナショップかと思い、看板を見たらローソンだった。どっちだ。
中に入ると沖縄の食べ物がずらりと並ぶ。
中に入ると沖縄の食べ物がずらりと並ぶ。
ローソンの商品も置いてあるのだが、目に入ってくるのは沖縄の商品の数々。まるで南国の風が吹いてくるようだ。名古屋だけど。
油みそや石垣島ラー油(おいしい)も置いてある。
油みそや石垣島ラー油(おいしい)も置いてある。
沖縄のアンテナショップがあるのはここだけとのこと。調べるとローソンでは地域の自治体とコラボして、アンテナショップと併設した店舗がいくつかあるらしい。東京には北海道旭川市、函館市それぞれのアンテナショップが併設しているローソンがある。
お茶やミキ(この記事に詳しく書いてある)もあるし、
お茶やミキ(この記事に詳しく書いてある)もあるし、
冷えたオリオンビールもあれば、
冷えたオリオンビールもあれば、
泡盛もある。
泡盛もある。
ここのローソンにも休憩スペースがあるので、ここでオリオンビールを買って、沖縄の食べ物をつまみに飲むのもありだ。飲んでいる人もいた。ベロベロだった。

そんな中で珍しいものを見つけた。「ハブ酒」である。
店内に入ってすぐ、置物かと思ったら商品だった。
店内に入ってすぐ、置物かと思ったら商品だった。
シーサーに守られた真ん中に置いてある「ハブ酒」。珍しいので試しに買ってみようと思い、値段を見たら声が出そうになった。
コンビニで13,000円する商品は初めて見た。二度見した。
コンビニで13,000円する商品は初めて見た。二度見した。
気軽に買える商品が並ぶコンビニで13,000円。おにぎり100円セールだったら130個買える。

(名古屋に来たのに何もなしえてないじゃないか、これは買うべきだ。しかし、1,3000円。)心の中で葛藤をしながら店内を2周した。一度、ルートビア(沖縄のジュース)を飲んで落ちつこう。飲んだあとも店員の目線が気になるほどハブ酒を凝視しながら買うかどうか葛藤した。だって1,3000円ですよ。
でも買いました。(そして、この後に3脚からカメラを外そうとして落として壊れた。)
でも買いました。(そして、この後に3脚からカメラを外そうとして落として壊れた。)
コンビニで商品を買うのにこんなに緊張することは今後ないだろう。手汗がすごかった。1人で飲むのももったいないので、多くの人と飲みたい。どんな味がするのだろうか。

ハブ酒を飲んでみる

ハブ酒を飲むため、第3回ウェブメディアびっくりセールが行われた会場にやってきた。すでに会場は打ち上げが始まっている。飲んでいる中、会場にいた人たちでハブ酒の味見をしてみることにした。
岩沢兄弟と本当に近くにいた人にお願いした。
岩沢兄弟と本当に近くにいた人にお願いした。
どのようなものか知らず、開けてみるとお酒の中にハブが1匹入っている。
びっくりセールの会場でびっくりした。
びっくりセールの会場でびっくりした。
原材料は、泡盛・ハブ・ハーブ13種類。最後、ダジャレにしたかった制作者の意図を感じる。
原材料は、泡盛・ハブ・ハーブ13種類。最後、ダジャレにしたかった制作者の意図を感じる。
色々な面でびっくりしているが、飲んでみよう。
周りから「不良に絡まれて飲まされている」というガヤが聞こえてきたが試飲。
周りから「不良に絡まれて飲まされている」というガヤが聞こえてきたが試飲。
1人だけやられている。
1人だけやられている。
アルコール度数35℃の泡盛もかなり強烈だが、ハブとハーブの匂いが何よりもきつい。
「魚の死んだ匂いがする」と撮影をしてくれた編集部の安藤さんが言っていたが、まさにそれだ。
風邪をひいていた岩沢ヒトシ(兄)さんも「治りそう」と言っていたのでよかった。
風邪をひいていた岩沢ヒトシ(兄)さんも「治りそう」と言っていたのでよかった。
この後、会場中を回り歩いてハブ酒の振る舞いをした。
この後、会場中を回り歩いてハブ酒の振る舞いをした。
会場内では「まろやかで飲みやすくておいしい。どこで買ったんですか?」、「名古屋です」、「なんで名古屋?」というやりとりを10回ぐらいしたが、おいしいと評判だった。

なんとか記事が書けたのでよかったです。この日ぐっすり寝られた。

カメラも直った

この後、打ち上げに参加して帰る途中、安藤さんから「カメラ忘れているよ!しかも直った。」と連絡が入った。

落とした衝撃でカメラのレンズがずっと出たまま戻らなくなり、買い換えないといけないなと思っていたところ、「さすが、元カメラ屋の安藤さんと物づくりの岩沢兄弟の3人だ!」と急いで戻って受け取り、「どうやって直したんですか?」と聞いたら、「力でレンズを押したら戻った」らしい。世の中を制するのは力だ。
名古屋で見つけた良さのある立体駐車場で本日はお別れです。
名古屋で見つけた良さのある立体駐車場で本日はお別れです。
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