とくべつ企画「すげえ」 2018年5月6日

すげえ普通に売られている高いお茶

レジに持っていってびっくりするアレです
レジに持っていってびっくりするアレです
1,000円。並みに稼いでいる人であれば特段高いと感じることはないだろうし、中学生だって使うのにそこまで躊躇する額ではない。ただそれは通常1,000円くらいで売られているものを1,000円で買うときの話であり、意外なものが1,000円だと一瞬「うっ…」と脇腹を小突かれたような気持ちになってしまう。

例えばコンビニですげえ普通に売られているお茶が実は1,000円だった時である。
1992年東京生まれ。普段は商品についてくるオマケとかを考えている会社員。好きな食べ物はちくわです。最近子どもが生まれたので「人間ってすごい」と本気で感じています。(動画インタビュー)

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> 個人サイト 日和見びより

レジの前で真顔に

喉が渇いたので飲み物を求めてコンビニに来ました
喉が渇いたので飲み物を求めてコンビニに来ました
わぁ~たくさん飲み物があるなぁ~どれにしようかな~
わぁ~たくさん飲み物があるなぁ~どれにしようかな~
コンビニで飲み物を買う時はいつも迷ってしまう。次々に発売される新商品に挑戦しようか、安全パイを取って定番品にしようか。揺れる想いに翻弄されつつ、この日は新商品のお茶を選んだ。
ビン入りとは珍しいな…
ビン入りとは珍しいな…
多少の違和感を覚えつつ会計を済ませるためレジを通すと店員から機械的に金額が告げられた。

「(ピッ)…1,080円です」

…!?

1,080円だと!?ちょっと喉が渇いたからふらっと立ち寄ったコンビニで買ったお茶が1,000円を超えるなんてことがあるのか!砂漠の真ん中のコンビニならまだしも、ここは大都会TOKYOのConvenience Storeだぞ。
値段を撮ったが焦って光が入ってしまい全然見えない
値段を撮ったが焦って光が入ってしまい全然見えない
しかも1,080円というのが絶妙で、レジの前で「やっぱりやめます」とは言いづらい金額
である。汗水垂らして働いているのに1,000円のお茶も買えないのか!と己の自尊心が語りかけてくる。
レジの向こう側に連れていかれる1,000円札と100円玉。バイバイ俺のお金…
レジの向こう側に連れていかれる1,000円札と100円玉。バイバイ俺のお金…
ここで断る勇気を持てない自分が憎い。こんなことでは「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」により、浅ましき人食い虎に成り果ててしまう。もういっそ虎ノ門あたりに隠れて「その声は、我が友、いまいずみではないか?」と声をかけられるのを待つのもいいかもしれない。それで高校2年生の教科書に載ろう。
ここまで考えてしまうとレジの前で真顔にならざるを得ない
ここまで考えてしまうとレジの前で真顔にならざるを得ない

馴染みっぷりがすげえ

さて、コンビニ店員による突然の1,000円宣告に動転してしまったが、冷静になって考えてみるとそもそも陳列の時点でもうちょっと1,000円であることがプッシュされていても良かったのではないか。
改めて売り場を見るとどう見ても100円台の顔をして並んでいる
改めて売り場を見るとどう見ても100円台の顔をして並んでいる
確かに値札には1,000円とある。しかしなんだこの馴染みっぷりは。ちょっとしたドッキリである。別に最初から高いものだと分かっていれば、1,000円ごときに動揺なんてしない。こちとら毎日しっかり働いているのだ。
買った後も特別扱いされることなくコンビニの袋に当たり前に入れられる。1,000円のお茶を買ったことなんてなかったかのように。
買った後も特別扱いされることなくコンビニの袋に当たり前に入れられる。1,000円のお茶を買ったことなんてなかったかのように。
ここまで何事もなく並べられていると、普通っぷりがすげえという話になってくる。まるで日常に潜むバグを見つけたような感覚だ。あぁ開発者に報告したい。日常の開発者って誰だ、神さまなのか。神さま、この世界には127円みたいな顔した1,000円のお茶が並んでいますよ。すげえ普通に。アーメン。

1,000円のお茶は1,000円の味がする

すげえ普通に売られていることが神さまにも報告できたのでもう思い残すことはないのだが、せっかく買ったのでありがたく飲ませていただこう。
なにやら希少品種の茶葉を使っているらしい
なにやら希少品種の茶葉を使っているらしい
色は普通のお茶とあまり変わりがない
色は普通のお茶とあまり変わりがない
開けた時の香りはやはり普通のものよりも豊かだ。広大な草原が広がっている感じ、とはこういうことなのだろうか。正直、お茶に関して語れるほどの知識を持ち合わせておらず恐縮だが、一番伝わる言い方をすると、1,000円の香りだな、ということである。
ではいただきます
ではいただきます
あぁ美味い。1,000円の味がする。
あぁ美味い。1,000円の味がする。
色々言っていますが美味しいお茶でした。

このお茶をはじめに買った時は記事の通り突然の1,000円だったので写真を撮る余裕がなかった。記事を書くにあたり、改めてこのお茶を購入して写真を撮ったのだが、実は最初に買った店舗ですでに取り扱いが終わっており、新たにこのお茶が置いてあるコンビニを探すことになった。

しかしこのお茶、全然どこにも置いてないのだ。15店舗くらいのコンビニを回ったあげく、結局はちょうどこのお茶をSNSにあげていた友人にどこで買ったかを聞いてそこまで買いに行った。

苦労して探したからこそ余計にすげえ普通に売られているのが心に染みた。
売られ方はすげえ普通ですが売られているのはレアなので見つけたら買った方がいいと思います
売られ方はすげえ普通ですが売られているのはレアなので見つけたら買った方がいいと思います
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