特集 2018年5月15日

デパ地下にある謎のイートインを巡る

優雅の極みでした。
優雅の極みでした。
デパ地下って、お惣菜やスイーツを買う場所だと思っていたのだが、ところどころにイートインスペースがあるようだ。

どんなところだろうかと巡ってみたら、貴族のような優雅な体験ができた。
1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。

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デパ地下にはのれんに覆われた謎のスペースがある

珍しくデパ地下に買い物に行った妻が「のれんに覆われた謎のスペースがある…!」と興奮気味に帰ってきた。いやいや、あそこはお惣菜やスイーツが売っている場所だ。そんなスペースあるわけないと言いながら見に行ったら確かにあった。
魚治という鮒寿司のお店
魚治という鮒寿司のお店
正面にはおなじみのガラスケースがあって食べ物が並んでいるのだが、その横に長いのれんと、木のカウンターが見える。デパ地下で食材を買うこと自体にハードルを感じていた筆者だが、まだその先にエクストラステージがあったのだ。

RPGで、最後のボスを倒したと思ったらその後ろに洞窟への入口が現れる、あれである。デパ地下を巡って、そのエクストラステージだけ片っ端から経験してみた。

1ヶ所目 日本橋三越のお茶屋さんにある謎のイートイン

日本橋三越に来た。みんなに触られてつやつやのライオン。
日本橋三越に来た。みんなに触られてつやつやのライオン。
平日昼前のデパ地下である。なにやら品のいい奥様たちで賑わっている。まだ誰も手をつけてなさそうなピカピカのお惣菜やスイーツがケースに並んでいる。雰囲気に当てられながら謎のイートインを探す。
お寿司屋さん、うなぎ屋さん、天ぷら屋さんのイートインならあった。
お寿司屋さん、うなぎ屋さん、天ぷら屋さんのイートインならあった。
デパ地下をうろうろしたその足で、すぐ入って食べるお寿司ってどんな感じだろうかと思うが、ここは売り場と飲食スペースが完全に区切られている分「まあ分からなくもないな」という気持ちになる。
そんな中、お茶屋さんにカウンターを発見。
そんな中、お茶屋さんにカウンターを発見。
売り場と一体になっている。広いデパ地下をうろうろするのって結構疲れるんだろうなあと思っていたが、ベテランのデパ地下ウォーカーになると、こういうところで足を休めているのだ。今まで全然意識して見ていなかった。
何か頼んでみようとメニューをもらう。一緒にお茶のレーダーチャートももらった。
何か頼んでみようとメニューをもらう。一緒にお茶のレーダーチャートももらった。
お茶とロールケーキのセットを注文。
お茶とロールケーキのセットを注文。
色んな入れ物を経由させながらお湯で湯呑みを温めて、お茶っぱを、なんかこう、色んな手順を踏んでお茶を入れてくれた。2煎目のためのお湯のポットももらう。飲むとこめかみまで苦味と旨味が広がり、すごくシャンとした気持ちになる。お茶ってこうやって楽しむのだ。

気が遠くなるほど優雅な雰囲気に包まれながら、背中ではデパ地下の活気を感じていた。奥様たちの元気な話し声と店内放送が聞こえる。カードを作るとお得だとか、そういう話だ。端的に言って変な場所である。
静岡の紅茶とやらの試飲も頂いた。華やかな感じがしておいしかった。
静岡の紅茶とやらの試飲も頂いた。華やかな感じがしておいしかった。
カウンターなので店員さんと談笑したりするのだろうかと思っていたが、店員さんは売り場に来たお客さんの対応をするので、一人でお茶を頂いた。お茶を入れるのに使う砂時計や食器を見ながらぼんやりすることになる。
お茶を飲んでいる間の視界。ちょっと実家っぽいなと思った。
お茶を飲んでいる間の視界。ちょっと実家っぽいなと思った。
そこで飲んだお茶をおみやげ用にも買う、というとんでもなくおしゃれなこともしてみた。雰囲気に当てられて油断しているのだ。デパートでばんばん物を買っちゃう人の心理が分かる気がする。
待ってる間にまたお茶をもらう。もう、ばんぼんお茶をもらう。
待ってる間にまたお茶をもらう。もう、ばんぼんお茶をもらう。
おみやげのお茶を包んだ紙袋をもらってお茶屋さんを出た。大変な満足である。知る人ぞ知る秘密のスペースでまかない飯を食べたような気持ちになった。

次のデパートに行ってみよう。

2カ所目 銀座三越、鮒寿司のお店の謎のイートイン

銀座三越。「4丁目で愛ましょう」とライオンが言っている。
銀座三越。「4丁目で愛ましょう」とライオンが言っている。
向かいに、桃を包んでいる網みたいなビルがあった。
向かいに、桃を包んでいる網みたいなビルがあった。
向かったのは冒頭で紹介した、のれんが深くかかった謎のイートインである。
気になるが、入るのに勇気がいる。
気になるが、入るのに勇気がいる。
「ここで食べられるんですか?」と恐る恐る店員さんに聞いてのれんをくぐる。
何もない。何もないし誰もいない。
何もない。何もないし誰もいない。
新居ばりに何もない。つるっとしたきれいな木のカウンターがあるだけである。ぼんやりしているとさっきの店員さんが「1,296円です」と言ってお金を置くトレイを持ってきた。

「何がだ」

と思いながら払う。メニューが1品だけなのだろう。何だそれは。すごくかっこいい。

しばらくするとお茶漬けが出てきた。鮒寿司のお茶漬けである…!
なんか大人の食べ物…!
なんか大人の食べ物…!
酸っぱくて臭みがあるけどそれがうまい、というすごく大人の体験だった。漬物と交互に食べるとまたうまい。お茶漬けなんだけど急いでかきこむことはせず、ゆっくり味わって食べることができた。

ここもやはり、店員さんは売り場に行ってしまうのでカウンターの奥の壁を見ながらぼんやり鮒寿司を食べる。また優雅な時間を過ごしてしまった。そしてそのすぐ後ろはデパ地下である。
つまりこういう位置関係だ。
つまりこういう位置関係だ。
天体みたいに説明するとこういうことになる。
天体みたいに説明するとこういうことになる。
そして平日お昼どきのデパ地下は、お弁当を買いに来るビジネスマンで賑わっていた。お昼休みにデパ地下にお弁当を買いに来たのである。お昼休みに、デパ地下に、お弁当を買いに来る人生があるのだ。

3ヶ所目 銀座三越、チーズ屋さんの謎のイートイン

同じく銀座三越の謎のイートインである。チーズ屋さんの横に5席だけのカウンターがあって、ワインとグラスが並んである。バーだ。
バー。
バー。
行こうとしたら午後は14時からだということで、上の階で時間をつぶして出直すことにする。すぐに14時になったが、開店を見計らって行くのは張り切りすぎなような気もしてもう少し、もう少し、と思いながらじわじわ時間をつぶす。
時間をつぶしていたら中庭みたいな場所に神社を見つけた。
時間をつぶしていたら中庭みたいな場所に神社を見つけた。
でもそんな長時間そわそわしていられるものでもなく、結局14時15分ごろにまたチーズ屋さんに行く。何だか初めて美容院に来た中学生みたいになってしまった。

行くと、奥から「バーテンダーでございます」と言わんばかりのパリッとした男性が出てきて、本日のワインの特徴を説明してくれた。
白ワインをもらった。緊張する。
白ワインをもらった。緊張する。
今までのイートインは、店員さんが売り場の接客もしていたのでじっくり話す機会がなかったが、このバーテンダーさんはイートイン専門の方のようだ。色々話が聞けた。
デパ地下のイートイン事情について
● 最近増えてるみたい
● ここ(チーズ屋さん)は、8年前改装した時にこのスペースができた

イートインを使う人について
● 待ち合わせで使う人が多い
● あと飲み会の締めに
● 他には、夫婦で買い物にきた時の旦那さんの待機場所に

バーテンダーさんについて
● ここの他に新宿のデパートも担当している
● 同じデパートでも銀座と新宿では全然雰囲気が違う
● 新宿は色んなところから色んな人が来る
何しろ緊張しながら話していて、食べたものの写真を撮り忘れてしまった。バーテンダーさんが選んでくれたチーズ食べました。
何しろ緊張しながら話していて、食べたものの写真を撮り忘れてしまった。バーテンダーさんが選んでくれたチーズ食べました。
この謎のイートインスペースは、待ち合わせとか飲み会の締めとか、ちょっとした時間のすき間に使う人が多いみたいだ。僕も銀だこの立ち飲みのスペースをそういう風に使ったことがある。

しかしイートインとは言え、バーでバーテンダーさんと話しながら一人でお酒を飲んでしまった。これも大人の体験だなと思う。一人でバーに行こうという志がある方は、デパ地下のイートインからはじめるといいかもしれない。

4ヶ所目 新宿伊勢丹、お肉屋さんの謎のイートイン

次は編集部の藤原さんが勧めてくれた新宿伊勢丹の謎のイートインに行ってみる。
伊勢丹のデパ地下、ものすごく広い。あとデパ地下ってどこも風景が一緒なので何軒かまわると頭が混乱してくる。
伊勢丹のデパ地下、ものすごく広い。あとデパ地下ってどこも風景が一緒なので何軒かまわると頭が混乱してくる。
お肉屋さんのイートインだ。時間ももう夕方近くになってきて、大変賑わっている。
ショーケースの真横にカウンターがあるスタイル。
ショーケースの真横にカウンターがあるスタイル。
ソーセージとビールを注文。
ソーセージとビールを注文。
お肉屋さんのソーセージである。間違いなくうまい。

デパ地下って、ショーケースを見て「おいしそうだなあ」と思うだけの世界かと思っていたのだが、それをその場ですぐ食べる、という選択肢が存在したのだ。今更だが何だかしみじみしてしまった。
反対の端のカウンターに、デパ地下慣れしてそうな奥様が座って、仕事の電話をしながら何かを食べていた。
反対の端のカウンターに、デパ地下慣れしてそうな奥様が座って、仕事の電話をしながら何かを食べていた。
この日初めての同席したお客さんである。待ち合わせだろうか。何となく気になりながらも、店員さんが試食のハムをものすごい早さで作る様子を見ながらビールを飲んだ。
世の中には色々な職人がいる。
世の中には色々な職人がいる。

デパ地下の謎のイートインは何だったのか

デパ地下にある謎のイートインは、待ち合わせとかちょっと休憩する方のために作られた、それはそれは優雅な飲食スペースであった。

イートインの有り無しを確認しながらのデパ地下散策はすごく楽しかった。ただでさえ楽しいデパ地下のエンターテインメント性がまた増してしまった。もはや入場料を取った方がいいんじゃないかと思った。
この日、11,930歩も歩いてしまった。デパ地下ばかりを。
この日、11,930歩も歩いてしまった。デパ地下ばかりを。

今回、4つのデパートを巡って、うち3つで求めていたイートインを見つけることができた。ちょっと入りにくいけどなんか気になるぞというイートイン、だいたいどのデパートにもあるみたいである。僕は今まで意識していなかったから見えていなかったのだ。
日本橋のかっこいい麒麟の像。
日本橋のかっこいい麒麟の像。

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