特集 2018年8月4日

降水量×走った距離が1000を超えるとずぶぬれ

観測史上1位の降水量から法則が出てきました
観測史上1位の降水量から法則が出てきました
降水量300mm/時間を体験できることになった。場所はつくばの防災科学技術研究所。以前にもべつやくさんが一般公開で100mmの雨を体験している。(こちら

だが今回はその3倍。300mmだ。ちなみに日本の観測史上1位は153mm/時。1時間続く降水量としてはほぼありえない数字である。

こんな機会はめったにない。あの人を誘おう。
1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと新宿区で活動。 編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。

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増田さんが体験します

あと出し天気を連載中の「天気が好きすぎる気象予報士」増田さんだ。TBSの番組出演のあとさっそうとつくばに登場した。
興奮が抑えきれない
興奮が抑えきれない
お天気キャスターのなかにはタレント的な人もいるが、増田さんはガチである。
対面で台風の話をすると言葉の端々に興奮を感じる。感じるのだが、それをそのまま天気予報で出すわけにはいかず、テレビ・ラジオではクールな言葉遣いになっている(たまに出る)。

今回は実験施設の雨である、遠慮なく興奮してもらおう。
これが人工の降水装置
これが人工の降水装置
この体育館のような建物の中だけで雨がふる。しかもこの体育館は移動式なのだ。建物の中だけで雨が降って、それが動く。なぞなぞのような建物である。
雨が降っている動く家、なーんだ。
こたえ:国立研究開発法人防災科学技術研究所。
天井のノズルから雨が降る。
天井のノズルから雨が降る。
雨を降らせる前、ゴゴゴとポンプで水を送っている音が聞こえるのも萌えポイントである。
あともうひとつはこれ。
移動のレールはしっかりと鉄道のレールである。萌えー
移動のレールはしっかりと鉄道のレールである。萌えー
今回の実験は「脳波を用いたゲリラ豪雨直前予報伝達に向けた情報設計」というプロジェクトの一環で行われている。豪雨にあったときの様子(映像、音声、脳波)を測定するのが目的だ。
このようにして雨に降られているようすを写真に撮ったり、音などを測定する
このようにして雨に降られているようすを写真に撮ったり、音などを測定する
被験者はレインコート+傘、傘のみ、傘なしなど複数のパターンに分かれている。僕と増田さんは傘あり・レインコートなしチームである。
脳波センサーを付ける増田さん
脳波センサーを付ける増田さん
しかし脳波センサーが不調のため、増田さんの測定は後回しになった(これがあとで伏線になります)。増田さんが降雨でどのような脳波を出すか気になっていたが残念である。
これは毎時60mmぐらいの降水量
これは毎時60mmぐらいの降水量
60mmは気象庁の表現では「非常に激しい雨」である。台風でもめったにないレベル。いわゆる土砂降りが20~30mm/時の量である。水たまりができる雨が10mm/時。
雨は体感以上に数字が小さいのだ。
傘をさしていてもどれぐらい濡れるかを写真に撮っている
傘をさしていてもどれぐらい濡れるかを写真に撮っている
「この話は今度天気予報でしよう」。仕事熱心である。
ちなみに服がグレーなのは濡れているのがよく分かるようにとの配慮からだ。
毎時300mmというありえない降水量だとすごすぎて笑ってしまう
毎時300mmというありえない降水量だとすごすぎて笑ってしまう
1時間の最大降水量の日本記録は153mm(千葉県 香取市・1999年)なので300mmのありえなさが分かると思う。
ただ、10分で50mmという記録があるので(新潟県阿賀町室谷2011年)、これを1時間に換算すると300mm。その雨がこれだ。ありえない10分が1時間続いたら、という設定だ。

以前、増田さんに自宅のシャワーの降水量を測ってもらったことがあったが、弱で200mm/時であった。

300mm/時では傘をさしていてもずぶ濡れ。濡れてないのは傘を持っている手だけである。

虹ができる

この実験施設、外から日光が差し込むため、きれいに虹が見えるのだ。
外側の虹も見える
外側の虹も見える
動画で撮ると円形の虹が自分を追いかけているように見えるのがよく分かる。
水滴がプリズムの働きをして虹ができる。水滴のなかで光はもう一度反射するので外側に虹ができる。だから外側の虹は内側の虹と色が逆になる。虹は観察者が中心になった円形。

など理科で習った知識が体験できているのだが、感想としては「仏像の光輪みたい」と別教科だった。

ついに傘を手放す増田さん

虹に見とれていたら、増田さんが傘も手放して雨の中に突っ込んでいった。
え、なんで?!
え、なんで?!
いやいやいや無理無理、とすぐに戻ってくる。
いやいやいや無理無理、とすぐに戻ってくる。
この人の天気好き過ぎっぷりはすごいぞ、と改めて思った瞬間である。ただ走り回っていたわけではない。いくつかの降水量の雨の中に入っていって発見をしたのだ。

毎時300mmの雨だと3m走るだけでずぶ濡れ
毎時60mmの雨だと20mでずぶ濡れ
100mで10mでずぶ濡れ

降水量(mm)×距離(m)が1000を超えるとずぶ濡れになるのだ。
「これは10年後の気象予報士の試験に出るな」と自信満々である。
発見と引き換えに体温を奪われた増田さん。陽の光で回復を待つ
発見と引き換えに体温を奪われた増田さん。陽の光で回復を待つ
ずぶ濡れ1000の法則:
降水量(mm/時)×走った距離(m)>1000でずぶぬれ

脳波はどうなった

このあと「脳波の測定お願いします!」と言いにいったところ、濡れてない状態の人が雨に濡れたときの脳波を測定したかったので、もういいですとのことであった。
ご覧の通り我々はすっかりずぶ濡れだったのだ。

ということで、脳波は残さなかったがずぶ濡れの1000法則を残してさっそうと帰った。
ずぶ濡れ1000の法則ではシャツとズボンが同じ色になります
ずぶ濡れ1000の法則ではシャツとズボンが同じ色になります

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