特集 2018年8月29日

中華渦巻きでなんでも中華になるか実験

東京駅もラーメン屋さんみたいに見えてくる。
東京駅もラーメン屋さんみたいに見えてくる。
ラーメンのどんぶりとかラーメン屋さんの看板とかに書かれている渦巻き模様があるだろう。

あれを添えるとあらゆるものが中国っぽくなるんじゃないだろうか?

そう思ったので、試してみたのですが、色々寄り道をしたので日記形式でご覧ください。
あばよ涙、よろしく勇気、こんにちは松本です。

1976年千葉県鴨川市(内浦)生まれ。システムエンジニアなどやってましたが、2010年にライター兼アプリ作家として自由業化。iPhoneアプリはDIY GPS、速攻乗換案内、立体録音部、Here.info、雨かしら?などを開発しました。著書は「チェーン店B級グルメ メニュー別ガチンコ食べ比べ」「30日間マクドナルド生活」の2冊。買ってくだされ。(動画インタビュー)

前の記事:干しナマコの醤油煮が出来るまで(デジタルリマスター版)

> 個人サイト keiziweb DIY GPS 速攻乗換案内

[日記] 8/22 記事のテーマに悩む

記事の掲載は8/29。あと1週間だ。まだ何をするのか決めていない。そろそろ決めて動き始めないとマズイ。

寝ている間もなにを書くか悩み、眉間にシワが寄る。いくつかの候補で決めかねる。
再現写真。右の黒いのは猫です。
再現写真。右の黒いのは猫です。

[日記] 8/23 とりあえず造形してみる

寝ながら『中華っぽい渦巻き』を3Dプリンターで作って色んなものにくっつけたら面白いかも知れないと思いついた。

起きてみて、果たして面白いのだろうか?記事なるのか?どう展開させる?と頭を抱えた。

夢は、見ている間は楽しいが、醒めてみると急につまらないものに思えるものだ。

でも、とりあえず作ってみることにした。
とりあえずCADで図面を作った。
とりあえずCADで図面を作った。
こんな感じだろうか。
こんな感じだろうか。
3Dプリンターで作ってみる。
3Dプリンターで作ってみる。
適当な大きさで作ったら小さすぎた。作り直し。
小さすぎた。未だにサイズ感はプリントしてみないとよく分からない。
小さすぎた。未だにサイズ感はプリントしてみないとよく分からない。

[日記] 8/24 本当に雷紋でいくのか悩む

調べてみると、この渦巻きは『雷紋』という模様らしい。

昨日作ったモデルは小さすぎたので作り直し。

3Dプリンターは手先が不器用でもキレイな造形物を作れるのだが、やり直しになる事が多く、そのたびに数時間待つ必要がある。

そして再び、本当に雷紋を作って記事にして面白いのだろうか?と悩む。
悩みつつも作る。いくつか作るには時間が必要なので早めにやっておかないとならない。
悩みつつも作る。いくつか作るには時間が必要なので早めにやっておかないとならない。
今度はいい感じの大きさに出来た。
1個あたり2時間掛かるので、2個同時に作ると待ち時間は4時間である。
1個あたり2時間掛かるので、2個同時に作ると待ち時間は4時間である。
このくらいの大きさがちょうど良いっぽい。
このくらいの大きさがちょうど良いっぽい。

[日記] 8/24夜 猫に壁ドンされた

夜、ご飯を食べ終えてTVを見ていると黒猫のなつめ氏がやってきて座椅子の背もたれで壁ドンされた。

ドキドキしたが、主にお腹に乗られた苦しさによるものだ。
なつめ氏は止まっている人間が好きで、寝てたり座ってたりすると寄ってくる。動いている人間は嫌い。
なつめ氏は止まっている人間が好きで、寝てたり座ってたりすると寄ってくる。動いている人間は嫌い。

[日記] 8/25 マグネットを付けてホワイトボードに貼った

出来た雷紋の裏に磁石を組み込んだ。

そう、これは磁石で色んな所に貼り付けられる雷紋マグネットなのだ。
ダイソーの磁石。小さいけど強力なので使いやすい。マグネット式なので簡単に着け外しができます。
ダイソーの磁石。小さいけど強力なので使いやすい。マグネット式なので簡単に着け外しができます。
ホワイトボードに貼ってみた。中華料理屋っぽさが出た。
プログラミングの初歩を教えていたのだけど、中華料理のお品書きっぽさが出た。
プログラミングの初歩を教えていたのだけど、中華料理のお品書きっぽさが出た。
会社のドアに貼ってみた。

プログラミング教室がラーメン屋になった。
アプリの作り方を教えているとは思えないだろう。どうだ、面白いだろう。
アプリの作り方を教えているとは思えないだろう。どうだ、面白いだろう。
思ったより良い感じになったので、これで進めることに決定した(なお、ボツ時に備えて別のテーマもある程度進めてある)。 こういうのは面白いと言い切ってしまうことが大事だ。よし、これは面白い。面白んだ。面白いに違いない!!!(自己暗示)

[日記] 8/25 担当石川氏に報告

そういえば担当編集の石川氏にテーマを報告してない。さすがにいきなり記事を送り付けるのはまずいのでメッセンジャーで報告。
大丈夫そうなのでこのままいくことにした。
大丈夫そうなのでこのままいくことにした。

[日記] 8/26朝 試す

MacBoolAirの周りに並べてみると、とても賑やかになって良い。
景気が良くなる感じがする。
景気が良くなる感じがする。

[日記] 8/26昼 自転車がパンクした

記事のテーマとは関係ないが、日記風に進めているので自転車がパンクしたこともご報告しておきます。
いきなりパンクして走行不能になった。
いきなりパンクして走行不能になった。

[日記] 8/26午後 日本橋、銀座、東京に向かった

とりあえず日本橋に来た。アテは無い。

雷紋マグネットを作って色んなところ貼ってみることは決まったのだが、具体的にどうしたらいいのかは手探りである。

テーマがフワフワした状態で進める撮影はツラい。しかし、きっとなにか面白いことが起こるであろう。
日本橋と書かれた柱に付けてみた。中華街っぽさが出た。わはは、面白いだろう。
日本橋と書かれた柱に付けてみた。中華街っぽさが出た。わはは、面白いだろう。
面白いので続けてみることにした(自分に言い聞かせる)。
いやー、中華街だ。
いやー、中華街だ。
磁石が付かない看板もある。
磁石が付かない看板もある。
手でカメラの前に出してみるという手法を編み出した(そんな大層なもん?)。
日本橋の麒麟が来々軒っぽくなる。
日本橋の麒麟が来々軒っぽくなる。
面白いまま次のページにつづきます。
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銀座と雷紋の相性

日本橋から銀座に移動した。銀座の風景に雷紋は馴染むだろうか。
銀座で迷走してきた。
銀座で迷走してきた。
銀座和光と雷紋。
銀座和光と雷紋。
銀座の緑と雷紋。なぜだろう、シンガポールという単語が頭に浮かんだ。
銀座の緑と雷紋。なぜだろう、シンガポールという単語が頭に浮かんだ。
水族館っぽいものがあったので、雷紋を重ねてみた。意味はよく分からない。
水族館っぽいものがあったので、雷紋を重ねてみた。意味はよく分からない。

分からない

正直に書こう、この辺の写真を撮っている間、僕はなにも分からないで撮っていた。

どうしたらいいのか、まとまるのか、面白いのか分からないのだ。こういうことは年に4,5回ある(多いな!)。
冒頭にも使った東京駅と雷紋の写真。
冒頭にも使った東京駅と雷紋の写真。
この時の気持ちは、

「とりあえず写真を撮っておけば48時間後くらいの俺がなんとかしてくれるだろう」

だ。なんて他人事なんだ、48時間前の俺よ。
地下に行くとラーメン屋街がありそうである(実際、東京駅の八重洲地下にはラーメン屋街がある)。
地下に行くとラーメン屋街がありそうである(実際、東京駅の八重洲地下にはラーメン屋街がある)。

ポストにくっつけてみたりもした

とりあえず何でもやっておこうと思い、ポストにくっつけてみたりもした。
あれ、案外合うかも。
あれ、案外合うかも。
コインロッカーに付けてみたら、開けたらラーメン出てきそうな感じになった。おかもち感がある。やはり雷紋はラーメンのイメージなのだ。

中華っていうか、ラーメンのイメージなんだよ。
コインロッカーラーメン。
コインロッカーラーメン。

雷紋=ラーメン説

賢明で聡明であらせられる皆さんは、何を今更と思っているだろう。

よく思い出してみると、雷紋は中華料理と言うか、ラーメンを中心としたごく限られた場所にしか出現しない。

『雷紋=中華、中国』ではなく、限りなく『雷紋=日式ラーメン』なのだった。
ラーメンの丼に書かれた雷紋。よく見る。
ラーメンの丼に書かれた雷紋。よく見る。
過去に撮ってきたラーメンの写真を探してみると、やはりラーメンの丼に書かれていた。
日高屋のラーメン。
日高屋のラーメン。
幸楽苑のラーメン。
幸楽苑のラーメン。
そもそも雷紋には魔物を道に迷わせて追い払う魔よけの意味があるのだという。

調べてみると、元は古九谷(石川県の古い焼き物)に書かれていた文様で、それが大正時代に東京でラーメンどんぶりに描かれたのだそうな。

雷紋自体は古代中国でもあった文様だが、ラーメンと雷紋をくっ付けたのは日本人なのらしい。

参考:ラーメン丼の渦巻き模様「雷紋」の秘密
家にある九谷焼の皿(少し古い)。青い迷路っぽい模様も魔物を迷わせる魔よけの意味があるのだろうか。
家にある九谷焼の皿(少し古い)。青い迷路っぽい模様も魔物を迷わせる魔よけの意味があるのだろうか。
これも九谷焼だが、周りの雲模様みたいのが変化すると雷紋になるのかもしれない。
これも九谷焼だが、周りの雲模様みたいのが変化すると雷紋になるのかもしれない。

本格っぽい中華料理屋さんに雷紋は無い

雷紋の由来を知ってからよく見ると、本格中華っぽいお店の看板に雷紋が無いことに気づく。
いわゆる街中華ではなく、ガチ中華のお店。雷紋は見当たらない。
いわゆる街中華ではなく、ガチ中華のお店。雷紋は見当たらない。
雷紋っぽい模様はあるが、違う。
雷紋っぽい模様はあるが、違う。
黒くて格好いい店構え。雷紋は見られない。
黒くて格好いい店構え。雷紋は見られない。
ここのお店にも雷紋は無い。
ここのお店にも雷紋は無い。
中華街の門にも雷紋は無い。
中華街の門にも雷紋は無い。
本格中華のお店に雷紋は無く、来々軒というお店の看板と暖簾には雷紋があった。

なるほど、確かに中華料理と雷紋の組み合わせは日本の街中華特有の様式なのだ。
古き良き、町にある中華料理屋さんというイメージそのまんまな来々軒。
古き良き、町にある中華料理屋さんというイメージそのまんまな来々軒。
次のページにつづく。
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[日記] 8/26夜 自転車を買った

パンクした自転車だが、撮影後に近所の自転車屋さんに持って行ったら、前後輪のタイヤ全交換(とても傷んでいた)、ブレーキ交換(特に前輪はすり減って無くなっていた)などなどで修理代がとても高くなってしまうと言われた。

直した方が安いのだけど、全体的に傷みすぎているのは確かなので買い替えることにした。

新しい自転車はとても軽快でとても乗りやすい。買い替えて良かった。3万円。
青の7号と名づけた(人生で7台目なので)。
青の7号と名づけた(人生で7台目なので)。

[日記] 8/27 食べ物と合わせてみることにした

雷紋とは、日本人の頭に刻まれた中華料理の記号なのだ。つまり、なにかに雷紋を添えるとそれが中華料理に見えてしまう、一種のバグなのである。

となると、食べ物に添えるとなんでも中華料理に見えてくるのではないだろうか。
かき揚げそばがラーメンに見えてくるだろう。
かき揚げそばがラーメンに見えてくるだろう。
そばだけ見ればかき揚げそばだが、全体としてみるとラーメンに見えてくる。

Googleフォトもラーメンと認識している。
AIも騙す雷紋の威力(というかGoogleフォトは往々にしてソバとラーメンの区別がついていない)。
AIも騙す雷紋の威力(というかGoogleフォトは往々にしてソバとラーメンの区別がついていない)。

麺でない料理はどうだろう?

麺料理はラーメンに見えても仕方ない。だが、寿司はどうだろうか?
回転寿司に行ってきた。
回転寿司に行ってきた。
雷紋を並べてみる。
中華料理である。
中華料理である。
イクラだが、創味シャンタンみたいな味に違いない。
イクラだが、創味シャンタンみたいな味に違いない。
ごま油が効いてそうだ。
ごま油が効いてそうだ。
餃子の寿司なんてのもあった。やはり寿司も中華料理なのだ。
餃子の寿司なんてのもあった。やはり寿司も中華料理なのだ。

[日記] 8/27夜 作文を始める

写真が揃ってきたので、そろそろ作文を始める。まずは写真を選んで、幅640ピクセルにする。

料理の写真は少し明るめにして、赤と黄色にカラーバランスを寄せ、彩度を少し上げると2割増し美味しそうになる。

構成は日記風にしようと思っていたので、それに合わせて画像ファイルの名前を連番に変え、全体の流れを決めた。

半分くらい書いて今日は終わり。

[日記] 8/28昼 ハンバーグはどうだろう?

締め切りまであと2時間。朝4時から作業して、10時に眠くなって起きたら14時だった。締め切りは16時。

まだ撮ってない写真を撮りにハンバーグとステーキのお店に行った。サラダとスープとパンが食べ放題になる素敵なお店だ。

洋食でも雷紋を添えると中華料理にしか見えなくなるはずだ。
中華料理にしか見えないパン、サラダ、スープ。
中華料理にしか見えないパン、サラダ、スープ。
ハンバーグとカットステーキのセットも中華になる。
ほらもう、あらゆる料理が中華料理になるのだ。
ほらもう、あらゆる料理が中華料理になるのだ。
肉汁がジューシーな中華風ハンバーグ。
肉汁がジューシーな中華風ハンバーグ。
ハンバーグとステーキのお店だが、なぜか卵かけご飯のフェアをやっており、卵もご飯も無料で食べ放題なのだという。

なんで?と思いつつ、写真を撮りたくて頼んでみた。
はい、卵かけご飯も中華料理化。
はい、卵かけご飯も中華料理化。
普通においしかったですが、なんでハンバーグ食べながら卵かけご飯?という疑問は残った。
普通においしかったですが、なんでハンバーグ食べながら卵かけご飯?という疑問は残った。
こんな感じでどうでしょうか?
猫に載せると中華料理店の看板猫に見えてきます。
猫に載せると中華料理店の看板猫に見えてきます。

[日記] 8/28 16時半 夏なので日記風にしてみた

締め切りを30分過ぎた。

担当編集の石川氏には17時に送ると連絡を入れたのであと30分の余裕がある。今回もなんとかなった(なった?)。

次回はまた1か月後だ。それまでになにか考えておかなくてはならない。ネタの自転車操業である。

2005年に当サイトで書かせてもらうようになって13年、いつも自転車操業である。

いつまでこの自転車操業を続けられるか分からないが、パンクしないといいなと思いました(まさかの伏線回収)。
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