ひらめきの月曜日 2011年7月18日
 

実食検証・どろぼう食品の泥棒度

法に触れないどろぼう
法に触れないどろぼう
商品名に「どろぼう」という言葉を冠した食品がある。語義からすると意外だが、それを使うと一緒に食べるものが盗まれたような勢いで進んでしまうことを例えたものだろう。

用法の意外性と、商品に対する自信。食べてみたくなるインパクトがあふれるネーミングだと思う。

しかし、たまに見かけはするものの、個人的には実際に食べた記憶がない。どろぼう食品の泥棒ぶりはどんなものだろうか。見聞きするたびにうっすら気になってた彼らを集めて食べてみたいと思う。
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」

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合法的に存在するどろぼう食品

その意表を突いたネーミングが気になる、どろぼう食品。私が話に聞いて一度食べてみたかったのは、中国地方出身の知人から聞いた「肉どろぼう」だ。
この店に肉どろぼうが来ているはず
この店に肉どろぼうが来ているはず
その実態は、広島県に本社がある「アサムラサキ」という会社が販売している焼肉のたれ。中国地方では定番商品としてスーパーに並んでいるらしい。

アサムラサキの問い合わせ電話番号に聞いたところ、筆者が住む埼玉近辺では、ピーコックという系列のスーパーで取り扱っていると丁寧に教えてくれた。

最寄りの店には在庫がなかったが、取り寄せで対応してくれることに。入荷連絡があったので訪れてみた。
ダンボール箱に入ってやってきたどろぼう
ダンボール箱に入ってやってきたどろぼう
「どろぼう甘口」という言葉が新鮮
「どろぼう甘口」という言葉が新鮮
レジのおばちゃんに取り寄せの品があることを確認すると、奥からダンボール箱を持ってきてくれた。開封して「肉どろぼうだってさ!」と、ウケているのを聞いてこちらもうれしくなる。

でしょ、やっぱり気になる名前でしょ。まずはパッケージをよく見てみよう。
妙な存在感
妙な存在感
ローマ字表記もあるのは外国人向けなのか
ローマ字表記もあるのは外国人向けなのか
いたいた、肉どろぼう
いたいた、肉どろぼう
逆襲にあってます
逆襲にあってます
「肉どろぼう」の書体からして、決して罪の雰囲気はなく、ポップな印象。ザ・泥棒といういでたちのキャラクターが描かれていて、古典的な展開が楽しいマンガもある。

楽しい焼肉タイムを盛り上げてくれるムードが漂うデザイン。用意した肉を焼いて食べてみよう。
ウハウハ気分
ウハウハ気分
結構なロングセラー
結構なロングセラー
小皿に出してみて、とろみが結構強いタイプだと気がついた。最近のこの手の商品は、どちらかと言うとサラッとしていてすりおろし野菜などが入ってるタイプが多いと思うが、これは昔からあるタイプのものと言っていいだろう。

それもその通りで、パッケージには発売が昭和47年と書いてある。実はこの肉どろぼう、もう40歳近いわけだ。

食べてみたのは中辛タイプとは言え、甘さも強め。肉にたっぷりつけると、ついグイグイ食べてしまう感じがよくわかる。私もそういう部類だが、それほど高級ではないお肉でいいから、とにかくたくさん食べたい場合に合うんじゃないかと思う。

そして同じアサムラサキから、もう一つ別の商品も一緒に取り寄せてみた。
実は先輩の「麺どろぼう」
実は先輩の「麺どろぼう」
筆文字で和風タイプ
筆文字で和風タイプ
肉どろぼうと同一人物らしい
肉どろぼうと同一人物らしい
確かに麺が進む味わい
確かに麺が進む味わい
こちらは「麺どろぼう」。そばやうどん用のめんつゆだ。

メーカーのサイトによると、肉どろぼうより一年早く発売された商品であるらしい。パッケージのキャラクターは共通だが、どろぼう歴としては麺の方が先。

いくつか種類がある中、今回試したのはストレートタイプ。こちらも個人的には甘めに感じて、つゆを足したくなる前に、うどんがグングン進んでしまう感じ。麺どろぼうの名に偽りはないようだ。

続いては、高速道路のサービスエリアの店で見かけて買ってきたどろぼう食品を紹介したい。
頭の中で声に出したくなる
頭の中で声に出したくなる
どろぼう在庫豊富
どろぼう在庫豊富
背景のごはん柄がそそる
背景のごはん柄がそそる
なぜか「さん」付け
なぜか「さん」付け
茨城土産の新定番とも書いてある「めしどろぼうさん」。「さん」まで付けるのが正式な名前であるようだ。

その正体は、シソ入りの南蛮味噌であるようだが、そういう説明を超えた魅力がやはりこのネーミングにはある。よく見るとフタのバックの絵が山盛りごはんであることにも惹かれる。
まだ見ぬどろぼうを求めて
まだ見ぬどろぼうを求めて
そして実家へ
そして実家へ
いかにもごはんがどんどん進みそうだが、こうした食べ物はきっとまだ他にもあるのではないか。未知のどろぼうを探してまずはデパ地下に立ち寄り、そこで捕えた者たちも手にして実家へ向かうことにした。

ごはんは進みそうだが、その分本体の消費はちびちびとなりがちなどろぼう食品。家族も動員して、そのどろぼう度を確かめてみたい。ごはんは四合炊いておいてと頼んでおいた。
濃厚なビジュアルのめしどろぼうさん
濃厚なビジュアルのめしどろぼうさん
シンプルゆえにごはんが進む予感
シンプルゆえにごはんが進む予感
まず食べてみたのは、先に紹介した「めしどろぼうさん」。ベースが味噌ということからして、ごはん消費力は高そうだ。

食べてみる。しょっぱさと甘さ、味噌のコクがイメージ通り。そしてシソの風味がさわやかに漂う。あらかじめ予想して、茶碗には少量乗せただけなのだが、わかっていてもごはんは進む。
早くもどろぼうペース
早くもどろぼうペース
「これ、うまいわ!」と立ち上がったのは父。どんどんごはんを食べ進んで、思った以上のスピードで二杯目に突入。さすがの泥棒ぶりだ。
ネーミングを拡大解釈して参戦
ネーミングを拡大解釈して参戦
うまそう…
うまそう…
ここからはデパ地下で見つけた商品を紹介しよう。まずは「ままかり酢漬」だ。その名の通り、魚のママカリの酢漬けだ。

どろぼうという言葉こそ入っていないが、ママカリという魚は「まま(ごはん)を隣の家から借りてくるほどうまい」というのが名前の由来。どろぼう並の実力があると判断してのエントリーだ。

光物の魚が苦手な父はあまり手が伸びない反面、母と私は好物なのでモリモリと食べる。ただ、比較的上品な味付けだったため、純粋にママカリの味を楽しむこととなり、ごはん消費力はそれほどでもないとも思えた。
「どろぼう」じゃなくて「どろぼ」止まり
「どろぼう」じゃなくて「どろぼ」止まり
本格的な盗っ人風情
本格的な盗っ人風情
手堅いビジュアル
手堅いビジュアル
チャーハンにも手を広げるめしどろぽ
チャーハンにも手を広げるめしどろぽ
続いては「めしどろぼ漬」。「どろぼ」の部分にローカルさと口述的な響きがあるのが魅力的などろぼう食品だ。しかし、パッケージの絵はこれまで最高の盗っ人度。これはもう露骨に犯罪だろ、と思わせる泥棒だ。

飛騨地方の赤かぶ漬けであるこの「めしどろぼ漬」。漬物とは言えそれほどしょっぱくはなく、味わいそのものでじわじわとごはんを消費させるタイプ実力者だった。
土佐からも参戦
土佐からも参戦
盗む対象がごはんではなく酒
盗む対象がごはんではなく酒
歴史あるどろぼう食品
歴史あるどろぼう食品
フタのマークがかっこいい
フタのマークがかっこいい
最後に食べてみるのは、高知県の「福辰」という会社が作る「酒盗」。どろぼうするのがごはんではなくお酒だが、その正体はカツオの塩辛であることからすると、きっとごはんにも合うと思ってのエントリーだ。

命名のエピソードが江戸時代にまで遡る、古くから伝わるどろぼう食品。もしかしたらこの手のネーミングのルーツなのかもしれない。では食べてみよう。
いかにも塩辛といったたたずまい
いかにも塩辛といったたたずまい
……しょっぺー!
……しょっぺー!
…口に入れてほんの少し経って訪れた衝撃。これは、ものすごく塩辛い食べ物だ。

塩辛という名前がまさに文字通り。いつも食べているイカの塩辛などとは比べものにならない塩分。見た目ではそれがわからなかったことも驚きにつながった。

もちろん魚の味わいもするのだが、それより何より前に出てくるのがしょっぱさ。ごはんを盗むという例えを超えて、フィジカルが自然とごはんをかきこませる。
道理で甘口もあったわけだ
道理で甘口もあったわけだ
店頭には辛口と甘口があったこの酒盗。あまり考えず辛口の方を買ってきたが、この辛さとはカラシやワサビのものではなく、塩辛さ。本当のお酒好きにはたまらない味なのかもしれない。

舌がビリビリ来るくらいの味はかなりのショック。これはかなりの大泥棒だと言える。

いかにもな風呂敷に包んで持参
いかにもな風呂敷に包んで持参
自らどろぼうを名乗る食べ物たち。どれもそう冠するだけあって、パートナーとなる食べ物をグイグイ進ませる力強さがあった。

中でもどろぼうチャンピオンを決めるとしたら、やはり最後の酒盗だろうか。メーカーのページを見ると、「少量の酒で洗って食べる人もいる」とのこと。あの衝撃はやはりそういう手法で和らげた方がいいのかもしれない。
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