はっけんの水曜日 2011年8月31日
 

ぼくとドラえもん・藤子F不二雄ミュージアムに行ってきた

ピューイ
ピューイ

全国の藤子・F・不二雄ファンが待ち望んだ美術館「藤子・F・不二雄ミュージアム」が、9月3日、ついにオープンする。
デイリーポータルZ編集部にも内覧会の案内が届いた。案内状の送り先間違えてるような気がしないでもないのだけど、せっかくなので行ってみることにした。
鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。

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本当は大好きなんです

「せっかくなので行ってみた」とかもったいぶった言い方をしたけれど、実はぼく、藤子・F・不二雄作品の大ファンだ。内覧会なんて、ほんとうはこっちから土下座してでも行きたいぐらいだ。どれぐらい好きなのか具体的にいうと、ドラえもんのてんとう虫コミックス未収録作品を国立国会図書館まで閲覧しに行って複写をとってくる程度には好きなのだ。
藤子・F・不二雄大全集はもちろん全巻購入予定
藤子・F・不二雄大全集はもちろん全巻購入予定
藤子・F・不二雄作品については、一時期「オバケのQ太郎」が全く再販されなくなったり「ジャングル黒べえ」が絶版してしまったりした時期もあったけど、現在は単行本未収録の作品も含むすべての作品を網羅する予定の「藤子・F・不二雄大全集」が刊行中なので、ファンとしては実に嬉しい限りだ。

シャトルバスに隠されたサプライズ

「藤子・F・不二雄ミュージアム」は、藤子・F・不二雄先生(以下F先生)が長年住んでいた川崎市多摩区に開館する。
最寄り駅の登戸駅からミュージアムまでは市営のシャトルバスが運行されるが、もうこのバスからしてファンにはたまらない。
直行便なので、残念ながらこの降車ボタンは実際に使うことはたぶん無い。 
直行便なので、残念ながらこの降車ボタンは実際に使うことはたぶん無い。 
ナンバープレートの番号が「2112」
ナンバープレートの番号が「2112」
手前から、ころばし屋、オバQの足、パーマンバッジ
手前から、ころばし屋、オバQの足、パーマンバッジ
シャトルバスには、降車ボタンが藤子キャラにデザインされていたり、シートの柄が藤子作品の絵だったりして、ファンならもうこの時点で目尻が下がりっぱなしになってしまうのだけど、一番衝撃的なのは、シャトルバスのナンバープレートだ。ミュージアム直行便のシャトルバスはナンバーがすべて「2112」になっている。そう、ドラえもんの生まれた「西暦2112年」にかけてあるのだ。
川崎市のこの美術館にかける意気込みがただならぬものだということは充分に伝わってくる。

建物にもこまかな仕掛けが……

そしてさらに驚いたのは、ミュージアムの建物だ。
左のガラス窓部分に注目してほしい 
左のガラス窓部分に注目してほしい 
上の写真を見てほしい。
左側がガラス窓部分、実はこの部分、ドラえもんの第一話「未来の国からはるばると」のコマ割りをそのまま再現しているのだ。
この部分が 
この部分が 
確かに一致!
確かに一致!
なにもそんなところまで……と思わないでもないのだけど、「そんなところ」までこだわってるのがこのミュージアムなのだ。
ほかにもちいさなところに本当によく凝っていて、例えばこれ。
ペットの入館お断りはドラえもんでよく出てくるのらいぬだ
ペットの入館お断りはドラえもんでよく出てくるのらいぬだ
一見、普通の注意書きに見えるけれど、よく見ると「ネズミの入館はご遠慮いただいております」なんてことが書いてある。
こういうちょっとしたユーモアや楽しさというのは、じつにF先生らしい感じがして、とても楽しい。
こうした、仕掛けやひみつは全部で100以上もあるらしい。

終始頬がゆるみっぱなし

落ち着いた雰囲気の展示室
落ち着いた雰囲気の展示室
展示室Tでは、ドラえもんのほかに、オバケのQ太郎、パーマン、キテレツ大百科などの貴重な原画を常設展示している。
「ゆめの町ノビタランド」と「きこりの泉」の原画 
「ゆめの町ノビタランド」と「きこりの泉」の原画 
ドラえもんのコーナーでは「ゆめの町ノビタランド」と、きれいなジャイアンが登場することで有名な「きこりの泉」の原画が展示されていた。ちなみに「ゆめの町ノビタランド」は大山のぶ代版のアニメドラえもんの記念すべき第1話のエピソードでもある。
こんな展示物もあるのだが……
こんな展示物もあるのだが……
そして、原画コーナーの下には、その作品に関連する展示物が展示されているのだけど、これがまたマニア心をくすぐる展示になっていてたまらない。
一つ一つに元ネタがある! 
一つ一つに元ネタがある! 
実はこの散らかっている本一つ一つに出典があるのだ。

『けんか読本』は、ジャイアンが珍しく貸してくれたのに、のび太が汚しちゃった本。
『スーパーダン』は、ジャイアンが影響されてスーパーダンごっこでみんなが迷惑する話。
『フジモトくん』はスネ夫が木の上で読んでいる本。
『宇宙ターザン』はのび太の大好きなテレビ番組(の原作?)。
『ライオン仮面』は、フニャコフニャ夫の人気漫画。
『ドタバタくん』は、スネ夫が買ってきたすぐ売切れる面白い漫画

……など、元ネタがわかるマニアは思わずニヤリとしてしまう。
みんなが大好きなきれいなジャイアン
みんなが大好きなきれいなジャイアン

F先生の仕事場にあるもの

展示室をしばらく進むと、F先生の仕事場を再現したコーナーがある。
一番手前に志ん生全集が! 
一番手前に志ん生全集が! 
このコーナーには、F先生の自宅から運び込まれた書籍やコレクションなど約1万点が展示されている。
天井までびっしりつまった蔵書 
天井までびっしりつまった蔵書 
なかでもぼくが目を奪われたのは、落語のテープだ。
ドラえもんのエピソードには落語が元ネタになってるものが多い。例えばジャイアンの「歌が下手なのに他人に聞かせたがる」という設定は落語の「寝床」の大家の旦那、「かがみのない世界」は「松山鏡」、「人間切断機」は「胴斬り」など、細いセリフまで挙げていくとそれこそ無数にある。
志ん生の「火焔太鼓」と「唐茄子屋政談」
志ん生の「火焔太鼓」と「唐茄子屋政談」
暗くてぶれてしまったけど、小さん、小三治、可楽、文楽など、けっこう幅広い 
暗くてぶれてしまったけど、小さん、小三治、可楽、文楽など、けっこう幅広い 
ぼくは落語がけっこう好きな方なのだけど、その落語に興味を持ったのもドラえもんの元ネタに落語が多いということを知ったからで、そういう意味で、この仕事場コーナーの落語テープは、ぼくにとってはちょっと感慨深いものがある。

屋外の展示も気合が入っている

屋内の展示だけではなく、ミュージアム屋外の展示もかなり気合が入っている。
繊細で神経質な「ウマタケ」
繊細で神経質な「ウマタケ」
「どこでもドア」1/1モデル 
「どこでもドア」1/1モデル 
「みの虫しきねぶくろ」と「キャンピングカプセル」
「みの虫しきねぶくろ」と「キャンピングカプセル」
ミュージアム横にある森の中に設置されたキャラクターやひみつ道具を見つけるたびに思わず「あ、ウマタケだ!」「キャンピングカプセルだ!」などといちいち興奮してしまう。子供にはあまり見せたくない姿だ……。
子供に見せたくない姿 
子供に見せたくない姿 
スタッフのお姉さんが好きな作品は「ザ・ドラえもんズ」らしい。最近の作品だ!若い!
スタッフのお姉さんが好きな作品は「ザ・ドラえもんズ」らしい。最近の作品だ!若い!

レストランのメニューもひとくせあるものばかり

ミュージアムに併設されたレストランでは、ドラえもんの原作中に登場した食べ物を食べることができるのだけど、そのメニューはどれも一捻りしてあって面白い。
体外に排出されちゃうと効能が無くなるアンキパン!
体外に排出されちゃうと効能が無くなるアンキパン!
ほんやくこんにゃく(風)くずもち
ほんやくこんにゃく(風)くずもち
髪の毛食べられるのにこの笑顔 
髪の毛食べられるのにこの笑顔 
スネ夫ヘアーうまい
スネ夫ヘアーうまい
「アンキパン」も「ほんやくコンニャク」も、どちらもダジャレ先行のひみつ道具であるにもかかわらず、パンはフレンチトーストにしたり、コンニャクはくず餅にするなど、食べ物に関しては無難な線に落ち着いているので、ひと安心だ。さすがにジャイアンシチューをレストランで提供するような歪んだサディズムはこのミュージアムにはなかった。

子供も大人も楽しめる!

安藤さんは「バイバインで増えたどら焼き」と言ってどら焼きをペタペタ押しまくっていたけど、バイバインで増えたのは栗まんじゅうだということをぼくは知っている。
安藤さんは「バイバインで増えたどら焼き」と言ってどら焼きをペタペタ押しまくっていたけど、バイバインで増えたのは栗まんじゅうだということをぼくは知っている。
ついつい取材ということを忘れてあれこれ見回っているうちにあっという間に時間が過ぎてしまった。

ぼくのようなドラえもんブームが直撃した世代が、いまや父親母親となって自分の子供達と「ドラえもん」を通してコミュニケーションできるというのは、とても幸せなことのような気がする。
川崎市藤子・F・不二雄ミュージアム
http://fujiko-museum.com/

©Fujiko-Pro
※「オバケのQ太郎」は、藤子・F・不二雄、藤子不二雄Ⓐの共同著作物です。
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