特集 2011年9月6日

牛久のカッパを追って

カッパの標識を追え!
カッパの標識を追え!
茨城県牛久市は、カッパの町らしい。
道を走っていると、やけにカッパのイラストを見かけるのだ。

牛久のカッパ事情を確かめに、その謎に迫ります。
1975年生まれ。千葉県鎌ヶ谷市在住。猫好き。人生においての目標は食べたことのないものをひとつでも多く食べること。旅先ではまだ見ぬ珍味に出会うため目を光らせている。

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「河童の碑」

牛久市内の国道を走っていると、このような標識が現れる。初めて通った時も気になっていたが、夜だったので行かなかった。一体河童の碑とは?牛久が河童にこだわる理由とは?
今日はとことんカッパを追ってみよう。
左折せずにはいられない看板。ライターの松本さんがバラ肉を求めて牛久に訪れた際にもちょっと触れているが、駅前にも沢山のカッパがいる。
左折せずにはいられない看板。ライターの松本さんがバラ肉を求めて牛久に訪れた際にもちょっと触れているが、駅前にも沢山のカッパがいる。
矢印を辿っていくと駅前の繁華街から住宅街、やがて田園風景へと景色が変化していく。どうやら牛久沼のほうに導かれている。確かにカッパといえば沼だ。
住宅街。スポットが増えている
住宅街。スポットが増えている
進んでいくと標識にはスポット名とカッパのイラストが追加された。
すっかり田園風景。数十メートルおきにあったりする
すっかり田園風景。数十メートルおきにあったりする
視線を落とすとそこにもカッパ
視線を落とすとそこにもカッパ

カッパだらけ

カッパの碑に近づくにつれてカッパがたくさん。でもどうして牛久でカッパなのかはこの時点ではわからなかった。牛久沼で目撃されたのか?
理由がわからぬままカッパをカメラにおさめて歩く
理由がわからぬままカッパをカメラにおさめて歩く
バスのカッパは違うデザイン
バスのカッパは違うデザイン

カッパマーチ

知らず知らずのうちにかっぱ寿司のCMソングを口ずさみながら歩いていた。
色んな字体があるのね
色んな字体があるのね
統一性のない道しるべが良い感じ
統一性のない道しるべが良い感じ
角ごとに趣のちがう表示が置かれている。手作り感のようなものがにじみ出ていて、このちいさな観光スポットを地元のひとたちが大切にしているのが伝わってくる。
ついにスポット名が消えた!
ついにスポット名が消えた!
ここまで来れば言葉は要らないという事だろうか
ここまで来れば言葉は要らないという事だろうか
手に小槌とキュウリを持っているのがかわいい。物言わぬカッパの矢印に案内されながら、カッパの碑のある公園に到着した。
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カッパはかわいいのか

碑はひっそりとした木立の中にある。さっきからやたらかわいいカッパとすれ違ってきたので、ああいったかわいいヤツを想像してしまっているのだが、本物はどんな容貌なのか。
牛久沼のほとりの山
牛久沼のほとりの山
あれがカッパの碑!?
あれがカッパの碑!?
メ、メランコリック……!
メ、メランコリック……!

まさかの物憂げ

小ひざを抱えて背を向けるカッパ。このアンニュイな背中はどうしたものか。登校拒否児か。
まあでもカッパだからな。人間にいじめられたり、珍獣なりの悩みもあるのかもしれない。ただ標識のカッパほどいきいきする必要はないけど、もう少し元気をだしてほしいとも思う。
BGM:森田童子
BGM:森田童子

ここがカッパゆかりの地である理由

今日は、どうして「牛久=カッパ」なのかをあえて調べないで来てみたが、碑の横の看板を見て、その理由が明らかになった。
かつて小川芋銭(うせん)という画家が牛久を拠点に活動していて、カッパの絵を多く描いた事が、牛久がカッパの地になったひとつの理由らしい。なるほど…。
カッパ好きの画家が住んでいたので牛久のシンボルがカッパになった
カッパ好きの画家が住んでいたので牛久のシンボルがカッパになった

カエルトイレの恐怖

カッパの謎もとけたところで、碑のそばにあるトイレに入った。

かっぱ寿司のメロディを歌いながらのんきに入って行ったものの、私はここで悲鳴をあげる事になる。
紙もあって快適なトイレだが
紙もあって快適なトイレだが
よくみると
よくみると
壁にカエルがたくさん貼り付いている
壁にカエルがたくさん貼り付いている

首筋にダイブされる

カエルがいるのは知っていた。しかし用を足している最中に急に首筋に飛びついてくるとは思わなかったんだよ…。カエルは好きだが、無防備な姿勢のうえ、素肌にペタリと冷たい感触…!さすがに絶叫した。しかしそれがカエルと知って可笑しくて笑ってしまった。びっくりさせんなや!
これが台所を拠点とする黒い虫だったらと思うと…かくじつに泡を吹いて気絶していただろう。
おまえでよかった
おまえでよかった
さっきのカッパのようなアンニュイさ
さっきのカッパのようなアンニュイさ
騒いだり写真をとったりしていたら、地元に住んでいるらしきおじさんがトイレにやってきた。「このトイレは虫がたくさん寄ってくるからカエルが多いんだよね」。あの子たち虫を食べに来ていたのか。うん、よくみると虫もたくさんいるわ。カエルが虫を待ちかまえるトイレ。なかなかスリリングな体験だったですよ。
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カッパ松

暗いカッパ&陽気なカエルと(文字通り)触れ合ったところで、公園の奥に進んでみる。
新たなカッパエピソード
新たなカッパエピソード
牛久はどこまでカッパ一色なんだろう。そしてその松、どんな松かと思いきや…
わりと普通。まあそんなものですよね
わりと普通。まあそんなものですよね

芋銭のアトリエ

で、そのすぐ隣には小川芋銭の住んでいた家そのまま残してあるのです。ここがとっても風情のある古民家だった。
画家の生家が記念館になっている
画家の生家が記念館になっている
土日祝には開放され、自由に中に入れる。アンティークな古民家の中には、芋銭が使っていた画材や作品が展示され、カッパ満載の「河童百図」などの画集も自由に閲覧できる。
カッパの影を追いかけてここまで来てみたけれど、正直ここまで充実した文化財に触れる事ができると思わなかったので嬉しかった。
残念ながら屋内は撮影不可でしたがとてもいいかんじでした
残念ながら屋内は撮影不可でしたがとてもいいかんじでした
縁側の外には牛久沼が見える。カッパばかり描いちゃうのもわかる
縁側の外には牛久沼が見える。カッパばかり描いちゃうのもわかる

画集のカッパも元気なさそうだった

記念館の中で河童画集をめくる。芋銭の描くカッパ画は、人間に怒られてしょんぼりしているカッパや、背を向けて逃げているカッパなどが多い。それがどうにもこうにもかわいくてキュンとしてしまう。あの碑のレリーフは芋銭の描く代表的なメランコリックカッパだったようだ。
芋銭先生のカッパ感が、道の標識のはつらつとしたカッパとかけ離れていてすごく面白い。

カッパとカエルが好きな人はぜひ

牛久駅から4キロほど、よい散歩道でした。歩くのが億劫ならコミュニティバスも出ています(もちろんかっぱ号!)。ただしカエルが苦手な人は駅でトイレを済ませてくる事!
元気出せよ~
元気出せよ~
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