特集 2011年9月10日

中国で日本っぽいところに迷いこんだ

ハコネシュクバにやってきた。リョカンも何軒かあるらしい。
ハコネシュクバにやってきた。リョカンも何軒かあるらしい。
中国の普通の街で町歩きしていたら、突然不思議な場所にたどり着いた。中国なのにそこら中にひらがなが溢れているのだ。

では日本そのものかというとそうではない。どちらかというとテーマパーク的な「怪しい」という形容がふさわしい、不思議な場所である。

夢を見ていたわけではない。そんな想像力あふれる夢なんか僕は見たことがない。

本来の用事を忘れて、日本っぽい空間に長居してしまった。そんな不思議な日本空間を紹介したい。
変なモノ好きで、比較文化にこだわる2人組(1号&2号)旅行ライターユニット。中国の面白可笑しいものばかりを集めて本にした「 中国の変-現代中国路上考現学 」(バジリコ刊)が発売中。

前の記事:中国で福袋を買った

> 個人サイト 旅ライターユニット、ライスマウンテンのページ

駆け抜けるパイプも日本的というより中国的だ
駆け抜けるパイプも日本的というより中国的だ
家家が日本っぽい
家家が日本っぽい

テーマパークではない

テーマパークかと思えばそうでもない。まず入口がない。そこには普通の中国人の店があり住居があり生活がある。歩いている人は日本人をイメージしたコスプレをしているわけでもなければ、日本っぽいお土産屋があるわけでもない。

車道は至って普通で路線バスや乗用車が走り抜ける。歩道では人がマイペースで腰を下ろし、上半身裸の男性がやはりマイペースで歩く。中国のテーマパークは数多く見てきたけれど、さすがにここまで酷い日本テーマのテーマパークは見たことがない。

敢えていえば迷い込んだ地域の家家が何かおかしいのだ。
何気にしようロニホヘ屋さんだと思う
何気にしようロニホヘ屋さんだと思う

変な日本語もある

中国ではお馴染み?の「変な日本語」はここでも健在。多くの店に日本の文字が書かれた看板が備わる。

日本と中国の経済交流が盛んになるにつれ日本語を勉強する人もいるだろうに、それでも適当にやっつけた感じの日本の文字が並ぶ。

ここは変な日本語のサンクチュアリ。変な日本語コレクターとしては足を向けて寝るなんてできない。

普通の日本語であろうと変な日本語であろうと現地では読める人はいないだろうにどういうことだ?

ここでいろんな店の写真を紹介しこう。

ソシュソタイミシソ&ブヒソソがンだったらだいたいあってる
ソシュソタイミシソ&ブヒソソがンだったらだいたいあってる
ネットカフェは「セィセィキネットカフェへ」と書いてある。人々は日本語が解せず
ネットカフェは「セィセィキネットカフェへ」と書いてある。人々は日本語が解せず
チンタオイチメンビョウインと書いてある。「青島一綿医院」とも書いてある
チンタオイチメンビョウインと書いてある。「青島一綿医院」とも書いてある
間違ってないがセンス的になにかおかしい
間違ってないがセンス的になにかおかしい
「ショクギョウアンテイショ」中国語では「ドライバー紹介所」となっている
「ショクギョウアンテイショ」中国語では「ドライバー紹介所」となっている
ショクギョウアンテイショがいくつもある。この日本町には仕事がないのか?
ショクギョウアンテイショがいくつもある。この日本町には仕事がないのか?
カタカタで「リョカン」付きの統一したデザイン。
カタカタで「リョカン」付きの統一したデザイン。
確かに「リョカン」は旅館なのである
確かに「リョカン」は旅館なのである

箱根じゃないが宿もある

そうそう、ここは看板によると箱根ということらしく、宿も何軒かあった。

多くの宿はカタカナで旅館と名乗っているけれど、旅館かと言われれば「ちょっと背伸びしてる?むしろ民宿じゃない…?」と言いたくなる。

旅館だけでなく「コンビニ」や「ファストフード」もあるから便利は便利だ。実際のところ食堂もあり、温泉街っぽいともいえなくもない。

街の雰囲気をより体感すべく、目が悪い僕はコンタクトを外し、リョカンだらけのこの一帯に旅情を感じたのだった。

「日本らしさは視界がぼやけても感じるものものである!」

「真の日本は視力矯正無くして体感なし」

というわかってるようなわかってないような言葉が浮かび、何となく納得した。
リョカンの近くには「ファストフード」もある。便利だ。
リョカンの近くには「ファストフード」もある。便利だ。
「コンビニ」もあり便利!と思いきや、実は「歯医者(牙科)」というトラップ
「コンビニ」もあり便利!と思いきや、実は「歯医者(牙科)」というトラップ

狐につままれる

この地域がさらに想像の範疇を超えるのは、こんな雰囲気の旅館街の中で、1軒本当の日本人向けの宿があるのだ。

流石に入口の光景に目を疑った僕は、中に入るとさらに驚愕。「いらっしゃいませ」とスタッフが日本語で声をかけ、オーナーらしき人が流暢な日本語で笑顔で迎え入れてくれる。

なんなんだここは。
日本人なら興味本位で吸い寄せられる旅館
日本人なら興味本位で吸い寄せられる旅館
本当に旅館がそこにあった
本当に旅館がそこにあった
廊下も日本っぽい
廊下も日本っぽい
想像の範疇を超えて意味がわからない
想像の範疇を超えて意味がわからない

青島いいとこだよ

今回紹介したのは青島という街の一角。後で知ったのだが、実はひとつの通りを「世界のホテル街(中国語で世界旅舎)」にしたてるためのプロジェクトの一環なのだとか。

世界のホテル街は「アジア風情区」「欧州風情区」「アメリカ風情区」「現代風情区」の4つにわけ、そのひとつのアジア風情区が建物まるごと日本ぽくなっていたというのだ。

地元の人に聞いてもなぜ日本っぽいのか知らず、そもそもおじちゃんおばちゃんは文字が日本の文字だと知らず、とりあえず建物の変化は受け入れて、変わらぬ生活を送っていた。

うーん、アジア。

最後紹介した旅館は、日本旅館 永日香 という旅館。青島に寄るときは行ってみると面白いかも。
もうちょっと通りの先に行くと「WORLDHOTEL」の文字がズラリ。
もうちょっと通りの先に行くと「WORLDHOTEL」の文字がズラリ。
「世界ホテルいらっしゃい」なのだ。
「世界ホテルいらっしゃい」なのだ。
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