土曜ワイド工場 2011年9月10日
 

座布団から真珠を作る

座布団がこんな姿に!
座布団がこんな姿に!
コットンパール、というアクセサリー素材をご存知だろうか。

その名の通り、コットン(綿)をぎゅっと圧縮したものに塗料をコーティングして作られる模造真珠だ。

つまり簡単に言ってしまえば、綿を丸めて色を塗ったもの。そう聞くと何だか自分にも作れそうな気がする。
しかも綿でさえあればよいのだから、素材は例えばそう、座布団の中身なんかでも良いはずだ。

瓢箪から駒、棚からぼた餅、座布団から真珠。
こう並べると新しい諺っぽくもある。早速試してみることにしよう。
石川県出身。以前は普通の会社員。現在は透明樹脂を用いたアクセサリーを作る人。好きな色は青。好きな石はサファイア。好きな犬はウェルシュ・コーギー。

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これがコットンパールだ!

コットンパールは最近流行の素材らしく、街中のセレクトショップやデパートなどでも随分見かけるようになった。

元々は数十年前によく作られていた素材だそうで一旦は廃れてしまったものの、ここ数年でリバイバルブームが巻き起こっているそうだ。
これがその、コットンパール
これがその、コットンパール
言われてみれば繊維っぽい
言われてみれば繊維っぽい
本物の真珠とは別物だが、これはこれでアンティークな風合いで味わい深い。

さらにこのコットンパールには一点、大きな特徴がある。原料を考えれば当然ではあるのだけど、これがもうとにかく軽いのだ。
さすがに本真珠のネックレスは持っていないので、普通のプラスチックパールで比較
さすがに本真珠のネックレスは持っていないので、普通のプラスチックパールで比較
プラスチック、41.5g
プラスチック、41.5g
コットンパール、驚異の16g!
コットンパール、驚異の16g!
ほぼ同じボリューム感のネックレスで、この重量差。実際、始めてコットンパールを手にとった人は大抵その軽さにびっくりするらしいが無理もない。
柔らかいと信じてかじりついたワッフルが硬かった時に人間が取るリアクションを想像してほしい(参照)。

そんな、ただでさえ意外性の塊みたいなコットンパールを更に座布団から作ろうというのだ。座布団から生まれた真珠を持ち上げてみたらやたら軽かった、という訳の分からない光景をどうにか現実のものとしてみたい。

綿の座布団を探せ

座布団から真珠、正確に言うと座布団の中身の綿からコットンパール。

まずは座布団を調達しなくては。と、張り切って買ってきたはいいものの、ここで予想外の罠に引っかかる。
100円で買えたぜ! と喜んだのもつかの間
100円で買えたぜ! と喜んだのもつかの間
か、化学繊維……!
か、化学繊維……!
目を疑った。何かの間違いであって欲しかったが、残念なことに何度見直してみても燦然と輝くポリエステルの6文字。切り裂く気満々で用意したハサミも一旦置かざるをえない。

どう考えてもマズい。ポリエステルで作った真珠は、それはもうポリエステルパールであってコットンパールではない。 駄目だ。調達しなおさないと。
というわけで買い直しました
というわけで買い直しました
今度はちゃんと綿100%!
今度はちゃんと綿100%!
どうやら世間一般ではポリエステルの座布団の方が圧倒的に優勢らしく、数件回ってやっと見つけた綿座布団。

価格は19倍に跳ね上がってしまったが、散々探しまわってやっと見つけた一枚だったので迷わず買った。しかも京都の職人による手作り。本来ありがたがるべき話だが、直後に切り裂く気でいることを考えるとむしろ申し訳なさが先に立つ。
職人さんのことを考えると気が引ける行為
職人さんのことを考えると気が引ける行為
せめて切り裂く範囲は控えめにしておこう
せめて切り裂く範囲は控えめにしておこう
そして綿を取り出してみたが、
そして綿を取り出してみたが、
やたら不純物が目につく。ごみ?
やたら不純物が目につく。ごみ?
真っ白な綿を想像していたが、茶色い不純物の混じった、あまり綺麗とはいえないものが出てきた。
何だこれ、と一瞬手が止まったが、よく見ると乾燥した植物のカケラっぽいので、多分綿の実の破片が混じっているということだろう。

まあ多少の不純物があったところでどうせ丸めてコーティングするんだしあまり問題はない、と信じて突き進むことにする。

綿を丸くする方法

さて座布団の綿は用意できた。次はどうにかしてこれを丸い真珠の形にしてやりたい。
適当な量を取りわけて
適当な量を取りわけて
ぎゅーっと手で圧縮してみる
ぎゅーっと手で圧縮してみる
更にころころと丸めてみるものの
更にころころと丸めてみるものの
あ、駄目だこれ
あ、駄目だこれ
何となく丸い形にはなるものの、ちっとも圧縮されないし固まらない。固まる気配すらない。ふかふかだ。

困った挙句、どうしようもないので人に相談することにした。コットンパールを使ったアクセサリー製作を得意とする知人がいるので、あの人ならきっと詳しいに違いない、と思ったのだ。

よくよく考えればパン屋に小麦の栽培方法を尋ねるような行為ではあったが、結果的にこれが大正解。喫茶店内で話をしていたのだが、どうやらこう作っているらしいよ、という貴重な情報に思わずテーブル越しに身を乗り出してしまいそうになる。懐かしの某番組かというくらい「へえ〜」という言葉が出た。

ちなみに冒頭に出てきたネックレスは、その知人の作品です。
それが、この方法
それが、この方法
芯材にぐるぐると綿をキツく巻きつけて丸くしていくらしいのだ。屋台のわたあめ方式、と考えればなるほど納得が行く。
巻いていく作業はなかなか楽しい
巻いていく作業はなかなか楽しい
徐々に丸くなってきた、まさにわたあめの様だ
徐々に丸くなってきた、まさにわたあめの様だ
が、調子に乗って巻きすぎたらぼわぼわになった
が、調子に乗って巻きすぎたらぼわぼわになった
綿の量を多くしすぎると、途端に形が歪になってまとまり感もなくなる。何事も欲張ってはいけないということだろう。
雀のお宿で小さいつづらを選ぶような正直じいさんに作業をさせたら、上手に丸くしてくれるのかもしれない。
正直でもじいさんでもないけど、ここまでできました
正直でもじいさんでもないけど、ここまでできました
さて次は表面にパール塗装。
何を使ったらいいのかまるで検討もつかず悩んだが、経験上、こういう問題は東急ハンズに駆け込めば大体解決する。
案の定、割とあっさり解決した
案の定、割とあっさり解決した
右のジェルメディウムはクリーム状の素材で乾くと半透明になるらしく、見た目や質感は木工用ボンドに少し似ている。これに右の、パールっぽいラメの入った絵の具を混ぜて使うことにしよう。
パールホワイト、の名前を持つ絵の具と、
パールホワイト、の名前を持つ絵の具と、
ジェルメディウムとを混ぜて、
ジェルメディウムとを混ぜて、
綿に塗ってみる
綿に塗ってみる
コーティングってこういうことでしょ?
コーティングってこういうことでしょ?
スポンジケーキの土台に生クリームを塗るようにしてとりあえず覆ってみたが、どうだろう。光沢感はパールだ(パール色の絵の具を使ったから当然だ)。

けど、頭の隅の方から「カマキリの卵……」という声が聞こえてこなくもない。聞こえないふりでとにかく乾燥させよう。
しばらく時間をおいて
しばらく時間をおいて
固まったのがこちら
固まったのがこちら
なんだかますますカマキリの卵っぽいけど、多分串に刺さってるビジュアルのせいだろう。取り外せばきっとそうは見えなくなるはず。
取り外しは力任せに引っ張ればOKだったよ
取り外しは力任せに引っ張ればOKだったよ
よし、カマキリの卵から少し遠ざかったね!

見た感じは割とコットンパールの風合いに近いのではないだろうか。ニヤリと満足してしまいそうになるが、しかしこのパール、ぱっと見ただけでは分からない致命的な欠点も抱えていたりする。
柔らかい
柔らかい
指で簡単に押しつぶせるほど柔らかい。ふんわりしている。

これが焼きたてパンだったらそれでも悪くないが、真珠である。これはマズイ。ついでに言うなら本物のコットンパールも当然、柔らかくはない。

要は綿の圧縮具合が足りないのだろう。
理想は当然ふわふわしていないパールなので、改良を加えながら作りなおすことにする。

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