特集 2011年9月17日

日本一懐かしい遊園地に行く

日本一懐かしい遊園地です
日本一懐かしい遊園地です
群馬県にある遊園地「るなぱあく」。
1952年に開園し、国の登録有形文化財に指定された遊具もあるという歴史ある遊園地だ。

この遊園地のキャッピコピーは、日本一懐かしい遊園地。しかも日本一安い遊園地でもあるらしい。懐かしくて安い。ぜひ行ってみようと思う。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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払ってあげる金額

たとえばデートでディズニーランドに行ったとする。するとチケットは1人6200円ほどかかる。またデートスポットである横浜にある遊園地「よこはまコスモワールド」に行ったとすると入場料こそ無料だけれど、遊具に乗るのに1回500円前後かかることになる。
よこはまコスモワールド
よこはまコスモワールド
しかし「るなぱあく」は、入場無料で、遊具も安い物は10円からあるという。駄菓子を買う感覚で遊具に乗れるわけだ。僕であってもデートで「るなぱあく」に訪れれば、颯爽と全額払うことが可能だ。デートで遊園地、それも全部彼氏持ち。理想的な気がする。
理想的でしょ! のイメージ写真
理想的でしょ! のイメージ写真
それに、るなぱあくは普通の遊園地ではない。日本一懐かしい遊園地なのだ。開園した1952年といえば硬貨式の公衆電話が誕生した年。今ではその公衆電話がなくなりかけている。時の流れを存分に感じることができる遊園地なのだ。
ということで、早速向かいます
ということで、早速向かいます

群馬に向かう

るなぱあくは群馬県は前橋市にある遊園地。僕は東京に住んでいるので、電車を乗り継ぎ群馬に向かう。休日であったためか電車は人が多く、渋谷から電車に乗ったけれど、池袋あたりでもう降りたくなっていた。
降りたい
降りたい
東京を離れるにつれ、乗客は少なくなるかと期待していたけれど、終点である高崎駅まで車中はおにぎりの米粒のように密集したままだった。おにぎりの気持ちを初めて理解した。そしておにぎりを食べたくなった。
高崎駅から前橋駅に向かう電車も込んでいる
高崎駅から前橋駅に向かう電車も込んでいる
高崎駅から電車を乗り換え前橋駅に向かった。なかなかの込み具合だったけれど、前橋駅に付いた頃には、さっきの込み具合はウソのように人が少なくなっていた。あの電車の人たちは誰も「るなぱあく」に行かないようだ。

前橋駅からはバスに乗る。るなぱあくへの道は遠い。空は青く思わずとけてしまいそうなほどに暑い。
バス代は190円
バス代は190円

むしろ払ってもらう金額

バスの中は涼しく、流れる前橋の街並みを眺めながら、うすうす気がついていたことを考えた。るなぱあくは入場料や遊具代はべらぼうに安いが、そこまでの交通費がべらぼうに高いということを。僕の家からだと片道2500円もかかるのだ。
バスを降りてからはしばらく歩く
バスを降りてからはしばらく歩く
片道2500円ということは往復5000円。コスモワールドで同じ遊具に乗り続ければ従業員に顔を覚えてもらえる金額だ。しかも、デートで僕が全額払うとすれば交通費だけで1万円。それは払えない。むしろ僕が払ってもらう金額だ。
るなぱあくが見えた(遠かった。3時間くらいかかった)
るなぱあくが見えた(遠かった。3時間くらいかかった)
しかし、しばらく考えて現地集合現地解散にすればいいことに気がついた。すると僕持ちで遊園地で遊ぶことが可能だ。だって乗り物は10円からあるのだ。だったら素晴らしい遊園地ではないか、ということで気分を新たにるなぱあくに足を踏み入れた。
やってきましたるなぱあく!
やってきましたるなぱあく!
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高くて50円という安さ

遊具に乗るにはチケットを買わなければならない。1枚50円で、まとめて買うと11枚が500円になる。るなぱあくには約10個ほどの遊具があるので、11枚買えばお釣りが来ることになる。もう乗り放題状態である。
500円払えば11枚
500円払えば11枚
今日は好きな遊具に好きなだけ乗っていいよ、といえば僕は崇められるのではないだろうか。るなぱあくがコスモワールドのような値段ならば、間違いなく僕は帰りの電車賃がなく群馬在住になるけれど、何と言っても50円。足がふらつくほど遊具に乗ることができる。全部僕持ちで。
遊具は10個くらいなので500円で全部乗れる!
遊具は10個くらいなので500円で全部乗れる!
遊具は開園当時からあるものばかりではなく、新しい遊具へと建て替えられた物も多い。また、場所が決して広くないので、回転系(メリーゴーランドやくるくるサーキット)のものが多いのが特徴だ。これが後で僕を苦しめることになる。
夏はプールもある(無料)
夏はプールもある(無料)
周りを見渡せばほぼ子供連れの家族ばかり。ディズニーランドより客層は絞られているようだ。子供の頃に母に連れられて行ったデパートの屋上を大きくしたような感じだ。つまり懐かしさであふれているのだ。
豪華なデパートの屋上
豪華なデパートの屋上
キャッチコピーの日本一懐かしい遊園地に偽りはない。早速僕が一番楽しみにしていた国の登録有形文化財に指定された遊具「木馬」に向かう。値段は10円。全体的に安いのにさらに安くなっている。文化財なのに。
文化財に指定された木馬
文化財に指定された木馬

童心には返れない

聞いたことはあるけれど、乗ったことがないもの、というのが存在する。僕の場合、フェラーリやスペースシャトルと同じ並びに木馬がある。木馬が一番手軽に乗れそうだけれど、ずっと遠い存在であった。その遠い存在がいま目の前にある。
しかも文化財(10円入れると揺れる)
しかも文化財(10円入れると揺れる)
さらに普通の木馬ではない。文化財の木馬なのだ。やはり子供には人気のようで、ひっきりなしに子供がこの木馬にまたがっていた。止まってもまたがり続ける子供いて親が降りるように説得していたりする。木馬は想像以上に楽しいのかもしれない。
だめでした
だめでした
年齢制限があった。小学生以上は乗れないそうだ。僕は遠い昔に小学生以上になっている。この遊園地のポイントは童心に返ることができるのではなく、あくまで懐かしむことができる点だろう。ちょっと悔しい。
じゃ、回転木馬に乗ります
じゃ、回転木馬に乗ります

回転木馬のデットヒート

木馬は無理だったので回転木馬(メリーゴーランド)に乗ることにした。考えてみればメリーゴーランドも長い間乗った記憶がない。こんどこそ童心に返ることができるだろうか。
馬車
馬車
ここでも馬は子供だけだそうだ。やっぱりポイントは懐かしいであり、童心には返れない。仕方がないので馬車に乗り込んだ。

しかし、である。
大変なことを忘れていた。僕は回転系に弱いのだ。三半規管が繊細なのか、すごく酔うのだ。メリーゴーランドで酔うとは思わなかった。
子供は元気なのに、僕はこの後早くもふらつきます
子供は元気なのに、僕はこの後早くもふらつきます
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50円の本領発揮

気分を新たにウェーブスターライドというジェットコースターに乗る。子供も乗れるジェットコースターだから、大して怖くないし酔わない。メリーゴーランドでは酔って、ジェットコースターでは酔わない自分が不思議だ。怖くもないので怖いくらい冷静である。
最後尾に乗っています
最後尾に乗っています
この遊園地は素晴らしく子供の付き添いで乗る大人は無料となっている。これはお財布的に嬉しいのではないだろうか。もっとも僕は誰にも付き添わないので、毎回50円のチケットを係りの人に渡して乗っている。
クジラの波乗り(回転系です)
クジラの波乗り(回転系です)
険しい顔
険しい顔
子供用なのに酔うのは何でだろう。僕の心に少年がいるからだろうか。でも、周りの子供は酔うようなことはなく元気。僕は繊細らしい。繊細という言葉を使えば聞こえはいいが、ひ弱なだけである。
園内をまわる電車にも
園内をまわる電車にも
乗車(これくらいの回転は大丈夫!)
乗車(これくらいの回転は大丈夫!)

大人であることを自覚する

周りが子供ばかりなので大人だけでは恥かしいけれど、懐かしさは満点でわりと楽しい。というか、子供用と舐めていたらたまに痛い目に合うのも楽しいポイントかもしれない。
すっごい遠心力
すっごい遠心力
くるくるサーキットという遊具に乗っていたら、角でものすごい遠心力を感じた。驚いてバーを思いっきり握るのだけれど、子供は逆に楽しい悲鳴をあげてはしゃいでいる。僕はいつからか守りの姿勢に入っているようだ。子供の頃ならむしろバンザイしていたはずだ。
ちなみにこれが一番酔いました(20分ほど休憩しました)
ちなみにこれが一番酔いました(20分ほど休憩しました)
ほぼ全ての遊具に乗ったけれど、50円という値段相応の楽しみがあった。家族連れならさらに楽しい場所だと思う。ただ、デートには向かない場所だ。ムーディーな感じは皆無。ムーディーさを求めるあたりも大人になった証だ。あと5000円払ってここに来れた辺りも大人だ。子供は5000円も持っていないはずだから。
後で写真を見ると僕はかなりはしゃいでいて楽しかったらしい
後で写真を見ると僕はかなりはしゃいでいて楽しかったらしい

姪か甥と行きたい

本文中にも書いたように大人向きではなかったけれど、そのキャッチコピーの通り懐かしさを存分に感じた。中学校の同窓会のような懐かしさだ。次に行くときは弟が再来年に結婚すると言っていたので、姪か甥を連れて遊びに行こうと思う。子供にとっては天国のような場所だし、いくら乗ってもいいよ、というと姪か甥から崇められると思うので。一度くらい崇められたいのだ。
群馬名物焼き饅頭も食べた!
群馬名物焼き饅頭も食べた!
るなぱあく
住所:群馬県前橋市大手町三丁目16-3
URL:http://www.lunarpark.jp/
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