特集 2011年9月26日

「会飯」と書いて「ホイハン」と読む食べ物が旨い

一族であるかのように迫ってくる「会飯」
一族であるかのように迫ってくる「会飯」
どこの街に行っても、その街に住んでいる人々に愛されている店というのがある。名物とまではいかないかもしれないが、手頃でおいしいものを出すような店だ。 今回旅先で訪れた店もそんな店だった。その店の定番は「会飯」。これで「ホイハン」と読むものだ。

字面にも音にも、なんだか気になる響きがある。どんなものか食べてみた。
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」

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近所に住みたい

知らない土地に出かけた時の楽しみの一つは食事。地域の特産品や根付いている食文化を味わう、というのが基本的な楽しみ方になるのだと思う。

それとは別に、特産品や食文化というほどではないけれど、地元の人に支持されている店というのがある。「会飯よこ多」は、そちらのタイプの店だろう。
目が覚めるようなブルーの建物
目が覚めるようなブルーの建物
気になる響きの店名
気になる響きの店名
静岡県藤枝市にあるこのお店。「会飯」に「ホイハン」とふりがなが振ってあるのは、やはり誰にとっても耳慣れないことを見越してのことだろう。

「よこ多」という「ひらがな+漢字」という組み合わせも、割烹料理屋のような趣きを漂わせて気になる。入ってメニューを見てみよう。
バリエーション豊かに迫る会飯
バリエーション豊かに迫る会飯
思っていた以上に種類のある会飯。マーボードーフ、なすといったあたりはなんとなく有り得そうだが、「すぶた会飯」くらいからやや意外。さらには 、玉ねぎ・じゃがいも・きゃべつと、野菜単一系が続くのもずいぶん細分化されている印象を受ける。

そして天津飯を一回噛ませて、コーン・肉みそとこれまた気になるラインナップ。

そのあと中華飯・カリーライスと続いて、いよいよ会飯も終わりかと思ったところに「きのこ会飯」。断続的な会飯の並び方に、妙な意外性がじわじわとにじむ。
色紙がびっしりの壁面
色紙がびっしりの壁面
初来訪でいきなり色紙なのか
初来訪でいきなり色紙なのか
かなり悩んだ末に会飯を2品注文。来るまでの間、改めて店内を眺めてみる。壁一面、ぎっしりと色紙で埋まっていて飽きないのだ。

いろんな有名人が訪れた証かと思いきや、色紙の書き手はどれも普通の人。ということは常連なのかと思うのだが、初めて訪れていきなり色紙を書いているように読み取れるものもある。

どういうシステムになっているのかわからないが、誤字があったりして内容はほんわかムードで妙になごむ。そしてやってきた会飯がこれだ。
これが会飯の正体
これが会飯の正体
こちらは注文したうちの「なす会飯」。醤油味ベースのひき肉あんかけご飯、というのがその実体の説明になるかと思う。
ナスのカットがでかい
ナスのカットがでかい
うははは、うまい
うははは、うまい
食べてみる。…うわー、おいしいわ、これ。

料理の見た目から予測される味そのものが口の中にやってくる。その意味で意外性はないのだが、個人的にはビジュアルからの期待に100%はまった味に感じられて、そのはまり具合に驚いた。 初めて食べるのに、妙に親しみのある味。

ナスの切り方が大きいので、その中からベースの味付けに負けないナス汁が出てくるのも楽しい。
今、目の前にないのが悲しくなる写真
今、目の前にないのが悲しくなる写真
うまそう過ぎて情けない気持ちになる
うまそう過ぎて情けない気持ちになる
こちらは「肉みそ会飯」。ひき肉以外の具は玉ねぎとキャベツ。その名の通り味付けに味噌が使われているようで、ベースの味がなす会飯とは少々異なる。やはり大ぶりに切ってある野菜がおいしい。

なす会飯が自分の好みで選んだのに対して、こちらの「肉みそ会飯」はおかみさんに一番人気の品を聞いて教えてもらったもの。ただ、かなり考えてやっと3品挙げてくれたもののうちの一つだったので、会飯はどれも満遍なく支持されていることがうかがえた。
ほんと、うまかった
ほんと、うまかった
大盛・特盛のオプションも
大盛・特盛のオプションも
結構なボリュームがあって590円と、お得感もある会飯。大盛りは70円増し、特盛は150円増しという札も下がっているのだが、これらのオプションを頼むと値段以上に思えるボリュームがさらに追加されるらしい。よく考えて選んだ方がよさそうだ。

ちなみに、写真の右下に写っている青は、おかみさんが被っている西武ライオンズの野球帽。トレードマークになっているようで、きれいな青色が店内を忙しく動きまわる様子が映える。
まだ、帰りたくない
まだ、帰りたくない
だってこんなに兄弟がいるんだもの
だってこんなに兄弟がいるんだもの
2人で訪れた今回、会飯を2種類食べて満足したのだが、どうにも後にしがたいこのお店。遠くからの来訪なので、再び来られるか定かではない。

店内では様々なバリエーションで会飯会飯会飯…と迫ってくる。
そういうわけで追加
そういうわけで追加
後ろ髪をひかれて追加したのは「じゃがいも会飯」。いやー、また会飯に会えてうれしい。

ちなみに「会飯」という名前についておかみさんに聞いたところ、「本当は『火偏に会』って漢字で書くんだけど、それだとみんな読めないでしょ」との話。なるほど、と一瞬思ったが、「会飯」でも読めないので解決になっているかどうかよくわからない。

しかし言葉の響きも魅力的なこの会飯。ホイハン、なんともかわいらしい。
ジャガイモの切り方が予想外
ジャガイモの切り方が予想外
ベースの味に変化が
ベースの味に変化が
この「じゃがいも会飯」、フライドポテトのような形状に切ってあるジャガイモがやや意外。火の通り具合が、ホクホク未満シャキシャキ以上で実に絶妙。

そして全体的に黄色がかっていることからもわかるように、カレー粉の味でまとめられている。ここまで食べた3つ、具だけではなく味付けにも違いがあり、常連さんにも選ぶ楽しみがありそうだ。
中にダイブするほど好きらしい
中にダイブするほど好きらしい
下から二番目のこれのことか
下から二番目のこれのことか
食べ終わっていよいよ満腹。うつろに壁を見ていると、「焼肉ラーメン大好き」と、子供が書いたとおぼしき色紙が目に入る。よく見ると、ラーメン丼 ぶりの中に書き手本人らしき人間が描かれている。

そんなに好きか。確認するためにメニューを見ると「ヤキ肉メン」との文字が。名前から想像される実体にも期待が膨らむし、文字の使い方が「キン肉マン」のようでもあって気になる。最後まで後ろ髪をひいてくるお店だ。

ほんと、そう思います
ほんと、そう思います
旅先でこういう店に出会うと、今度はコーン会飯にしようか、きのこ会飯も気になるなと勝手に考えてしまう。

そうだ、ヤキ肉メンも選択肢に入ってきてしまったのだ。どうしよう。

調べてみたら、自宅からは220km。遠いこともあって次に訪れる予定は今のところないが、勝手に迷いが膨らんでいく。
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