特集 2011年10月24日

実在の「きのこ山」で「きのこの山」探し

ほんとにあるんだ!
ほんとにあるんだ!
ロングセラーで定番お菓子のひとつ、「きのこの山」。長年愛される理由は、手堅いおいしさに加えて、形とネーミングの愛らしさにもあると思う。 ただまあ、山としては想像上の存在であろう「きのこの山」。しかし調べてみると、このお菓子とほぼ同名の山が実在する。茨城県にある「きのこ山」だ。

実にかわいい響き。そこにお菓子の「きのこの山」みたいなきのこが生えてたら楽しいではないか。実際に行って探してみよう。
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」

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お菓子と現実は一致するのか

今回目指すのは、茨城県の桜川市と石岡市の境にある「きのこ山」。こうして書くと、その名前はあくまで地元の人が呼んでいる愛称で、正確な名前ではないだろうと思われる方もいるのではないか。
有名な筑波山も近い
有名な筑波山も近い
車窓から見えるものが気になるけど我慢
車窓から見えるものが気になるけど我慢
私も最初に聞いた時そう思ったのだが、調べてみるとそうではない。国土地理院の地形図にもしっかりと「きのこ山」という名前で載っている、オフィシャルな「きのこ山」なのだ。(参照)
誘惑が多い茨城の車窓
誘惑が多い茨城の車窓
改めて確認
改めて確認
「きのこ山」に到着する前に、お菓子の「きのこの山」をおさらいしておこう。チョコとクラッカーの組み合わせが手堅くおいしい明治のお菓子だ。子供の頃から何回も食べたことがある。

きのこ山の地元のスーパーに立ち寄ったところ、しっかり品揃えしてある。これから「きのこ山」に訪れることを考えると、土地の特産品を買ったような気分にもなる。
確かに今が旬だよね
確かに今が旬だよね
これが「きのこの山」?
これが「きのこの山」?
お店では「シーズンセレクト」として売られていたのも気が効いている。そしてパッケージをよく見てみると、「きのこの山」らしき山が描かれているではないか。

お菓子の設定ではここがそうなのだろうか。では実際に近づきつつある「きのこ山」はどんな感じだろうか。
今ほぼ正面にあるはず
今ほぼ正面にあるはず
あれがそうかな
あれがそうかな
独立峰っぽく見える筑波山とは異なり、「きのこ山」は連なった山の一つ。パッケージのようにくっきりと見て取れるわけではないが、スマートフォンの地図から確認すると、だんだん近づいてきているようだ。

のどかな里山にあるというシチュエーションは、箱の絵と共通。もう少し進んでみよう。
オフィシャル感漂う表示
オフィシャル感漂う表示
登山客もいるようだ
登山客もいるようだ
車を進めると、青地に白で「キノコ山」と書かれた看板を発見。この表示の雰囲気からしても、やはり「きのこ山」は愛称ではなく公式な名前なのだと感じ取れる。

ハイキングコースである「関東ふれあいの道」にも指定されていて、登山客向けの表示もあった。看板の先はまだ舗装道なので、もう少し車で進んでみよう。
いい感じに山
いい感じに山
カーナビでも到着を確認
カーナビでも到着を確認
木が両側から空を覆う道を進んでいく。カーナビでもしっかり「きのこ山」の表記は確認できる。さあ、その文字のところまではやってきた。ここから先は車を降り、山頂に向けて歩を進めよう。
ここからが登山本番
ここからが登山本番
30秒後に山頂
30秒後に山頂
とは言ったものの、車で入れる道から山頂とおぼしき表示のあるところまでは、ほんの数十メートル。拍子抜けするほどあっという間に到着だ。
看板の字で見ると改めてかわいい「きのこ山」
看板の字で見ると改めてかわいい「きのこ山」
看板には「この山は、昔から誰いうともなく『きのこ山』と呼ばれており、地ぶくれ状の山頂一帯はコナラ等の落葉樹が多く、きのこの生育環境に適しています」と書いてある。名前だけでなく、きのこ山は実際にきのこが生えているようだ。 読み取りづらいが、設置者名として「環境庁 茨城県」と入っているのも本格的で頼もしい。

さらには9月下旬から11月上旬にかけては、多くの種類の食用きのこが採取できるとも書いてある。その中に「きのこの山」的なきのこが含まれている期待が高まるではないか。
きのこの山の探索開始
きのこの山の探索開始
それでは「きのこの山」きのこを探してみよう。とは言っても、きのこ狩りなんてするのは初めて。全くコツや知識はないのだが、果たして見つけられるだろうか。
あっ、あったぞ!
あっ、あったぞ!
よし、ズームイン
よし、ズームイン
ドヨーン…
ドヨーン…
探し始めて割とすぐにきのこを見つけはしたのだが、イメージしてたのとはどうも違う。これはこれできのこだとは思うが、「かわいい私を食べて!」と言ってる感じはしない。
おっ、いい感じの朽ち木
おっ、いい感じの朽ち木
ああ…
ああ…
続いてまた別のきのこを見つけたのだが、こちらもどんよりした感じ。どのきのこもそのきのこなりに生えてるのはわかる。人間側の勝手な偏見や期待を押し付けて申し訳ないが、見つけられたのはどうにも残念なきのこたちだ。
「あったよ、あったよー」
「あったよ、あったよー」
山肌をさらに下へと降りかけたその時、上から同行していた妻の声が聞こえてきた。「きのこあったよ、こっちこっち!」。

声の弾み具合からすると、いい感じのきのこを見つけられたようだ。自分で最初に見つけられなかったのは悔しいと思いつつ、足取り軽く駆け上がる。
「ほら、そこ、真ん中のとこ!」
「ほら、そこ、真ん中のとこ!」
………
………
…さっき買ったお菓子の方じゃないか。

妻も少し離れたところで探してくれていたのだが、もう飽きたらしい。さぼってこんなネタを仕込んでいたようだ。

力なく笑ったところで、探そう探そうと肩に入っていた余計な力がいい意味で抜けていったようにも感じる。さあ、再び探索に戻ろう。
こちらもがっかりきのこ
こちらもがっかりきのこ
きのこかどうかも心配
きのこかどうかも心配
色はきれいだけどね…
色はきれいだけどね…
これまた残念なきのこ
これまた残念なきのこ
肩の力が抜けたところで、目的としているきのこが見つかるかと言うとそれはまた別の話。全体的に心ときめかない系のきのこばかりが目に入る。

頂上にあった看板には、千本シメジ・一本シメジ・大黒シメジ・カキシメジと、おいしそな響きを持つきのこの名前が具体的に挙げられていたのに、なかなかそれっぽいのは見つからない。
これも違うな…
これも違うな…
…あっ
…あっ
一時間くらい探してそろそろ疲れてきたとき、おっ!と思わされる姿が目に入ってきた。
これはまずまずだろうか
これはまずまずだろうか
まあまあ「きのこの山」っぽい。ザ・きのこという雰囲気漂う形をしている。

お菓子の方はチョコでできた傘が茶色いが、こちらは白。そう言えば期間限定版の「きのこの山」で、こういうホワイトチョコタイプのも見たことある気がする。

やや苦しい解釈だが、そういうことにしておこう。今回のベストきのこの山は、このきのことしたい。

手軽に食べられるきみが好きだ
手軽に食べられるきみが好きだ
姉妹品のコマーシャルでは「きのこの山のその奥に たけのこの里があったとさ」という歌が流れていた。調べてみたら、「たけのこの里」は青森県に実在するらしい 。今回は茨城県だから、それはちょっと奥過ぎる。

なかなか厳しかったリアルきのこ山でのきのこの山探し。疲れたあとに食べたきのこの山が、改めておいしく感じました。
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