フェティッシュの火曜日 2011年11月1日
 

荒川アザラシ騒動の現場

あざらしに似てる石
あざらしに似てる石
10月、荒川にまたアザラシが現れた。さっそく現地からUSTREAMで生放送を実施した(アーカイブはこちら。だけど水面しか写ってません)。

半分予想していたとおりアザラシは現れなかったわけだが、河原に独特のアジアンな雰囲気が漂っていたので報告したい。
1971年東京生まれ。ニフティ株式会社勤務。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと新宿区で活動。 編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。
> 個人サイト webやぎの目

デイリーポータルZの歴史はアザラシの歴史

2001年に多摩川にアザラシが現れた。そのとき僕は夏休みの自由研究というサイトを作っていて、現地からリアルタイム更新を行った(鶴見川アザラシ探索 2002/8/31)。そのサイトがもとになってデイリーポータルZができるのだが、そこでもしつこくアザラシを追い続けた。

いまさらタマちゃんを見に行く(2003/10/12)
タマちゃんのいた街(2004/11/5)

アザラシを追いたくて夏休みの自由研究をレギュラーのサイトにしたと言っても過言ではない。デイリーポータルZのZはアザラシのZである(Zが頭にないとか些細なことはどうでもいい)。

そして2011年、荒川にアザラシがあらわれた。見に行かねばならない。サイトが9年続いていることを報告しなければならない。僕はアザラシをなんだと思っているのか。
そうそうこの雰囲気。テンションがあがる
そうそうこの雰囲気。テンションがあがる

これが本当のゆるふわだ

11時に現場について6時間ほど川を眺めていた。結論から言うとアザラシは現れなかった。

平日の昼間に川を眺めている人が約200人。河原は最寄り駅から5km離れている。平日の昼にそんな場所に集まるなんて野次馬としては大リーガークラスである(含む僕)。そんなエリート野次馬はさすがである。ゆるふわな空気ができていたのだ。
アザラシかと思われたもの1。お茶のペットボトル
アザラシかと思われたもの1。お茶のペットボトル
アザラシかと思われたもの2。流木
アザラシかと思われたもの2。流木
10分にいちどぐらいどこからか「あ、あれはなんだ?」「鳥か?」「いや、アザラシかも!」とスーパーマンのオープニングのような声があがる。それは100%ゴミか石なのだが、いい大人がこれまでの知恵も尊厳もなくゴミを見て騒ぐさまはまさに格差のない社会。テレビ局はハイビジョン用のカメラ(高そう)でゴミを撮る。ユートピアか、ここは。

アザラシニュースはテレビで「暗いニュースが多いなかひとときの清涼剤として…」と紹介されるのが定番だが2011年の暗いニュースはこれまでと比べものにならない。そう思うとこのぬるい空気がまた格別である。
アザラシと思われたもの3 ゴミ
アザラシと思われたもの3 ゴミ
アザラシと思われたもの4 現場でかなり期待が高まった
アザラシと思われたもの4 現場でかなり期待が高まった
アザラシと思われたもの4は現場では「もしかして…」と期待が高まった物件である(僕が)。しかしデジカメで撮影してモニターを拡大すると
どうみても鳥
どうみても鳥
デジカメの進化は夢を見させてくれない。10年前のデジカメだったらアザラシかも…と思えた物体もあっさりとわかってしまう。鳥だ。もしくは鳥型のアザラシ。

知らない人と盛り上がれる

流木も写真で見ると流木だが、現場ではテレビ局のスタッフもアザラシでは?と追っていた。なにせ上流に向かって移動していたのだ(6時間水面を観察してわかったのだが、堰の近くには渦があるのか平気でゴミは逆流する)。

流木は水面から突起がふたつ出ていたので、「2匹になったか」「名前は? 」「アラちゃんとカワちゃんでどうか」「いいっすねえ」と隣の知らないおじさんと盛り上がった。
アラちゃんとカワちゃん
アラちゃんとカワちゃん
ちなみにそのおじさんはテレビ局の人にデジカメの写真を見せていた。アザラシの写真かと思ったら「これうちの近所でおきた事故の写真」と言っていた。
すごいぞ、おじさん。

レッドブルも来る

焼きそばの屋台も出て、レッドブルの無料配布の車も来ていた。
ここが盛り上がってるかなと思ってとのこと
ここが盛り上がってるかなと思ってとのこと
レッドブルはプルタブをあけてくれるのだが、おじいさんが「孫にあげたいので」開いてない状態のを欲しいと言って断られていた。アザラシがもたらしたペーソスである。

疲れてきてからがさらに味わい深い

午後3時ぐらいになると見物客にも疲れが見え始める。斜めのところに座っているせいか太ももが張ってきた。
まんなか下の頭が僕。同行のライター地主くんが撮った写真。
まんなか下の頭が僕。同行のライター地主くんが撮った写真。
それはほかのエリート野次馬たちも同じで、興味は目の前の釣り人に移っていた。大きい魚を釣ると静かな歓声があがるようになっていた。ひとつの目標に固執しない。固執しなさ過ぎ!と思うが僕もいっしょになって釣りの様子に見入っていた。
アザラシに代わり関心のまとになっていた釣り人たち(もしかしたら彼らがアザラシなのかもしれない)
アザラシに代わり関心のまとになっていた釣り人たち(もしかしたら彼らがアザラシなのかもしれない)
立って見物している人は午後になると撤退して、夕方まで残ったのはキャンプ用のいすを持参している猛者たちである。いすに座ってゲルマニウムローラーで頬をなででいる女性がいた。
アザラシ探してゲルマニウムローラー。ナンセンスなことを言おうとして考えてもなかなか出てこない組み合わせである。いいものを見た。

ライブカメラがあった

帰ってきてから知ったのだが、今回アザラシが出た秋ヶ瀬取水堰にはライブカメラがあったのだ(秋ヶ瀬管理所ライブカメラ)。別に僕がUSTREAMしなくてもよかったのだ。

でもどうだろう。川の匂いが昼と夕方で違うこと、虫の声、逆流するゴミなど行ってみてたくさんのことに気づいた。

この濃厚な時間を体験できたのが最大の収穫と言えよう。
ワニかと思ったゴミ
ワニかと思ったゴミ
行くたびにアザラシに会えてないのでこういういいわけの語彙ばかり広がった。これもまたアザラシがもたらした恩恵である。
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