ひらめきの月曜日 2011年11月7日
 

カップを選んでくれる喫茶店で自分試し

どんなカップが出て来るか、自分の可能性をぶつけたい
どんなカップが出て来るか、自分の可能性をぶつけたい
飲み物を注ぐカップを、お店の人が選んでくれるタイプの喫茶店がある。流行りのおしゃれな店ではなく、クラシックな雰囲気の店に多いだろうか。

カウンターの向こう側に様々なカップが並んでいる様子からして楽しい。マスターがどんなカップを自分用に選んでくれるのか、運ばれてくるのを待つドキドキ感もある。

その人の雰囲気や服装に合わせて出してくれるのだろうか。ならば、自分の引き出しを様々に広げて、どんなカップが出てくるのかを確かめたい。
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」
> 個人サイト テーマパーク4096 小さく息切れ

自分というメッセージをカップに映して

外出先で休憩がてらによく飲むコーヒー。スターバックスやドトールも日常的に利用するが、昔からあるタイプの喫茶店に入るのもまた楽しい。

その店が、カウンターの奥にいろいろなカップが並んでいるタイプだとちょっとうれしくなる。どんなカップが来るだろうという楽しみが一つ増えるからだ。
自転車がにじませる地元民からの愛され感
自転車がにじませる地元民からの愛され感
まずはノーマルタイプの自分で
まずはノーマルタイプの自分で
今回最初に訪れた、神奈川県川崎市にある「いがらし珈琲店」もそういうスタイルの店。ネットの口コミ情報だと、ランチは予約しないと入れないくらいの人気店だそうだ。

一つ目の店ということもあって、まずはいつもの自分で訪れた。普段からよく着ている、白系のシャツと黒いズボンだ。特に個性があるわけでもない、普通の格好だと思う。
しっとりした雰囲気の店内
しっとりした雰囲気の店内
この陳列が楽しさを一つ増やす
この陳列が楽しさを一つ増やす
人気店との話を聞いていたので、午後の中途半端な時間に訪れた。おかげでお客さんの姿は少なく、落ち着いた雰囲気の中でコーヒーを飲むことができそうだ。

メニューの中から、ブラジルサントスを注文。さて、どんなカップが来るだろうか。
細かい意匠が美しいカップ
細かい意匠が美しいカップ
やってきたのは写真のカップ。繊細な模様と、黄色と青の組み合わせが綺麗なカップだ。少々複雑な描かれ方をした柄も面白い。
品があってかっこいい
品があってかっこいい
普通でよかったー
普通でよかったー
こういう店でカップを選んで出してもらえる場合、個人的にはシンプルなタイプよりも凝った柄のものの方に楽しさを感じるので、これはうれしいチョイス。それでいてあくまで普通の柄なので、普通の自分としては普通にこういうのが出てきた安心感もある。

さて、まずはノーマルタイプの自分での確認はできた。ここから先は、普段の自分ではない演出をして、どんなカップが出てくるのか試したい。
何枚も撮って選び抜いた一枚
何枚も撮って選び抜いた一枚
首周りにもさりげないセンスが覗く
首周りにもさりげないセンスが覗く
そういうわけで、普段の自分なら絶対着ないような服を用意した。近所のスーパーで買ってきたものだ。テーマは「1000円でなれるライト感覚の変態」。

ピンク地に、ラングエイジうんたらかんたらと書いてある。首からチラッと見える白黒ボーダーのタンクトップにも要注目。2枚重ね着用のセットで1000円だったので、売る側の言うがままに着ているわけだ。
二度見されるかどうかギリギリのところを突きたい
二度見されるかどうかギリギリのところを突きたい
やってきたのは葛飾区、京成高砂駅の近くにある「炭火珈琲キムラ」。自分がいることを除けば、落ち着いた雰囲気が漂う街の喫茶店だ。
ウッディーで穏やかなムードの店内
ウッディーで穏やかなムードの店内
それを切り裂く稲妻
それを切り裂く稲妻
それほど広くはない店内だが、木の素材を豊富に使ったインテリアは、ほっと一息つかせてくれる。商店街に一つこういう喫茶店があるとうれしいタイプの店だ。

そう感じるからこそ、微妙な感じでごめん、と言いたくなる。悪いことをしているわけではないはずなのに、不思議とそう いう思いが湧いてくる。

カウンターの向こうには様々なカップが。生まれ変わった新しい自分で、カップとの出会いを楽しみたい。
逆の意味でビジュアルショック
逆の意味でビジュアルショック
注文したグァテマラは、こんなカップに注がれて出てきた。

こんなはずでは…と言いたくなるシンプルさ。おかしな格好をした自分に、マスターから「コーヒー飲んで目を覚ませ」と言われたようでもある。
まあかわいいはかわいいんだけど…
まあかわいいはかわいいんだけど…
なんか納得できない!
なんか納得できない!
抵抗を感じつつ、恥を忍んでこの格好をしたつもりだ。そこんとこ、マスターには伝わらなかったか。深い色をしたコーヒーの水面に、サングラスの自分が映る。

「なんか釈然としないんだよね…」と同行の妻に話すと、「釈然としないのはあなたを前にした私の方だ」との返答。
いいなー、このカップ
いいなー、このカップ
もっと突き抜けるべきだったか…
もっと突き抜けるべきだったか…
隣のテーブルに座っていた初老の男性がコーヒーを飲み終わって店を出ていった。残ったカップを見てみると、パイナップルなどが描かれたなかなかに個性的なもの。男性はあくまで普通の方だったが、こうしたラインナップもあるようだ。

私の場合、人間本体のアクが強かったからカップはシンプルにされたのだろうか。見るからに面倒くさそうな人に賑やかなカップは、確かにくどい。そういうマスターのバランス感覚なのかもしれない。

高砂の店では、服装が中途半端だったのかもしれない。もっとアグレッシブに攻めてもいいんじゃないだろうか。
今度は駐車場の係員が二度見
今度は駐車場の係員が二度見
この頭はやばいだろ
この頭はやばいだろ
そういうわけで、クローゼットの中からキャベツ太郎セットを引っ張り出してみた。以前の記事で勝手に変身したときに作ったものだ。

しかし、服はともかく、キャベツヘッドで街に繰り出すのはやはり抵抗がある。喫茶店側もこんな奴が急に乗り込んできたら迷惑だろう。他のお客さんも気になってコーヒーの味がわからなくなる。
100円均一で買ってきた帽子を…
100円均一で買ってきた帽子を…
キャベツチェーンジ
キャベツチェーンジ
キャベツでありながら、なんとか世間との折り合いをつけたい。そう思って新たに投入したのがキャベツハットだ。100円で買ってきた帽子を染めて葉脈を描く。これならギリギリでおしゃれ帽子としてありではないか。
外葉も再現
外葉も再現
なんかむかつくな
なんかむかつくな
つばの裏側はビリジアンで染めた。こうすることで、軽く裏返せば外側の葉を表現できる。

自分を写した写真を確認する。都会にはこういうとんがったファッションの人が時々いるだろう。街を歩いてもそう違和感はないはずだ。そういう東京が僕は好きだ。
秋の日差しまぶしいキャベツ
秋の日差しまぶしいキャベツ
やってきたのは中央区、日本橋人形町にある「カフェアップル」。自分がいることを除けば、落ち着いた雰囲気が漂う街の喫茶店だ。

写真では確認しづらいが、土色のサンダルを履いて大地までも表現したつもりだ。どうでもいいディティールを押し売りしてくるメンタル面での厚かましさもここでは大事にしたい。
店に入って呼吸を整える
店に入って呼吸を整える
充実のラインナップがうれしい
充実のラインナップがうれしい
来訪者がうざったくても、店はあくまでしっとりしている。カウンターの向こうにはたくさんのカップ。木の素材感を生かした立派な柱が縦横に走り、古民家を訪れたような 落ち着きも感じさせてくれる。
なんか落ち着かないなー
なんか落ち着かないなー
そりゃお前のせいだろ
そりゃお前のせいだろ
キャベツ太郎で街を歩くと気もそぞろになるが、店に入って腰掛けると気持ちも落ち着いてくる。そして、ガラス窓に淡く映る自分を見てまた落ち着かなくなる。

注文したのはキリマンジャロ。やってきたのはこんなカップだ。
ガガーン
ガガーン
私の努力は無に帰すというのか。やってきたのは白とブルーのシンプルなもの。キャベツのことは完全にスルーなのか。

いや、待て。もっとじっくりカップを見てみよう。そこには何かメッセージが隠されているかもしれない。
これ、もしかしてキャベツなのか?
これ、もしかしてキャベツなのか?
もしかして、もしかしたら…
もしかして、もしかしたら…
最初はバラだと思い込んでいたカップの模様をじっと見つめる。…これ、もしかしたらキャベツではないだろうか。

そう思って2秒後くらいに、やっぱそれはないわ、という答えが自分の中に浮かんできた。物事をポジティブに捉えようとする姿勢は大切だが、事実をねじ曲げるのはルール違反である。

私のカップに少し遅れて、同行の妻が注文したブレンドのカップが運ばれてきた。
あれ?これ、もしかして…
あれ?これ、もしかして…
なんかキャベツっぽくない?
なんかキャベツっぽくない?
淡い緑を基調にしたデザインの妻のカップ。これ、なんだかキャベツっぽく見えはしないだろうか。

カップとお皿の縁が柔らかく波打っているのもキャベツ的。下に敷いたお皿は外側の葉。その葉が丸みを帯びたキャベツ本体としてのカップをやさしく包んでいるようにも感じられる。
人と人とは通じ合える
人と人とは通じ合える
そこに気がつけば、もうこれは完全にキャベツ。考えてみれば、キャベツの格好をした人にキャベツのカップを出すのは、これ見よがしで品がない。同行者にそっとキャベツカップを差し出すことで、二人が共にキャベツであることを演出したのだと思う。

そんなマスターの粋な計らい。声をかけてその意図を確認するのは野暮というもの。「いや、別にそんなことないです」という答えが返ってくるのが怖いからでもある。真実はともかく、勝手にキャベツメッセージを受け止めたい。

週末の人形町は人通りが少なくて安心
週末の人形町は人通りが少なくて安心
新しい自分になって、カップを選んでくれる喫茶店を訪れるという今回の試み。最後の店の訪問を終えて得たものは、無言のうちにカップを通して人と通じ合える素晴らしさだ。

ほんとかなあ…と気持ちの奥から聞こえてくる疑念は、心の中でワーッと叫んで掻き消したい。都会はキャベツを受け入れたと解釈しておくことにしよう。
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