特集 2011年11月21日

キモカワ南国フルーツ「ジャボチカバ」

これがジャボチカバ、「キモカワ」のうち「カワ」部分の写真
これがジャボチカバ、「キモカワ」のうち「カワ」部分の写真
ミカンやリンゴといったなじみの果物とは異なり、南の島のフルーツには独特のビジュアルを備えるものがある。ドラゴンフルーツやスターフルーツあたりがそうだろうか。 今回知ったのは「ジャボチカバ」という果物。上の写真のように、コロコロとして可愛らしいフルーツだ。ただ、特に変わったようには見えないと思う。

しかし、それだけでは済まされないインパクトがあるのがこのジャボチカバ。実際に見に行ってきた。
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」

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フルーツの異界へようこそ

ブラジルが原産という果物、ジャボチカバ。名前の響きも楽しげなこの果物を栽培している農園が日本にもあると聞いてやってきた。
裏が茶畑で静岡ムード
裏が茶畑で静岡ムード
大きな温室内はすでに南国の雰囲気
大きな温室内はすでに南国の雰囲気
今回訪れたのは、静岡県静岡市にある「西川農園」。静岡らしく、お茶やミカンも栽培しているそうで、茶畑もすぐそこに見える。

ジャボチカバは熱帯の植物なので、温室内での栽培。中に入ってみると、肌寒い日にも関わらずほんのりあったかくて、早くも南国気分だ。
ジャボチカバの木がたくさん
ジャボチカバの木がたくさん
近づいていってみると…
近づいていってみると…
「キモカワ」のうちの「キモ」部分
「キモカワ」のうちの「キモ」部分
なんだこりゃ感あふれるビジュアル。違う星にでも来たような気にさせられる、ジャボチカバの実り方。マンガに出てくる想像上の植物ではなく、これは現実なのだ。
しばらく見ても目が慣れない
しばらく見ても目が慣れない
まばたき忘れて目が乾く
まばたき忘れて目が乾く
あっけに取られる、釘付けになる。驚いたり意表を突かれたりしたときの表現が全て当てはまるような気持ち。

冷静になろう。これを説明すると、「幹から直接実る果物」ということになるのだろう。落ち着いて書けばそういうことなのだが、実際目の当たりにすると、言葉以上のインパクトがある。

幹から直接実るジャボチカバ。普通、果実は花が咲いた後にできるものだが、その辺はどうなっているのだろうか。
これが花の跡らしい
これが花の跡らしい
花ざかりはこんな状態に
花ざかりはこんな状態に
残念ながら来訪時は花が終わっている状態の木しかなく、実際に見られたのは咲き終わった後の花だけだった。しかし、園内にあった写真を見ると、幹から直接フサフサと花が咲いているのがわかる。

果実が実っている写真だけ見ると幹からいきなり丸い実がプリプリと湧き出てきそうにも見えるが、「花が終わって実が実る」という植物のルールはここにもあったのだ。なんだか安心。これは夢じゃない。
自分で摘み取りできる
自分で摘み取りできる
やっぱり夢みたい
やっぱり夢みたい
このジャボチカバ、他のフルーツの果樹園と同じように、摘み取り体験ができる。あの不思議な物体に自分の手で直接触れて、そのままもぎ取ることができるのだ。

小さめの紙コップ一杯になるまで入れることができて400円。実際にやってみよう。
目もうつろになります
目もうつろになります
もぎとった部分はこんな感じ
もぎとった部分はこんな感じ
幹からニュッと出てきているように見えるジャボチカバだが、自分でもいでみるとそうではないことがよくわかる。取れたつなぎ目の跡は、普通の果物と同じようにポチッと小さい。ここで親木とつながっているわけだ。
一角がおしゃれカフェ空間
一角がおしゃれカフェ空間
取ってしまえば巨峰的
取ってしまえば巨峰的
摘み取った果実は、温室の一角にあるカフェスペースですぐに食べることができる。かわいらしくペイントされたワゴン車や木製のテーブルセットがあって、さっきまで他の星にいたような気分を、ほんわかムードに引き戻してくれる。

ジャボチカバもこうして摘んでしまえば大粒のブドウのようで、さっきまで抱いていたような感覚は薄れていく。
キラキラとみずみずしい
キラキラとみずみずしい
微妙な表情だがその味わいは
微妙な表情だがその味わいは
濃い紫の皮の下には、果汁ほとばしる白い実が。このタイミングでの見た目は、ライチに似ているだろうか。

食べてみる。……こ、これはすごい。ものすごくおいしいじゃないか。

南国のフルーツの中には、派手でおいしそうな見た目の反面、食べるとモヤっとした味でなんとも言えない気持ちになるものもしばしばあるが、ジャボチカバはそうではない。はっきりとうまい。
このビジュアルの評価も変わる味
このビジュアルの評価も変わる味
種は果実に対して結構大きい
種は果実に対して結構大きい
味の表現は難しい。園にあったパンフレットには「味はライチやブドウに似た甘みと熱帯性の芳香があり、種の周りは弱冠の酸味があります」と書いてあった。確かにその通り。

ただ、それだけでは伝えきれない魅力があるのも事実。食感や香りに含まれるディティールが、口に入れた瞬間から喉を落ちて行くまでの間、様々に変化するのだ。

ちなみにこのジャボチカバ、収穫後の劣化が速いらしく、それゆえに外国からの輸入品もないとのこと。それをもぎたてで食べられるのだから、かなりの贅沢だ。
帰りたくなくなる心地よさ
帰りたくなくなる心地よさ
左の写真でも右下に見える印象的な絵
左の写真でも右下に見える印象的な絵
正体はミカンのあの白いやつ
正体はミカンのあの白いやつ
そのミカン100%ジュースがまたうまい
そのミカン100%ジュースがまたうまい
「ジャボチカバ・カフェ」と銘打たれたこの一角。ちょうどよい空気感の温室で、緑に囲まれておいしい果物をいただけるのだから、こんなに気持ちいいことはない。

飾ってあった白い木の絵は、聞いてみたところ農園の奥様がミカンの皮と実の間のあの白い部分を並べて描いたとのこと。おしゃれなだけでなく、そこを使うか!という意外性がすごい。
ジャボチカバも挟まった「農園サンド」
ジャボチカバも挟まった「農園サンド」
ジャボチカバ・パイ
ジャボチカバ・パイ
バトンという春巻き風お菓子もおいしい
バトンという春巻き風お菓子もおいしい
ミカンは1kgを自分で計る
ミカンは1kgを自分で計る
カフェにはいくつか軽食メニューがあって、ジャボチカバもふんだんに使われていておいしい。お肉や野菜、アボカドなどと一緒にジャボチカバが挟まれているサンドイッチは、早々に売り切れてしまっていた。実際食べてみたところ、こういう組み合わせもありなんだと発見の味わい。パンの左上に見えるお茶も農園産だ。

パイや揚げ菓子もおいしい。ミカンジュースがおいしかったので、ミカンそのものも買っていこう。自分で好きなのを選んで1kg計るスタイルなのも楽しい。
帰りたくないなー
帰りたくないなー
この空間が名残惜しい…
この空間が名残惜しい…
忘れた頃にもう一回ドーン
忘れた頃にもう一回ドーン

たまにポツンとなってるのもかわいい
たまにポツンとなってるのもかわいい
おいしい果物やお菓子、あふれる緑と光。これでもかと素晴らしい気持ちにさせてくれた今回の来訪地。それでいて樹木に目をやると、異界気分も味わえるから幅が広い。

農園の方もいろいろと話を聞かせてくれてとても親切。帰りたくなくなる心地よさだ。

成長した木には密集しているジャボチカバ、まだ若い木にはさびしく一粒だけぶらさがってる様子もかわいい。早く友達できるといいな。
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