特集 2011年12月12日

携帯見ながら歩くと危ないよ

キャプション!
いきなりだが苦言を呈したい。

みんな携帯を見ながら歩きすぎじゃないか。

前方不注意で危ないし、携帯に意識を持って行かれると歩くのも遅くなり、狭い通路で他の通行人の邪魔になってしまう。
まったくけしからん!
インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変わった音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。
『雑に作る ―電子工作で好きなものを作る近道集』(共著)がオライリーから出ました!

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前向きなソリューションを

と家でこたつに入ったままノートパソコンに向かってひとりでブツブツ言っていても仕方がなく、こういった社会問題に対して僕たちはもっと前向きな態度で関与していくべきである。

闇雲に「禁止!禁止!」と唱えるのでなく、ベターなやり方を考えることで、問題を根本から解決していこうではないか。
禁止ばかりしたくはない
禁止ばかりしたくはない
かくいう僕も、歩いている途中にTwitterやFacebookが気になってしまう気持ちはわかる。ソーシャルメディアは眠っていた僕たちの承認欲求を焚きつけるのだ。こうして道を歩いている間にも、誰かが「いいね!」を押したりRTしたりして、僕を賞賛してくれているかもしれない。それを早く見たい!そう思うと、移動中だろうがなんだろうが3秒に1回くらいのペースでスマートフォンを確認せずにはいられないのである。(いや、そう思ってるのは僕だけで、みんなはただゲームとかやってるだけなのかもしれないのだが…。)

なんにしろ、みんなスマートフォンが気になってしょうがないわけだ。そこで、だ。発想の転換をしてみたい。携帯見ながら歩くのを禁止するのではなく、携帯見ながら歩いてても大丈夫な状況を作り出せばいいのではないか。

僕のアイデアをきいてください

この携帯の
この携帯の
ここんところにカメラがついてればいいと思うのです
ここんところにカメラがついてればいいと思うのです
いまはもっぱら携帯の表と裏についているカメラだが、上面にカメラがあれば、下向いて携帯見てても、同時にカメラ経由で前の様子を知ることが出来る。
下を向いて歩いていると、前方の脅威(悪のロボット)に気づくことができない
下を向いて歩いていると、前方の脅威(悪のロボット)に気づくことができない
カメラがついていれば、前方の脅威(悪のロボット)に気づくことができる
カメラがついていれば、前方の脅威(悪のロボット)に気づくことができる
ここまで理屈としては完全に正しいと思うのだが、あいにく机上の空論だ。だって僕の携帯にはそういったカメラがついていないのだ。うーん、と考えた結果、こんな方法を思いついたのである。
100均で買ったメイク用品
100均で買ったメイク用品
その鏡だけを取り外して
その鏡だけを取り外して
紙でちょっとだけ細工し
紙でちょっとだけ細工し
カメラに対して45度の角度で取り付ける
カメラに対して45度の角度で取り付ける
こう
こう
困ったときは先達に学ぶべきなのである。

たとえば自動車。自動車には前を向いたまま後ろを見られるシステムがついていて、それは大げさなカメラ装置ではなく、「バックミラー」と呼ばれる鏡によって実現されているのである。

携帯も、新たなカメラを増やさなくても、ミラーがあれば正面の様子を確認することができるのだ。
作業部屋、正面の風景
作業部屋、正面の風景
水平に持った状態で、正面の様子を捉えることが可能
水平に持った状態で、正面の様子を捉えることが可能
上下が逆さになってしまうのが難点だが、実用上はそれほど問題ないだろう。
前方の障害物の有無さえわかれば、避けるときは頭を上げて見ればいいのだ。たまには首を動かしたほうが、肩凝り防止にもよい。

実際に使ってみる

携帯を持って外にやってきた。
持っている姿は違和感なし。
持っている姿は違和感なし。
実際に画面を見ながら歩いてみよう。
動画だと画面の反射でちょっと見づらいが、肉眼では前方の様子がバッチリ確認できた。とちゅうでバスが横切るのがわかるだろうか。下を向いていてもカメラ経由でちゃんとその存在に気づくことができる。

次に第三者視点から、前方カメラがある場合とない場合、歩く様子を比べてみよう。
携帯を見ながら歩くと歩調がノロノロになってしまう上、自転車にぶつかったりするのだ。今回は自転車だったからよかったものの、これが冬眠中のヒグマだったら…。

しかしカメラで前が見れていればスタスタ歩くことができる。障害物にもぶつからない。進路上でヒグマが冬眠していても大丈夫だ。(ただし冬眠していなかった場合は大丈夫ではない)
あと地面に携帯を置くときにカメラのレンズを擦らないというメリットもある
あと地面に携帯を置くときにカメラのレンズを擦らないというメリットもある
こう置くと尾翼のついた宇宙船っぽい
こう置くと尾翼のついた宇宙船っぽい
2011年12月12日、東京都内の森林より、不時着した宇宙船と見られる金属製の構造物が発見された
2011年12月12日、東京都内の森林より、不時着した宇宙船と見られる金属製の構造物が発見された
宇宙船が浮上したぞ!
宇宙船が浮上したぞ!
ワープ航法だ!
ワープ航法だ!
アハハハハ、アハハハハ
アハハハハ、アハハハハ

違う

やりたかったのは宇宙漂流ごっこではない。社会問題に対して真面目にソリューションを考えたかったのである。ついでに言うと、この前方カメラは実はなんの解決にもなっていない。だってカメラ起動してたらスマートフォンでTwitter見れないし、自分への賞賛をリアルタイムでチェックできない。

なにより、どうせカメラの映像しか見れないのなら、スマートフォン使わずに最初から肉眼で前を向けばいいのである。意味ない。

新たなソリューション

自動車の話をもう一度思い出してみよう。別にカメラを使わなくていいのだ。鏡さえあればいいのである。
鏡とフレーム部品を買ってきた。あと使わなくなったスマートフォンのカバー。
鏡とフレーム部品を買ってきた。あと使わなくなったスマートフォンのカバー。
穴を空けて
穴を空けて
カバーとフレームをネジ止め
カバーとフレームをネジ止め
裏からフレーム部品が鏡を固定する
裏からフレーム部品が鏡を固定する
ミラーつきスマートフォン、完成。
ミラーつきスマートフォン、完成。
自動車のフロントガラスの上にバックミラーがあるのと同様、スマートフォンの画面の上にもフロントミラーをつけた。今度こそ、下を向いてTwitterで自分に対する最新の賞賛をチェックしながら、同時に前方の安全もチェックできるデバイスの完成である。
いいぞ、スマートフォンをバリバリ操作しながら、ミラーで前方確認も出来る。

国土交通省は、いますぐ全スマートフォンへのフロントミラー設置の義務づけを決めてはどうか。老婆心ですが。

つづいて第三者視点での様子。
ミラー装着時の、この俊敏な動き!!
メリットはそれだけではない。携帯を置くとき斜めの角度になるため、見やすくて便利である。
メリットはそれだけではない。携帯を置くとき斜めの角度になるため、見やすくて便利である。
逆に置けば鏡としても使える
逆に置けば鏡としても使える
せ、千円札が2枚に!!
せ、千円札が2枚に!!
折りたためないので、持ち運ぶときすごいでかいのが難点である
折りたためないので、持ち運ぶときすごいでかいのが難点である

前向いて歩こうぜ


このように、携帯を見ながら安全に歩くためには、全画面をカメラにしてほかのことができないようにしたり、ポケットに入りきらないサイズのでかいフロントミラーを設置したりする必要があった。どちらも大変わずらわしい感じでしたので、読者諸兄におかれましては、やっぱり路上や人の多い場所では携帯から目を離し、正面を向いて歩いていただけたら幸いです。
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