
本当に赤いきつねと緑のたぬきと黒い豚カレーと白い力もち。
誰もが一度は感じたことがある憤り。それは、「赤いきつねが赤くない!」だ。さらにいえば、「緑のたぬきも緑じゃない!」である。
パッケージこそ赤や緑でクリスマス気取りだが、その実態は茶色いきつねうどんとたぬきそば。狐と狸に化かされたっていうことか。
名前に偽りありだと振り上げたこの手で、本当に赤いきつねと緑のたぬきを作ってみようと思う。
玉置豊(たまおきゆたか)
趣味は食材採取とそれを使った冒険料理。ただし上手でも詳しくもない。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。白髪は中学2年から。
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とりあえず海へやってきた
最初に言っておくが、狐と狸を赤や緑に染めるという、一風変わったペット自慢の話ではない。赤や緑の沸騰した液体で、本当に赤いきつねと緑のたぬきを作るという、お手軽クッキング記事である。
まず赤い液体といえば、トマトジュース、赤ワイン、イチゴジュース、ラー油あたりだろうか。緑だったら抹茶もいいが、やっぱり青汁か。緑なのに青汁とは信号方式だ。
美味しくカップラーメンを食べるなら寒いところということで、海で実験します。「イサキ釣りはね、タナが命なんだよ」と船長。
まずいものを作って、「まずい、もう一杯!」と、八名信夫がやった青汁CMのモノマネをやりたいという話ではないので、簡単でおいしいものがいい。
海の上は寒い。寒いときには辛いもの。ということで、先行の赤組はキムチの素をセレクト。
対する後攻の緑組も、辛いをテーマにグリーンカレーの素にしてみた。初戦から予想外の異国情緒あふれる対決である。
赤コーナー、桃屋キムチの素ー! 二枚並べると、間違い探しみたいな写真ですね。
船に乗ってやってきた太平洋上は、なかなか景気よく海がシケていて、風は冷たく、体は冷え冷え。絶好の辛いカップラーメン日和といえるのだが、波がすごくてさっきまで船酔いでダウンしていた。
だいぶ体が慣れて、もう大丈夫かなと思ったところで料理をはじめたのだが、写真を見るとまだ顔色が真っ青だ。
揺れる船のキャビンの中でお手軽クッキング。粉末スープとお湯を入れたら、キムチの素かグリーンカレーの素をトッピング。
この蓋をあければ、本当に赤いきつねと緑のたぬきがそこに存在するはず。
赤いきつねが本当に赤い!
まずは赤いきつねから。お湯を入れてから待つ時間を考えると、緑のたぬきから食べたほうがいいと思うかもしれないが、お湯を入れるタイミングをずらしたので、その心配は無用である。作りながら、俺って頭がいいなと思った。本気で。
赤いきつねの蓋をあけると、そこには真っ赤に血塗られた狐を連想させなくもないなきつね(おあげ)が横たわったうどん。
まさに『赤いきつね』である。
若干スプラッタなのは、おあげの上にキムチの素をかけたからですね。
食べてみると、和風のダシにキムチの素の辛みがマッチしていて、冷え切った体が喜ぶ味。やはり赤くてこそ、赤いきつねだったのだ。
きつねうどんというか、キムチうどんだけど。
船酔いを忘れるうまさ。
そういえば私が子供のころ、父親が毎日のように、サッポロ一番の味噌味にキムチの素を入れて作っていたのを思い出した。
子供のころは、なんでそんな辛いものを好んで食べるのだろうと思ったけれど、今だったらわかる気がする。
あまり緑ではない緑のたぬき
赤いきつねを二分で食べきり、三分前にグリーンカレーの素を入れて作った緑のたぬきが食べ頃となった。
満を持して蓋をあけると、それほど緑ではない、というか、ほとんど緑とはいえない、失敗した自家製くさや液みたいな微妙な色のそば。
いまさらだけど、緑のたぬきって、たぬきそばじゃなくて、天麩羅そばだと思う。
グリーンカレーの素を見たときに、これ自体がほとんど緑じゃなかったので、まあこうなるとは思っていた。きっと緑の野菜を入れてこそのグリーンカレーなのだろう。
入れるのは素じゃなくて、レトルトが正解だったか。
食べてみると、同行していた岡田くんも「けっこう食えちゃうね!」と納得の味。
見た目こそ微妙だが、その味はというと、タイと日本のいいとこどり、とまでいえないが、なかなか食わせる味である。
ムエタイ出身のタイ人ファイターと、角海老ジムのボクサーとの好勝負みたいなことを書こうと思ったが、一番大切なのは色がダメだ。
これでは『本当に緑のたぬき』と呼べないのである。