はっけんの水曜日 2012年1月11日
 

ちょうちん屋さんのちょうちん記事を書く

ハローワークを見て来た

次はいよいよ骨と皮が張られたちょうちんに絵付けをする工程だ。
絵付けの作業場
絵付けの作業場
絵付けの作業場は、さっきまでの骨組みと紙張りをする作業場とはまた違った緊張感が漂っている。その中でもって、五三の桐を絵付けしている職人さんに話を聞いた。
絵付けの職人さんには女性もいる
絵付けの職人さんには女性もいる
−−こちらで絵付けのお仕事されるようになったきっかけってなんですか?
「ハローワークで来たんです」
なんと! ハローワークで紹介されてこちらに来たのだそうだ。ハローワークに伝統工芸品の求人があるというのが驚きだ。この方は前職は事務員をされていたとのこと。ちょうちんとは全く関係ない業界からの転職もすごい。
職人といえば、朝6時には来て、夜10時まで働いて、親方の履物はそろえて……というようなイメージがあるが、株式会社化している会社では労働基準法があるため、そういう「修行」はなかなか難しいのだ。

さまざまなちょうちん

なんだか楽しそうに見えるけど、仕事中です
なんだか楽しそうに見えるけど、仕事中です
絵付けの作業場ではさまざまなちょうちんを見ることができる。やはり目立ったのはこちらの巨大赤ちょうちんだろう。これはタイの日本料理レストランで看板として使われるためのちょうちんだ。最近はこのような「輸出用」のちょうちんの発注も増えているらしい。ちなみに素材はビニールで出来ている。
地蔵盆のちょうちん 
地蔵盆のちょうちん 
北陸地方でよく使われるちょうちん
北陸地方でよく使われるちょうちん
ところで、先ほどから何回も見かけるこのちょうちん。これは関西地方で特に盛んな地蔵盆で使われるちょうちんだ。黄と赤と青のカラフルなデザインは、仏教旗などにも使われるいわゆる「五色」といわれる仏教の教えを象徴した色使いから来ているのだろう。また、北陸では、右上写真のような豪華で凝った絵柄のちょうちんがよく使われる。
このように、同じように見えるちょうちんの柄にも地域性があるらしい。

やはりひとつづつ手書きが基本

献灯に名前を書き込む
献灯に名前を書き込む
神社に献灯されるちょうちんに献灯者の名前をひとつづつ書いている職人さんにもお話を伺ってみた。
表面に凸凹があるちょうちんにこれだけ整った文字を書くのは至難の業だ
表面に凸凹があるちょうちんにこれだけ整った文字を書くのは至難の業だ
−−やはり、習字は得意だったんですか?
「いやー、ちょっとだけですねー」
使っている文字は基本的に楷書体だが、ちょうちんに書きやすく若干字の形が違っているらしい。

−−普通の習字とちょうちんに書く文字は違いますか?
「違いますね、習字は一発で書きますけども、ちょうちんは表面が凸凹しているところに書くものなので、何回もなぞって書いたりしますね」
よく子供の頃、書道で文字を二度書きしたりすると怒られたものだけど、ちょうちんの界ではそれはありだという。世界が変われば常識も変わるという好例かもしれない。

−−神社におまいり行ったりしたとき、自分の書いたちょうちんが飾ってあったりすることあります?
「ありますよ、ちょっと恥ずかしいです(笑)」
やはり、ちょっと恥ずかしいのだそうだ。なんだかわかるその気持ち。ぼくも自分の書いた文章を目の前で音読されたら気を失いそうなぐらい恥ずかしくなってしまう。ちょっと違うかもしれないけれど。

量が多いものは下書きせずに一気に書いてしまう

こちらのちょうちんに、文字を入れていた方は、発注の量が多いものは下書きをせず、いっきに書いてしまうらしい。
下書きせずに一気呵成に書いてしまう
下書きせずに一気呵成に書いてしまう
「やっぱりね、芸術ではないので、間違うとなんぼ言い訳しようが間違いなんです。たとえば『うちのその文字は点がある文字なんです』っていう風に言われれば『いや、この点は普通はないんです』『いやうちのはずっと昔からあるんです』『……わかりました』と、なんぼうまいこと書けたとしても、注文どおりに書いてないとだめなんです。そういう意味で書道とは違う厳しさがありますね」
なるほど、たしかに書道と似ているようなイメージはあるけれども、やはり「ちょうちん」はあくまでも商品であり、自己表現の場所ではないというしっかりとした意識があるのだ。

どうも「ちょうちん記事を書かせてください」なんて、いよいよ言い出しづらい雰囲気になってきた……。

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