ちしきの金曜日 2012年1月13日
 

ラーメン屋と喫茶店のお茶漬け

デイリー恒例、埼玉県 B 級グルメです
デイリー恒例、埼玉県 B 級グルメです
埼玉県の蕨(わらび)市ではお茶漬けを名物B級グルメにしようとしてる。

ただし、お茶漬け専門店があるわけではない。居酒屋など、既存の飲食店がそれぞれにお茶漬けを出している。

その結果まるっきりお茶漬けと縁のなさそうなところでも、独自のお茶漬けが食べられるようになっている。
1982年、栃木県生まれの指圧師です。自分で企画した「下北沢ふしぎ指圧」で施術しています。何をしているときでも「みんなが自分の治療院に来てくれるといいな〜」って思っているのですが、ノイローゼでしょうか。
> 個人サイト 下北沢ふしぎ指圧

となりの駅にお茶漬けを食べに行く

埼玉県の蕨市。宿場町のとしての歴史は古いが、現在とくに目を引くようなものがある街ではない。僕は蕨市のとなりの川口市に住んでいるが、数えるほどしか来たことがない。
蕨駅前。おりるや否や「私はみんなのために何をすべきか」などと重たい言葉を投げかけられる
蕨駅前。おりるや否や「私はみんなのために何をすべきか」などと重たい言葉を投げかけられる
なにもないところだが「すぐ近所の知らない街」というのは意外とテンションが上がる。なんでもない物の一つ一つが面白く見える。
おおっ…この自販機のボロボロっぷり…なかなかここまでの物はないぞ…
おおっ…この自販機のボロボロっぷり…なかなかここまでの物はないぞ…
お母さんの見下している表情がなんともたまらん。悪いことしたくなる…
お母さんの見下している表情がなんともたまらん。悪いことしたくなる…
街を面白がっていたら、向かいから強い風が吹いて来た。
冷たい風が正面から
冷たい風が正面から
こんなところでイソップ童話の続きでもやってんじゃないか、という天気である
こんなところでイソップ童話の続きでもやってんじゃないか、という天気である
思わぬところでお茶漬け食べたい欲が高まってきた。うん、さっさと店に入ろう。

お茶漬けは裏メニュー

やってきたのはラーメン屋「和彩」。店の外の看板やノボリは「薬膳担々麺」一色である。あれ?お茶漬けはどうしたんだろう。
薬膳担々麺がすごくおいしくて健康に良い、ということが黄色いノボリに書いてある
薬膳担々麺がすごくおいしくて健康に良い、ということが黄色いノボリに書いてある
券売機にも「お茶漬け」のメニューはなし
券売機にも「お茶漬け」のメニューはなし
ここでやっている、と聞いて来たのだが、券売機にないというのは、やってないということだよな…「すいません、お茶漬け食べに来たんですけれども…ないんですかね?」
「作れますよ」という返答
「作れますよ」という返答
やってくれるそうだ。まさか名物が裏メニュー扱いになっているとは思わなかった。

ラーメン茶漬け

それにしても、ラーメン屋で「チャーシュー丼」はどうみてもサイドメニューだ。サイドだけ頼んで、それを裏メニューのお茶漬けにしてくれ…とはちょっと面倒くさいお客になっていないか、僕は。
出て来た。チャーシュー丼にラーメンスープがひたひたになっている
出て来た。チャーシュー丼にラーメンスープがひたひたになっている
スープがすっごくうまい
スープがすっごくうまい
ご飯と、さっぱりとした魚ダシっぽいようなラーメンスープ。ラーメンスープなんだけれども、脂っ気が少なくて、塩気がキリっとしていて、ちゃんと「お茶漬け」の味になっている。うまい。

ただ、これを食べるとやっぱりどうしても本丸の「ラーメン」を食べたくなってしまう。店先で大プッシュされていた「薬膳担々麺」を追っかけで注文することになってしまった。
お茶漬けとは違ってこちらは濃厚スープ
お茶漬けとは違ってこちらは濃厚スープ
挽肉の下に漢方っぽい味のする香辛料がいっぱい入っている
挽肉の下に漢方っぽい味のする香辛料がいっぱい入っている
ラーメン茶漬けの印象とまるで違う担々麺が出て来た。ぬめっと濃いスープに、辛みとスパイスの味がする。すごく良い担々麺だ。

うまいんだけれども、こういう物を食べると僕は
あっという間に汗でぐしょぐしょになってしまう
あっという間に汗でぐしょぐしょになってしまう
厨房から心配される
厨房から心配される
極寒の風の強い日に、メニューにない名物を注文して、汗だらだら流した後に帰って行く。僕の一連の行動が、変な都市伝説とか民話とかに発展しなければいいな…と思う。

喫茶店のお茶漬け

日を改めて向かったのは「コーヒーベル」。さっきのラーメン屋がラーメン茶漬けだったので、喫茶店ではコーヒー茶漬けが出てくるかもしれない。
店先に奇妙なキャラクターがいたので
店先に奇妙なキャラクターがいたので
この時は本当に「コーヒー茶漬け」が出て来てもお かしくない…とヒヤヒヤした
この時は本当に「コーヒー茶漬け」が出て来てもお かしくない…とヒヤヒヤした
絵にしてみたが、さすがにこの妄想無理あるな
絵にしてみたが、さすがにこの妄想無理あるな
入り口でだいぶ手こずってしまったが、中に入ると大変上品な喫茶店である。物腰の柔らかいおかあさんが注文を取りに来た。
口頭で次から次へとおすすめメニューを出してくる。うっかりグラタン頼みそうになるが
口頭で次から次へとおすすめメニューを出してくる。うっかりグラタン頼みそうになるが
お茶漬けをオーダーしたらびっくりされた
お茶漬けをオーダーしたらびっくりされた
ここでも裏メニュー扱いなのかな。名物ってなんだろう。考え込んでしまったが、出て来たお茶漬けは大層立派なものだった。
これが「お 茶漬け」セ ット!
これが「お 茶漬け」セ ット!
焼きおに ぎりに、と ろみのつ いたカツオ ダシをかけ ている
焼きおに ぎりに、と ろみのつ いたカツオ ダシをかけ ている
うまいです。コーヒー茶漬けとか一瞬でも考えた僕を殴って下さい
うまいです。コーヒー茶漬けとか一瞬でも考えた僕を殴って下さい
お茶漬けの具に「ふろふき大根」が入っている。柔らかい
お茶漬けの具に「ふろふき大根」が入っている。柔らかい

なぜ「お茶漬け」なのか

そういえば、なぜ蕨でお茶漬けを出しているんだろう。

「おいしいですね、東京から食べに来たんですよ」と言ってみたら、色々と教えてくれた。(東京からというのは嘘だが、距離にして3 キロメートル分にも満たない嘘である)
となりの客がうまそうにケーキ食べてるもんでケーキも頼まざるを得なかった
となりの客がうまそうにケーキ食べてるもんでケーキも頼まざるを得なかった
おかあさんいわく、
・蕨は高齢者が多いので、重たくならないようにお茶漬けにしたんです
・蕨は昔からの宿場町、さらに水が良い。すごく昔にここで作ったお茶漬けを食べたお殿様がたいそう気に入った、という伝説があるのよ
なるほど。蕨市の歴史と現在がお茶漬けにつまっているわけだ。ただ、嘘をつかなくてもふつうに聞けば得られる情報だったかもしれない。
カンヅメのミカンかと思ったら丁寧に皮をむいた、はっさくであった(大興奮)
カンヅメのミカンかと思ったら丁寧に皮をむいた、はっさくであった(大興奮)

ゆるい名物

名物、なんて言いながらも調べた限り蕨でお茶漬けを出しているのは今のところ5軒。そしてその内の2軒がこんな感じだ。ゆるやかな名物で、蕨市の平和さを僕は感じ取った。

そして今回、お茶漬けだけはなくて、きままに食べたいものを食べているだけの記録になってしまった。しかし、どのお店もうまそうなものが色々あるのだから、これはもう仕方のないことと考えて頂きたい。
また来るよ、蕨
また来るよ、蕨
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