特集 2012年1月30日

食べ物「スーパーX」を探せ

使い古されたようで新鮮な響き
使い古されたようで新鮮な響き
「スーパーマン」や「スーパーマリオ」のように、スーパーという単語を冠した言葉がある。 訳語はいくつかあるようだが、感覚的にしっくり来るのは「超」とか「すごい」というあたりだろうか。そういう意味なので、下に来る言葉を強調したい場合に用いられることが多いと思う。

力強さを表すためか、有名どころだと「スーパードライ」や「スーパーカップ」のように、食品につくこともある。他にも例えば……えーと、何があったっけ?
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」

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「スーパー」の具体像求めて

よくありそうに思えるのに、改めて考えてみると、それほど思いつかない食べ物の「スーパーX」。そんなことを考えたきっかけは、宮城県名取市を訪れた際に気になって入ったラーメン屋さんの名前だ。
かっこいい
かっこいい
仙台空港近くに立つ「スーパーラーメン」である。ありきたりなようで、冷静に考えると聞いたことのない組み合わせの言葉。「スーパーカップ」というカップ麺は有名だが、こちらはずばりスーパーラーメン。白地に赤のスピード感ある書体に続けて「290円」と価格があるのは、アピールポイントだからなのだろう。
青空とのコントラストも美しい
青空とのコントラストも美しい
ロケーションにも気持ちが引き締まる
ロケーションにも気持ちが引き締まる
確かにラーメンが290円というのは安い。「幸楽苑」といった大手チェーンでも同様の価格で出しているのでインパクトこそ薄れたかもしれないが、それにしても業界最安レベルだろう。ここで言う「スーパー」とは、まず価格がスーパーということになるのだと思う。
気になるな
気になるな
気になるんだけどな
気になるんだけどな
ではそのラーメンを食べようと思って入店。食券を買うシステムなのでボタンを一通り眺めると、気になるウインナーを発見。キムチウインナーも肉じゃがウインナー聞いたことがない。食べてみたいが、売切ランプがついている。

念のため店員さんに確認してみるが、やはり両方ともないとのこと。キムチウインナーはキムチっぽい味がするウインナーとのことだが、今ひとつピンと来ず、謎が深まる。
普通ゆえに手堅くおいしそう
普通ゆえに手堅くおいしそう
290円のラーメンは醤油と塩から選べて、今回は醤油を選んでみた。ご覧の通りオーソドックスでシンプルなラーメン。

ちなみに少々計算が合わないのだが、税込み価格で300円。大手は税込みできっちり計算を合わせて304円なので、わずかにスーパーラーメンの方が安い。
安くても具はしっかり押さえてある
安くても具はしっかり押さえてある
このどんぶり欲しいな
このどんぶり欲しいな
低価格のラーメンだが、ちゃんとチャーシュー入りなのがありがたい。たまに「学生ラーメン」といった名前でほぼ具なしのメニューを出す店を見かけるが、こちらはチャーシューの他にメンマやキクラゲも入る充実度。キクラゲは細切りで歯ごたえがコリコリと気持ちいい。

そしてどんぶりに「スーパーラーメン」と入っているのもうれしい。スーパーラーメンという響きのスカッとした気持ちよさが、食器からも伝わってくる。
スーパーをパワーアップするシステム
スーパーをパワーアップするシステム
漬け物類は5種類の充実度
漬け物類は5種類の充実度
さらにこの店、メインメニューと合わせて200円のライスセット、または300円の餃子セットを注文すると、ご飯と漬け物が食べ放題となるオプションを導入。今回はそれほど空腹ではなかったので頼まなかったが、はらぺこの人が 力一杯満腹になりたいときには魅力的なシステムだと思う。
「新食感!」が気になるなー
「新食感!」が気になるなー
基本メニューの安さに加えて、手頃な価格で満腹になれるこのお店。堅実なスーパー性のある店だったと思う。 次はまた違った方向性の「スーパーX」を探してみよう。
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いよいよ本気出してくるスーパーX

スーパーと冠された食べ物探し。続いてやってきたのは、千葉市の幕張地区だ。
スーパーXが存在するという中央の建物
スーパーXが存在するという中央の建物
その正体は高級ホテル
その正体は高級ホテル
向かった先は、ホテルニューオータニ幕張。個人的に普段は縁遠い高級ホテルだが、スーパーXがあると聞いたなら少々高い敷居も乗り越えたい。

正面から入ってすぐ、ラウンジ前のガラスケースの中で、キラキラしたスーパーたちが待ち受けていた。
堂々と居並ぶスーパースターたち
堂々と居並ぶスーパースターたち
パティスリーSATSUKIという洋菓子ショップで販売されている、スーパーと冠されたケーキたち。店側もこれらを「スーパーシリーズ」と呼んでアピールしている。
余裕のたたずまい
余裕のたたずまい
もはや訳しきれてない
もはや訳しきれてない
通常のケーキよりもグレードの高い材料を使った作っているというスーパーケーキたち。中でも最高級のスーパーメロンショートは1ピースで1575円という価格。普通の店なら小さなホールケーキが買えるような値段だ。

上の写真以外にも「スーパークラシックツインロール」や「スーパーピュアプリン」といったラインナップもあるのだが、気になったのは「スーパー黒豆カン」。

「スーパー」+「黒豆カン」という言葉のつながりが意外。商品名のプレートには英語で「Super Pure extra」とあって、完訳あきらめムード。すごいだろう!という抽象概念だけで英語圏にアピールする作戦だ。
グイグイ来てます
グイグイ来てます
「俺は噛ませ犬じゃねえ!」
「俺は噛ませ犬じゃねえ!」
最もオーソドックスな「スーパーショートケーキ」の説明によると、上に乗っているイチゴはハチミツでマリネしているとのこと。店員さんからその説明を聞いて、「ほおー、マリネですか~」などと相づちを打ったが、心の中は「え?マリネ?マリネって、…マリネ?」と自信がない。

そしてスーパーケーキがあるなら、その陰にスーパーではないケーキもある。ノーマルタイプのショートケーキはスーパーシリーズの下段に並んでいると引き立て役ように感じられるかもしれないが、十分に誇らしげ。

両者はラウンジ内でも注文できるので、食べ比べてみよう。
全体にぷりぷり感が漂う
全体にぷりぷり感が漂う
まずは「スーパーショートケーキ(1050円)」。ビジュアルとしてわかりやすいスーパー感がないのが逆に怖い。
間に挟まってるイチゴが豪華
間に挟まってるイチゴが豪華
おしりのようにも見える生クリーム部
おしりのようにも見える生クリーム部
あくまで王道ショートケーキというたたずまい。キャッチーな特徴がない分、質的な面で本気出してるはずという推測が生まれて、対峙する気持ちも高ぶってくる。
こちらがノーマルショートケーキ(577円)
こちらがノーマルショートケーキ(577円)
大きさは変わらない
大きさは変わらない
続いてスーパーではない方のショートケーキ。一見、スーパータイプと変わらない見た目。大きさも全く同じなので、スーパーショートケーキの「スーパー」が大きさを表しているわけではないことがわかる。
左がノーマルで右がスーパー、そしてピスタチオの罠
左がノーマルで右がスーパー、そしてピスタチオの罠
よく見ると、スーパーの方は間に挟まっているイチゴが厚かったり、スポンジの色が濃かったりという違いがある。ただ、最もわかりやすい違いはピスタチオの有無だ。

実はそれがトラップ。ピスタチオのある方が価格の安いノーマルタイプのショートケーキなのだ。

「おっ、ピスタチオ!さすが高級~!」という短絡に陥りがちな自分に仕掛けられた罠。わかりやすい外見だけで判断するなという教訓がここにある。肝に銘じて両者を食べてみよう。
スーパーケーキVS自分
スーパーケーキVS自分
まずはスーパー。すぐにわかったのはクリームがうまさ。これまでの人生で「高いケーキなんだよ」と聞いて食べたケーキと同じクリームの味がする。

続いて感じたのはスポンジ部分のジューシー性。ジョワッとうまい汁がにじみ出てくるのだ。なんだこりゃ!という驚きのあるおいしさだ。

ただ、高いだけあって「…これはうまいはずだ……これはおいしいケーキなんだ…」という呪縛を自分に課しているような気も湧いてしまう。実際のおいしさもすごいのだが、プレッシャーのためか表情が硬い。
ノーマルタイプでなごむ自分
ノーマルタイプでなごむ自分
続いてはノーマル。スーパーが記憶にないうまさだとしたら、ノーマルは記憶の中にあるおいしさ上位グループのケーキと合致する味。「さすが高級ホテルのケーキ、うまいよねー」と、フランクに言える。十分おいしいが、スーパーと比べると味わいが軽い。

どちらもおいしいけれど、差ははっきり感じられたスーパー&ノーマルのショートケーキ。価格的にはほぼ倍なので、スーパーを1つ食べるか、ノーマルを2つ食べるか…と、勝手に仮想して悩むところだ。
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南の島からやってきたスーパーX

スーパーと冠された食品で有名なものはいくつかある。先ほどは高級ホテルに赴いたが、一般的な店でもよく探せば食べたことのないスーパーXは見つかるのではないだろうか。
身近なスーパーに新発見はあるか
身近なスーパーに新発見はあるか
日本で一番有名かもしれないスーパー
日本で一番有名かもしれないスーパー
そう思ってやってきたのは普通のスーパー。未知なるスーパーXを探しながら、既知のスーパー食品もおさらいして、それぞれのスーパーが何を示すのかも推察しよう。

まず見つかったのはアサヒビールの「スーパードライ」。言わずと知れたロングセラーで、日本を代表するビールの1つだろう。今でこそ超定番品だが、販売当初はアルコール度数が高めというのがスーパーたる所以だった記憶がある。
バリバリと数で押すスーパー
バリバリと数で押すスーパー
「味わえ、麺!」と命令形なのが男らしい
「味わえ、麺!」と命令形なのが男らしい
「スーパーカップ」という名の食品は有名どころに2つある。アイスクリームとカップ麺だ。

特にカップ麺の方はわかりやすく、でかさがスーパー。今では当たり前の商品だが、発売当初はでかいラーメンが出たなあと、スーパーという言葉の実感があった。
芽だけどバカにすんなよ!というスーパー
芽だけどバカにすんなよ!というスーパー
よく考えると謎が深まるスーパー食品
よく考えると謎が深まるスーパー食品
世に出たのが比較的新しめのものとしては、ブロッコリーのスーパースプラウトあたりがそうだろうか。当初はスプラウトの意味がわからず、さらにその前にスーパーとついていることから、語気に圧倒された覚えがある。今でも「すごい栄養なんだぜ」という勢いが伝わってくる。

ツナ缶の「スーパーノンオイル」は、ノンオイルを強調しているということでいいだろうか。ノンオイルですでに油を使ってないことを謳いながら、さらにスーパー。

そもそもが「ライト」ツナという商品名にノンオイルと冠し、だめ押しでスーパー。神に誓って油使ってません!というくらいのアピールだろうか。同じ会社の製品には「ウルトラノンオイル」というのもあるからややこしい。
難航する捜索
難航する捜索
今回の視点からは惜しいスーパーX
今回の視点からは惜しいスーパーX
これまで書いた既知の商品は簡単に見つかったのだが、未経験のスーパーXは予想外に見つからない。考えてみると、すでにスーパーとついている商品は定番になっているものが多く、新たにわざわざスーパーと冠して売り出すのは、メーカー側に抵抗があるのかもしれない。スーパーという言葉についた手垢の濃さからすると、語感の新規性がなく安易に映る懸念もあるだろう。

普通のスーパーでは見つからず、少々高級系の店に移動したところ、やっとみつかったのが「スーパースターロール」なる洋菓子。

ただこれは、「スーパースター」までが言葉のまとまりになっている感が強く、今回のスーパーX探しからするとやや外れる。「スーパー」は食品名に直結していて欲しいのだ。
南国パワーを見せてくれ
南国パワーを見せてくれ
気になる響きだけどスーパーとは別
気になる響きだけどスーパーとは別
暗礁に乗り上げつつあるスーパーX探し、迷い込んだのは沖縄物産の専門店。定番商品をそろえる一般スーパーには見つけられなかったものが、こういう店にはないだろうか。

「むちむちしょうが」など、印象的な言葉のついた商品が並ぶ店内。じっくりと棚に目をこらす。
気になるけど違うんだよな
気になるけど違うんだよな
…あっ!
…あっ!
意味が伝わらないくらいに独特な品物に気を取られる中、見つけたのは「スーパーマブヤーボール」という商品。

パッケージによると、中身はサーターアンダギー。それを沖縄のローカルヒーローになぞらえたものだろうか。うーん、これも今回の捜索目的とはズレがある。

なかなか難しいな…と思いながら、棚に再び目をやってみる。
こちらは文句なしに「スーパークッキー」
こちらは文句なしに「スーパークッキー」
「スーパークッキー」である。ありそうだけど見たことないとはこの感じ。スーパーがクッキーという一般的な食品名に直結している語感がうれしい。大きく出たな、というニヤリ感があるからだ。

8枚入りで1000円という値段の面でもなかなかスーパーなこのクッキー。購入してスーパー性を精査してみよう。まずは箱の能書きチェックだ。
うーん…
うーん…
意外と無口
意外と無口
売り文句や特徴を書いた文面を期待したのだが、どこにもそんなことは書いてない。写真こそあるものの、言葉としてはただシンプルにでっかく「SUPER COOKIES」とあるだけ。

しかし、この寡黙さは今回の捜索目的からするとうれしい。実に謎めいているからだ。
スーパーのベールが解かれる
スーパーのベールが解かれる
フタ裏にやっと解説が
フタ裏にやっと解説が
箱を開けてみると、やっと文が登場。表面でアピールするのではなく、開けたところで説明が始まるとは奥ゆかしい。

文面からスーパー性を読み取ってみよう。「ナッツやレーズンをたっぷり使用」「味わい豊か」「しっとりとした口当たり」といった辺りがそうだろうか。正直なところ、それだけ?という印象も受ける。それはすごい!という驚きがここにはない。

しかし食べ物はその味で勝負するのが本義。2種類あるうち、まずヘーゼルの方を食べてみよう。
トロピカルな個包装も楽しい
トロピカルな個包装も楽しい
確かに生地以外の材料多いな…
確かに生地以外の材料多いな…
ビジュアルとしては説明文に違わぬ含有材料の量が印象的。ヘーゼルナッツやレーズンが高密度で入っているのが見て取れる。スーパー感が少々わかってきた感じだ。食べたところでもそれは伝わってくるだろうか。
モッサー!
モッサー!
…ウハーッ!
…ウハーッ!
大きめのクッキーなのでまずは割ってみる。伝わってきた感触は、クッキーとは思えないもっさり感。しっとり系の定番カントリーマアムを遙かに凌駕するしめりけ。

パキッとかサクッとかいう感覚はまるでなく、じわじわメリメリ割れていくスーパークッキー。説明文にも「しっとり」という言葉はあったが、確かにこれはスーパーモイスチャーと言っていい。

そして、味のエネルギーもすごい。コクのある生地に、ナッツの香ばしさと食感がアクセント。ただそれより巨大なインパクトなのは、ズドーンと来る甘さなのだ。
チョコ味の方も同じくメリメリ
チョコ味の方も同じくメリメリ
食べる沖縄という感じのクッキー
食べる沖縄という感じのクッキー
目が覚めるほど爆発的に濃厚な味わいが迫ってくるスーパークッキー。この味ならばスーパーと冠されていることにも異論はない。
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苦戦、スーパーXファイナルラウンド

食べ物「スーパーX」探しの最後に訪れたのは、千葉県君津市。目的としたのは「らーめん なじみ」というお店だ。

その名の通りラーメン屋さんだが、店名が「スーパーラーメン」だった記事冒頭の店とは趣きが異なる。
和風の落ち着いたたたずまい
和風の落ち着いたたたずまい
なのにテンションはそうでもない
なのにテンションはそうでもない
店名ではなく、スーパーラーメンという名のメニューがあるタイプのスーパーX。店頭でもそれをアピールしているので、この店の看板の1つなのだろう。

よく読むとわかるように、30分以内で食べきったら無料というスーパーラーメン。やってみようではないか。
なにやら神々しいメニューの表紙
なにやら神々しいメニューの表紙
テーマはスペーシー
テーマはスペーシー
つけ麺チャーシューギャラクシー
つけ麺チャーシューギャラクシー
もつ煮のバックも宇宙
もつ煮のバックも宇宙
入店し、太陽と雲が描かれたおよそラーメン屋らしくないメニューを開いてみる。その中ではさらに高度が上昇し、宇宙まで到達しているではないか。

宇宙空間に浮かぶ様々なラーメン。輝く銀河をバックにすると、つけ麺チャーシューが謎の光を放ち始める。遙かな宇宙と身近なつけ麺、距離感のコントラストが新しい。新しすぎてうまく解釈できない。

もつ煮や麻婆豆腐のバックはどっかの星雲。もつ煮もいいけど宇宙もね、ということだろうか。
別刷りになってたスーパーラーメン
別刷りになってたスーパーラーメン
ディティールまで練られたルール
ディティールまで練られたルール
スケールのでかいメニューブックとは別の紙に、目的のスーパーラーメンを発見。男性だと麺5玉入りのそれを30分以内に食べきると、代金の1380円が無料になるメニューだ。

「試合時間30分間!」とあるのも挑戦心をあおられる。食べきれなかった場合でも支払いは1380円なので、比較的気軽に試せてやりやすい。

スープは6種類から選べるシステム。その中から塩味をチョイスして注文してみよう。
そしてやってきたスーパーラーメン
そしてやってきたスーパーラーメン
これだとスーパー性が伝わるだろうか
これだとスーパー性が伝わるだろうか
しばらくしてやってきたスーパーラーメン。単独の写真だとスーパーな感じがしないだろうが、同行者が頼んだ普通のラーメンと比べるとわかるだろう。わかっていたけど、やっぱりおかしいよこれ。

店員さんに成功率を聞いたところ、「大体5人に3人くらいですかね」と教えてくれた。結構高い…。自分もその中に入れるだろうか。
品物が来る前は気合い十分だったのに
品物が来る前は気合い十分だったのに
目の前にすると縮こまってる
目の前にすると縮こまってる
この手のチャレンジメニューは初体験の自分。前日から夕・朝・昼と三食抜いてきての挑戦だ。

それでも自信をなくすラーメンの迫力にびびっていると、店員さんが「大丈夫、小学5年生でも食べきったから」と励ましてくれた。

そうなのか…。ならばおっさんとしては負けたくない。でもその子がちびっこ横綱だったら負けても仕方ないか…とぐずぐずしていると、「がんばってくださーい、それではスタート!」と、店員さんが明るく開始の合図を告げる。…い、いくぞー!
デカ顔にも負けないスケール感のスーパーラーメン
デカ顔にも負けないスケール感のスーパーラーメン
顔が標準より大きいらしいせいか、何か大きな物を顔入りで写すとうまく伝わらないことが多いのだが、このスーパーラーメンにはそれにも動じない迫力がある。そういう意味ではデカ顔の人にもやさしいラーメンだ。

オーソドックスな味わいのスープと一緒に、程よいゆで加減の麺がスルスルと入ってくる。開始5分くらいまでは。
戦う男の表情はなぜかラクダっぽく
戦う男の表情はなぜかラクダっぽく
頭によぎる失敗者用のリベンジメニュー
頭によぎる失敗者用のリベンジメニュー
この店のユニークなところは、スーパーラーメンの完食に失敗した人だけが後日挑戦できる「スーパーラーメンリベンジ」というメニューがあることだ。男性だと麺が4玉に減りながら、30分以内の完食で無料となるのは同じリベンジルール。

開始7分くらいだろうか、半分ほど食べ進んだところで箸の動きが鈍くなる。「今回あきらめても、リベンジの方ならできるかな…」と早くも気持ちが後ろ向きになる。

そんな自分を時々様子を見に来る店員さんが明るく励ましてくれる。「ただいま7分です、おお、いいペースですねー!」という感じだ。食べきったら無料になってしまうのに、気持ちよく挑戦させてくれるのがうれしい。
とにかく汗がすごい
とにかく汗がすごい
最終段階の支援システムに到達
最終段階の支援システムに到達
食べていて驚いたのは、頭からふくらはぎまで、体中から汗が噴き出てくること。これはラーメンの温かさによるものではなく、「ちょ、ちょっと、まだ食べるの?なんかおかしくない?」という体からのエマージェンシーコールだと思う。無意識に緊急事態を察しているのがよくわかる。

苦戦しながらも95%ほど食べたところで、店員さんが登場。「がんばりましたねー!」と言いながら、小さな網を使って残りの麺を湯切り機能付きのデカレンゲに移してくれる。

「これ食べきったら完食ですよー。スープは残していいですからね」とのこと。ゴール直前で併走してくれているようではないか。
見守る視線があったかい
見守る視線があったかい
やったー!
やったー!
全てを口に入れたところで、「おめでとうございます、17分49秒、完食でーす!」と店員さん。店内のお客さんもこちらを見て、小さく拍手してくれた。

うはー。途中厳しいかとも思ったが、なんとかなるもんだ。
これが俺のリアル
これが俺のリアル
今ごろあそこに仲間入りしてるはず
今ごろあそこに仲間入りしてるはず
「ではお名前と一言、お願いします」と店員さんから渡された紙に率直なところを記入。店内にはこれまでの成功者の短冊がたくさん掲示してある。ここに私の名前も加わるのだろう。

ところでこの店のスーパーラーメン、これで終わりではない。完食成功者のみが後日注文できる専用メニューがあるのだ。
さらなる強敵が控えてた
さらなる強敵が控えてた
それが「スーパーラーメンII」。麺が6玉になり、トッピングの具も増えるというものだ。

こちらは30分以内の完食で無料になる特典に加え、1000円分のサービス券までもらえるとのこと。失敗した場合の商品代金が2000円と高くなるが、自信のある人には挑戦しがいのあるメニューだろう。
まあ僕はやめときます
まあ僕はやめときます

一番下の行にこれまでのドラマを感じる
一番下の行にこれまでのドラマを感じる
実際に体験してみた食べ物スーパーXたち。「スーパー」という言葉を冠してあるのにふさわしく、どれにも様々な角度からの個性があった。

上の写真は最後の店での注意書き。最後の行に書いてあるが、食べ始める前に店員さんからも小さな声で「もどしちゃうと罰金1000円ですので…」と告げられた。これまでいろいろあったんだろう。敗者たちの無惨な姿が目に浮かぶ。
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