特集 2012年2月5日

どぶろくフェスタへ行ってきた

ただ飲むだけではなく、品評もしてきました。
ただ飲むだけではなく、品評もしてきました。
「どぶろく」と言われる酒があります。日本酒と同じように米、水、麹を使って作られる酒ですが、白く濁っていてよく見る日本酒とはかなり雰囲気が異なります。

このどぶろくを多数集めてコンテストをしたり、飲み比べたりしようという、世にも楽しげなイベントが都内で開催されると知りました。しかも、どぶろくだけじゃなく、マッコリも多数用意されているらしい。

情報を知ったその日にチケットを入手。迷わず参加してきました。
1972年生まれ。元機械設計屋の工業製造業系ライター。普段は工業、製造業関係、テクノロジー全般の記事を多く書いています。元プロボクサーでウルトラマラソンを走ります。日本酒利き酒師の資格があり、ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しているので、体力実践系、各種料理、日本酒関係の記事も多く書いています。(動画インタビュー

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> 個人サイト 酒と醸し料理 BY 工業製造業系ライター 馬場吉成 website

最初に「どぶろく」とは

イベントのレポートの前にまずはどぶろくについてちょっと説明。どぶろくの定義は「米麹及び水を原料として発酵させたもので、こさないもの」または「米、水及び麦などの特定物品を原料として発酵させたもので、こさないもの」となっています。

作り方は日本酒と大体同じです。大雑把に言えば、蒸した米と水と麹と酵母を混ぜて発酵させます。つまり、よく見る日本酒との大きな違いはこすか、こさないか。こしていないので、どぶろくには米粒がそのまま残っていたり、かなりドロドロした液状だったりします。いわゆる濁り酒に近い。
こんな感じに白くドロドロとしている。米粒も大体そのまま残っています。
こんな感じに白くドロドロとしている。米粒も大体そのまま残っています。
ちなみに、マッコリは原料に米を使う(米以外を使うこともある)点は同じですが、
米麹ではなく麦麹を使うところが日本酒とは異なります。製造工程も若干異なります。
イベントでは韓国の他に、日本製のマッコリも試飲出来ました。こちらは茨城県吉久保酒造の生マッコリうさぎのダンス。
イベントでは韓国の他に、日本製のマッコリも試飲出来ました。こちらは茨城県吉久保酒造の生マッコリうさぎのダンス。
こちらは岐阜県渡辺酒造店の飛騨マッコリ。
こちらは岐阜県渡辺酒造店の飛騨マッコリ。
また、日本酒は発酵が進んだ段階で、加熱することにより酵母の活動を止めて発酵を停止させる火入れという工程があります。どぶろくは、この火入れをしていない物が多く、その場合発泡していて舌にピリピリきます。生のどぶろくは味もフレッシュでとてもうまいです。
白くて見づらいですが、瓶内を泡が登っています。もちろん火入れしているどぶろくもあります。長期保存可能。そちらもまた別の旨さ有り。
白くて見づらいですが、瓶内を泡が登っています。もちろん火入れしているどぶろくもあります。長期保存可能。そちらもまた別の旨さ有り。
ガスが出るのでフタに穴が空いている。
ガスが出るのでフタに穴が空いている。
他にも、どぶろくは2002年に行われた行政構造改革によって、日本全国に出来たどぶろく特区で様々な物が作られているなどありますが、説明すると非常に長くなるのでここでは省略します。

何はともあれ、飲める機会の少ない酒。これだけ沢山の種類を一度に味わえるのは貴重な体験です。

100種類以上を飲み比べ

どぶろくフェス会場の浜離宮朝日ホールは大盛況。
どぶろくフェス会場の浜離宮朝日ホールは大盛況。
どぶろくフェスタの会場は築地市場からほど近い、浜離宮朝日ホール。ホールに入るとほのかに酒のいい香りが漂ってきます。
出品されているどぶろくの数々。
出品されているどぶろくの数々。
生のどぶろくは要冷蔵なので、こんな感じで氷入り。
生のどぶろくは要冷蔵なので、こんな感じで氷入り。
イベントは前後半に分かれています。前半は出品されている100種類以上のどぶろくのコンテスト投票。担当のテーブルに置かれている20種類近いどぶろくを飲み比べ、上位2つを決めて投票。後半は好きなテーブルの酒を自由に利き酒出来ます。
ラベルなどの情報もよく読み真剣に吟味。
ラベルなどの情報もよく読み真剣に吟味。
利き酒では、口に含んで味をみたら吐き出してしまうのですが私には出来ない。体が勝手にそうしてしまう。
利き酒では、口に含んで味をみたら吐き出してしまうのですが私には出来ない。体が勝手にそうしてしまう。
上位2つを決めて投票と言ってもあまり難しい話ではなく、単に自分が気に入った2つに丸をして投票するだけです。難しく考えず、直感でサッサと飲んでいきます。
要するに他のテーブルの酒も試したいのでね。明確な欲望を前に人は迷いを生じない。
要するに他のテーブルの酒も試したいのでね。明確な欲望を前に人は迷いを生じない。
担当テーブルの気に入った2本の1本は確かこれ。投票用紙に細かくメモしていたが、提出してしまったので手元になし。
担当テーブルの気に入った2本の1本は確かこれ。投票用紙に細かくメモしていたが、提出してしまったので手元になし。
これは赤米か何かを使っているようで、全体にピンク色がかったどぶろく。随分甘い味だった。
これは赤米か何かを使っているようで、全体にピンク色がかったどぶろく。随分甘い味だった。
ドンペリならぬ「どぶぺり」。色物かと思ったらこれが担当テーブルで1番だった。旨味、甘さ、発泡具合など全てにバランスが良かった。
ドンペリならぬ「どぶぺり」。色物かと思ったらこれが担当テーブルで1番だった。旨味、甘さ、発泡具合など全てにバランスが良かった。
こんな感じでザックリと担当テーブルのどぶろくを飲んで投票したら、別のテーブルへ遠征です。
「十二六」で、ど(とう)ぶ(ふ)ろく。これも色物かと思いきや、落ち着いた味でこちらのテーブルで1番良かった。
「十二六」で、ど(とう)ぶ(ふ)ろく。これも色物かと思いきや、落ち着いた味でこちらのテーブルで1番良かった。
これは黒米を使ったどぶろくだったか?小豆のお菓子を食べているような感覚だった。
これは黒米を使ったどぶろくだったか?小豆のお菓子を食べているような感覚だった。
こちらは火入れタイプのどぶろく。火入れタイプの中では角が取れた味わいでこれが一番よかった。
こちらは火入れタイプのどぶろく。火入れタイプの中では角が取れた味わいでこれが一番よかった。
こちらもピンク色がかったどぶろく。アルコール感が強かったと思う。
こちらもピンク色がかったどぶろく。アルコール感が強かったと思う。
見た目よりもサラッとした味の物。甘味の強い物。キレのある強い味の物。どれもそれぞれ個性的な味で飲んでいて楽しくなります。

ただ、全体的に味は濃いし、飲みやすい割りにアルコール度数も高めなので、銚子に乗って飲むと後で痛い目をみるから注意が必要です。
大丈夫。自覚して飲んでいるから。この日は後から用事があったので抑えたよ。これでもね。
大丈夫。自覚して飲んでいるから。この日は後から用事があったので抑えたよ。これでもね。
また、会場では幾つかの酒蔵のどぶろくを買う事も可能でした。
東京ではなかなか買えないのでこういう機会は嬉しい。
東京ではなかなか買えないのでこういう機会は嬉しい。
どぶろくは、免許を持つ個人が少量生産しているような物も多く、一般の流通に乗る物はあまり有りません。今時ならネットで買える物もありますが、作っている人の話を聞いて直接買える機会は滅多にない。
イベントの最後はコンテストの結果発表。上位入賞酒で、その場に関係者がいた所は壇上に上がり拍手を受ける。このあたりは少しボーッとしていました。どぶろくは後から来る!
イベントの最後はコンテストの結果発表。上位入賞酒で、その場に関係者がいた所は壇上に上がり拍手を受ける。このあたりは少しボーッとしていました。どぶろくは後から来る!
作っている状況など色々聞きつつ、何本か購入してみました。こういう時の財布のガードはガラ開きです。酔っ払ってアマゾンとか楽天とか見てしまうぐらい危ない。

危なかったですが、楽しいイベントでした。次回開催されたらまた行こう。
そして、家にどぶろく4本。かなり自制した。「1026」でどぶろく。アルコール度数が低く、すっきりとした甘さで飲みやすかったです。
そして、家にどぶろく4本。かなり自制した。「1026」でどぶろく。アルコール度数が低く、すっきりとした甘さで飲みやすかったです。

現地に行って飲みたい

こういった試飲会は日本全国各地で開催されています。日本酒、ワイン、焼酎、ビールなど様々な種類の酒で行われていますが、どぶろくメインなのはかなり珍しい。

私もどぶろくと言われるものは今まで2、3種類しか飲んだことがなく、実に貴重で楽しい体験でした。次回開催されたら是非また参加したい。

そして、こういった郷土色の強い酒はやはり現地に行って飲みたい。気になった醸造元にはいずれ行ってみよう。きっとその酒に合うような面白い食い物も色々あるはずだ。
とある蔵の販売ブースにあったその蔵の広告。蔵人総出演の広告だった。おうちでホストごっこですか。ショットバーごっこぐらいならなんとか。この蔵にもちょっと行ってみたい。
とある蔵の販売ブースにあったその蔵の広告。蔵人総出演の広告だった。おうちでホストごっこですか。ショットバーごっこぐらいならなんとか。この蔵にもちょっと行ってみたい。
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