ちしきの金曜日 2012年2月10日
 

日本で唯一の指圧専門学校に3年通った

学校指定シャツの襟首も、ダルダルになる年月である
学校指定シャツの襟首も、ダルダルになる年月である
意外かもしれないが「指圧」を専門的に教えてくれる学校というのは日本で一つしかない。

浪越徳治郎が作った日本指圧専門学校である。他でもないこの僕はこの学校に3年間通った。そして今、卒業の時期を迎えようとしている。
1982年、栃木県生まれの指圧師です。自分で企画した「下北沢ふしぎ指圧」で施術しています。何をしているときでも「みんなが自分の治療院に来てくれるといいな〜」って思っているのですが、ノイローゼでしょうか。
> 個人サイト 下北沢ふしぎ指圧

日本指圧専門学校

学校は文京区の小石川にある。3年制で学生数は360人
学校は文京区の小石川にある。3年制で学生数は360人
たまに外国人観光客が敷地に入り込んで浪越徳治郎像と写真撮ってる
たまに外国人観光客が敷地に入り込んで浪越徳治郎像と写真撮ってる
指圧は、指で患者を圧してゆく療法である。これをやるのには「あんまマッサージ指圧師」という国家資格が必要になる。この資格、多くの学校だと鍼やお灸の資格のついでにとるケースがほとんどで、3年間がっつり指圧ばかりをやりつづける学校というのは他にない。

まさに「学校」の雰囲気

校内に入ってみよう。まずは僕が所属している3年B組の教室。
ひとクラス30人くらい。写っている人はクラスメイト
ひとクラス30人くらい。写っている人はクラスメイト
あらためて写真を撮ると、なんだか公立の小学校のような雰囲気だ。ちなみに日直や掃除当番やクラス委員長もいる。

委員長を決めるときは、なんだか学校ごっこをしているような気分になったのをよく覚えている。でもごっこじゃなくて本当の学校だ。

クラスの年齢は18歳〜60歳と幅広い。学校の机に18歳と60歳の生徒が机を並べておしゃべりしている様子はすこし不思議に見えるだろうが、もう僕にとっては当たり前の風景だ。
僕の席は一番後ろ
僕の席は一番後ろ

勉強難しい

学校に入って、勉強が難しいことに驚いた。

指圧の資格を得るためには3年学校に通った後、国家試験に合格しなければならない。この試験、指圧の知識以外にも解剖学、生理学、病理学、臨床医学、リハビリ…と覚えなくてはいけないことは非常に多い。

事前に、そういう情報はなんとなく得ていたが、指圧の専門学校の勉強に手こずることはないだろう…と入学時には考えていた。

でもそれは甘かった。定期試験で赤点をとったこともある。
国家試験の練習問題、こんな勉強すると思ってなかった
国家試験の練習問題、こんな勉強すると思ってなかった
世間では指圧師なんて別に「頭のいい職業」なんて思われていないだろう。でも学校に入ったら全く見る目が変わった。専門知識を持った技術者だ。

ついでに、看護師など他の医療系資格を持っている人たちを見る目も変わった。みんな大変な試験をパスした後で、大きな責任を持って働いているのだ。
病院行くたびに「ここにいるのはみんな膨大な医療知識を覚えた人たちなんだなあ」って思う
病院行くたびに「ここにいるのはみんな膨大な医療知識を覚えた人たちなんだなあ」って思う

ノートはラクガキだらけ

たくさん勉強しなくちゃいけないのに、僕のノートは悲しいくらいラクガキだらけである。
よだれがだらだら出てくる不条理3コマまんが。授業内容と関係なし
よだれがだらだら出てくる不条理3コマまんが。授業内容と関係なし
授業プリントの挿絵に自分キャラを絡ませてまんがを作るいう高度なテク。しかも授業内容に沿っている
授業プリントの挿絵に自分キャラを絡ませてまんがを作るいう高度なテク。しかも授業内容に沿っている
イラストを描いて暗記に役立てようとしたが、たとえが複雑過ぎる
イラストを描いて暗記に役立てようとしたが、たとえが複雑過ぎる
さっき「学校の勉強難しい」と書いたが、ラクガキのし過ぎがいけないのかもしれない。…しかしもうそんなこといっても遅い。国家試験の日は、この記事の掲載日の再来週である。

教室は受験ムード
教室は受験ムード

実技室

実技室に行ってみよう。指圧の練習は基本的に床で行われる。

ベッドでの練習もあるのだが、ベッドは人によって最適な高さがうため、指圧の際の姿勢を作りにくい。まずは同じ条件の床で、指圧の姿勢や感覚を作っていく。
特に変わった道具はないです
特に変わった道具はないです
うつぶせの際には胸当て(マットの上の青いクッション)を用いる
うつぶせの際には胸当て(マットの上の青いクッション)を用いる
道場の心得
道場の心得
週に4回実技の時間があって、3年間続けるので、もうやたらと上達する。入学時にはまさかこんなに指圧がうまくなるなんて思っていなかった。正直、学校を見くびっていたといえる。

圧加減が難しい

指圧というと一般には痛いイメージがあるかもしれない。しかし、きちんとした指圧はふわっと柔らかくて気持ちいいものだ。
ふわっと
ふわっと
先生は「指の力を抜いた方が、指がより深く入る」と言う。

またまた〜そんな不思議なパワーを秘めた達人みたいなこと言っちゃって…などと内心思いながらも一応言われた通りにすると、確かに入る。
ちょっと見ただけでずいぶん具体的で細かいアドバイスをするなあ、と思っていたら
ちょっと見ただけでずいぶん具体的で細かいアドバイスをするなあ、と思っていたら
本当にちょっとした微調整で圧の質感が大きく変わる
本当にちょっとした微調整で圧の質感が大きく変わる
このあたりの理屈は未だによくわからない。卒業を前にして「まあわかんなくてもいいや」と非常に達観した気持ちになっている。
着ているシャツとジャージは学校指定の「実技服」。最初はあまりにも全身真っ白でおののいた
着ているシャツとジャージは学校指定の「実技服」。最初はあまりにも全身真っ白でおののいた

指圧はドライブに似ている

「指圧をしていて指が疲れませんか?」と知り合いにきかれることがある。全然疲れないわけじゃないが、それほどでもない。それよりも、掌の感触から身体の状態を見るの大変で、それが疲れる。

この疲れ方、車の運転に似ている。たしかに操作に使うのは腕や足だが、長距離ドライブをやると集中力を使って、身体全体が疲れる。

いつもそんなことを考えながら指圧しているわけじゃないけれども、あらためて例えるとしたらそうだ。我ながら良いところ突いてると思う。
でも「車の運転?おれはぜんぜん違うと思うぞ」などと元トラック運転手の練習相手には言われてしまった
でも「車の運転?おれはぜんぜん違うと思うぞ」などと元トラック運転手の練習相手には言われてしまった

記事を読んで、日本指圧専門学校に興味を持った人もいるかもしれない。しかしこの学校案内、実は入学の検討には全く役に立たないのだ。

日本指圧専門学校の建物は、僕の卒業後しばらくして建て替えられる(気がついたら新しい建物の工事が着々と進んでいて本当にびっくりした!)。設備や雰囲気は変わるかもしれない。

今回は、僕自身の卒業メモリアル記事に付き合っていただいて、ありがとうございました。
この件については正直ショックです
この件については正直ショックです
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