ロマンの木曜日 2012年3月15日
 

寒い日が続くので飴を伸ばす

ある日、飴を伸ばす夢を見た
ある日、飴を伸ばす夢を見た
朝、顔を洗うべく洗面台の前に立った私は、鏡に写し出された自分の顔をぼんやりと眺めながら、昨夜見た夢の内容を思い出していた。

いまだに霞がかった頭の中に映し出されたのは、飴を伸ばす手である。熱せられ、柔らかくなった飴を一心不乱に伸ばし続ける両の手だ。伸ばしては飴を折りたたみ、伸ばしては折りたたみを単調に繰り返す、ただそれだけの夢。

どこで、何のために飴を伸ばしていたのか、それは分からない。ただひたすらに、飴を伸ばし続けていた。
1981年神奈川生まれ。テケテケな文化財ライター。古いモノを漁るべく、各地を奔走中。常になんとかなるさと思いながら生きてるが、実際なんとかなってしまっているのがタチ悪い。2011年には30歳の節目として歩き遍路をやりました。2012年には31歳の節目としてサンティアゴ巡礼をやりました。

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洗面所から戻った私は、布団をたたんで部屋の隅へ追いやると、ハンガーにかけていた上着を羽織り外に出た。

ここ数日、ぱっとしない空模様の日が続いている。春も間近な3月にしては、気温もだいぶ低かった。この日の朝も例外ではない。
冷たいドアノブを回すと、さらに冷たい風が室内へと吹き込んでくる
冷たいドアノブを回すと、さらに冷たい風が室内へと吹き込んでくる
午前10時頃の住宅街は、静まり返っていて不気味だ
午前10時頃の住宅街は、静まり返っていて不気味だ
開店直後にも関わらず、スーパーは客を集めている
開店直後にも関わらず、スーパーは客を集めている
近所のスーパーにまでたどり着いた私は、目当ての品を探して店内を徘徊する。男性客が少ないこの時間、私の存在は他の客や店員にどう思われているのだろうか。いや、どうにも思われていないだろう。

たった二品の買い物であったが、「袋はいりません」の一言を告げるタイミングを逃し、私の手にはしっかり袋詰めされた品物があった。
どこまでも白いビニールである
どこまでも白いビニールである
購入した品物を袋から解放してやる
購入した品物を袋から解放してやる
これから私は飴を伸ばす。

その材料は砂糖と水あめと水。たったそれだけだ。飴というものは、これ以上ないくらいにシンプルな菓子である。
70グラムの砂糖を必要とする
70グラムの砂糖を必要とする
想像以上の量である
想像以上の量である
水あめは30グラムだ
水あめは30グラムだ
粘り気があまりに強く、皿に移すのに若干の労を要した
粘り気があまりに強く、皿に移すのに若干の労を要した
まるで己の過去のように、執拗にスプーンにからみついてくる水あめ。振り払っても振り払っても、なかなか皿に落ちてくれない。ただひたすら、重力の力によって自然に落ちてくれるのを待つのみだ。

まさか材料の計量にここまで手間取るとは。思ってもいなかったところに伏兵が潜んでいる、そんな所に人生を感じる。
砂糖と水あめを鍋に移す
砂糖と水あめを鍋に移す
水50CCを加え、これで準備は整った
水50CCを加え、これで準備は整った

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