ロマンの木曜日 2012年3月15日
 

気がつけば長い付き合いのモノたち

どうしてか長い付き合いになってしまったモノたち
どうしてか長い付き合いになってしまったモノたち
ふと気がついたら、自宅で部屋着兼寝巻きにしているスウェットが20年を越える付き合いだった。

いつの間にか家にいて、何気なく毎日を過ごしていたら20年以上。まるで銀婚式を迎えた夫婦の心境のようである。

そういう、ふだん意識せず使っているけど、気がついたら長い付き合いのものはきっと誰にでもあると思う。いくらでも替えがきくのになぜか捨てられない。いろいろな人に、そういったものばかり見せてもらった。
1974年東京生まれ。最近、史上初と思う「ダムライター」を名乗りはじめましたが特になにも変化はありません。著書に写真集「ダム」「車両基地」など。 個人サイト:ダムサイト

一生やめられないスウェット

僕がふだん使っていていちばん古そうなものは、確か中学のときに母親が近所のスーパーの2Fあたりで買ってきたスウェット。いまでも、冬になると家の中ではほとんどこれを着て過ごしている。
ある日の原稿執筆風景
ある日の原稿執筆風景
こんな姿、全国の皆さんに見せるのも申し訳ないのだけど、馴染んだ格好を見てもらうのがいちばん説得力あると思って載せてみた。

20年以上着ているこのアクリル100%のスウェット、もうヨレヨレを通り越して、いまでは毛玉もできず織目も緩んで、まるでシルクのような肌触り。首回りや袖口のゴムが伸び切ったフィット感もちょうど良くて、もはや手放せない逸品だ。

破れたりしない限り買い替えないだろうし、一生を終えたときにはこれを着せて棺桶に入れてほしいとさえ思っている。

ところで、最近までまったく意識していなかったけど、改めて見てみたら胸のところに「UPDATED STYLE」「FOR MEN」「AMERICAN SPORTS」などと書かれていた。
雲を掴むようなコピーの数々
雲を掴むようなコピーの数々
更新されたスタイル。しかし僕にとっては旧態依然である。そして対象性別が正面に書かれた服ってふつうないと思う。これ着て外歩いたら勘違いされそうではないか。アメリカンスポーツという言葉の捉えどころのなさも比類ない。

それは今回の本題ではないので追求しないけど、とにかく、こういった何気なく長持ちさせてしまっているモノを見せてもらいたいと思って、ツイッターやデイリーポータルのメールマガジンで募集したところ、たいへん多くの方にご協力いただいた。

それらをまとめてみたら、いくつかの傾向が見えたので、順番にご紹介したいと思う。

手作りの服は捨てられない

まずは僕のスウェットと同じように、ほかと比べてやたら長い付き合いの服があるというパターン。ちょうどいま当サイトのクラブ活動で「毒部」を連載している伊藤さんが「高校の部活動用(20年前)のジャージを部屋着として使っています 」とのことで写真を送ってくれた。
一見ふつうのジャージ
一見ふつうのジャージ
伝統を重んじる部活で、当時の時点で20年以上前のモデルだったため、デザインが古くて使いづらいくせに特注で高価だった 」とのことで、言われてみれば最近の高校生が着ているパリッとしたジャージと比べてシルエットがぼんやりしている気がする。Jリーグ開幕の2年前の話だそうだ。

それでも、よく見ると県立の県が「縣」と旧漢字なところなど、渋いモデルだと思う。Jリーグも、開幕当時のユニフォームは太ももが妙に出ていたり時代を感じるから、流行り廃りのないロングランモデルだからこそ今も着ていられる、のかも知れない。

衣類で多かったのは、自分で作った服、もしくは母親が作ってくれた服をいまも着ている、という意見。

ツイッターでコメントをお寄せいただいた@myulさんは「5歳のピアノの発表会のときに、母がつくってくれた 」スカートを30代になったいまも履いているという。
かわいいけど物理的に履けるのがすごい
かわいいけど物理的に履けるのがすごい
5歳のスカートを着ていろいろ大丈夫なのかと思うけど「当時は確かくるぶし丈でしたが現在はちょうどひざ上で、いい感じ 」とのこと。時間の経過を想像するとリアルミンキーモモである。しかしここまでのロングライフはお母さんも想定外だろう。

そのほか、小学校や中学校の家庭科の授業で作った服やパジャマを今も着ている、という方も何人かいた。

服ではなく、子供の頃に買ってもらった針山を30年以上経ったいまでも使っているのは@tommmmm08さん。
いい表情の唐子人形がついている
いい表情の唐子人形がついている
10代の頃は「自分が着る服の7,8割を自分で作っていた 」とのことで、針を刺しまくったせいでピンク色の部分がだいぶ剥げてしまっているけど、針はともかく針山は買い替えよう、と思うタイミングが難しい気がする。

幼稚園のときの文房具を会社でも使ってる

おそらく、今回情報をいただいた中でいちばん多かったのは文房具。特に、幼稚園や小学校で使っていたハサミやホチキスを大人になっても現役で使っている人が多くてびっくりした。

たとえば@lilithz_nanaさんのハサミは幼稚園の「お道具箱」に入っていたもので「「30年くらい使ってます。錆びもせず、切れ味も衰えず 」とのこと。僕が先日100円ショップで買ったハサミはすぐに持ち手が折れたけど、昔のこういう製品って衰えというものを知らないと思う。
持ち手が象になっている
持ち手が象になっている
メールで送ってくださったKAMIJOさんも幼稚園のときに買ってもらったハサミが現役。何度か引っ越しをしたのに失くすことなく手元に残っているのは「このハサミで母親がなんでも直してくれた記憶のせいでしょうか 」と、中年の琴線に触れるコメントを添えてくれた。
手書きの名前も泣ける
手書きの名前も泣ける
そのほか、子供の頃から使っている文房具を送ってくれた人は多かった。その一部を写真で見てみよう。
@funakowaさんも幼稚園のお道具箱のハサミを25年以上愛用
@funakowaさんも幼稚園のお道具箱のハサミを25年以上愛用
謎の太陽マークがお気に入り、とのこと
謎の太陽マークがお気に入り、とのこと
@uchimura_mgkさんが約40年前に幼稚園の卒園式でもらったホチキス
@uchimura_mgkさんが約40年前に幼稚園の卒園式でもらったホチキス
@drhirameさんが30年以上使用しているホチキスには今はなき社名が
@drhirameさんが30年以上使用しているホチキスには今はなき社名が
@k0e0iさんのご主人が小学生の時から使っている定規で名前はお母さんが書いたそう
@k0e0iさんのご主人が小学生の時から使っている定規で名前はお母さんが書いたそう
@CAP10_ayさんの学研の付録の定規には単位換算の豆知識が書いてある
@CAP10_ayさんの学研の付録の定規には単位換算の豆知識が書いてある
@tablesaltさん「真ん中のグリップは高校生の頃、友達が捨てるシャーペンからラバーだけ強奪してつけました」
@tablesaltさん「真ん中のグリップは高校生の頃、友達が捨てるシャーペンからラバーだけ強奪してつけました」
@yukohigakiさんが図面を引いていたお父さんから26年前に買ってもらったロットリングとファーバーカステル
@yukohigakiさんが図面を引いていたお父さんから26年前に買ってもらったロットリングとファーバーカステル
@tb_lbさん「12歳から使い続けているペンケース、高校受験も大学受験もこいつと一緒でした。20年物です」
@tb_lbさん「12歳から使い続けているペンケース、高校受験も大学受験もこいつと一緒でした。20年物です」
あろはさんが30年以上使ってる学研の巻き尺。形はちょっと違うけど僕も持ってた!
あろはさんが30年以上使ってる学研の巻き尺。形はちょっと違うけど僕も持ってた!
@nobu_24hさんが15年前の上京の際に持ち出した、お父さんの持ち物だった工作板
@nobu_24hさんが15年前の上京の際に持ち出した、お父さんの持ち物だった工作板
今ではそれでジャニーズコンサートでの応援うちわを作っているらしい、というかあれはこんなに本格的な工作だったのか
今ではそれでジャニーズコンサートでの応援うちわを作っているらしい、というかあれはこんなに本格的な工作だったのか
文房具、特にハサミやホチキスは機能に問題なければ買い替える理由がないので、必然的に長い付き合いになるのだろう。そう考えると幼稚園の「お道具箱」の存在は、日本のハサミ、ホチキス業界にものすごい影響を及ぼしていると思う。

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