特集 2012年4月2日

大阪のゴミ処理場のギャップが凄い

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大阪市のゴミ処理場が誰でも自由に見学できる、ゴミ処理場オープンデーというものがあった。

それは楽しそうだと見に行ったところゴミ処理場とゴミ処理場の違いが凄かった。同じゴミを処理する施設なのにお金持ちの友達の家とおばあちゃん家くらいの違いがあった。
1983年三重県生まれ、大阪在住の司法書士。
手土産を持参する際は消費期限当日の赤福で受け取る側に過度のプレッシャーを与える。

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> 個人サイト owariyoshiaki.com

見た目はどっちもカッコ良い

通常は事前申請の上でなんやかんやしなければ見学できないらしいが、オープンデーの日は3ヶ所のゴミ処理場がふらっと行ってふらっと見学出来たのだ。

見に行きたい!と思って出来るだけ回ろうと思ったが行けたのは二ヶ所。その二ヶ所のギャップが凄くて面白かった。
大阪市のラストダンジョン
大阪市のラストダンジョン
今回行ったのは、舞洲と東淀川のゴミ処理場。

東京では都庁がロボになるので、都知事になるには操縦を覚えなければならないらしいが、大阪の市長になるにはここでボスを倒して剣を抜かなければならない。って事なら、すっごく支持する。
絶対姫とかいますやん。捕まってますやん。
絶対姫とかいますやん。捕まってますやん。
このゴミ処理場はかなり有名で、当サイトでも紹介していた(舞洲ワンダーアイランド)が、直接見るのは今回が初めて。デザインに色遣い、植物の生え方とか、その存在感に圧倒される。
ここは有名デザイナーに作られたんだから、ゲームの世界のボスも有名デザイナーにお願いしたのかな。
ここは有名デザイナーに作られたんだから、ゲームの世界のボスも有名デザイナーにお願いしたのかな。
本当にゲームの中のお城のようで現実感が希薄になる。周りにある倉庫とかあんまり目に入らなくなる。

「勇者よ、この中にいる敵を倒すのじゃ」とか言われたら絶対断る。ゴミ処理場ってわかってたら、楽しい建物だけど、そうと知らなければ超怖い。家の近所にいきなり建ったら多分なんかの訴訟が起こる。
それに対するこの剛直さよ。
それに対するこの剛直さよ。
もう一ヶ所見学に行ったのが東淀川区にある、2010年に出来たばかりだという東淀工場。舞洲工場とのギャップが凄い。四角!グレー!同じ、ゴミを焼く施設だと思えないこの違い。
どっから見ても四角い。
どっから見ても四角い。
舞洲の工場のボスを倒した後、世界に平和が訪れた…。みたいなエピローグで出てきそうな感じ。

この二つの工場、外観だけじゃなくて中もかなり違って面白かった。
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あ、やっぱり自分でもダンジョンっぽいって思ってるんだ

ダンジョン突入。
ダンジョン突入。
舞洲工場の外観にワクワクしながら中に入る。外観だけでなく入り口もちゃんとダンジョンっぽい。普段は開いてない入り口が年に一度だけ無条件に開く、ってのもゲームっぽい。
ゲームだとこれは絶対に罠のパターンだ。
ゲームだとこれは絶対に罠のパターンだ。
中に入るとエレベータに案内される。エレベータも抜かりなくゲームっぽい。これ、乗ったら罠のパターンだけど大丈夫か。
ゲームのダンジョンを冒険者目線で見れる感覚。
ゲームのダンジョンを冒険者目線で見れる感覚。
エレベータに特に罠は無く、開くと見えて来た通路がもう完璧にゲームの世界。壁やら窓やら廊下やら、手間かかってる感が半端じゃない。
天空の丘…炎の洞窟…!!
天空の丘…炎の洞窟…!!
うおお、うおおと喜びながら、渡されたパンフレットを見ると炎の洞窟やら光の里と書いてある。これ、完全にゲームを意識してる。自分でもゲームっぽいと思ってるんじゃん。

これが公共施設だ

壁に傷入らないようにフェルトは張る。基本。
壁に傷入らないようにフェルトは張る。基本。
それに対する東淀工場。二年前に出来ただけあって凄く綺麗。そして、普通!
四角い。直線に次ぐ直線
四角い。直線に次ぐ直線
公共施設ってこういう感じ。というのを体現した内装。というか公共施設。
すごい、コメントすること無い。
すごい、コメントすること無い。
同じゴミ処理施設なのにこの違い。舞洲工場から東淀工場まで約9年。ゲームに嵌ってコスプレとかしていた中学生が就職活動を始めてさっぱりとしたスーツを着こなし始めたようだ。
でも、これ何。
でも、これ何。

ゴミの量予想以上に凄い

舞洲工場版
舞洲工場版
東淀工場版
東淀工場版
見た目はかなり違う両施設だが、ボタンを押すと該当の部分が光る、という模型はほぼ同じようなものが置いてあった。大阪城でも見たことあるし、公共施設ってほぼこの展示ある気がする。なんだ、国策か。
舞洲工場では外観模型もあった。かっこいい。
舞洲工場では外観模型もあった。かっこいい。
そんな国策部分以外にも同じところがある。ゴミ処理機構だ。
通称、あんこくの谷(パンフレットに書いてある)
通称、あんこくの谷(パンフレットに書いてある)
舞洲工場のゴミを貯める部分は地上44メートルで面積もかなり広い。14階建てのビルがすっぽりと収まるくらいの場所。
これでゴミ収集車6台分くらい掴んでるらしい。感覚がおかしくなる。
これでゴミ収集車6台分くらい掴んでるらしい。感覚がおかしくなる。
こんなに大きい場所必要か。と、思ったら「ここではゴミ三日分も貯めておけます!」と係員の人が言っていた。三日分も!と言っていたが、三日分しか!?と思った。
東淀工場は写真が撮り辛かったです。
東淀工場は写真が撮り辛かったです。
三日で14階建てビル位の量のゴミが出る。しかも大阪市全域ではなく、10ある工場のひとつでその量。そりゃ、処理がどうこうの前に、まず量減らそうぜ!ってなるわ。よく処理出来てるなと驚く。

税金高い。って普段思うけれど、こうやって使われているのを見ると安いと思う。ゴミ捨てるのも、道路があるのも、水道も、僕が払っている税金で受けられるサービスとして破格だと思う。あ、ありがとうございます高額納税者様、と言うべきか。日本は凄いね。
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やっぱりクレーンゲームっぽい

舞洲、クレーン操作室。
舞洲、クレーン操作室。
ゴミ処理のクレーンを見ていると、クレーンゲームっぽいなと思う。自動で掴んでは放し、掴んでは放しをしている。一体何をしているんだろうと思って係員の人に聞いてみる。

僕「ずっと同じようなことしてますが、何のためですか?」

係員さん「これは燃やす工程に入る前に、密度を均一にしたり、一箇所だけに固まらないようかき混ぜてるんです。しばらくしたら自動で焼却炉に入れますよ」
東淀クレーン操作室。したい、操作したい。
東淀クレーン操作室。したい、操作したい。
あぁ、そういうところは自動なのか。と、いうことは操作はしないの?出来ないの?

僕「じゃあ、人が操作することは無いんですか?」

係員さん「基本的に自動運転だけれど急ぐ必要があったり、端っこに固まって自動では処理できないときには人の手でやりますよ。」
これ、普通に工業製品だけど、ゲームの敵っぽい。オメガっぽい(ファイナルファンタジー)。
これ、普通に工業製品だけど、ゲームの敵っぽい。オメガっぽい(ファイナルファンタジー)。
僕「と、言うことは、じゃあ練習したりするんですか?」

係員さん「そうですね、上手い下手あったりしますからね。無線を使って『もっと上、もっと上、あ、もうちょっと右』とか言って練習しますよ」

あぁ、なんだそのクレーンゲーム感!思ってたけど言ったら失礼かなと思って言わなかったけど、これは、言っていいだろ。

僕「クレーンゲームみたいですね!!」

係員の人「ハハハ・・・」

あ、なんか、やっぱり言わなきゃよかった。

やっぱり設備が凄く違う

ガラスに映りこんでるんじゃなくて、空中に浮かび上がった。
ガラスに映りこんでるんじゃなくて、空中に浮かび上がった。
見学をしていると、所々で説明が入るが、舞洲工場だとゴミの上にホログラムで星のカービィみたいなやつが浮かび上がって説明を始める。予想外のハイテク感。
映像見るコーナー。おそらく光の里。
映像見るコーナー。おそらく光の里。
さらに、説明動画がある際はなんだか大掛かりなセットが組んである。無駄に壮大な状況で、リユースリデュースリサイクル!って聞かされる。

もしここで上映する動画のストーリーを考えるならば、ゴミを排出しまくる大魔王を倒すためにいろいろ頑張って、最終的にラスボスと対決したら、敵は大量消費生活に慣れた自分自身だった。そしてこのセットが瓦解する。って物にする。

それに対する東淀工場は。
会議室!
会議室!
至ってシンプルに会議室。必要最小限。効率化の極みみたいなセット。大量生産品はコストが安いのだ。
また出た。
また出た。
そして、ポイントでまたVTRで説明が入る。そこで出てきたのがあの、なぞの外人キャラ。こいつは一体何なんだ。と思って聞いてみたら「東淀工場のマスコット、ゴメスです!」って言われた。

あぁ、何か、おばあちゃんち行ったら喜ばせようとお菓子買ってきてくれてるんだけど、なんかゼリーみたいなのに砂糖まぶしたヤツだった。みたいな、ズレ感。
そこら中にいる。ゴメス。
そこら中にいる。ゴメス。
こういうキャラはどういう会議を経て生まれてくるんだろう。って思っていたら動画の中で「ゴメス、何人だと思いま~すか?アメリカ人?ブラジル人?ノンノン、大阪人でんねん!」って言い出して、これ言わせたかっただけか。と思った。
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ゴミ処理場はゴミ処理だけのものじゃない

舞洲工場の配管たち。10年経ってるのにこんなに綺麗。
舞洲工場の配管たち。10年経ってるのにこんなに綺麗。
こうやって見学しながら歩き回っていると、見学を前提として建物が作られていることに気付く。工場見学などに行くと、工場があって、お邪魔します。という感じで見て回ることが多いが、見学用通路、エレベータなどが用意されており、過不足無く上手く回れる。
東淀工場の排煙処理施設。
東淀工場の排煙処理施設。
ゴミを処理するのはもちろん、社会科見学などの教育や、見学に来た人にちゃんとやってまっせ!とアピールする面も意識して作られているように思う。

舞洲工場のエンタテイメント性よ

子供の一番食いついてたポイント
子供の一番食いついてたポイント
舞洲工場は楽しませる仕掛けも凄い。ゴミを処理する過程をゲームのようにして体験できるようにしていた。ホントにクレーンゲームにしていて、子供夢中。僕もやりたかったが、順番が回ってくる気配が無かったので諦めた。
発電体験するおじいちゃん。レバー回したら左後の丸いのが光る。
発電体験するおじいちゃん。レバー回したら左後の丸いのが光る。
こちらは発電体験。レバーを回せば、花が輝き、花開く。ゴミ処理場では廃熱で発電しており、使う電気は全部自己発電でまかなっているそうだ。しかも、余った分の売り上げが舞洲工場で4億円!

凄い!ごみ処理場立てれば立てるほど処理できて収入もゲット!と思ったが、維持管理費はそれ以上らしい。
理論上はまったく同じ。
理論上はまったく同じ。
同じ体験できるものが東淀工場でもあったが、超コンパクト。更に、蛍光灯と白熱灯の消費電力の違いも身をもって体験できるというプラスアルファ付き。
こういう所でおどけたポーズ取らせようとする所、昔っからあるよね。
こういう所でおどけたポーズ取らせようとする所、昔っからあるよね。
東淀工場では防護服も展示してあった。毒性の強いものを処理する際に着るものらしく、右が通常用で左が防水タイプ。紙のような素材でこれで毒を防げるのかと驚いた。カッコいい、と思うが顔の部分はゴメスの顔。どこまでゴメスを推すのだろうか。
エアーメット。カッコいい。
エアーメット。カッコいい。
一緒に飾ってあるヘルメットもカッコいい。が、話を聞くと、エアーメットは密封して酸素を送るタイプではなく、酸素を噴射して空気の壁を作って毒を排除するタイプだから風吹いたら普通に悪い空気入ってくるからダメ。と言っていた。
こっちのきっちり周りの空気遮断するタイプじゃないとダメだって。
こっちのきっちり周りの空気遮断するタイプじゃないとダメだって。
悪い空気入ってくるからダメってどうやって判断したのか。「これはまずいと思った」と言っていたが、そういうもんなのか。

東淀工場のエンタテイメントの公共事業っぽさ

明らかに違う内装
明らかに違う内装
と、ここまでずっと公民館っぽさがあった東淀工場だが、最後にエンターテイメント性を見せてきた。壁にいろんな情報が書いてあり、子供が走り回っている。どうやら子供たちはアニメの上映を待っているらしい。
なんと、スクリーンが三面
なんと、スクリーンが三面
どんなものだろうと見てみると、なんと三面スクリーン。Nintendo3DSですらもビックリのなんという斜め上への頑張り方。
最終的にゴリラが国連で人間をまとめ上げた。
最終的にゴリラが国連で人間をまとめ上げた。
メリットは背景が広い。というくらい。設備は三倍。このための動画用意するのも大変そう。公共事業ってこういうへんてこ頑張り具合が味わい深い。
記念写真を作ってくれた。
記念写真を作ってくれた。

孫が来るからごちそう用意しようと思って、唐揚げとかハンバーグじゃなくて、郷土料理の煮物を作っちゃうみたいな感じで、子供はあんまり嬉しくないけど頑張ってくれてるのわかるし、年取ってきたらその良さがわかってきたりする。

みたいなところが、へんてこで可愛い公共施設。工場見学、楽しかったです。
そして我が家の冷蔵庫には、リトルゴメスと書いたマグネットが貼られています。舞洲工場のマグネットはカッコいい。
そして我が家の冷蔵庫には、リトルゴメスと書いたマグネットが貼られています。舞洲工場のマグネットはカッコいい。
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