特集 2012年4月10日

ワルシャワ蚤の市の持ち帰りにくいものたち

フリマ
フリマ
エイプリルフール企画でポーランドに行ってきた。

ポータルとポーランドが似ているから、という理由で選んだ国だ。そしてこんなことでもなければ一生行くことはないだろうと思い、ポーランドにした。

そしてポーランドはこれまで感じたことがないぐらいの異国だった。
1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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ポーランドまで15時間30分

東京からポーランドに行く直行便はないので乗り換え含めて15時間30分である。遠い。

近所のドラッグストアの営業時間は10:00~22:30だが、それより長く飛行機に乗っているのだ。店員が朝、レジを開けてバックヤードから商品を出して並べて客の対応をしてあしたの発注してレジしめておつかれさまーって帰っても僕はまだ飛行機に乗ってるのだ。

しかしいまはなきワルシャワ条約機構のワルシャワである。長岡京やカルデラなど教科書でしか目にしなかった土地に触れる興奮がある。
飛行機から見えるのはひたすら氷
飛行機から見えるのはひたすら氷
ときどき道路が見えて人の気配がする
ときどき道路が見えて人の気配がする
飛行機から見える景色はだいたい雪。ときどき地面が見えても建築物などの人工物がない。直線(道路だろうか)が見えたときは興奮して写真を撮ってしまった。

気づいた、ここはアジアじゃない

しかしお金を払うとどこにでも行ける(ほぼ魔法である)。千葉を発って16時間後にはポーランドにいるのだ。ポーランドを半日ほど歩いての感想としては

歩道が広い
人がでかい
露店が出てない

といったことである。旧共産圏の国はアメリカの映画では暗く描かれていたけど、まったくそんなことはなく整然としたきれいな町並みはむしろ豊かな印象をうけた。ロッキー4、適当なこと描くんじゃねえと思った。
スキップできるぐらい歩道が広い。だがスキップしている人はいない。
スキップできるぐらい歩道が広い。だがスキップしている人はいない。
これだけ歩道が広かったら店出しちゃえばいいじゃん。と思うのだが軽トラでメロン(美人は半額とかいてある系)を売っているおっさんなどいないのだ。
ジャカルタ
ジャカルタ
バンコク
バンコク
台湾
台湾
合羽橋
合羽橋
ワルシャワ。がらーん。
ワルシャワ。がらーん。
全然違う。アジアと全然違うのだ。アジアの路地に入ると30年前の東武東上線の駅前みたいな雰囲気で懐かしい感覚があるのだが、そういう共感ゼロである。

僕はどんなに急いでいてもゆっくりお茶を飲んだりしてしまうのでヨーロッパの貴族の血が入っているのではないかと疑っていたが、違った。

しかしだ。ワルシャワ郊外に蚤の市が開催されているという。そこならばよく分からないものを売っているかもしれない。
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照れ屋の蚤の市

ワルシャワの中心地から路面電車に乗って蚤の市に来た。ヨーロッパ的なものを売っている店がぽつぽつと並んでいる。が、寒い。この日も0度ぐらいで、ときどき雪が降っていた。
この店の主人は車の中
この店の主人は車の中
客が来るとみーっと窓を開けてあれこれ説明する。そして客が去るとまた窓をしめる。いらっしゃい~ヤスイヨーなど言わないで窓を閉める。寒いのだ。
この店も主人は運転席に
この店も主人は運転席に
まるっと誰もいない店も多い
まるっと誰もいない店も多い
アジアのマーケットだと言葉が通じなくても売り手がうるさいぐらいに声をかけてくるがここではそういうことはない。基本放置である。あきらかにポーランド語が通じなさそうなの(僕のことです)がきちゃったので黙ってただけかもしれない。
それであきらめちゃう押しの弱さは大いに分かる。言葉が通じない人に声かけるなんて照れくさいもん。でも商売向いてないぞ。

話は都市部に戻るが、中心地のショッピングモールにプリクラのような証明写真のような機械があった。
ワルシャワのプリクラ
ワルシャワのプリクラ
この表情
この表情
そのサンプルの写真にこんな困ったような表情があったのだ(上の右)。パカーとした笑顔じゃなくて照れ笑いがリアル。きっとボウリングでストライクとってもハイタッチしないタイプだろう。友達になれそうだ。
ポーランドの照れポテンシャルの高さを感じる。

ポーランドの人んちにあったもの

もともとこの市は市民が不要品を持ち寄って売っていたのが始まりだそうで、リアルに家から持ってきたようなものもたくさん売られていた。
家の近所の商店街のフリマみたいなものだが、そこはヨーロッパ、家にあるものが珍しい。
ヒョウ柄のゾウ
ヒョウ柄のゾウ
ハエの置物
ハエの置物
鉱石がプリントしてある小皿セット
鉱石がプリントしてある小皿セット
法王みたいな帽子
法王みたいな帽子
どこの国でもマーケットは珍しいものが多いのだが、ここにあるのは根っこから違う。欲しいと思ったことすらなかったものたちだ。「法王みたいな帽子ないかなー」なんて思ったこともなかった!でも先回りして、ある!
野趣あふれる置物も野趣のベクトルが日本と違う。
写真でひとこと、のお題みたいな置物
写真でひとこと、のお題みたいな置物
映画でしかみたことない
映画でしかみたことない
野趣あふれる陳列
野趣あふれる陳列
売り物なのか分からず
売り物なのか分からず
便座の左にあるイスは売り物なのか、売ってる人が座っているものなのかは不明。
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あら安いわねー

前のページの剥製も税関で止められそうだが、持ち帰った瞬間に空港で取り上げられそうなものもたくさん売ってた。
日本のスーパーだったら「銃まつり」と名付けられそうな店
日本のスーパーだったら「銃まつり」と名付けられそうな店
日本のフリマではあまり見ないものである。あまりというか、見たことがない。300から1500の値札がついている。1ズロチが30円ぐらいなので9,000円から45,000円だ。高いのか安いのかさっぱり分からない。

銃もその隣のヘルメットもタミヤのジオラマのようだ。模型や小説のなかでしか見たことないものが平気で並んでいるのもおもしろい。
囚人の足につける玉?
囚人の足につける玉?
ガスマスク
ガスマスク
本物はじめてーとはしゃぎたいのだが、どれも暗いイメージものなのではしゃぎきれない感はある。
銀食器と絨毯と銃
銀食器と絨毯と銃

Yes, カミカゼ!

遠い感じで眺めていたが最後に打ち解けた。バッヂを並べていたおじいさんからレーニンのバッジを買ったらひとつおまけしてくれたのだ。
レーニンふたつで150円。
レーニンふたつで150円。
ポーランド語でありがとうと言うとNo Problemと言っていた。
妻がペンダントを買った店の主人は僕らが日本人だと分かると「I love Japan」「カミカゼ!カミカゼ!」と言って笑っていた。慌てた僕の返事は「Yes, カミカゼ!」だ。

エイプリルフール企画ではインドに行った取材チームから現地の人たちと交流した写真が次々とアップされてポーランドもなにかせねばと焦ったが僕らもやった。カミカゼと言って交流したのだ。また行くことがあったらフジヤマぐらい言いたい。

(ポーランドにはカミカゼというカクテルがあるらしいです)
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